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立岩真也(『私的所有論』など)コミュの『希望について』のパート3「境界について」をめぐる討議

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昨日の福島ゼミでは、立岩真也著『希望について』のパート3「境界について」をめぐる討議が行われました。
このパートで最も長文の「限界まで楽しむ」には、「医療保険−保険制度でなくともよいから、公的医療制度−を世界大に拡張したらよいのだという案も示される」との記述があり、また「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に関わる取り組みも紹介しています。
なので、上記の問題意識と対応する内容を含んでいる市野川容孝著「社会」の203pに始まる「分配的正義と租税国家」の節を紹介しました。具体的には206pの「第二に、シュムペーターは」で始まる文節から208pの最初の文節までには、やはりこのパートに含まれる「市民は当然越境する」とも対応しています。
また、福島さんから、世界規模の公的医療保険構想や世界基金について説明を求められたので、次の二点を話しました。

・EU諸国、北米諸国は、多数の外国人労働者・移民労働者を積極的に受け入れてきたし現在は特に専門知識を持った人材を選択的に呼び込もうとしている。日本でも介護労働者をフィリピンから導入する構想が現実化している。このように大量の人口移動がすでに始まっていることを念頭において考えるべきことだ。

・世界基金構想は、2001年7月のG7ジェノバ・サミットで参加国が資金拠出をプレッジしたことで具体化し、それから半年後の2002年1月には設立されていた。しかも、先進国だけでなくルワンダやナイジェリアなど途上国、ビル・ゲイツ財団、レアル・マドリードそしてほっとけないキャンペーンも資金を拠出している。このことからも、迅速な資金供給を必要とする重大な問題という認識が世界的に共有されたことがわかる。また、先進国・途上国政府を代表する理事だけでなく、南北のNGO、影響を受けるコミュニティー(HIV陽性者、結核、マラリアの患者)、民間企業、民間財団を代表する理事も議決権を持つという点にも注目が必要だ。途上国におけるジェンダー平等の課題への資金供給構想の中でも、世界基金モデルが語られており、今後の新しい動きにつながっていくことが予想される。

この日のレポーターのコメントには、「現在の所有のあり方を疑い、境界を疑い、オルタナティブな価値を提示する立場は、マルクスを現代に読み替えた立場ではないだろうか」ということもばもあって、時ならぬマルクス理論と立岩理論比較論が始まりました。
僕自身は、1970年代末の学生運動に関わっていた体験から、以下のことを話しました。

・1970年代の学生運動、社会運動に特徴的なのは「反差別」という課題だ。民族差別、女性差別、部落差別、在日外国人差別、障害者差別が、運動課題のトップに出てきた印象がある。

・マルクス主義的な階級闘争理論のベースにあるのは「多数者としての労働者が社会の主役になるのは当然」という感覚だと思う。僕が直接関わった部落解放運動も障害者運動も少数者の運動、少数者を差別するのを許さないという考えをベースにした運動だ。立岩さんは、障害者運動との関わりを出発点に、常に障害者問題を参照軸にして考え、書いている。少数者の課題を多数者の中にどのように提示し実現して行くのかという問題意識は、1970年代に始まったと思う。

※ 市野川容孝著「社会」岩波書店 1,680円
フランス、ドイツの憲法にある「社会的な国家」とは何かを出発点に、社会主義と民主主義の関係、思想史的な問題整理を通した今後への見通しを論じています。
国際協力、国際的な公共について考える際にも参考になる論考だと思います。
大きな本屋で手に取ってみて下さい。
アマゾンで購入されるのであれば、以下のリンクを利用してもらえるとAJFへの寄付につながります。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000270060/ryospage03-22

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