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川柳月組コミュの12月句会

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兼題:【 抜く 】

1この句抜く人に幸あれクリスマス
   
2抜くときは後ろ振り向きアカンベー
   
3ありふれたタイムリミットワイン抜く
     
4帰し方を映しシャキッと抜く衣紋
    
5抜く前の痛み抜いてからの痛み
   
6忘却の時へワインの栓を抜く
      
7欠点も長所も抜いた人間味
        
8ピンヒール蹴って師走のごぼう抜き
     
9覚悟見せなさい一本抜きなさい
       
10冬薔薇眠れぬ夜は棘を抜き
          
11抜けなくてゆっくり沈む平泳ぎ
  
12二三本抜いてぐらぐら生きている 
      
13サボテンの棘抜く哀れハイタッチ
     
14出し抜けに枯れ木に腕をつかまれる
   
15抜いたあとぽかんと口をあけている 
    
16まだ助走追い抜かれてもハミングを 
    
17私から何を抜いたらまた咲ける
     
18抜け穴の先のドラマを見ていよう 
     
19あなたから月夜を抜いて待っている
    
20抜く栓がなく栓抜きをもてあます 
     
21なみなみの水にさらして灰汁を抜く
    
22釘を抜く蓋はあしたの朝にして 
      
23真っ直ぐに生きたい人の釘を抜く    
  
24パラパラと抜いて並べる人事権 
       
25乱暴に抜き始めた僕の決意   
        
26誰一人抜かない私の徒競争     
  
27近づいて並んだけれど抜けるかな    

28青い空やっと会えたね抜けないで     
  
29跡形を残さぬようにするり抜く 
    
30婆抜きのように捨てると勝ちになる  

31わたくしの毒気を抜いている雨夜
    
3212月小指に刺さる棘を抜く     
   
33踏ん切りがついて最後の杭を抜く      

34切り抜いたハートを全部あげましょう    

35シャンパンの栓を抜いたら月へ飛ぶ  

36風呂の栓抜いてほどよき薔薇疲れ      

37おしゃべりを止めてふたりのアクを抜く  

38迷走の地図から抜けて自信もつ      

39もう抜きません幸せになれませんから  

40ここまでがわたしなのです水を抜く   

41私から私を抜いてみましたが     
  
42オトコの忌もろもろ抜いてヒトリの歩    
 
43体中詰まったものを抜く祭    
      
44歯を抜いた走馬灯のめぐる穴    
   
45年末を手抜き料理のあいうえお     
 
46わたくしを抜けたら真水 冬の朝     
    
47イカの骨すんなり抜けたことがない    

48逃したか君を追い抜くタイミング     
  
49奥歯抜くようにすっくと立ち上がる    

50 バーディチャンの空気を抜けばハヤ40     

兼題:【 出口 】

1出口にはもぐら叩きが待っている 
     
2食べごろの出口ぱくっと食べてみる 
    
3近寄ればそぞろ寂しくなる出口   
    
4この空のどこかに開いている出口    
  
5光ったり消えたりうつくしい出口     
   
6雑言の出口 皇帝ダリア咲く  
       
7引き返す出口が見えたところから    
      
8このあたりでいかが用意する出口    
  
9二人なら海の出口は探さない      
  
10ぽっかりと開き直りという出口
    
11道半ば出口は誰もわからない   
      
12出口へと向う道路は五本ある  
     
13矢印の先が滲んでいる出口     
      
14海老蔵の出口を捜す 咆哮す     
     
15そのむかし光る出口をもっていた    

16ぽっかりと寝ているうちに開く出口     
   
17出口だとようやく気付く一年後      
   
18口づけをしませう ここが出口です    
    
19たいせつなもの集まっている出口   
     
20サヨナラと言えば出口になる扉      
    
21ただ甘くそして冷たい出口だな  
     
22列をなし出口に向かうちびた靴   

23もう夜もポプラも散っていた出口    
 
24値崩れが出口付近でおきている
      
25不実などさらさら流す出口から
    
26もうちょっと行くとありますこの世の出口
    
27どの出口行けば待ってる青い猫  
       
28出口から入ってますます分からない
     
29非常口出て混沌の青き藻に     
     
30垣間見る出口あたりの騒がしさ 
      
31入り口と出口で逢ったお父さん
 
32出口まで辿り着けない検査漬    
    
33初めから出口を探し終わる旅    
     
34最初から出口なかったことにする  
    
35唇を噛みまさぐっている出口   
      
36誰ひとり本気でさがさない出口   
   
37ひまわり迷路出口を探す子等の声  
   
38君と僕こんな出口でいいですか   
 
39気に入った出口が見当たらないのです 
  
40哀しみの深いところにある出口   
     
41この街の出口がいつも視野にある
    
42もう少し出口探さずここに居る   
  
43重ねあうからだそれぞれの出口   
   
44甘ったるい匂いするから出口じゃない 
     
45大きな月が出ているほうが出口です  
  
46チェックイン非常口から確かめる
    
47出口にて冷たいものを渡される  
  
48出口では止まらないよう願います     
 
49余韻まだ覚めやらぬのにもう出口  
    
50出口なら見えるはずだな薄明り     




 
【 雑詠 】

1母さんをボリュームフルにして眠る 
  
2大芝居うって一息ところてん  
      
3あと十日 柚子と私が湯に浮かぶ
   
4私のひとアレルギー処置はない  
  
5動かないふるさと一つ持っている
    
6まだ丸くなりたくないと金平糖
      
712月孵らぬものを温める  
      
8糸がなくなれば天にも昇ります
      
9引き出しの中で動いている時計
     
10メール来て一気に冬になりました
  
