[mixi]おっさんずラブの今後の予想と妄想を聞きた - ～おっさんずラブ～

>>[959]

いやいや、盛り上げて頂いて助かってます！！

本日、武川政宗さんのお誕生日、そして明日は牧ですね。
それを記念して書きました。
春田が二人を祝います。

題して「君が幸せであるように」

上海のオフィスにて、春田創一は悩んでいた。
視線の先にはカレンダー。
１０月と１１月を何度も往復している。
「よし！」
そして、ある決意を固めた。

今年の１０月３１日は水曜日であり、天空不動産は定休日である。
家主の海外赴任中、春田家を守る牧遼太は、何度目かの溜め息をついていた。
今日夜遅く、恋人の春田創一が帰ってくると言う連絡が入った。
それは嬉しいのだが、明日の午前中には上海に戻ると言う。
あまりの強行軍に、嬉しさも半減である。
「何考えているんだか・・・」
休みの前日に帰ってくれたら、せめて１日は一緒にいられるのに。

牧のため息の理由はもう一つ。
今日はかつての恋人であり上司の武川政宗の誕生日である。
そして翌日１１月１日は牧の誕生日。
恋人時代に、奇跡の二日間を共に祝ったのは、２年間の交際期間の内、最初の一度だけ。
２年目にはお互い忙しさに会う時間もなく、うやむやになった。

もう別れているとは言え、部下としてひと言「誕生日おめでとうございます」と言いたかった。
当日である今日は休みなので、昨日言おうと何度も機会を伺ったが、二人きりになったタイミングで言うのは春田へ申し訳ない気がして、迷っている内に、とうとう言えなかった。
瀬川や宮島達、女性社員は「主任、お誕生日おめでとうございます！」と、二人で選んだプレゼントを渡しているのを見掛けたが、男性社員はあまりそういう事に関心がない。
偶然を装い、彼女らに便乗して言えばよかったかなと後悔したり。
こんな事でウジウジ考えている自分が、牧は嫌いだった。

春田は今日の仕事を定時に終えてから、こちらに向かうらしい。
夜１０時に「わんだほう」で待てと連絡が来た。
少々遅い待ち合わせだが、会いたい気持ちには変わりはない。
牧が１０時少し前に「わんだほう」に着くと貸切の看板が出ている。
「貸切？」
第二営業所の面々で集まる予定はない。
不思議に思って入口の戸を開けると
「いらっしゃい！待ってたよ牧くん！」
いつもの調子で、店主の鉄平が迎えてくれる。ちずも一緒だ。
「あそこに座ってね」とちずが示した座敷の席を見て、牧は驚いた。
武川が座っていたからだ。

「うん、来たな」
「どうして武川さんがいらっしゃるんですか！？」
「俺の口から言うのも何だ。もうすぐ春田が来るだろう」

そうしている内に、春田が到着した。

「こんばんは！あ～疲れた」
「お前、海外から来た格好じゃねぇな」
鉄平が呆れて言う程、春田はリュック一つの軽装だった。

「まきまき牧～、会いたかったぞ～」
抱きつこうとする春田を、牧は避ける。
「どういう事ですか！？いきなり帰って来てもすぐ戻っちゃうし、その・・・二人きりじゃないし、わざわざここ貸切にして」
武川に気を使い、ちょっと控えめに怒る牧。
「まぁまぁ、そう怒るな。今から説明するから」
そして武川に
「すみません武川さん、来て頂いたのに、こんな感じで」と頭を下げた。
「俺はかまわんよ」武川はむしろ二人を微笑ましく見ていた。

取り敢えず、武川に上座へ座ってもらい、春田と牧は向かい合わせに座る。
ビールで一度乾杯してから、春田は話し出した。

「今日は武川さんの誕生日で、牧が俺のいない状態で初めて今日を迎えた訳だ。やっぱりおめでとうぐらい言いたいだろ？」
「そうですけど・・・」
「ましてや、明日は牧の誕生日だし、もし二人だけで祝いの言葉を言い合ってたら、俺は嫌だと思った」
「じゃあ何で・・・」
「待て待て、最後まで聞け。武川さんには俺も長年の恩がある。だから、ここは俺が二人を祝いたい」

牧は複雑な思いで聞いていた。
「何だか変ですよ。武川さんに俺達を見せつけるみたいで・・残酷じゃないですか」
「心配するな、牧。俺は二人に祝ってもらうのは、むしろ嬉しい」
武川が微笑みを浮かべて言った。

