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意味不明小説(ショートショート)コミュの「プレミアムフライデー」

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ビルの最上階のオフィスで男がつぶやいた。

「仕事って、つまらんなぁ〜」

この男、一流企業に就職したものの、仕事への情熱は全くなかった。


「今日は初めてのプレミアムフライデー。早く帰りたいぜ」

男はそんなことを言いながら、次の会議で使う資料をパソコンでまとめていた。

プレミアムフライデーとは、月末の金曜日の仕事を夕方に終わらせ、余暇時間を好きなことに使い消費を促そうという国の政策である。


カタカタ

余暇時間を何に使おうか考えながらの仕事は、はかどらないものである。


「・・・くん。もうそろそろ終わらせたまえよ」

うるさい上司だが、進みが遅いのも事実だ。


カタカタカタカタ

チラリと時計を見る。

キリがいいところで終わらせたいが、間に合いそうもない。多少サービス残業していくか。

カタカタカタカタ


隣から声が聞こえた。

「3、、、2、、、1、、、」


「0」


そいつが、「0」と言った瞬間、パソコンの電源が落ちた。

パソコンだけじゃない、社内の電気がすべて消えた。

「ぬわー、ま、まだ保存してないのに」

今日作成した会議資料がすべてパーだ。

「クソッ」

電源を入れなおしても反応がない。

ハッとして辺りを見渡すと、残っている社員は俺一人だった。

「みんな帰ったのか。しかたない、俺も帰ろう」

男は諦めて、エレベーターに向かった。

下行きのボタンを押す。

が、反応はない。

「クソッ」

男はヒィヒィ言いながら、1階まで階段で降りることとなった。

「チクショーめ!」

会社を出て、駅に向かう。

しかし、駅には誰もおらず、代わりに一枚の張り紙があった。


『本日の最終列車は発車いたしました。あしからず』


なんてことだ、電車まで止まってやがる。

どうするか考えていると、男の目に一台の個人タクシーが止まった。


『営業中』


やった。タクシーは営業してるぞ!

男はタクシー駆け寄り、飛び乗った。

「○○町まで頼む」

「お客さん、悪いけれどお金は持ってますよね?」

○○町はそんなに遠い場所ではない。この運転手は何を言っているんだ。

すると、運転手がメーターを指さした。


『1メーター、1万円いただきます』


「な、なんだと!?」

「嫌ならいいんですよ。明日の始発電車でご帰宅ください」

「ふざけるな」

俺はタクシーを降りた。

もういい、歩いて帰る!

4駅くらい、たいしたことないさ。

・・・・・・

「はぁはぁ、ぜぇぜぇ」

たいしたことがあった。

思ったよりも歩くのはきつい。

いつもは電車だから歩いたことなどない道のりだ。

真っ暗闇だが、線路沿いに歩いている、道は間違っていないはず。

「はぁはぁ、ぜぇぜぇ」

日も暮れたころようやく家が見えてきた。

あぁ、やっと我が家だ、、、。

暗闇の中、手探りで玄関の扉を開ける。

ガチャ


「ただいまぁー」


ん?

いつも玄関で迎えてくれる妻の姿がない。

いつもなら、「食事にする?お風呂にする?」と聞いてくるのに。

家の中に進むと、妻が懐中電灯の明かりで雑誌を読んでいた。

「ただいま」

妻が雑誌から目を離さずに答える。

「うん」


「今日は散々な目にあったよ。エレベーターは動かないし、終電に乗れなかったし、足がクタクタだ。 今日は先に風呂にするよ」

「お風呂のお湯、張ってないわよ」

そうか、水もでないのか。

「しかたない、食事にするよ」

「どうぞご自由に」

「?」

「今日はプレミアムフライデーですもの」

食事は、何も用意されていなかった。

俺はしかたなく、食パンにジャムを塗りたくって食べた。

真っ暗闇で何もすることができない。

「寝るか」







そして、月曜日が来た。


「・・・くん。今日は仕事張り切ってるね。いったいどうしたの?」



「仕事をしている人がいるってことは、素晴らしいことだと気がついたんです」

「だから僕も一生懸命仕事に取組むことにしました!」



仕事の素晴らしさに気がつける、月末の金曜日はプレミアムフライデー。

コメント(6)

全ての職種で一斉にプレミアムフライデーに
なったらすごいことになりますねあせあせ

そして、地球や太陽までもが
プレミアムフライデーをとったら…あせあせ(飛び散る汗)
>>[1]
みんながみんな取れるわけじゃありませんから、働いている人に感謝です。
自転や公転が止まるってことてしょうか、被害が半端ないですね。
>>[2]
ありがとうございます。
笑っていただけて良かったです。
でも、実際になったら大変なことになりますよ。
現実にプレミアムフライデーほしいです・・・
>>[5]
プレミアムフライデーを行うかは企業ごとに違うようですね。
実現可能かは疑問なところもありますが、自由な時間があるのはいいことだと思います。
僕は、ゴロゴロしてて無駄遣いしそう。

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