チェダゼミナールコミュの教育答申　パート１

教育答申

中央教育審議会答申

2002年、社会全体に目的意識が見失われつつあり、努力をして何かを身につけるという姿勢が軽視される傾向にある。

「学校力」（各学校の創意工夫）「教師力」の強化→「人間力」の育成

※ 確かな学力は特に重要

「21世紀を展望した我が国の教育のあり方について（第一次答申）1996

?「生きる力」をはぐくむ教育
自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力。また自らを律しつつ、他人と共に協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性である。

生活体験・社会体験・自然体験を充実させる
→直接体験が不足しているから
Ex)・子どもたちに親の働く姿を見せる機会を提供することも重要
・新生児の誕生に立ち会う

また生きる力は、実際生活に生かされることはもちろんのこと、理性的な判断力や合理的な精神だけではなく、美しいものや自然に感動するといった柔らかな感性も含むものである。

そしてその子ならではの個性的な資質を見いだす。→最終段階（基礎が整った上で）
※基礎とは知・徳・体がバランスよく成長している状況
自己責任・自己抑制力→高校生段階
世界から信頼される「国際社会に生きる日本人」→社会人段階

時代を超えて変わらない価値のあるもの（不易）
豊かな人間性・正義感や公正さを重んじる心・自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心、人権を尊重する心、自然を愛する心
その国の言語、その国の歴史・伝統・文化

時代の変化とともに変えていく必要があるもの（流行）
知識の陳腐化が早まり、学校時代に獲得した知識を大事に保持していれば済むということはもはや許されず、不断にリフレッシュすることが求められる。
入手した知識・情報を使ってもっと価値ある新しいものを生み出す創造性が必要。
学校ですべての教育を完結するという考え方は採らない。
「あまりに多くのことを教えることなかれ。しかし、教えることは徹底的に教えるべし」byホワイトヘッド（英）

ゆとり→自分にゆとりがないと、他人にも目を向けにくい。

（育成すべき資質・能力）

・我が国の文化と伝統の対する理解と愛情
・論理的・科学的思考力。事象を数理的に考察し、処理する能力や情報活用能力
・家庭・社会生活の意義を理解。その形成者として主体的・創造的に実践
・芸術を愛好。運動に親しむ。

個に応じた教育をこれまで以上に推進
→教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準に近づけることを目指す。

教員育成
修士課程をより積極的に活用。管理職は原則的に修士（マスター）以上
民間企業・社会教育施設・社会福祉施設等で長期にわたる体験的な研修
すべての教員が基礎的なカウンセリング能力を（カウンセリングマインド）
採用試験の人物評価重視（あくまで筆記に受かった人を対象としていることに注意）
年齢制限の緩和
特別免許状・特別非常勤講師・外国語指導助手（ALT）・情報処理技術者（SE）
退職教員の活用

国際化と教育

冷戦終了後、ますますグローバル化が進展。
「どちらが正しく、どちらが間違ってる」ということではなく、「違い」を「違い」として認識していく態度や相互に共通している点を見つけていく態度を育成。
　国際理解教育を進めていくにあたっては、自分自身が何者であるかを知ること、つまり自分自身の座標軸を明確に持つことがきわめて重要。このことなくしては相手からも理解されず、また、相手も理解することは出来ない。日本人として、また、個人としての自己の確立があいまいで、自らのよって立つ位置が不明確なままでは、国際的にも評価されない。

明治の近代化から高度経済成長期の日本は、視線が欧米に向いていた。先進国に追いつき、追い抜くことが目標だったからである。しかし、近年はオーストラリアを含めた、アジア諸国に目を向けなければならない。現に、貿易の面では対アジア貿易は一位、ODAも対アジアが一位、地理的にも近く、文化も似通っている。東アジア共同体の重要性が増してきたと言える。
　また英語教育も読み・書きから話す・聞くことの方が重要となる。近代化を図っていた昔は、欧米の文献を読み、研究する力が問われていたが、グローバル化の進展、航空機の交通網の発展により、地球上の時間距離が短縮され、オーラルコミュニケーションの重要性が飛躍的に増す。外国語担当教員の海外研修など必要となる。

海外にいる義務教育段階の子ども→5万人（H7）
日本にいる日本語教育が必要な外国の子ども→1万2千（H7）
JSL（Japanese Second Language）の重要性　日本語を第二言語とすること

