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I love i(アイ)コミュのある意味イナバウアー

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【アイが今デビューする意味】

 数々の不祥事が発覚し、親会社だったダイムラークライスラーからも見放されるなど、言葉は悪いが落ちるところまで落ちた感のある三菱自動車が、息を吹き返しつつあるように見える。まず三菱としては29ヶ月ぶりのニューモデルとして去年秋に発売されたSUVのアウトランダー、これが悪くないクルマだった。デザイン的にも走りの面でも際立って目を惹くところはないが、ドライビングしてみると基本がしっかりしている印象を与えてくれる。基本がしっかりしているというのは、信頼回復が急務の三菱のような立場のメーカーとしては、新型車に強く望まれるキャラクターではある。

 それに続いて出てきた新生三菱の第2弾がi=アイ、つまり極めてユニークなシャシーレイアウトとスタイリングデザインを採用して世に出た軽自動車だというのは、これまた偶然とは思えぬほど絶妙のタイミングであるような気がする。かつてパジェロで一世を風靡したメーカーが、まずはそれと同類のカテゴリーに属するニューモデルをソツのない出来で送り出したのに続いて、まだ人々から全幅の信頼を勝ち得たとはいえぬ状態のまま敢えて送り出した、ドキドキするほどチャレンジングなプロダクト、アイ。 

 その開発に着手した時点では、自社が今日のような状況に陥ることは想像してはいなかったのだろうが、それにしてもこういうユニークなクルマの開発にゴーサインが出されるだけの柔軟性を三菱自動車が持っていたということ自体、驚きに値する。いずれにせよ、三菱の真の再生が成功するかどうかは、このアイの成否に大きく左右されるはずだ。


【パッケージの革新性】

 三菱アイがユニークなのはスタイリングだけでなく、そのエクステリアを実現させることになったシャシー構造にもある。つまり3気筒エンジンをリアミドシップに横置きして後輪もしくは4輪を駆動するというレイアウト。軽自動車を含む今日の小型車の大半は、フロントにエンジンを横置きして前輪を駆動するいわゆるFFを採用しているが、アイはそれとはまるで逆のことをやったわけだ。90年代後半に出現したホンダZも、3気筒エンジンをミドシップに搭載した軽自動車だったが、あっちはボディ中央の床下にエンジンを置くアンダーフロア方式の4WDで、床が高く、一般的な乗用車としてデザインされたとはいい難い。それに対してアイはリアミドエンジンながらマジに乗用車を目指している。

 実はアイに最も近い発想および設計のクルマは、1960年代末のドイツにあった。その名はVW EA266。超ベストセラーだったビートルの後継モデルを模索していたVWは当時、そのプロトタイプの設計をポルシェに依頼したが、それをうけてポルシェが1969年に生み出したのがEA266だった。それは2ボックスボディの後輪直前、リアシートの下に4気筒エンジンを横倒しに搭載した後輪駆動車で、文字どおりリアミドエンジン後輪駆動=MRの4人乗りハッチバックという点で、アイと共通する。ただしVWは結局、FFのゴルフをビートルの後継車とする決断をしたため、EA266が世に出ることはなかったが。

 ところがアイは市販車として日の目を見ることになり、三菱はそのレイアウトが可能にしたメリットを、

1)斬新なスタイリングと広い居住空間
2)新感覚の走行性能安定性とひとクラス上の乗り心地
3)全方位の衝突安全性

の3つだと主張している。

1)の斬新なスタイリングについては異論なし、居住空間に関しても概ねそのとおりで、特に前席のレッグルームの余裕やそこからの視界のよさに、このレイアウトのメリットが実感できる。ただし、やや着座位置の高いリアシートがFFのそれより快適かどうかは、いささか疑問ありだが。2)に関しては次のページで検証。3)の衝突安全性に関してはわれわれは実験不可能ゆえ、様々なデータを駆使して解析したメーカーの主張、すなわち前面衝突に対してはエンジンがないためクラッシャブルゾーンを広く取れ、後面衝突に対してはエンジンとフロアが衝撃を吸収する、という説明を信じることにしたい。