11毎日が雲で毎日忙しい  
         
12静脈にそっと聞かせる子守唄
      
13海上の国境線にある不安
      
14熱熱の卵でとじておく秘密
     
15はっきりとしないところが深い傷
    
16お天気をATMに聞いてみる
      
17足音がだんだん痛い十二月
       
18美しき魚の跳ねいて発禁書
        
19あの人がちょっと気になる火の用心 
     
20びゅんびゅんと星が走っている出会い
    
21引き際の斯くあれかしと冬花火
     
22さよならと言ってからでもまだ続く
   
23私宛て叱咤激励宅配す
           
24塩コショー振り掛けたって私です 
    
25寝そびれて夜中に開く頭陀袋 
       
26擦り傷や存在というやわらかさ
     
27パンプスを脱いで見晴らし悪くなり
    
28金木犀生にも死にも匂いあり 
       
29電話からくぐもる愚痴に噛むアクビ
       
30目指すもの水平線はそれを問う
       
31やじろべえまだ揺れ止まず耳に栓
     
32桑の実をジャムにしてから出た噂 
      
33懐かしい昔むかしの恋に逢う  
    
34寒い日はよそみしないで見てあげる
      
35淋しいなひとりあそびがぬった色  
   
36元気出せ いじけてならぬちぎれ雲
   
37お雑煮の話家族でないひとと   
    
38追伸の余白に冬の薔薇咲かす 
      
39遠巻きに見ている希望みかん山
      
40冬花火あと何年の旅なのか    
     
41フダ付きのまんまあっちに行くつもり
       
42カッターの刃こぼれ続く冬の暮
     
43なみだして御眼鏡様の世の麗し  
        
44ここにきて大根なんかふりまわす 
    
45北風は怒れば怒るほど無口    
    
46やわらかな風や光で作る恋  
         
47クリスマス愛ってどんな色ですか
     
48正論は知らず赤蕪ごんごろん
   
49蒼穹に放てば戻らないココロ      

コメント(26)

まずはご自分の句をチェックしてください。表記ミスなどありましたら
抹茶までメッセージでお知らせください。

選評の書き込みは12日の午後10時締切です。
ゲストの方は選評を抹茶までメッセージでください、転記します。

たくさんの佳句に囲まれる師走のひとときをお楽しみください。
投票の直前になって大変申し訳ありませんが、兼題「出口」の

  40 哀しみの深いところにある出口

は投句を取り消します。
理由は、別トピの「十二月の談話室」をご覧下さい。
【抜く】
<入選>
 8 ピンヒール蹴って師走のごぼう抜き
   最初は、ん?これ何?と思ったが、この勢いのあるリズム感が気に入った。
   どうか私を蹴散らさないで下さい。

 23 真っ直ぐに生きたい人の釘を抜く
   許しでしょうか?それとも別れ?いずれにしても、解放ですよね。それとも
   その人のまっすぐ生きる意志そのものを抜くのでしょうか?気になる句です。

<特選>
43 体中詰まったものを抜く祭 
   ストレスの解消といってしまっては身も蓋もないが、心身ともに「ケ」を離れ
   「ハレ」が必要な時期があるのです。

【出口】
<入選> 
10 ぽっかりと開き直りという出口
   そうか、そういう出口もあったのかという感じだが、やはり「ぽっかり」で
   しかないのかも知れない。

34 最初から出口なかったことにする
   そうですよね。物事には入り口と出口がなけれがならないわけではない。
   そんなものはじめっからなかったのかも知れない。

<特選>
41 この街の出口がいつも視野にある
   「自分の故郷がいちばんという人は凡庸、どこもが故郷という人はよりまし。
   どこもが異境というひとこそ・・・」という言葉がありますが・・・。
 
【雑詠】
<入選>
 5 動かないふるさと一つ持っている
   記憶の幻影の中のふるさと。現実にはどんどん変わる動いている。しかし、
   それはふるさとではない。私の中のふるさとは不動。

37 お雑煮の話家族でないひとと    
   家族でないひとといっても千差万別。敢えてそれをいうところに少しなまめかし
   いものがあるのかも知れない。 深読みだろうか。

<特選>
  15 はっきりとしないところが深い傷
   ここに傷がと示すことが出来る傷はさして深くはない。目に見えない傷が、
   私の心臓の近くに達しているかも。
    

兼題:【 抜く 】
入選
30婆抜きのように捨てると勝ちになる  
27近づいて並んだけれど抜けるかな
12二三本抜いてぐらぐら生きている
特選
40ここまでがわたしなのです水を抜く
コメント
30)そうなんだと納得。
27)そう言った時点で抜けないでしょう。でも、そんな人間性が好きです。
12)私みたい。
特選40)ついに開き直りましたか。

兼題:【 出口 】
入選
20サヨナラと言えば出口になる扉
42もう少し出口探さずここに居る
36誰ひとり本気でさがさない出口
特選
5光ったり消えたりうつくしい出口
コメント
20)と、言いながらそこが新しい入り口かもしれない。
42)もう少しというところが切ない。本当はずーっと出たくないのだ。
36)そうだねえ。
特選5)出口へ促されているからそう見えるのか、他人事みたいに見ている人の言い草なのかよくわからないけど、私を捉えて離さなかった句です。

【 雑詠 】
入選
15はっきりとしないところが深い傷
37お雑煮の話家族でないひとと
9引き出しの中で動いている時計
特選
11毎日が雲で毎日忙しい
コメント
15)「ところが」と「ところに」一字でかなりニュアンスが違ってくる。
勿論「ところが」だから頂いた。
37)切ないですね。一緒に食べることはない・・・
9)これはもしかして四次元の世界?
特選11)雲は毎日違う形、そのように毎日違う忙しさ。充実していて幸せそうだ。この句も私を捉えて離してくれなかった。

「抜く」
5抜く前の痛み抜いてからの痛み
  抜いたら済むとばかり思っていたのに、また違う痛みがやってきた。
8ピンヒール蹴って師走のごぼう抜き
  この迫力。女性ならではの勢いの描写。
9覚悟見せなさい一本抜きなさい
  その一本を抜く勇気が出るか出ないか・・・
特選40ここまでがわたしなのです水を抜く
  ここから多くても少なくても私ではないのです。