それでも牧は納得しない。
「春田さん、嫉妬なんでしょ？こんな当て付けみたいな事、武川さんに失礼ですよ」
「当て付けとは何だよ！形は違うが武川さんはお前より俺の方が付き合い長いんだぞ！お前が中坊の頃から世話になってるんだ」
「長さじゃなくて、深さだと思います！・・・って、あれ？何言ってるんだろ？俺」

[963] mixiユーザー 10月31日 00:33

>>[962]　続き

さすがに武川も呆れて仲裁した。
「おいおい、その辺にして置け。何のケンカだ？祝いの席だろ？」
そして牧に
「お前もそう怒るな。お前と俺の為に、春田が考えたんだ。分かってやれ」
春田が味方を得た！とばかりに、武川にすり寄る。
「そうだそうだ～分かってやれ～」
牧が溜め息をつく。
「もう・・・何の連携ですか～」

「それより春田、事を進めないと」
武川に促され、春田はハッとする。
「あ、そうですよね。時間もないし。ちず！頼む」
「お誕生日、おめでとうございます」と、ちずがケーキを持って来た。
洋菓子が好きではない武川の為に、抹茶のケーキだ。
「これなら武川さんも大丈夫だと思いますよ。甘さを抑えてあるし」
春田がドヤ顔で言う。

「ありがとう、よく考えてくれたな」
「急だったんで、プレゼントとかないんですけど・・・」
「かまわん、これで充分だ」

「ほら、牧も」
ちょっとスネた顔の牧も、ハッとして
「お誕生日、おめでとうございます」と頭を下げた。
「ありがとう、お前にそう言ってもらうのが、何よりの贈り物だ」
武川が優しく答える。

牧は、やっと言えた、と、内心泣きそうになる。

それを誤魔化すように、続けて牧は明るく話し掛ける。
「ねぇ武川さん、春田さんの新入社員時代はどんな感じでした？」
慌てたのは春田だった。
「お前、そんなの聞いてどうすんだ？」
「長い付き合いなんでしょ？」
「そりゃもう、伝説にしていいくらいだぞ。初日から遅刻してきたし、何教えても最後まで聞かなくて、早とちりでよくトラブルを起こしたな」
「武川さ～ん」
「でも、不思議と客には好かれたよ。クレームの対応してると思ったら、いつの間にか仲良くなって飲みに行ったりとか」
「へぇ～、凄いですね、春田さん」
「う、うん。まぁな」
褒められるとちょっと得意げになる春田だった。

それから、新人の頃の春田の事、牧の大学生時代の事を武川が語り、三人は大いに盛り上がった。

そして時刻は午前０時を迎え、日付が変わる。
照明が消え、ちずが再びケーキを持って現れた。
「牧くん、おめでとう～」
牧が好きなオレンジのゼリーがあしらわれたケーキだった。
そして武川と春田が「牧、おめでとう」と、それぞれに祝福した。
昔、愛した人と、今の最愛の人から祝いの言葉をもらい、牧は感無量だ。
「あ、ありがとうございます」

「俺からプレゼントだ」と、武川から渡されたのは、上海までの往復航空券。三往復分ある。
「武川さん・・・！」
「１年間有効だ。いつでも会いに行け」

春田がちょっと緊張し出した。
「まだ泣くのは早いからな、牧」
リュックをごそごそすると、一つの小さな箱を取り出した。

「俺は牧をよく怒らせるし、手を焼かせるし、武川さんみたいにカッコよくないし・・・」
「バカだし」
「そう、バカだし・・・って、おい！真面目に聞け！牧」
揶揄う牧にも負けず、春田は続ける。
「こんな俺だけど、絶対にお前にリスペクトされるくらい立派になるから・・・」
そして箱の中のケースを開いて差し出した。
「結婚して下さい！」

「プロポーズなら、もう受けましたけど」
「まだ返事をもらってない。それにお前はいらないと言ったけど、これを受け取って欲しい」
ケースの中には、シンプルだが内側に二人の名前の入ったリングが輝いていた。

「そんな、武川さんの前で・・・」
「俺が望んだんだよ、牧」
武川が慈愛の笑みを浮かべて言った。
「俺はお前の幸せを見届けたい」
「武川さん・・・」
「返事をしてやれ」

そして牧は春田に向き合った。
思えば、何だかんだと理屈付けて、返事をうやむやにしていた。
指輪も、あれば心の支えになるのに、いらないと強がっていたのだ。
法律上は入籍も出来ない事など関係ない。
春田が望むのはただひと言だ。

