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野村修の仕事コミュのAnmut sparet nicht noch Mühe について(「日記」の転載)

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スミマセン。お久しぶりです。以下わたしの「日記」転載します。


新しいNHKの朝の連続ドラマを見たらちょうど玉音放送のところで日本の敗戦の時が描かれていた。石垣綾子の『日記』に、イタリアでは敗戦が決定的になったとき変装して逃げ出そうとしたムッソリーニをレジスタンスが捕らえて処刑したというのに、日本の敗戦時のなんとおとなしいこと、という件があって、それを思い出した。「やっちまえ!」というやからはいなかったのだろうかね…

それはそうと、


Festlied der Kinder (ブレヒトの原詩)

Anmut sparet nicht noch Mühe,
Leidenschaft nicht noch Verstand,
daß ein gutes Deutschland blühe,
wie ein andres gutes Land.

Daß die Völker nicht erbleichen
wie vor einer Räuberin,
sondern ihre Hände reichen
uns wie andern Völkern hin.

Und nicht über und nicht unter
andern Völkern wolln wir sein,
von der See bis zu den Alpen,
von der Oder bis zum Rhein.

Und weil wir dies Land verbessern,
lieben und beschirmen wir's.
Und das liebste mag's uns scheinen
so wie andern Völkern ihrs.


Children's Anthem (Eislermaterial のライナーの英訳)

Grace spare not and spare no labour,
passion nor intelligence,
that a decent German nation
flourish as do other lands,
that the people give up flinching
at the crimes we evoke
and hold out their hand in friendship
as they do to other folk

Neither over nor yet under
other peoples will we be.
from the Oder to the Rhineland,
from the Alps to the North Sea.
And because we'll make it better
let us guard and love our home.
Love it as our dearest country
as the others love their own.


子供のための国歌(神品芳夫訳)

やさしさも骨おりも
情熱も知恵も、だしおしみしてはいけない
よいドイツが花咲くために、
ほかのよい国とおなじようなよいドイツが。

世界の人々がまるで強盗にでもであったように
ドイツ人を見て顔色をかえることがないように。
ほかの国の人に手をさしだすのとおなじように、
みんながぼくらにも手をのばしてくれるように。

そしてぼくらは、ほかの国の
上に立とうとは思わない、下に立とうとも思わない。
北の海からアルプスにかけて、
オーデルからラインにかけて住むぼくらは。

そしてぼくらはこの国をよくしていきながら
愛し、守っていきたい。
ぼくらはこの国がいちばん好きだ。
どの国の人も自分の国がそうであるように。


子供の賛歌(須山公美子のCD「アイスラーソングス」より聴き取った須山公美子訳)

すべてのやさしさと努力と知恵を
他のよい国のように ドイツも花開くように
恐れられることなく おびえさせることなく
世界中のみんなと手をつなげるように 手をつなげるように
北の国からアルプスまで
オーデルからラインまで
ひとの上に立つことなく 下にいることなく
わたしたちの国を愛し守ってゆこう
ほかの国の人も わたしたちもみんな
自分の国が好き


須山公美子のこの訳に違和感を感じつつなん年も経った。そもそもが野村修が訳していないからなのだが、ハイナー・ゲッペルスのライナーノーツの英訳もいまいちピンとこなかった。
が、つい先週、ひょんなことから神品芳夫による訳を見つけ、積年のもやもやが解消した。
つまり、須山公美子はVölkern (英語だとpeoples)を「国家・民族」の意味ではなく単に「人々」だと誤訳していたのだ。だから、

 ひとの上に立つことなく 下にいることなく
 わたしたちの国を愛し守ってゆこう
 ほかの国の人も わたしたちもみんな
 自分の国が好き

といった、およそブレヒトは書くわけがないナショナルな意味に転換されてしまっているのだ。けっこう端折りもあるし意味不明な箇所ばかりだが、「ほかの国の人も わたしたちもみんな 自分の国が好き」の件は意味が通じてしまうだけに問題なのだ。
おそらく神品芳夫の訳は技巧的ではないがより正確な日本語訳なのだろうと思う。

ブレヒトのこの詩はもちろん下記の旧ドイツ国歌を下敷きにした痛烈なパロディーであることはまちがいない。訳を通してもこのくらいのことは通じるものである。

 ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ
 この世のすべてのものの上にあれ
 護るにあたりて
 兄弟のような団結があるならば
 マース川からメーメル川まで
 エチュ川からベルト海峡まで
 ドイツよ、ドイツよ、すべてのものの上にあれ
 この世のすべてのものの上にあれ

「世界に冠たるドイツ」はもうやめにしようというで、下記のベッヒャーの歌詞の東ドイツ国歌よりも数段いい。というよりもまったく逆じゃあないか。

 廃墟の闇より
 未来に向けて立ち上がり
 幸福のため奉仕せん
 ドイツ−一つの祖国
 過去の苦難を克服し
 意志のままに団結する
 われらは成功し
 陽は今まで以上に光り輝く
 ドイツを照らしながら ドイツを照らしながら

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