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社会人勉強コミュニティ|東京自習会コミュの【サークル活動報告】美術鑑賞サークル:国立新美術館「ルーブル美術館展 愛を描く」(3/12)

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皆様、こんにちは!美術鑑賞会のちーです。

3月12日(日)にサークル10回目の活動として、 国立新美術館「ルーブル美術館展 愛を描く」を鑑賞に行きました!

フランスのルーブル美術館から、「愛」をテーマとして選ばれた作品が展示され、ロココ美術の三巨匠ヴァトー・ブーシェ・フラゴナールの作品のほか、ギリシア神話主題の神々の恋愛風景や聖母子像、家族愛、当時の恋愛を描いた絵画を見る事ができました。

当日は5名の方にお集まり頂き、鑑賞後は美術館内のカフェで歓談しました。

良かった作品など感想を話した後は、大食いといった趣味の話や今回のテーマから恋バナという自習会史上初!?の話で盛り上がりました。

今回は人気の高かった作品を、鑑賞前に書いた解説とともに取り上げてみたいと思います。(好きな分野なのでつい長文になってしましました…)

▼サッソフェラート《眠る幼子イエス》(1640-1685年頃)とブーシェ《アモルの標的》(1758)

皆で話した中で一番人気のあった作品はサッソフェラートの《眠る幼子イエス》(1640-1685年頃)でした。

サッソフェラートは17世紀イタリアの画家でラファエロに似た画風で聖母を描いた作品を残しています。

この作品では聖母マリアが美しく可愛らしく描かれています。

聖母子像というと、どちらかというと威厳が感じられるマリア様といったイメージですが、サッソフェラートが描く聖母は親しみやすい表情で日本人好みだと思います。

幼いころの母を思い出す、という感想も寄せられ、とても素敵な美術鑑賞の仕方だと感じました。

次に名前が挙がったのは、ブーシェ《アモルの標的》(1758)です。

今回のルーブル展では、このようにアモル(キューピッド)が描かれた作品が多く、癒されるという意見も多くありました。

アモル(キューピッド)については、鑑賞前にまとめてものがあるので載せておきます。

▼アモル(キューピッド)について

ブーシェ(1703〜1770)は生涯に1000点以上の絵画や一万点以上のデッサンを残し、ルイ15世の愛人でこの時代の流行をリードしたポンパドゥール夫人に気に入られ、彼の作品は宮廷や貴族の私邸を飾り、室内装飾の仕事も多く手掛けました。

出展作品《アモルの標的》(1758)は連作の一つとして、ギリシア神話よりキューピッドが取り上げられています。

ちなみに、キューピッドはアモル(ローマ神話)の英語名です。

呼び名は、それぞれエロス(ギリシア神話)、クピド・アモル(ローマ神話)、キューピッド(英語名)と様々ですが、元のギリシア神話ではプラトンの言う「エロス」に近い愛の神として青年の姿であったものが、時代が下るにつれ、女神ヴィーナスと軍神アレスの子として有翼の幼児の姿で描かれるようになりました。

キューピッドが放つ金の弓で射られた者は、その瞬間に見た相手に恋をしてしまいます。

ややこしいのは、キューピッド=天使か?という問題ですが、キューピッドと言ったときはギリシア神話のヴィーナスと息子として、天使(英語でエンジェル)またはプット―(イタリア語)と呼んだ時には、キリスト教の神の使者としての天使として区別されることが多い気がします。

例えば同じく出展作品のサッソフェラート《眠る幼子イエス》(1640-1685年頃)に描かれているのは天使です。

ちなみに顔から直接羽が生えているのは高位の天使で、赤い羽根が熾天使セラフィム、青い羽根が智天使ケルビムということになります。

このように絵画の主題(テーマ、描かれている対象)がキリスト教なら天使、大天使ガブリエル等と区別して、幼児として群れているようなものはプットー(厳密には複数形でプッティー)と呼び分ける事ができます。

こうして絵のテーマから区別をつける事が最も容易ですが、持物(じもつ、アトリビュート)で区別することもできます。

アトリビュートとは絵画等における人物が誰かを区別するために、その人物を象徴するアイテムの事を言います。

西洋美術ではアトリビュート、仏教美術では持物ですね。キューピッドのアトリビュートは、弓矢や矢筒、または「燃える愛」を表す松明です。

一方でプットーのアトリビュートはラッパなどの楽器です。

ともあれ、どちらもほとんど同じ姿、キューピッドとして描かれていたものが段々とキリスト教絵画にも取り入れられて混同されていったようです。

▼フラゴナール《かんぬき》(1777-1778年頃)