牧は指輪のケースを持つ春田の手を両手で包んだ。
「・・・はい」
牧の大きな目から、静かに涙が零れ落ちる。
「はい、春田さんと結婚します」

「よかった・・・」
春田も涙ぐんで牧を抱き締めた。

武川が二人の頭をクシャクシャと撫でる。
「よし！俺が証人だ！生涯、今日と言う日を忘れるなよ」

武川にはもう嫉妬心はない。
かつての恋人と、可愛い部下の幸せを願うのみだ。

店の奥では、鉄平とちずの兄妹も、もらい泣きをしていた。

まだ続く！

[964] mixiユーザー 10月31日 00:42

>>[962]
>>[963]

帰り道、安堵と嬉しさに酔い潰れた春田を、武川が背負っていた。
「まき～、どこだ～」
「はいはい、俺はここにいますよ」
武川の背で寝ぼける春田の手を、牧が握ってやる。
「武川さんがいてくれてよかった。俺じゃこの人、担げませんから」
「それは、お役に立てて何よりだ」

「何だか申し訳ありませんでした。俺達の事に巻き込んだみたいで」
「いや、こんな楽しい誕生日は久し振りだった。春田に感謝しないとな」
「そうですね・・・何だかしてやられた感じで、ムカつくけど」

その時
「誓いま～す！」
と春田が大声を出した。寝言のようだ。
「何だよもう、春田さん！」
「お前との結婚式の夢でも見てるんだろ。実現するのが楽しみだな」
「楽しみですか～？そんなのいいんだけどなぁ」

「今日の午前中の便で春田は戻るんだろ？お前、午前半休取ってもいいぞ」
「必要ないですよ。個人的な事で穴を開けたくないし。春田さん叩き起こしてから定時に出勤しますから」

「そう出来ればいいが」

数時間後の朝、第二営業所では瀬川の声が響いいていた。
「主任、牧くんが前半休取りたいそうです！」
「分かった。やっぱりな」

返事をしながら午後から出勤する牧が、どんな幸せな顔をしているのかと思うと、顔がニヤけるのが止められない武川だった。

[966] mixiユーザー 10月31日 01:06

>>[964]

素晴らしくて素晴らしくて素晴らしくて！！！私も泣けてきました！！！

[967] mixiユーザー 10月31日 01:13

>>[966]

そんなに言って下さって、ありがとうございます！
ちょっと武川さんがいい人過ぎましたね。

[968] mixiユーザー 10月31日 01:16

>>[964]
お誕生日にうれしそうな政宗でよかったです。私も政宗は見守る立場に昇華してると思うので。

[969] mixiユーザー 10月31日 01:17

>>[967]

そんなことないです。
私のイメージする武川さんに近いです。
きっとこういう人なんだろうと思います。

[970] mixiユーザー 10月31日 01:21

>>[968]

見守る事が、政宗さんの幸せかも知れませんね。
もう父親的な立場。

[971] mixiユーザー 10月31日 05:41

皆さんの素敵な話の後に、ちょっと尻込みするというか、私の駄文・長文にお付き合いいただくのが恐縮なんですが、眠れなかったので、恥ずかしながら書いていこうと思っております。