【走りやいかに?】

 こういう類型的でないレイアウトを持ったクルマの場合、それを採用したことによるメリットとデメリットが走りにどのように現れているか、という点が興味の中心になる。 

 リアミドエンジンというと前輪荷重が軽いことから、頼りない操縦感覚のクルマを想像しがちだが、アイはまずその点から想像を裏切ってくれた。走り出してすぐに実感したのはボディの剛性感だった。おっ、最近の軽のボディはこんなにカッチリしているのか?  アイに試乗した直後、近くで試乗会をやっていた別のメーカーのFFの軽自動車にも乗ったが、そのボディは明らかにアイより緩かった。アイのボディは、大きく開く4枚のドアを持つデザインから想像するより、ずっと剛性感がある。リアミドシップにエンジンを抱えるフロアユニットからして、相当しっかり造ってあるのだろう。 

 そのことによるメリットのひとつとして、乗り心地がいい。ホイールベースが2550mmと異例に長いこと、2WDで900kg、4WDで960kgと、車重が軽の水準より若干重いことも、軽としてはフラットで上質な乗り心地には効いているはずだが、と同時にまずシャシー剛性の高さが乗り味に貢献しているのは間違いない。では、スポーツカーと同じミドエンジンを採用し、45:55の前後重量配分を実現したことによるハンドリングはどうか? 試乗コースにワインディングロードがなかったため、コーナーを攻めるとどういう挙動を示すのか、ということに関しては明確な答えは出せない。けれども、同クラスのFF車よりステアリング操作に対するクルマの反応が軽快なのはたしかで、特に前輪に駆動力を与えていない2WDモデルの場合、ステアフィールの抜けのよさにも好感を持った。それにもうひとつ、発進時のトラクションもFFよりずっと確実である。 

 ではその反面、デメリットは? FFのライバルに対して考えられるアイの不利は高速での直進性なので、高速道を軽としては速いスピードでクルージングしてみた。しかもこの日そのあたりは横風が強かった。結果としては、若干難あり、という程度。強めの横風を浴びるとボディが少しふらつく感じがある。ただしそれはリアミドエンジンだけのセイではなく、全高1600mmという背の高いボディも要因のひとつになっている。したがって、このボディデザインだったら、たとえFFでも横風の影響は若干うけるはずだ。一方、新開発の3気筒ターボエンジンと4段ATによる動力性能は意外と活発で、軽自動車としてまったく不足ないレベルにあると思った。前席にいる限りエンジン音が遠くから聞こえてくるのも、リアミドシップのメリットのひとつだろう。


【ある意味イナバウアー 】

 軽自動車としては明らかに高価なアイにマーケットはあるのか、とその存在に否定的な見解もあるようだが、僕はこのクルマ、肯定したいと思う。どうしてこのリアミドシップレイアウトでいこうとしたのか、その根っこの部分が論理的にイマイチはっきりしないのだが、それでも他がやっていないレイアウトでいく決断をし、なおかつそれを商品として結実させたところに三菱の気合いを感じる。それに加えて、その結果として生み出された商品としての完成度の高さも、僕がアイを肯定するもうひとつの大きな理由だ。

 三菱自動車の発表によれば、1月24日に発売開始したアイは、その2週間後の2月5日までに累計登録台数が1万台に達したという。それは月間販売目標台数である5000台の2倍にあたる数字だというから、出足は好調なようだ。ただし本当の実力は、新車効果が希薄になった時点で、どれだけの需要を喚起できるかに掛かっているはずだ。

 じゃあ誰がアイを買うのか? それに対する回答は、年収からも年令からも職業からも分析できないのではないか。周りのみんなと同じような服は着たくない、同じような家には住みたくない、同じようなクルマには乗りたくないという、自分を表現することに関して熱心な人々が、アイを選ぶのではないか。それでなおかつ軽である必要のある人、もしくは5ナンバー車でもいいのだが、こんなユニークなクルマがあるのなら軽でも欲しいという柔軟性に満ちた感性の持ち主。そういう人々がアイのユーザーになり得るのではないかと思う。そう、ある意味イナバウアーの価値観である。

 アイにとって最も望ましいカタチは、これまで普通の軽自動車に見向きもしなかった東京のような見栄の都会の住人がそのユニークさに感じて、彼らのセカンドカーもしくはサードカーとしてそれを購入することではないだろうか。表参道ヒルズの前にパークした三菱アイ、けっこうサマになると思うのだが・・・。

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