情報化と教育

産業革命にも匹敵するような変化が全地球的に流布。
しかし、情報は常に正しいものとは限らないし、また意義があるものとも限らない。
情報や情報機器を主体的に選択し、活用すると共に、情報を積極的に発信することが出来るようになる（情報リテラシー）→情報活用能力

情報化の影の部分　
人間関係の希薄化、生活体験・自然体験の不足の招来、心身の健康に対する影響
間接体験・類似体験と実体験との混同。情報に振り回される。

すべての学校がインターネット接続へ。
インターネットの使用言語の多くは英語。英語教育は国際化の観点だけでなく、情報化の観点からも重要。
高度情報化社会において、学校図書館の運営の中心として期待されるのが司書教諭。

環境問題と教育

「宇宙船地球号」　環境問題は一国の問題ではない。

「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」　1997　中教審
・教育における不易を大切にする
→思いやり・正義感・伝統と文化の尊重
また制度の面では教育の機会均等の確保もいつの時代も不易的に重要。
つまり、機会が平等なら、学力試験は皆平等の勝負。親の経済力は多少影響するが、基本的には本人次第ということ。

・中高一貫教育→生徒を継続的に把握することにより生徒の個性を伸長したり、優れた才能の発見がよりできること。

教育は「自分探しの旅」
選択の自由には、「自らの判断で選択し、行動したことは、自らが責任を負う」という自己責任の原則が伴っている」

個性伸長→「全員一斉かつ平等に」から「それぞれの個性や能力に応じた内容、方法、仕組みを」

「新しい時代を拓く心を育てるために」～次世代を育てる心を失う危機　1998　中教審

日本のよさ→　誠実さと勤勉さ、互いを思いやって協調する「和の精神」、自然を畏敬し調和しようとする心（例えば温泉）、宗教的情操。

「生きる力」の核となる豊かな人間性
ⅰ）美しいものや自然に感動する心などの柔らかな感性
ⅱ）正義感や公正さを重んじる心
ⅲ）生命を大切にし、人権を尊重する心など基本的な倫理観
ⅳ）他人を思いやる心や社会貢献の精神
?）自立心、自己抑制力、責任感
ⅵ）他者との共生や異質なものへの寛容

大人が子どもに与えている悪影響
・社会全体や他人のことを考えず、専ら個人の利害得失を優先すること
・他者への責任転嫁など、責任感が欠如していること
・モノ・カネ等物質的な価値や快楽を優先すること
・夢や目標に向けた努力、特に社会をよりよくしていこうとする真摯な努力を軽視すること→（努力を避ける大人）
・ゆとりの大切さを忘れ、専ら利便性や効率性を重視すること

対策
・幼児には親が本を読んで聞かせる。
・「企業中心社会」から「家族に優しい社会へ」（有給をもっととりやすくするなど）

道徳教育
子どもの心に響き、感動を与える授業を行うこと。「子どもと共に考え、悩み、感動を共有していく」
道徳の時間は「要の時間」、あくまでも学校教育全体で取り組む。
道徳教育で学んだことが日常生活に生かされ、実践に結びつくようにしていく。

カウンセリングマインド
相手の話をじっくり聞く、相手と同じ目の高さで考える、相手への深い関心を払う、相手を信頼して自己実現を助ける

不登校対策
・不登校は心の成長の助走期ととらえ、ゆとりを持って対応
・子どもが不登校を克服する過程でどのように個性を伸ばし、成長していくかという視点
・民間の指導施設との連携を図っていくことをためらわない
・転校を弾力的にできるようにする
・中学校卒業程度認定試験を不登校の子どものためのバイパス

問題行動対策
「社会で許されない行為は子どもであっても許されない」
出席停止の措置をためらわない。（他の生徒の学習権を守るため）
教職員や保護者など皆が共通認識を持ち、すぐに対応できるようにしておく。

「今後の地方教育行政の在り方について」　1998年　中教審

学級編成基準の弾力化　→少人数学級の実施を可能にする。
職員会議の位置づけを明確化（校長主宰）
高校生のインターンシップの推進

「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」
ＡＰ（アドミッション・ポリシー）　教育理念や特色に応じた入学者受け入れ方針
ＡＯ（アドミッション・オフィス）　専門スタッフが、面接などできめの細かい人物評価