９１７、、、１２月２９日、上海から帰ってきた春田さんを空港で迎える牧くん。そしてその翌日から始めたいと思います。
１２月３０日、早朝。春田さんは牧くんよりも先に気がつきます。すうすうという安らかな寝息。聞きたくてたまらなかった牧くんの寝息でした。おでこにキスをした春田さんは、先に階下に降りて、自分で簡単な朝食の準備に取り掛かります。トースト、カフェオレ、目玉焼き、カップのヨーグルト。春田さんの顔はすっかり「ドヤ顔」です。やはり上海での一人暮らしが、彼を少しはランクアップさせたのでしょうか。
「ふふふっ！きっと牧も驚いて、褒めてくれるに違いない！！」ところが、、、いつもなら早く起きてくる牧くんがなかなか起きてきません。一旦２階へ上がって様子を見ます。「牧。。。？」牧くんは、まだ完全に熟睡中でした。
（ゆうべ、激しくし過ぎたかなあ。。。）と、一人反省しながら、春田さんは先に朝食を食べてしまいました。「でも、今にして思えばあれが兆候、兆しだったんだよなあ。」と、春田さんはその後思うのですが、それは後日のお話。
結局牧くんはそれから一時間ほどして起きてきました。春田さんはちょっと驚きます。（牧、、、もしかしてだけど、、、機嫌悪い？）こりゃヤバい！と、春田さんのセンサーがびびっと来た！！「牧、おはよう。」「んんん、、、」そして抱擁。春田さんの胸に突っ伏す牧くん。「牧。。。おれさ、目玉焼き作るから、食べる？」「め、だま、や、き？」「うん。上海で覚えたんだ。もう殻も入らないでうまく出来るようになったよ。」コクンとうなづく牧くん。足元も少しだけですがおぼつかない様子だったので、春田さんは牧くんを椅子に座らせて、さっそく調理開始です。しながら、後ろの牧くんの様子を伺う春田さん。（寝不足かな？じゃ、食べたらまた寝かせといてあげないと。。。）結局、春田さんの力作の目玉焼きは、少しだけ食べ残されてしまいました。牧くんは目玉焼きと、みかんゼリーを食べると、「おれ、、、ちょっと寝ますね、３、、、時間、、、くらい寝たら、すっきり、、、すると思うんで、、、ごめんなさい。。。」「牧、無理すんなって。とりあえず２階に運ぶわ。ゆっくり寝てろよ。」「ごめん。。。創一さん。」ベッドに寝かせて、おでこに軽くキスをして、春田さんは牧くんを布団でくるんで、一階に降りてきました。「よし！とりあえず台所片づけよう！そして、上海で覚えたんだ！って言って、褒めてもらおう！！」春田さん、使い終わった台所を、ゆっくり、でも確実にきれいに、片付けていくのでした。
そして、お昼になった頃、やっと牧くんが起きてきました。「ごめんなさい、春田さん。朝ごはんの用意できなくて。」「ふふ～ん。おれ、上海で慣れたから、簡単だけど作って食べちゃったもーん！！」「えっ！？マジすか！？作ったの！？」「簡単だけどね～～～。」「すごいじゃないですか！」（あ、いつもの牧だ。）そう思って、胸をなでおろす春田さんなのでした。「でも、牧のその顔、なんか新鮮！」「え？なに、何が？」「無精ひげだよ。なんかワイルドな感じで新鮮！」ぱっと赤くなって、少しむっとした表情になる牧くん。「どした～？何、なんか悪いこと言った～？」「い、いや、何でもないです。洗面所使ってきますね。」
洗面所にて。「あ～。。。しくった。こんな恥ずかしいとこ春田さんに見せちゃうなんて。会えてうれしいからって、気を抜いてちゃダメだな。。。」いつもよりシェービングクリーム多目で、ひげを剃っていく牧くんでした。
そしてふたりで軽く食べた後、デートを兼ねて、年末の街に出かけることにしました。春田さんはキャメルのピーコート、牧くんはミルクベージュのダッフルコート。襟元には「安かったんですよ！」と、牧くんが買っていた、赤と黒と白と黄色のチェック柄のストール。お揃いです。お互いの手をぎゅっとつないで、さあ、お出かけです！！
年末の買い出しがメインでしたが、なかなか楽しいものでした。春田さんが、値引きを頼んだりして。「上海でちょっとだけ覚えたんだ。」商店街は買い出しの人ごみで、ちょっとしたテーマパークのような賑わいがありました。「買い物これくらいでいいの？牧！」「これで大丈夫だと思います！あとはビールかな！あ、酒屋さんに寄りましょう！！」「了解です！！」そしてふたりは、上海支店の皆さんにお土産を買った酒屋さんに出向きます。そこで、一杯だけお酒をいただきました。角打ちやってますから、ほかのお客さんに交じってですが。ビールをケースで買って、それを春田さんが抱えての帰宅となりました。

[973] mixiユーザー 10月31日 06:50

９７１の続き行きまーす。

酒屋さんで一杯ひっかけてからの帰宅。そして牧くんが晩ごはんの支度にとりかかります。その間、春田さんは、ハンカチにアイロンをかけていました。これは出来るようになってきました。そして、苦手な靴下を整理して。。。「あーーーっ！もうダメ！限界！！」「クスクスッ、もういいですよ、洗濯物、まだまだ大物があるんですから、それくらいにしといてください。」「えっ！まだあるの！？」「シャツもワイシャツもあります！小物だけ洗濯機に入れただけですから。」「がちょーん！って感じ。。。」
そしてまたもや楽しいふたりでのご飯タイムが始まります。シイタケと豆腐とわかめのお味噌汁、白和え、コロッケ。「白和え、美味しいかも。」「あ、良かったー。これ母のレシピなんです。」「お母さんもすごいけど、それを再現している牧がすごいわ。ごちそうさまです！」「まだちょっとありますよ。」「ちょっとだけ、ちょうだい。」「コロッケもあるけど、半分こにしましょうね」「足らなかったんだ。」「今度は多めに買うことにします。」

