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501stCGUプロジェクトコミュのアズールレーン:第501沿岸警備隊 臨時紫波出張所日誌 #27 第24話:善光寺門前の咆哮 ―― 敗走から新天地・紫波へ

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長野市内、善光寺門前町。
夕暮れを告げる鐘の音が、重く、低く、石畳の街に響き渡る。
愛車、カローラアクシオ W×Bの白いボディが、その余韻を切り裂くようにゆっくりと坂を登っていた。
「…………」
助手席には誰もいない。
上層部への啖呵と引き換えに下された「左遷」という名の鉄槌。
その重みを、ワシは独りで噛み締めていた。
今のワシは、誇りも名誉も剥ぎ取られた、ただの敗残兵だ。
使い込まれた実家の引き戸を開けると、慈愛に満ちた母・千恵子(78)が、割烹着のまま迎えてくれた。
「省造、おかえり。……岩手の山奥に行くんだって? 大丈夫、あんたは私の息子なんだから。しっかりやってきなさい」
事務員時代の名残か、淀みのない所作で淹れられた茶が、凍てついたワシの心に染み渡る。
そこへ、黄色いジャンパーを羽織った男が戻ってきた。父・浩史(77)だ。
交通安全見守り隊の活動を終えたばかりのその佇まいは、かつて浅間山荘の吹雪を耐え抜き、昭和の激動を最前線で支え続けた「叩き上げの現場の人」そのものの渋みを纏っていた。
「……親父、……済まない。ワシの失態で、岩手の僻地へ飛ばされることになった」
ワシは畳に深く額を擦りつけた。
だが、父は動じない。無言で卓袱台を力強く叩くと、短く、野太い声で告げた。
「……省造。現場に上も下もない。……紫波だろうが軽井沢だろうが、お前の守るべき者がそこにいるだけだ。」
「…………!」
父のその一言に、ワシは顔を上げた。
厳しい眼光の奥で、父は笑っていた。
「現場の警部補」として定年まで駐在所を守り抜いた男の、それは不屈の矜持だった。
翌朝。
ワシは一人、カローラアクシオ W×Bの運転席に身を沈めた。
白く、静かに佇むそのセダンは、今のワシの決意をすべて飲み込んでくれるような気がした。
ワシはアクセルを踏み込んだ。
バックミラーに映る善光寺の屋根が小さくなっていく。
行き先は北。誰も知らない、しかしワシを待つ者がいる新天地、紫波。
(第24話・完)

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