「少子化と教育について」　2000年　中教審

少子化の影響
・親の子どもに対する過保護・過干渉を招きやすくなる。
・よい意味での競争意識が希薄になること。
→団塊の世代は競争意識の塊

子どもの教育や人格形成に対し最終的に責任を負うのは家庭。家庭が第一義的責任。
親は人生最初の教師である。

高校家庭科　平成6年から男女必修。

「新しい時代における教養教育のあり方について」　2002年　中教審

まじめに勉強したり、自ら進んで努力して何かを身につけることの意義を軽んじる風潮が広がっている。

21世紀は知識・情報が社会を動かす原動力になる「知識基盤社会」。
理数系の割合が国際的に低い。

わが国の教育は「形式的な平等」を重視するあまり、個性を伸張する教育をあまりやってこなかった。だから日本には「飛び級」制度もなかった。

「高大連携」の推進　ex.早稲田大学高等学院
高等学校在学中に大学で履修した単位を高等学校の単位として認められるような制度も設けられている。

設置者の判断で、9年制の義務教育学校を設置することの可能性やカリキュラム区分の弾力化など、学校種間の連携・接続を改善するための仕組みを検討。

フリースクールなど学校外での教育施設での学修を就学義務の履行とみなすことのできる仕組みも検討。

「今後の教員免許制度のあり方について」　2002年　中教審

学歴よりもその専門性を評価することが重要であるため、学士の用件を求めないようにする。
特別免許状の授与を受けるものの身分の安定を図るため、有効期限を撤廃すべき。

「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」　2002年

ボランティア活動は、原則的に自発的にするものだが、「奉仕活動」といった場合はやらされる可能性もある。ただし、最初は乗り気ではなかったとしても、その活動をきっかけとして、生徒が何かを感じ取り、次に自発的にやる契機となりうるかもしれない。学校の授業の一環として「奉仕活動」をすることは有益である。
　またボランティアは原則無償だが、少しぐらい有償にしても問題はない。
そして、大学入試や就職試験などの調査書において、ボランティア活動の有無を記載する欄を充実させる。
　高等学校段階までに多様な体験活動を行った生徒は、大学入試後の学ぶ姿勢や意欲が高く大学教育の活性化にも資すると考えられる。

体力の低下は意欲の低下をもたらす。

「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」2003年　中教審

「知」の世紀をリードする創造性に富んだ人間の育成
郷土や国を愛する心（戦争につながらない程度）
そして、他国から信頼される国を目指す意識を涵養すること。（つまり今までの日本は世界からあまり信頼されてなかった）

教育は未来の先行投資

教育基本法　「教育の目的」
教育は人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、心身ともに健康な国民の育成を期して行うこと。

人は働くことの喜びを通じて生きがいを感じ、社会とのつながりを実感することができる。

公教育　私立学校も公教育のひとつ。

宗教教育

「宗教に関する寛容の態度の育成」「宗教に関する知識と、宗教の持つ意識の理解」「宗教的情操の涵養」
宗教は人間としてどうあるべきか、与えられた命をどう生きるかという個人の生き方にかかわるもの。

「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」2003年　中教審

確かな学力・・・知識技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見つけ、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力。

「はどめ規定」の見直し→できる子にはどんどん教える。横並び意識改革。学習指導要領はあくまで基準。学習指導要領の基準を教えているのであれば、学習指導要領にないところもどんどん教えてよい。→明確に規定

日本人の弱点。知識技能はあるが、判断力や表現力が国際的に見て低い。
記述式問題に課題。
確かな学力を育成するためには「わかる授業」を行うこと。

総合的な学習の時間

2002年本格スタート。肯定的な声が現場からは多い。
しかし、総合的な学習の時間の目標や内容は、学習指導要領に示されていない。

活動内容で、一定期間連続した取り組みを特定の時期に集中して実施したほうが効果的な場合には、通常の授業のほか長期休業期間も活用するなどして、弾力化をはかる。つまり夏休みなどを利用して授業をしてもよい。

「食に関する指導体制の整備について」　2004年

栄養教諭　食に関するカウンセラー
食べ残しと環境負荷の問題、食品流通と国際関係、食文化を含む地域文化
必要なエネルギーや栄養素の摂取等について指導すること

「今後の学校の管理運営のあり方について」2004年

「設置者管理主義」「設置者負担主義」が原則
地域が運営に参画する新しいタイプの公立学校（地域運営学校）
教育委員会が判断し、指定する。
保護者を含めた学校運営に関する協議組織（学校運営協議会）を設置