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ジャーナルクラブコミュのすごい顕微鏡/STEDとPALM

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一昔前の顕微鏡の教科書には、
可視化に用いる光の波長の半分の長さ(200nm程度)が
光学顕微鏡の分解能の限界だと記述されていたのですが、
近年、この限界を超える分解能を持つ光学顕微鏡が開発され、
実用化されつつあります。

STED microscopy reveals that synaptotagmin remains clustered after synaptic vesicle exocytosis.
Nature, vol.440, 935- (2006) / PMID: 16612384
Bruchpilot promotes active zone assembly, Ca2+ channel clustering, and vesicle release.
Science, vol.312, 1008- (2006) / PMID: 16614170
基本原理はアインシュタインに聞かないと分からないので、
私には完全には理解できませんが、
私には下記のreviewがわかりやすかったです。
Toward fluorescence nanoscopy
Nat. Biotechnol., vol.21, 1347- / PMID: 14595362

蛍光物質は励起光を当てると励起状態へと移行し、
そこから基底状態へ落ちるときに光を発します。
その寸前に非常に強い光を当てると、
蛍光物質は光を発せずに基底状態へと落ちることができるそうです。
(これがstimulated emission depletion )
この現象はbleachingとは異なるため、
STEDを経験した蛍光物質はその後、
通常と同じように励起光により励起されて光を発することができます。
これを利用し、励起光の周りを
ドーナツ状にSTED光で取り囲むような照明系を用い、
サンプルを共焦点顕微鏡のように走査します。
すると非常に狭い範囲にある蛍光物質のみ励起することができるため、
共焦点よりも高解像度の像が得られるそうです。
上記の論文で用いているSTED顕微鏡では
生体試料(細胞の免疫染色)においても45-66nmの分解能を持つとのことです。


Imaging intracellular fluorescent proteins at nanometer resolution
Science, vol.313, 1642- (2006) / PMID: 16902090
これは全く異なるアプローチで
STEDよりもEMに近い解像度を実現しています。
この論文で紹介されているPALMでは、
例えばKaede(PNAS, vol.99, 12651-/PMID: 12271129)のような
photoactivatableな蛍光タンパク質(PA-FP)を用いています。
(Kaedeは元々緑の蛍光を発しますが、
UV光を照射すると赤い蛍光を発するようになります)
PALMでは非常に弱いUVを短時間照射することにより
視野にある全てのPA-FPを活性化するのではなく、数個だけ活性化します。
その後、励起光を用いて活性化されたPA-FPからの蛍光を検出します。
検出したPA-FPはbleachingさせておくことにより、
その後のデータへのコンタミを防いでいます。
得られたデータは二次元ガウス分布で近似し(PSF/Point Spread Function)、
PA-FPの位置を決定していきます。
この操作を何度も繰り返すことにより
視野にある全てのPA-FPを決定していきます。
実際にはPA-FPの発現量に依存するが、
だいたい1万〜10万回程度繰り返すそうで、
2〜12時間かかるそうです。

技術的な限界点として、
この方法では基本的にx-y平面の解像度のみしか改善されないため、
超薄切片を作成して観察するか、
TIRF顕微鏡を用いなければならないことが挙げられます。
TIRF:http//www.olympusmicro.com/primer/techniques/fluorescence/tirf/tirfintro.html
論文では超薄切片から観察したPALM像とEM像を比較することなどで、
EMに劣らぬ分解能を実現していることを示しています。
現時点ですでにSTEDよりも分解能は遙かに高いです。

両者には一長一短があって、
おそらくSTED顕微鏡はlive-imagingなどへの応用が期待できるけれども、
PALMほどの高解像度は実現できない、
逆にPALMは原理的にlive-imagingへの応用は不可能そう、とのことです。

これらの方法が身近になれば
免疫EMの金コロ探しをせずに済みそうで、とてもありがたいです。
一体いくらかかるか、想像もつきませんけど。

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