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ササイのことで思い出したコミュの雪子のこと【02】

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 新しい学校の新しいクラス。
 集団はたちまち、階層化──あるいは構造化する。
 入学時の成績、顔の美醜、身長、運動能力、親の身分や小遣いの多寡、加えて僕らの進学校では、彼が上位の大学を目指すのかそうでないか、入学の最初の時期からそれがあった。
 僕は「目指していない方」のグループだったと思う。
 加えて、僕らの高校には、浪人組がいた。
 進学校だけに、一度目の受験に失敗して、予備校を経て入ってくる連中が少なからずいたのだ。
 年上という要素は、とても強いもので、言葉遣いからなにから、なんとなく相手にしづらいところがあった。
 僕はこの話を、あまり込み入ったものにしたくないので、出入りする人物も多くはしたくない。
 それでも幾人かには触れざるを得ない。
 健二というやつがいた。
 アイドル系の顔をしていて、髪にはソフトなパーマがかかり、真ん中から別れてレイヤードされていた。
 胸にエンブレムのついた濃紺のジャケットを着こなし、脚はO脚気味なのを本人は気にしていたが、長かった。
 やつは、浪人組だ。
「歳のことなんて、ぜんっぜん気にしないでいいから。ケンジって呼んでくれよな!」
 と、最初から気さくに話しかけてきたのが、彼だった。
 健二はさっそくにも人脈作りに精を出し、人と人とを引き合わせては、友達の輪を広げていった。
「カッコ悪いヤツだけは、ダメな」と、何気なく彼が口にしたとき、少々肌寒い思いがしたが、それでも自分が「カッコ悪い」方ではない仲間に入れてもらったことで安心した。
 言い換えると、みんなが健二の仲間になりたがった。
 健二の言う「カッコいい」には、タバコを吸うことも含まれていた。
 その点では当時の僕も、合格だ。
 授業の間の十分休みの時でさえ、目配せをしあっては屋上に行き、貯水塔の陰のおきまりの場所で、一服した。
「オレさあ」と健二は言った。「テニス部入ろうと思うんだ」
「ふーん。なんでさ」
「サッカーと迷ったんだけどさ。テニスの方が、モテんじゃん?」
「そっかな」
「だって、考えてもみろよ、テニス上手くなればさ、女の子に教えてやれるけど、サッカーじゃそうもいかないだろ」
「ま、そうだね」
 そんなわけで健二はテニス部に入った。

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