そして、ゆっくりと眠って３１日大晦日の朝です。やっぱり早起きなはずの牧くんが起きてきません。心配しながら春田さんは先に朝食を食べてしまいます。遅めに起きた牧くんに、目玉焼きを作ってあげて、そして今日は洗濯物デイ！！少し元気なように見える牧くんは、春田さんの心配をよそに、がんがん洗濯をしていくのでした。「牧、大丈夫なの？」「おれ、平気ですよ。洗濯機が回っている間に、黒豆も煮始めようかと思ってて。」「いいよ、いいよ！牧！そんな色々しなくたって、張り切らなくていいってば！」「春田さん。。。」「おれさ、静かに年末年始が過ごせればそれでいいんだし。おせちとか要らない。牧とふたりでいられればいいんだから、作らなくていいモノは省いていいって。」「う。。。でもおれ、、、黒豆好物なんです！」「だったらいいよ！！作って！！おれも食べてみたい、牧の好物！！」うれしそうに牧くんが笑います。そして肉じゃがも鍋一杯に作って。「おせちっぽい品物は母に頼むんですよ。だからおれはそれ以外で、すぐ食べられるものを作っているんです。」「お母さんに頼むの？」「はい。割りとたくさん作るので、おすそ分けですね。」「え？じゃあ？」「春田さん、年末ですし挨拶行きましょうよ。」「えええええ～！！」「あれ、いや？」「だってお父さん、おれのこと嫌いだし～！」「そこを！その溝的なところを埋めていく作業が必要なわけでね。」「えええええ～。」「春田さんの人と仲良くなるテクは、ずば抜けています。どんなお客さんとでも、最終的には仲良しじゃないですか。それきっと、うちの父とでも同じだと思いますよ。やっぱり春田さんだなあ！！」と、褒め上げられて、豚も木に登るというか、春田さんは結局牧くんの実家の前にいました。「リラックスしてください、春田さん。」「うん。。。うう～ん。。。頑張る、おれ！！」
そして、牧家でのひとときが始まりました。牧ママやそらちゃんから笑顔つきの接待をいただきますが、お父さんはテレビを見ながら、おつまみとビールで、なかなかふたりを見てくれません。気まずいふたり。「春田さん、テレビを見ながら、お父さんと話でもどうかしら。」「そうよ、テレビ見ながら！気持ちもほぐれるんじゃないかな！」お母さんとそらちゃんに励まされて、春田さん、新聞のテレビ欄を手にお父さんのそばに座ります。「今、この歌番組ですね？」「うん、、、」「あ！」「なんだ！」「岩合光昭さんのネコ散歩の再放送もありますねえ。」「ねこ？それ、いいのか？」「この番組は、超当たってる番組で、大人気なんですよ。」「お、俺は犬派だから知らねえんだが。」「じゃ、一度いかがです？お父さんだったらネコの良さも理解できるんではと。」「お父さんて、言うなー！！！」「わ！！すみませーん！！でも、チャンネル替えていいですか！？この番組、ホントお勧めでー！！」。。。３０分後、ホワホワな笑顔の二人が出来上がっていました。「いや。この番組は良かったよ、春田くん。」「気に入っていただけて良かったです～。」ちょっと春田さん、お父さんとの間に小さな橋が架かったような気分です。
「さ、春田さん、そろそろ帰りましょうか。」「え？もう？おれお父さんとビール飲むんだけど。」「ちょっと遅くなっちゃいましたから。帰りましょう、ね。」「う、うん。。。」「春田くん、また来いよ。」「あ、ありがとうございます！！」「凌太、帰るならこれも持って行きなさいね。おせちの余りと言ったら、言葉が悪いけど。二人分くらいだしね。」いくつかのタッパーに詰めてもらって、ふたりは帰宅するのでした。

あ、文字数が。。。続けまーす。

[976] mixiユーザー 10月31日 07:10

>>[975]

あ、あ、ありがとうございます！！私、、、エロエロの春牧が大好物なわりにそれをかく技量もなく、度胸もなく、結局、自分が書きやすくて、少しの想像力だけで書けるような、ホームドラマ的なところしか、書けなくて。。。
そんなふうに、楽しみだと言っていただけるなんて、本当にうれしいです。
有難うございます！！

[977] mixiユーザー 10月31日 08:04

>>[972]

ありがとうございます！
二人の連続誕生日は、春田も交えてこんな幸せな雰囲気だといいなと思いまして。
どさくさで、牧にプロポーズの返事までさせました。
武川さんは、ずっと目を細めて（猟奇的な目ではなく）二人を暖かく見守ってくれそうですね。