「出口」
10ぽっかりと開き直りという出口
  開き直りも出口の一つだったんですね。
20サヨナラと言えば出口になる扉
  出たらもう戻れない出口。せつない。
36誰ひとり本気でさがさない出口
  ぐずぐず愚痴だけは言いながら・・・ありがちですよね。     
特選13矢印の先が滲んでいる出口  
  この矢印を信じていいやら悪いやら。心の矢印ですね。おもしろい。

「雑詠」 
14熱熱の卵でとじておく秘密
  卵とじ程度ならたいした秘密ではないけど、あれば心楽しいもの。
26擦り傷や存在というやわらかさ
  傷を負って、自分のやわらかさを改めて知る。

38追伸の余白に冬の薔薇咲かす 
  伝えたかった思いが濃く薫るようです。

特選48正論は知らず赤蕪ごんごろん
  ごんごろん、この赤蕪の有無を言わさぬさまにいただきました。
兼題:【 抜く 】

20 抜く栓がなく栓抜きをもてあます 
こういうことって、あるのでしょうね、能力があっても発揮できない、今日の社会状況みたい。このトホホ感に共感して頂きました。

33 踏ん切りがついて最後の杭を抜く      
さあ大変だ、とんでもないことが起こりそう。アメリカドラマのLOSTみたいで頂きました。

48 逃したか君を追い抜くタイミング     
会社の出世競争を連想しました、まだ諦めるなと、思わずエールを送りたくなりました。

特選
42 オトコの忌もろもろ抜いてヒトリの歩    
色々有ったのでしょうね、私にはまったく無縁の世界なので、憧れて頂きました。 


兼題:【 出口 】

1 出口にはもぐら叩きが待っている 
そんな出口、私は出たくない。しかし、前向きな人は、絶対叩かれないぞとあくまで前向き。そう、迷わず行けよ、行けばわかるさ。
            
20 サヨナラと言えば出口になる扉      
恋愛ですね、さよならは特別な言葉、いつもは、じゃあ、とか、またねと言っていたのに、
さよならをついに口にしてしまおうかと。さて、どうしょう。気にかかって頂きました。
       
    
33初めから出口を探し終わる旅    
思へばこの世は常の住み家にあらず。草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし。一度生を享け、滅せぬもののあるべきか。うーむ、敦盛の世界ですね、と勝手に。

特選
18 口づけをしませう ここが出口です
ロマンチック、しかし、別れの予感も。なんかのCMみたい。表記が大正ロマンみたいなのもいいです。  
 
【 雑詠 】

  

10 メール来て一気に冬になりました
今的な句。残念、ガックシ感が良く伝わります。思い当たります。

21 引き際の斯くあれかしと冬花火
冬の夜空を赤々と焦がしてそして消えた、後は静謐の闇。人生も斯くありたい。  

44 ここにきて大根なんかふりまわす 
何があったのでしょうか、相当荒れている、でも、大根、ここらあたりがなんともユーモラス。 

特選
5 動かないふるさと一つ持っている
ふるさとの本質、どっしりとしていて動かない、なんでも許容してくれそうな。ふるさとを持っている心の安らぎ。リズムもよろしいかと頂きました。

【 抜く 】
入選
11抜けなくてゆっくり沈む平泳ぎ
14出し抜けに枯れ木に腕をつかまれる
49奥歯抜くようにすっくと立ち上がる
特選
8ピンヒール蹴って師走のごぼう抜き

コメント
11)ゆっくり沈む が面白い。私も泳ぐとこうなる。
14)昔、ビデオ屋で他人が抱っこしていた子供に突然腕を掴まれびっくりしたことがあった。その感覚を思い出した。
49)私にとっては「奥歯抜く」と「すっくと立ち上がる」は同じとは思えない、それをあたかも「ように」と同じであるかのように詠んだ違和感が面白い。
特選
 8)師走の忙しい感じが出ているので良い。

【 出口 】
3近寄ればそぞろ寂しくなる出口 
14海老蔵の出口を捜す 咆哮す
31入り口と出口で逢ったお父さん
特選
20サヨナラと言えば出口になる扉   

コメント
 3)出口に近づくほど寂しくなるという感じ。同感
14)海老蔵が出てきたので文句なしに採った(抜いた)。時事句?!
31)入口と出口を、私の人生のはじめと父の人生の終わりと取った。父と暮らした日の思い出がある。
特選
20)出口とは始めから「出口」と書いてあるのではなく、出口は時と場合に応じてどこにでもあるという感じが面白い。

【 雑詠 】
5動かないふるさと一つ持っている
9引き出しの中で動いている時計
44ここにきて大根なんかふりまわす 
特選
712月孵らぬものを温める

コメント
 5)誰もが持っている「ふるさと」を詠んだのが良い。「ふるさと」と仮名書きで書いたのは、故郷、故里、古里をすべて包括し広義の心のふるさとまで詠んだものと理解した。
 9)私の息子は以前、引出しの中へ携帯電話を放り込んであった。作者は見ないけれども、引出しの中の時計は確実に時を刻んでいる。
44)ここにきてとは、年末12月にもなってという意、大根とよく合っている。
ふりまわすが面白い。
特選
 7)年末12月今年最後の月になってから、わずかな可能性に賭ける気持ちは分かる。
『抜く』

