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意味不明小説(ショートショート)コミュの森

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 懸命に逃げるウサギを追いかけているうちに、どうやら森のかなり奥深いところまできてしまったようだ。見たこともない植物が嬉々として生い茂っている。今にも動き出して私を呑み込んでしまいそうだ。
 急に寒気を感じたので、私はぶるっと身を震わせた。日の光がそれほど届いていないので、気温も下がっている。
 ウサギがぴょんぴょん跳ねながら無気味な植物の間に消えていった。私は呪いの言葉をつぶやいて、そのあとを追った。
 その植物の茎は500mlのペットボトルほどの太さがあり、私の身長と同じくらいの高さがあった。至るところに花が咲いており、そのどれもが茎と同じ色をしている。
 まるで竹のようだなと思いながら手を触れると、ばふっ、という音をさせてすべての花から粉状の何かが空気中に放出された。当然、私の顔や衣服にもその粉は付着した。なぜだかわからないがニンニクの臭いもした。
 どうやらその粉が目に入ったようでチカチカするし、咳も出てきた。私はたまらず後ろに退がり、咳をしながら目を擦った。しかし、一向に咳も目の異変も治まらず、全身に痛みと痒みが襲ってきた。私は声を出して、その場にうずくまった。呼吸も苦しい。
 近くに誰かが立つ気配がしたのはその時だ。その何者かは、私の腕を取ると注射針のようなものを突き刺した。鋭い痛みが身体中を走り、苦痛のうめき声が口から洩れた。
 どうにか目を開けてみると、白っぽい物体がぼんやり見える。私が手を伸ばして触れようとすると、その白い物体は離れていった。そのうち、私の意識は遠のいていき、その場に倒れ込んだ。
 どのくらい倒れていたのか判らないが、目を覚ますと、辺りは薄暗くなっていた。頭に鈍い痛みが残っており、少しふらついた。腕を見ると、注射針のような痕がある。やはりあれは夢や幻覚ではなかったのだ。目の前には無気味な植物が先ほどと同じように生えていたが、もう近寄ることはしなかった。私はニンニク臭い息を吐きながら、ぴょんぴょんときた道を戻っていった。

コメント(4)

そしてにんにく臭いウサギが増えていくわけですね。
にんにく臭いウサギ…下ごしらえでしょうか。
すぐりんさんへ。

カエルかもしれません。
dsatさんへ。

そうですね。
いったい誰の陰謀なのでしょう。

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