[978] mixiユーザー 10月31日 08:23

９７３の続き行きまーす。半ばやけくそですが、眠れないから仕方ないですね。

大晦日の晩、春田さんと牧くんは実家で過ごした後、自分たちの家に帰ってきました。
「あー、緊張した！」「でも、春田さん、やっぱり仲良くなってましたね！」「そうかなあ、確かにネコ番組は良かったよ。」「その番組を選ぶというのも、やっぱ春田さんだなって。父はもしかしたら、猫飼うっていうかもしれません。」「そうかなあーーー。」「それくらい、父との距離は狭まったと思いますよ。」牧くんにそう言われて、ちょっと、いや、かなり嬉しくなる春田さんでした。そしてくつろぎタイムの始まりです。テレビを見て、リラックスして、軽くビールを飲み、お持たせのタッパーを開けてつまんで、ざっとお風呂に入り、紅白を流し見て、そしてゆく年くる年。
その番組の、場所は知らないけど除夜の鐘の音を聞きつつ、ふたりはソファで見つめ合うのでした。「初めてのふたりで過ごす年末年始だね。」「うん。うれしい、創一さん。」そっと肩を抱く春田さん。「ねえ、おれたちさ、いつ結婚式すればいいと思う？」ぱっと春田さんの顔を見る牧くん。「おれ、指環もらっただけでいいです。」「何言うんだよ！そんなんじゃ駄目だ。ちゃんとおれと牧は配偶者だって、世間に知らしめときたい。だって牧はおれのものだし、誰にも盗られたくないもの！！」「でも、、、」「急に言ったからかな、ごめん。」「ううん、うれしい。春田さんがそう思ってくれているって分かるだけでもうれしい。」「おれじゃ、やっぱイヤ？」「そんなことない！！」「家事出来ないからさ。おれ嫌われてる？」「そんなことない！！大好きだから！！心配しないで！！」必死で言った牧くん。春田さんはにやりと笑っていました。「もーーー！！！そうやって試すんだから！！」クッションでドカバキ叩く牧くん。「痛い！ごめん！牧ってば！！ごめんって！！」

「おれ、、、まだ結婚式とかそういう大きなイベントって考えられないんです。まだ春田さんだって上海にいて離れているし、上海にいてワンランクアップする春田さんも見たいし。。。」「そうなったら考えてくれる？」「考えてはいるんです。でも区切りがつかないというか。」「。。。」「ごめんなさい。きっと、おれの踏ん切り一つなんですね。」「ううん。。。いい。」「え？」「じっくり考えて。」「春田さん。」「おれが牧を好きなのは変わらない。だからよく考えてくれればいいよ。式をするしない、それも含めて。」「創一さん。」「さて。とりあえずベッドに入ろう！よく眠ったらきっといい答えとか、それに近いことも思い浮かぶよ。とりあえず寝よ！！それに、牧、少し顔色がよくない。今夜はキスだけだから。」「うん、、、創一さん？」「ん？なに？」「好きです。」
ふたりかなり濃厚なキスをします。はっと離れて、「もう一回。」そしてもう一回離れて、「創一さん、もっと。。。」しばらくふたりは、半分夢の中でした。

「凌太、、、もう２階へ行こう。とりあえず寝なきゃ。」「あ、はい。そうですね。」そしてふたりは２階に上がり、ベッドでまた濃厚なキスをするのですが、、、「おれ、、、具合が悪くなるかもしれないです。その時はごめんなさい。」そう、言いおいて牧くんは深い眠りに落ちていくのでした。
残された春田さん。誰よりも不安感に苛まれていました。「具合が悪くなるって！？どうなるんだよーーー！！！」さて、ごく小さな波乱の幕開けです。

[983] mixiユーザー 10月31日 21:01

武川政宗　誕生日記念作品。

政宗の恋　全年齢対応版。

微熱の狐①

これまでのあらすじ。

武川政宗には20年前、トラウマになるほどの傷ついた恋愛をし、それ以降、誰と付き合ってもうまくいきませんでした。

そんなある日、彼は本社の研修で傷つけた張本人に会って動揺します。

その動揺をゴミ箱にぶつけ、散らかしてしまい、掃除をしていると若い男が駆け寄り、一緒に掃除します。

その若い男は講義の先生・片倉翔でした。

その夜、昔よく行っていたゲイBARで飲んでいるとそこには見たことがある男が…

その日、三度会う、片倉翔だったのです。

翔の優しさやひたむきなふれ合いによってトラウマは薄れ、それにより急激に引かれ合う二人。

なんやかんやあって、付き合うことになり、なんやかんやあって、翔は一世一代の告白をします。

それは……

ってのが、今までのお話です。
なんやかんやは過去の投稿かpixiv見るか、ご連絡ください(笑)