ー入選ー

5抜く前の痛み抜いてからの痛み
   痛みに二通り。「前」と「からの」で、抜くタイミングまで想像させる。

17私から何を抜いたらまた咲ける
   何を抜いたら、に納得していない作者の目がある。

40ここまでがわたしなのです水を抜く
   ここまでが、と自己分析しているわたし。「水を抜く」が潔くていい。

ー特選ー

22釘を抜く蓋はあしたの朝にして
   あしたの朝にして、にとても共感した。蓋の重さが感じられた。


『出口』

ー入選ー

21ただ甘くそして冷たい出口だな
   ただ甘く、に参りました。

38君と僕こんな出口でいいですか
   いいですか、と問うふたりの立ち位置に注目。

43重ねあうからだそれぞれの出口
   それぞれの出口、にとても共感した。

ー特選ー

41この街の出口がいつも視野にある
   「街」に象徴されるものは何かと考えさせられた。そう、私のそれも視野にある。


『雑詠』

ー入選ー

712月孵らぬものを温める
  一年の最後の月。「孵らぬものを温める」作者に力をもらった。

26擦り傷や存在というやわらかさ
  「やわらかさ」と捉えるところに、とても自由なこころを感じる。

30目指すもの水平線はそれを問う
  はるかなる水平線を思い出した。

ー特選ー

34寒い日はよそみしないで見てあげる
  「よそみしないで」がすべて!やさしさ溢れた句。
【抜く】

11 抜けなくてゆっくり沈む平泳ぎ
    「ゆっくり沈む」に
    納得して沈んでいく様がスローモーションで流れました
    クロールでもバタフライでもない、やはり平泳ぎだと思います
  
12 二三本抜いてぐらぐら生きている
    力を抜いて生きようとする姿の表現がお見事

46 わたくしを抜けたら真水 冬の朝 
    聡明で凛としている作者を思わせます 

<特選>

19 あなたから月夜を抜いて待っている
    究極の待ち伏せ、されてみたい   
   「月夜を抜く」には参りました


【出口】

7 引き返す出口が見えたところから
    とてもシンプルで的を得ていると思います

36 誰ひとり本気でさがさない出口
    「さがさない」を平仮名表記にしたことで
     探す意志のあいまいさが出ています
       
44 甘ったるい匂いするから出口じゃない
     ならば出口の匂いとはどんな匂いなのだろう?
     甘いではなく甘ったるいがいいですね

<特選>

38 君と僕こんな出口でいいですか  
    あっけらかんとした言い振りに実は哀しさが見え隠れする 
     

【雑詠】

34 寒い日はよそみしないで見てあげる
    わたしもそうすると思います
    
47 クリスマス愛ってどんな色ですか
    疑問形に余韻が残ってセンスが光りました
       
44 ここにきて大根なんかふりまわす
    修羅場だったら笑って解決できそう
    大根って奥が深いですね

<特選>

15 はっきりとしないところが深い傷
    はっきりする傷なら原因は明白
    みえない傷だから痛い、苦しい、深い
【 抜く 】    
         
32 12月小指に刺さる棘を抜く
40 ここまでがわたしなのです水を抜く 
5 抜く前の痛み抜いてからの痛み

<特選>  
12 二三本抜いてぐらぐら生きている

32 12月までそのままにしていた棘。あなたは抜きますか。
  私は抜けそうにありません。     
40 いっぱいになると息ができない。ここまでがわたしなのです。 
  作者の切迫感が伝わってきます。 
5 抜いても痛い、抜かなくても痛い、これが生きているということだろうか。
12 答はこれか。ぐらぐらで生きるという素晴らしい見つけ。
      

【 出口 】
              
31 入り口と出口で逢ったお父さん
20 サヨナラと言えば出口になる扉
43 重ねあうからだそれぞれの出口       
25 不実などさらさら流す出口から
  
<特選>      
23 もう夜もポプラも散っていた出口

 
31 まさに私の父のこと。
  生まれたときとそれから今だけ、父は「お父さん」でいてくれています。
43 それぞれの出口に向かうまでの逢瀬です。
  出口が別々だから、それまでの時間は甘くて濃いのです。 
20 カタカナの「サヨナラ」がドライだったり、いじらしかったり。
25 不実は出口から流せばいいのか。すごい見つけ。
  良いことを教えていただきました。
23 きっと寒くてきっと冷たくてきっと誰もいない出口。
  なにせ「夜」が散っているのだからそうに違いない。
  たくさんの出口の中で、これが一番痛い。だからひかれる。               
  
        
【 雑詠 】    
         
45 北風は怒れば怒るほど無口         
12 静脈にそっと聞かせる子守唄       
26 擦り傷や存在というやわらかさ 
 
<特選>  
11 毎日が雲で毎日忙しい


45 元々寡黙な北風が、怒るほど無口とは、これはこわい。冷たさが伝わる。
12 命になるもの、毒になるものを運ぶ静脈。
  元気なときには、静脈の在り処など気にしたことはなかった。
  どうぞよろしくと言って私も眠ろう。
26 傷を見て初めて、それがやわらかかったことに気がつく。
  大切に扱わなかった自分にも気がつく。
  カバーをかけていては気づかなかったこと。
  ごめんね、これからは大切にします。
  ストーリーがきっとたくさん浮かぶ句。   
11 そりゃあお忙しいことでしょう。雲はいつもかたちを変えますからね。
  でもときどきは休んで、快晴の空を見せてください。
  のんびりしたイメージの雲を「毎日忙しい」と見る目がおもしろかった。 
りんさんの選です。