個人的に興味深かったのが、こちらの作品です。

フラゴナールの代表作の一つとして美術書では必ず取り上げられるものではあるのですが、図版で見る絵は全体的に退色しているように見え、シチュエーションもぱっと見でよくわからず今までは興味がひかれませんでした。

ですが、今回見た実物は大きく迫力があり、ドレスや寝具がまるで本物のように鮮やかに描かれ、暗がりと光のコントラストがドラマチックで緊迫感が感じられました。

このような暗がりに差し込む光、というとカラバッジョが浮かびますが、フラゴナールは風景画をオランダ絵画に学んだこともあり、どちらかというとレンブラントの柔らかな光の描き方に近い気がします。

シチュエーションとしては、二人きりの寝室、部屋に鍵(実際はタイトルの通りかんぬき)をかけようとする男性、いけない事だと男性を止めようとするが拒み切れない女性…という見方がやはり一般的かと思います。

ギリシア神話の章の展示解説にもありましたが、男性は暴力で女性をさらい、女性は魔力で男性を虜にしようとする…が普遍的であることに気づかされます。

現代のジェンダー的な視点から見ると、旧時代の悪しき価値観であることに違いはないと思いますが、であれば現代の私たちはどうやって異性とお近づきになればよいのだろう?と話題に上りました。

解説は展覧会公式サイトが時代背景・隠喩(メタファー)の説明もあり詳しいので是非見て頂きたいのですが、フラゴナールは個人的に好きな画家なので紹介文を載せておきます。

▼フラゴナールについて

フラゴナール(1732〜1806)は、17世紀を代表する絵画として教科書にもよく取り上げられる《ぶらんこ》(1768、ウォレスコレクション、出品作品外)を描いたように、宮廷文化が一番華やかであった時代に生き、そして1789年のフランス革命を見届けることとなったロココの最後を飾る画家です。

《かんぬき》(1777-1778年頃)のような寝室を舞台とした作品を「閨房画(けいぼうが)」と呼びますが、フラゴナールはこのような甘美な絵画を、パトロンである貴族たちの依頼を受けて多く描いています。

フラゴナールは筆致が素早いのが特徴で、そのためにこの作品でも甘美な男女のかけひきの一瞬がよく表現されています。

この絵画には官能的な暗喩(詳しくは公式サイトで(https://www.ntv.co.jp/love_louvre/)がちりばめられていますが、それがなくともあからさまな作品を軽妙に仕立て上げているのがフラゴナールの面白さです。

解説にあるように、対作品が《羊飼いの礼拝》(同じくルーブル美術館所蔵)というキリスト降誕の場面を描いた宗教画であったり、先述の《ぶらんこ》についても後ろでぶらんこを押す人物(女性の夫、スカートの中を見上げているのは女性の不倫相手)が司教という没案があったり(流石に聖職者が不倫を認めるように描くのはマズイとなったようです)と、この時代には聖と性愛の不謹慎な組み合わせが求められていたことを思うと、フランス革命に繋がるのもうなずける気がしてしまいます。

▼最後に

ルーブル美術館の展示は今回のようにテーマを絞ったものが多く専門的で難しくなりがちであったような気がしますが、今回は「愛」がテーマということもあり親しみやすく解説も充実していたので、どんな人も楽しめる展示になっていました。

また、最後の展示室では、写真撮影が可能となっていたので、誰かを誘って訪れるのにもおすすめです。(もちろん一人でも!)

鑑賞後のカフェでお喋りしたように、愛や恋、ジェンダーといった問題を考えてみるきっかけにもなりました。

個人的には、ロココ美術が花開いた18世紀フランスが「女性の世紀」と実は呼ばれることから、この時代の作品はもっと人気が出てもいいのでは?とロココ推しの自分は常々思うのですが、やはり現代から見て不道徳が過ぎるのが流行らない一番の理由かなと皆の反応を見て納得するに至りました笑

▼今後の活動予定

・5/14(日) 国立西洋美術館 ブルターニュ展
・6月 アーティゾン美術館 抽象絵画の覚醒と展開展
・7月 東京都立美術館 マティス展

※変更になる可能性があります

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