★★妄想キャラ★★

・片倉　翔：研修の特別講師。若く見えるが30才。夜は男性会員BAR：Revivalでバーテンダー。源氏名は「クララ」。

・リンダ：男性会員BAR：Revivalのオーナーママ。若い頃の政宗を知るドラーククィーン。政宗をマーさんと呼ぶ。実は、片倉(クララ)の父親。

・漣さん：男性会員BAR：Revivalの開店当初からの常連客。ママとラブラブ。

[984] mixiユーザー 10月31日 21:06

政宗の恋　微熱の狐②　本編

外はどしゃ降りの雨。

タオルで頭を拭く政宗。

リンダ：「よくこんな日に来たわね…」

呆れるリンダ。

政宗：「誰もいないな…」

タオルを返す政宗。

リンダ：「大雨だもの。はぁー…答え出てないのね、いいわよ？悩んでもなんでも聞くわ？でも、板挟みなのよ？あたし。」

ため息をつき、タバコを咥えながらタオルをしまうリンダ。

政宗：「翔も相談してるのか？」

カウンターの椅子に座る政宗。

リンダ：「翔って誰？」

馬鹿にしたように煙を吐くリンダ。
ここでは本名はご法度だった。

政宗：「…クララも相談してるのか？」

言い直す政宗。

リンダ：「…いいえ。口にもしないわ。でも、あの子の中ではね。…あたしの勝手なヤキモキ。」

ため息をつきなが笑うリンダ。
ビールを政宗に差し出す。

政宗：「あぁ。」

グラスを持ち、浮かない顔で一口飲む政宗。

リンダ：「…あんたが悩んで苦しんでること知ってるし、拒否されてないだけマシだって思ってるみたい。」

ナッツを出すリンダ。
自分の分も出して食べ出す。

政宗：「そうか…」

グラスを見つめ、ため息をつく政宗。
その様子を見て、タバコの煙を吐き出すリンダ。

リンダ：「待つって労力がいるのよ？…あの子が諦めなきゃいいけど。で？今日は何の話？」

場面展開

ここは新宿二丁目の一軒のBAR、Revival。
武川政宗は一人で飲んでいた。

彼には２ヶ月経っても解決していない問題を抱えていた。

それは２ヶ月前…
突然、片倉翔から「一緒に住まないか」と告白された、それは青天の霹靂だった。

政宗にとって、翔は付き合い初めて３ヶ月たっても新鮮で、離れがたい相手、心が安らぎ、肌の相性がいいとはこういうことなのかと、毎回思うほど満足している。

休日は会わない週が無いほど、お互いの部屋を行き来し、一緒に食事をとり、同じベッドで眠る。
それが、政宗の最近の日課になっていた。

しかし、「通う」のと「住む」のは違う。

回想シーン

２ヶ月前　翔の部屋

翔：「武川さん、俺と一緒に暮らしませんか？」

政宗を見つめる翔。

政宗：「…」

突然の話に驚く政宗。
言葉が出ず、固まっていた。

翔：「あの…」

政宗の反応を見てやってしまったと思う翔。
もう元には戻せないと息を飲む。

政宗：「…俺は、他人とは暮らせない…」

下を向き、辛そうに答える政宗。

目を閉じ、小さくため息をつく翔。
自分の読みの甘さを後悔した。
苦しくなり、胸を押さえる。

翔：「…そぅですかぁっ…」

普通に答えようとしても声が震えそうだった。

自分の気持ちを優先した代償、《終わり》を覚悟した。

政宗：「…君は違う！」

翔の震えた声に気がつき、両肩を掴む政宗。
目を見て否定する。

翔：「…」

肩をきつく掴まれ驚く翔。

政宗：「その…君は別だ…」

続きの答えを出せない政宗。
そのまま、下を向いてしまう。

翔：「…考えておいてください。今すぐなんて思ってないから。」

肩を掴まれたまま、スルッと政宗の胸の中に入り、抱き締める翔。

翔：「すいません、俺が感情的になって、突っ走りました。」

涙目の翔。
別れを覚悟した分、まだ脈があることにホッとし、それだけで嬉しかった。

政宗：「翔…」

胸の中にいる翔の思いに答えれないことが辛い政宗。

政宗：「…嫌なんじゃない…ただ…突然すぎて…」

翔と暮らすことが嫌なのでは無いと伝えたいが上手く伝えられない政宗。

翔：「そうですよね、いきなり過ぎました…それより、悩んでまた知恵熱出るんじゃないか心配です。」

政宗の前で、いつもよりぎこちないが、気遣い、優しい微笑む翔。

政宗：「…」

ホッとする政宗。
翔を抱き締め、首を顔を埋める。