抜く

●入選 
12二三本抜いてぐらぐら生きている 
34切り抜いたハートを全部あげましょう  
37おしゃべりを止めてふたりのアクを抜く

●特選 
31わたくしの毒気を抜いている雨夜  
 抜いても抜いても毒はわいてくるかもしれないけれど抜きたいと念じている。



出口

●入選 
7引き返す出口が見えたところから  
13矢印の先が滲んでいる出口
38君と僕こんな出口でいいですか

●特選 
4この空のどこかに開いている出口 
 どうしようもない閉塞感を持っていても、空がすっきりと晴れていたら、小さな希望が見えてくる。



雑詠

●入選
17足音がだんだん痛い十二月
41フダ付きのまんまあっちに行くつもり
48正論は知らず赤蕪ごんごろん

●特選 
26擦り傷や存在というやわらかさ
 見える傷が日々治癒していくように見えない傷も同じように癒されていくはず。
よしのさんの選です。

 「抜く」

 入選

  12 二三本抜いてぐらぐら生きている

      発想の面白さ。特に「ぐらぐら」に惹かれました。

  34 切り抜いたハートを全部あげましょう

      言われたら幸せ。読後感がほのぼのします。

  40 ここまでがわたしなのです水を抜く

      水位がギリギリなので水を抜くのか。連想がふくらみます。

  特選

  46 わたくしを抜けたら真水 冬の朝

      わたくしを冷静に見ている作者の姿勢が冬の朝の真水と重なります。

  「出口」

  入選

  4  この空のどこかに開いている出口

      希望や開放感があり広がりのある句。私も希望が持てそうです。

  5  光ったり消えたりうつくしい出口

      出口をうつくしいと感じたことはなかったです。点滅する出口、
      発見です。

  6  雑言の出口 皇帝ダリア咲く

      雑言を戒めるかのように凛と咲く皇帝ダリアの具象が効いています。

  特選

  50 出口なら見えるはずだな薄明り

      出口に辿り着くまでの苦労、そこに微かな希望がある、その切なさを
      思います。

  「雑詠」

   入選

   7 12月孵らぬものを温める

      発想の妙です。12月はこんな気持ちになります。

   20 びゅんびゅんと星が走っている出会い

      勢いがあり、出会いを楽しんでいる清々しさを感じます。

   49 蒼穹に放てば戻らないココロ

      多分私のココロもそうでしょう。「ココロ」が深刻にならず軽い感じ
      で効いています。

   特選

   39 遠巻きに見ている希望みかん山

       今は希望との距離があるがいつかは近づく意志を感じます。

きなこさんの選です。

【抜く】
入選
9 覚悟見せなさい一本抜きなさい
   ハイ!思わず敬礼してしまう。
   こうでなくっちゃ、 と思う。
12 二三本抜いてぐらぐら生きている
   長いこと生きていると何かと2、3本抜けちゃうのよね
   そしてぐらぐらしてしまう、でもどっこい生きている。
   人間らしいと思う。
30 婆抜きのように捨てると勝ちになる
   そうそう潔く捨てることだね。
   欲も見栄も男も・・。さっぱりして身も心も軽い。

特選
17 私からなにを抜いたらまた咲ける
   真剣に考えてしまった。
   また咲けるのか・・何を抜いたら咲けるのか・・?
   素直になって余分なものを抜いていこう。


【出口】
入選
8 このあたりでいかが用意する出口
   助かるわぁ いいんじゃないそれで
   人にも甘く 自分にも甘く。
18 口づけをしませう ここが出口です
   思わずその気にさせられる アブナイ アブナイ
28 出口から入ってますます分からない
   わかるなぁ その気持ち。
   ただでさえ 迷ってばかりなのに出口から入った日にゃ
   もう出られない。

特選
47 出口にて冷たいものを渡される
    やっと出口に出てホッとしたのに 何やらひんやり冷たいものを
    持たされた 生きるって甘くないなぁ


【雑詠】
入選
9 引き出しの中で動いている時計
    だれも見ていないのにきっちり動いている引き出しの中の忘れられた時計
    えらいなぁ でも時は確実に進んでいる 怖い。
41 フダ付のまんまあっちに行くつもり
   いいな いいな こんな人に会ってみたい!!
44 ここにきて大根なんかふりまわす
   なんとも可笑しい。
   「ここにきて」もいいし ふりまわすのが大根なのもいい。
   目に浮かぶよう。、ふりまわした人の顔もふりまわされた人の顔も。

特選
15 はっきりとしないところが深い傷
    深い傷ほどどこがどうなのか説明できない。
    自分でも奥深くしまいこんでしまってはっきり言えない。
    でも疼くのよね。すごく疼くのよね。
雷公さんの選です。本日都合が悪いとのこと事前にお預かりしました。

<抜く>
入選
14出し抜けに枯れ木に腕をつかまれる

 枯れ木とは両親でしょうかね。
 私もしっかりとつかまれています。

23真っ直ぐに生きたい人の釘を抜く

 大きなおせっかいだと思うけど、こういう
 人も世の中には必要です。

46わたくしを抜けたら真水 冬の朝

あなたがフィルターなんですね。仕方ないので真水に
 なって生きましょう

特選
12二三本抜いてぐらぐら生きている

 このいい加減さがいいですね。いや、ひょっとしたら
 奥が深いのかも知れません。いずれにしても私にぴったり
 はまりました。

<出口>

入選
10ぽっかりと開き直りという出口

 開き直りの出口は必要です。私の場合、最後はいつも
 これです。この出口が無かったら辛いでしょうね。

13矢印の先が滲んでいる出口

 滲んでいるのは涙ですね。出口にはいつも哀しみが漂って
 います。

31入り口と出口で逢ったお父さん

 思わず笑ってしまいました。お父さんの存在感の無さが
 よく出ています。

特選
18口づけをしませう ここが出口です

 その通りです。さあ幸せになりましょう!

<雑詠>
入選
44ここにきて大根なんかふりまわす

 ついに怒っちゃいましたか。でも、笑っちゃいそうです。
 愛嬌たっぷりな場面です。

9引き出しの中で動いている時計

 忘れていても動いてる。世の中と関係なく動いている。
 強い!強い!

