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言問い-読み・書き・触れる-コミュの炭酸水の泡

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超短編小説っぽいもんです。
ちなみに版権自分ですから転載は勘弁・・・・。

タイトル[炭酸水]
郊外の錬金術所
ドカーーンッ!!
爆発音と共に大量の煙が窓という窓から噴出す。
「・・・!」
開け放たれたドアから青年が煙をまといながら飛び出した。
「今回こそ成功してればいいけど」
外で5分ほど待つと煙が消えた錬金術所の中に入り机の上に置かれたビン覗き込む。三角フラスコの中の水には僅かな気泡さえない。
「・・・また失敗かぁ」
ビンの中身を捨てながら汚れた調合紙を読み直す。
【・・い・・・水の作り方:・・化・素を水に溶け込・せる。方・は・・・を充・させた・・・の・・に水を入れ・・・し・・・に水に溶け込・・・・・・・・・・・・・・・しても・・・かかる・・注意。・・・・・・・・・・に前もって適量の砂・と香りにレモン・・・を入れる・・飲む・はやや・・・と思う温度で・・・・・・・しい】
ため息を付くと荒れた部屋を片付け始める。
「あの人みたいに作れないのかな・・・」
幼馴染のレナは小さい頃事故で両親を失った。それからお姉さんと二人暮らしで笑わなくなってしまったけど、その頃町に住んでいた錬金術師が作ってくれた水を二人で飲んだときとても美味しくて喜んだのを覚えている。その後は前みたいにずっと元気になった。それから錬金術師は街を出るとき調合の仕方を紙に書いて自分達に渡してくれた。その後二人の宝物の紙を大事にしまっておいた。でも、去年お姉さんが病気で死んでからまた笑わなくなってしまった。だからあの時の水を飲めば少しでも元気になってくれると思う。でも・・・、なんど作っても成功しない。
「他の場所にしまっておけば・・・」
3年前の紙は洪水の時に流されてしまい、見つけた時には汚れでほとんど読めなくなっていた。破れていなかっただけ不幸中の幸いと言えるかもしれないが・・・。
何度も実験を繰り返して何を溶け込ませれば良いかまでは解ったけど、どうしても水の中に十分な量を溶け込ませることができなかった。
「明日の誕生日までになんとか!」
再度机の上に多くの道具を置くと再度挑戦を始めた。
・・・・・・

「あ〜ダメだ!!」
丸一年間かけてダメだったのに根性と願いだけで簡単に成功するわけがない。気晴らしに外に出るとすっかり暗くなっていた。
「もう夜か・・・」
グゥ〜
考えてみれば実験に集中して夕食を食べていなかった。時計を見ると8時を過ぎている。
「弁当屋ならまだ開いてるし、それでいいか」
のんびりと夜道を歩いていくとなんとなく見覚えのある初老の男とすれ違った。
(どこかで見たことあるような・・・)
弁当を買った後考えながら歩いていた時気づいた。
「あの時の錬金術師!!」
急いで周囲を探し回ったが見つからずと諦めて家に戻った。何気なく机の上を見ると見たことない古いノートが置かれている。不思議に思ったがノートを開くと手紙と写真が挟まっていた。
【若い錬金術師君へ:我流でよくここまで上達したものだ。これからも成長していく君にちょっとしたプレゼントを残していくよ。私が研究に使っていたノートだが参考にしてくれ】
写真には小さい頃の自分達とあの錬金術師が写っていた。
(ありがとうございます・・・)
涙を拭きながらノートを開いた。
【美味しい炭酸水の作り方:二酸化炭素を水に溶け込ませる。方法は炭酸ガスを充満させた高強度の容器に水を入れ高圧縮し強制的に水に溶け込ませる。溶け込ませるには高圧縮しても数時間かかる為要注意。美味しく飲む為には水に前もって適量の砂糖と香りにレモンエキスを入れる事。飲む時はやや冷たいと思う温度で飲むと特に美味しい】
急いで準備を始めた。時計を見るとすでに午前1時を過ぎている。
(何とか今日中に!)
・・・・・・・

足元には圧縮に耐えられず砕けた瓶が何本も転がっていた。
「出来た!!」
一本だけだが封栓されたガラス瓶の中には綺麗な炭酸の泡が踊っている。
「時間は!?」
時計は夜の9時を指している。
「急げばまだ十分間に合う!」
バックにしまうと家を飛び出していった。

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