自然法 natural law 自然あるいは理性を基礎として存在する法。人為の法である実定法を越えた効力を持ち、恒久不変の普遍妥当性を持つとされる。ヨーロッパの倫理・法・政治・社会の理論と実践に最大の影響を及ぼした。その原理は古代ではストア哲学、中世ではトマス・アクィナスの思想に見られた。 時と所とを超えて妥当するとされる人類普遍の法。
統治行為論 国家統治の基本に関する高度な政治性を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、高度の政治性を有するがゆえに司法審査の対象から除外すべきとする理論のことをいう。裁判所が合憲性の判断を回避するための法技術として説明されることが多いが、理論上は必ずしも憲法問題を含むもののみを対象にするわけではない。 統治行為論は、フランスの判例が採用した acte de gouvernement の理論に由来するものであり、フランスでは行政機関の行為に関して問題とされた。これに対し、アメリカの判例が採用する political question の理論は、立法機関の行為に対しても適用される。日本では「統治行為」という名称にフランスの影響が見られる。