特選
1母さんをボリュームフルにして眠る

 介護でしょうかね。ちょっとしたことも見逃さない細心の
 注意、そして苦労。でもこの句には、そんなことを感じさ 
 せない明るさがあります。断然、特選です。

兼題:【抜く】
5抜く前の痛み抜いてからの痛み
 確かに二つの痛みがあるんだけど、抜かなければその痛みの比べようもない、と私の思考はそんなふうにしか働かない。

37おしゃべりを止めてふたりのアクを抜く
 アクを抜くと本音がそこにあるのだろうか。

43体中詰まったものを抜く祭
 なにが詰まっているのか、興味津々。祭で抜くというのも気が利いています。

特選
33踏ん切りがついて最後の杭を抜く
 杭は一本だけでは成立しない、その最後を抜くふんぎりが面白い。

兼題:【出口】
17出口だとようやく気付く一年後
 出口から出ようとするからトラブルが発生して、あーあ、あそこが出口だったんだと、よかった。

18口づけをしませうここが出口です
 口づけと出口がどうしても結びつかなかった一句。

28出口から入ってますます分からない
 出口からはいると、現状になかなか噛み合わない経験。中八も気になりました。

特選
50出口なら見えるはずだな薄明り
 出口のない地下に閉じ込められた人々の、地上への薄明りは、神の光に見えたんだろうな。

【雑詠】
712月孵らぬものを温める
 今年もだめだったけど、でもふところ深く温めているものがあります。一年が早い。

19あの人がちょっと気になる火の用心
 火の用心の不安定さがいいのか、本当に気になりました。

32桑の実をジャムにしてから出た噂
 無理やりジャムにしたから、噂が出ているんだとおもうと、楽しい句になりました。

特選
24塩コショー振り掛けたって私です
 そうなんです。今年最高の出会いですね。じたばたしても私。私を見つめなおす一句。
【抜く】
入選
12二三本抜いてぐらぐら生きている       
34切り抜いたハートを全部あげましょう     
43体中詰まったものを抜く祭          
特選
9覚悟見せなさい一本抜きなさい        

入選12「ぐらぐら生きる」は知恵かもしれません。ゆらぎを内包するこの姿勢に共感します。
34明るさがいい。くり抜いたではなく切り抜いたのですね。
43ドバッーと抜いたらどれほどすっきりするのかと思わせる勢いに惹かれました。
特選句 命令形の反復が効いていて、どうやら迫られている。何を1本抜くのか想像するも楽しい。

【出口】
入選
5光ったり消えたりうつくしい出口         
6雑言の出口 皇帝ダリア咲く          
12出口へと向う道路は五本ある        
47出口にて冷たいものを渡される    
特選
36誰ひとり本気でさがさない出口      
選外
7引き返す出口が見えたところから         
24値崩れが出口付近でおきている     

出口は佳句が多く読み応えがあった。選出した句はどれも当たり前の出口ではありませんでした。
入選5 特選と迷った句。出口の存在が変化する所に不思議な魅力と納得があった。
6ピシリと決まった句 雑言の尾ひれはひれが毒々しい色になって眼をひく様がぴったり。
125つの選択肢、なぜ5本にしたのかの謎、そして立ち位置。何だかこの人は出口に向かわないように読めた。
出口と客観性のコラボ。
47大逆転ですね。出口が希望の先ではない。句に「微量の毒を」を先師がおっしゃってましたが穿ちとも言えるのでしょう。
特選句 今の世相を思うとぴったり。慣れてくると、出口の内側も住みよくなって惰性がほんわかあったかい。
突破口は痛みを伴うものだから。出口を修飾した句の多い中で人にフォーカスした句が印象的だった。
選外 7微妙な心理をすくい取っている。24これも皮肉な、でも人生ってこんなものかも。視点が面白い。

【雑詠】
入選
15はっきりとしないところが深い傷     
18美しき魚の跳ねいて発禁書       
32桑の実をジャムにしてから出た噂       
特選
44ここにきて大根なんかふりまわす      

入選
15擦過傷ではないんですね。「はっきりとしないところ」を思いめぐらせてしまいます。答えが割り切れない
白黒つかない状態も思えば痛さがつきまといます。
18「跳ねいて」への違和感がだんだん癖になってくるような。発禁書という言葉の魔力を存分に利用した句、取り合わせが並々ならぬ作。
32おいしいけど口中真っ黒になってしまう桑の実のジャム 暗喩が鈍く重く効きうまいなぁーと思った句。
特選句
「ここにきて」が発表時期にもマッチしている。押し詰まってから、抵抗しだす。それも「大根なんか」
のなんかにも笑ってしまいました。おもいしろてやがて哀しき…のペーソス句。どの語もしっかり響き合って
いる。
【抜く】

9 覚悟見せなさい一本抜きなさい       
10 冬薔薇眠れぬ夜は棘を抜き  
17 私から何を抜いたらまた咲ける  

特選
3 ありふれたタイムリミットワイン抜く

9/ホラー?バイオレンス? 怖いシーンは苦手なのに指の隙間から目は釘付け。
10/自分で自分の刺を抜いているように思えた。痛みを感じつつ、冬のしんとした空気感が清々しい。
17/そうか。なにかが足りなくて咲けないのではなく、なにかが過剰だから咲けないのだ。気付きに共感。
特選/恋にも人生にも終わりはくる。それは特別なことじゃなくて、ごくありふれたこと。と、自分に言い聞かせるつぶやきはシャンソンのよう。長い熟成が味わいになるワインとの取り合わせも効いている。

【出口】

6 雑言の出口 皇帝ダリア咲く 
31 入り口と出口で逢ったお父さん
41 この街の出口がいつも視野にある

特選
38 君と僕こんな出口でいいですか  

6/皇帝ダリアにびっくり。そびえ立つダリアに小市民はひれ伏すしかない。
31/入り口出口とお父さん。唐突感の相乗効果。
41/いつか脱出してやる。固い決意がぴしりと一句に。
特選/そんなん知らんがなーって「君」ならずとも突っ込んでしまう。けれど、そこが作品の味であり、「僕」の魅力でもあるかと。

【雑詠】

46 やわらかな風や光で作る恋 
26 擦り傷や存在というやわらかさ
32 桑の実をジャムにしてから出た噂 

特選
11 毎日が雲で毎日忙しい

46/ふわふわ苺ショートの甘さ。なのにどうしてこんなにせつないのだろう。
26/理の勝った一句だが、理におさまりきらない切実感に魅かれた。
32/「桑の実」のお手柄。ここは梅でも杏でもだめ。
特選/すこっと脱力系でありながら、作品は常日頃の「見る力」「感じる力」にしっかりと裏打ちされている。
「抜く」
入選
5抜く前の痛み抜いてからの痛み
    抜いてからもまだ痛い。こんなことも確かにありますね。ドキッとしました。
34切り抜いたハートを全部あげましょう    
   実際のハートなのか、それともペーパーのハートなのか。かわいい魅力のある句だと思いました。
 12二三本抜いてぐらぐら生きている 
   2,3本抜いてもしぶとく生きている。作者の芯の強さを感じました。

特選
8ピンヒール蹴って師走のごぼう抜き
   さっそうとした女性の句。私もこんな風に歩いてみたいと思います。

「出口」
入選
2食べごろの出口ぱくっと食べてみる 
   うわー、何だ?とびっくりしました。いろいろに想像できる句だと思います。
12出口へと向う道路は五本ある  
   5本のうちどれを選ぶのも自由。出口への道程をおもしろい切り口で詠んでいると思います。
21ただ甘くそして冷たい出口だな  
   出口は苦くないのか、暖かくないのか。立ち止まって想像が膨らみました。

特選
41この街の出口がいつも視野にある
   街の出口、という視点が新鮮でした。放浪にあこがれる男性を想像しました。

「雑詠」
入選
 
712月孵らぬものを温める  
   深い悲しみ、焦燥感がよく表れていると思いました。
41フダ付きのまんまあっちに行くつもり
   作者の宣言はあっぱれです。中7のまんまあっちに、のリズムの良さが好きな句です。
45北風は怒れば怒るほど無口   
   起こって怒鳴るより怒って無口なほうが不気味で恐い。思わずゾッとしました。

特選
48正論は知らず赤蕪ごんごろん
   「ごんごろん」に正論などしらなくて平気という、作者のあっけらかんとしたたくましさを感じました。
【抜く】
14 出し抜けに枯れ木に腕をつかまれる
17 私から何を抜いたらまた咲ける
33 踏ん切りがついて最後の杭を抜く
特選
41 私から私をぬいてみましたが

14/びっくりしましたよ枯れ木にあんな力があるなんて。
17/もしかしたら咲けるのか??
  咲けるかもしれないそれを模索しています
33/抜きましたとも。 ながーい事悩んだ末、しつこい杭でした。
特選句
41/一番抜きにくいものを抜いたものの という自戒か

【出口】
12 出口へと向う道路は五本ある
39 気にいった出口が見当たらないのです
47 出口にて冷たいものを渡される
特選
2 食べごろの出口ぱくっと食べてみる

12/解決策はあるらしいでも出られないのかな?なぜ五本?
39/いっぱい出口はあるけれど気に入らぬ、
  いい加減な出口では納得できないのです。
47/辿りついた出口で冷たいもの 怖い。
特選句
2/こんな出口をさがしていました! 「食べごろ」「ぱくっと」いいなぁ。

【雑詠】
26 擦り傷や存在というやわらかさ
37 お雑煮の話家族でないひとと
6 まだ丸くなりたくないと金平糖
特選
11 毎日が雲で毎日忙しい

26/なぜか惹かれる やわらかさ
37/家族じゃない人と いたって家族的な話 なにか寂しい
6/尖がったまま生きている 少し色気もありまして
特選句
11/毎日が雲・・脱帽 様々な雲と格闘する日々
ズバリ言い当てられたような・・。 文句なしに特選
【抜く】

<入選>
15 抜いたあとぽかんと口をあけている
      この句のよさは、口を開けているところが
      見えることである。それだけでいい。

27 近づいて並んだけれど抜けるかな
     「近づいて」に動きを感じ、
      抜けそうにない「かな」の余裕がおもしろい。

49 奥歯抜くようにすっくと立ち上がる
      こんな覚悟で「すっくと」立たれたら
      やっぱりこわい。

43 体中詰まったものを抜く祭
      日常から非日常へ、
     「祭」のこころがうまく書かれている。

39 もう抜きません幸せになれませんから
      抜いてみての経験があっての言葉。
     「幸せ」とはこころのこと。

【出口】

<入選>
15 そのむかし光る出口をもっていた
      作者の「むかし」か、それとももっと「むかし」のことか。
      神代のひかりを思ったりする。

18 口づけをしませう ここが出口です
     「せう」がこの句のいのち。
      これで「口づけ」にも「出口」にも時代が重なる。

20 サヨナラと言えば出口になる扉
     「扉」がいい。こころを描く句語として生きている。
      開いたり閉じたりする「扉」

31 入り口と出口で逢ったお父さん
      入口と出口でしか逢わないような父。
      父の存在がうまく書かれている。

<特選>
45 大きな月が出ているほうが出口です
      月の見える方が出口と思う感覚よくわかります。
      そして「大きな」が泣かせてくれます。

【雑詠】

<入選>
35 淋しいなひとりあそびがぬった色
      川柳はほとんどこの「ひとりあそび」
      さみしさを納得した遊びでもある。

22 さよならと言ってからでもまだ続く
      ただ日常のことと読んでしまったらおもしろくない。
     「さよなら」と「続く」に大きなものを重ねたい。

19 あの人がちょっと気になる火の用心
      この「火の用心」火の始末の心配ではなく、
      あくまで恋の「火の用心」と読んだ。

34 寒い日はよそみしないで見てあげる
     「よそみしないで」に発見があり、
     「寒い日」から「見てあげる」までうまくつながって
      ここちよく伝わる。

<特選>
46 やわらかな風や光で作る恋
      それはどんな恋だろうと、
      遠くにかすむ山を思い、
      川を流れる水の音を聴く。

「抜く」

入選
8 ピンヒール蹴って師走のごぼう抜き
   今時の師は走らない。同じ走るならピンヒールの女性のほうがいい。
   しかもごぼう抜き。ピンヒールとごぼうの取り合わせがいい。

9 覚悟見せなさい一本抜きなさい
   命令形の二連発にやられた。命までも差し出したくなる。   

40 ここまでがわたしなのです水を抜く
   ごめんなさい、無理をして背伸びしてました。
   本当のわたしの喫水線はこの胸のあたりなのです―。
   そのいじらしさを受け止めたい。
      
特選
2 二三本抜いてぐらぐら生きている
   ふらふらでもなく、ゆらゆらでもなく、ぐらぐら。
   恐れ入りましたと言うほかない。

「出口」

20 サヨナラと言えば出口になる扉
   タダイマと言えば入り口。
   「扉」の持つイメージをうまくとらえている。   

31 入り口と出口で逢ったお父さん
   母親に比べれば存在感が薄い父親かもしれないが、
   大事なところではおまえを見守っているのだぞ。
   一人の父親としてわが意を得たりの句。
   
45 大きな月が出ているほうが出口です
   その先に何があるのかわからない出口。
   できれば月が大きいほうがいい。
   「大きな月」でいただきました。
  
特選
23 もう夜もポプラも散っていた出口
   最後にたどり着くのはどんな出口なのだろうか。
   それが夜よりも冥かったらいやだなあ。
   あまりにも暗い出口だから特選。   

「雑詠」

入選
7 12月孵らぬものを暖める
   時に刻まれて未練とか焦りとか無力感などが
   ないまぜになる12月が、来る年への期待を
   残しながら詠み込まれている。

26 擦り傷や存在というやわらかさ   
   深手を擦り傷にしてしまう柔軟さを持っていないと、
   自分が自分として存在していけない。
   単なる失恋の句を哲学めいて見せるところが憎い。   
   
特選
18 美しき魚の跳ねいて発禁書
   美しきものは危うい。
   そのことを言うための「発禁書」に意表を衝かれる。
   でも、ぴったりな具象だ。
半蔵門さんからもなぜかメッセージで届いたのでこちらに転記します。

「抜く」
   入選  5.抜く前の痛み抜いてからの痛み
           抜く前と抜いてからでは痛みが違うはずだ。

      14.出し抜けに枯れ木に腕をつかまれる
           出し抜けがポイント、よく体験することだが

   特選 29.跡形を残さぬようにするり抜く
           人生すべからくこうありたいものだ。

「出口」
   入選 31.入り口と出口で逢ったお父さん
           とにかく、理屈なしに面白い句だ。

      36.誰ひとり本気でさがさない出口
           誰ひとりがポイント、みんな無責任なものさ。

   特選  1.出口にはもぐら叩きが待っている
           油断大敵と言うではないか。最後が肝心なのだ。

「雑詠」
   入選 17.足音がだんだん痛い十二月
           足音という意外性。

      24.塩コショー振り掛けたって私です
           逃げも隠れもしませんよと居直ったところが面白い。

   特選  5.動かないふるさと一つ持っている
           動かないがポイントだ。こころのふるさととはそういうものだ。
抜く 
   入選
      5 抜く前の痛み抜いてからの痛み
   
          迷い迷って決断しても・・まだ痛むのは未練か・・。

     18 抜け穴の先のドラマを見ていよう
   
          人事だから→何だか面白そうだぞ・・ワクワク。

     33 踏ん切りがついて最後の杭を抜く

          あなたもその時は目を瞑りましたか?杭は効きました

  
   特選 45 年末を手抜き料理のあいうえお

          マイリマシタ・・


 出口
   入選  
      4 この空のどこかに開いている出口

          希望という名の出口
      
      8 このあたりでいかが用意する出口
 
          用意する 別れ・・肉食系拝

     13 矢印の先が滲んでいる出口


   特選 5 光ったり消えたりうつくしい出口

       どんな色でしょうか。うつくしいのひらがな表記もワザと・・?


  雑詠 
   入選
     11 毎日が雲で毎日忙しい 

         ワタシの忙しさも{雲}故に・・と考えることに致しましょう

     14 熱熱の卵でとじておく秘密

         甘い香りの ヒミツ

     44 ここにきて大根なんかふりまわす
        
         やってみようかしら 元気になれそうだから

   特選 
     15 はっきりとしないところが深い傷 

         だから・・困ってしまいます・・。 

          


           


イワヒバさんの選です。

【抜く】
入選
2抜くときは後ろ振り向きアカンベー
   赤い舌が、見えました。

12二三本抜いてぐらぐら生きている
   ぐらぐらがいいです。私も、ぐらぐらしています。

34切り抜いたハートを全部あげましょう
   優しい気持ちが伝わってきます。
 
<特選>
11抜けなくてゆっくり沈む平泳ぎ
   歯痒さがわかります。


【出口】
入選
7引き返す出口が見えたところから
   出口を探していたはずなのですが、まだやり残したことが有りそうです。

42もう少し出口探さずここに居る
   探さなくても、そのうちに見えてくると思います。

44甘ったるい匂いがするから出口じゃない
   終わりは、キリッと締まらないと。

<特選>
20サヨナラと言えば出口になる扉
   一枚の扉が、とても悲しく見えました。

【雑詠】
入選
9引き出しの中で動いている時計
   まだまだ使えそうな気がしました。

15はっきりとしないところが深い傷
   ぼんやりとしか思い出せないけど、確かにあります。

34寒い日はよそみしないで見てあげる
   溢れんばかりの愛情です。羨ましい。

<特選>
14熱熱の卵でとじておく秘密
   今すぐ開いて見たい、おいしいそうな秘密です。
【抜く】
43体中詰まったものを抜く祭    
5抜く前の痛み抜いてからの痛み
9覚悟見せなさい一本抜きなさい
特選
12二三本抜いてぐらぐら生きている 

【出口】
5光ったり消えたりうつくしい出口     
20サヨナラと言えば出口になる扉      
50出口なら見えるはずだな薄明り     
特選
45大きな月が出ているほうが出口です  

【雑詠】
44ここにきて大根なんかふりまわす 
39遠巻きに見ている希望みかん山
11毎日が雲で毎日忙しい  
特選
9引き出しの中で動いている時計

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