翔：「あとさっき、君って二回言いました。お仕置きですね。」

笑いながら話す翔。
声の震えはなくなり、楽しそうに微笑む。

政宗：「すまない。」

まだ、顔を上げられない政宗。
翔を抱き締める。

翔：「…謝ってもお仕置きですよ？」

幸福感のあるため息をつく翔。
政宗を抱き締める。

政宗：「すまない……すまない…」

政宗の顔があたる首元が熱く、湿っているのを感じた翔。

翔：「…武川さんは悪くないです…俺のワガママです…悪いのは俺なんです。」

翔は、政宗の背中を摩りながら、政宗のことを考えなかった自分を恥じた。

場面展開

現在　政宗の寝室

政宗：「はぁ。」

携帯電話を片手に寝転ぶ
翔に連絡するか悩んでいた。
この２ヶ月、翔からの連絡はLINE以外、極端に減ったことが気がかりで眠れない。

[985] mixiユーザー 10月31日 21:09

政宗の恋　微熱の狐③　本編

場面展開

翔の部屋　ベッドの上

携帯電話を見つめる翔。
政宗の声を聞きたいが我慢している。
自分から電話すると、返事を催促しているようで気が引けていた。

翔：「はぁー。自業自得だよな…」

ベッドの上でゴロゴロて暴れる。

冷静に考えれば、時期尚早なことはわかることだった。

まだ付き合って１ヶ月。
政宗の今までの生活を考えるといい答えを聞けるはずはなかった。

自分の盲目さに呆れ、漣に《もっと知ってからでもよかった》と戒められたことを何度も思い出していた。

翔：「亀の甲より年の功なんだよなー。」

携帯電話を睨み付ける翔。

結局、この日も会話はしなかった。

場面展開

金曜日　夜　BAR：Revival

リンダ：「今日、マーさんくるの？」

棚のグラスを整理ししながら話すリンダ。

クララ(翔)：「多分、来ない。」

洗い物をしながら、浮かない顔をするクララ。

リンダ：「あっそう。ま、一昨日来たから、そうかもね？」

タバコに、火をつけるリンダ。

クララ：「来たんだ？一昨日？めっちゃ雨だった日？」

食いつくクララ。

リンダ：「まさに貸し切り状態で、話聞いてるだけで疲れたわ。」

ゲンナリするリンダ。
グチグチとした話を何度も聞いたりことを思い出す。

クララ：「…最近は俺がいない日に来るんだね。」

政宗のキープボトルを見て減り具合を見るクララ。

リンダ：「それは…しかたないわよ。あんたに話せない話したいんだから。」

タバコの煙を吐きながら、呆れるリンダ。
最近、この二人に振り回されて、気が気ではない。

クララ：「そうだね…」

他人に話せない話を聞くのもバーテンの仕事だとわかっていたが、政宗との距離が前より離れたように思う翔。

リンダ：「解決したら、また来るわよ。休みの日は会ってるんでしょ？」

クララ：「うん。」

リンダ：「そこが変わらないなら大丈夫よ。返事を待つって決めたんなら待ちなさい。」

タバコを吸いながら腕を組むリンダ。

クララ：「…俺、ウザくないかな？物欲しそうな顔してない？…嫌われたりしない？」

不安そうなクララ。
矢継ぎ早にリンダに質問する。

唖然とするリンダ。
煙を吐き出しながら笑う。

リンダ：「ふふ、バカね。」

クララ髪の毛を撫でながら、諭すリンダ。

リンダ：「ホントに…あーんなに自己中だったのに、マーさんで頭一杯なのね…」

愛しい息子を勇気づけるリンダ。

リンダ：「大丈夫よ。マーさんはあんたが好きだから悩んでるの。」

チリーン♪

客が入ってきた。

リンダ：「ほら、稼いできて。」

微笑み、肩を叩くリンダ。
頷くクララ。

翔：「いらっしゃいませー。」

クララの接客を見守るリンダ。

リンダ：「かわいくなっちゃって…」

入り口横の絵を見つめ、呟くリンダ。

リンダ：「…ほんと、どこまでわかってたの？母さん…」

場面展開

夜中　翔の部屋の前

鍵を開けると、明かりがついていた。

翔：「え？」

靴を見ると、見たことのある靴が脱いだあった。

翔：「ふふ。」

笑顔になる翔。
奥のソファーに政宗が座っていた。

政宗：「おかえり。」

自宅のようにくつろいでいた政宗。
ウィスキーをロックで飲んでいた。

翔：「ただいまぁ。来てたんですね。」

笑顔が消えない翔。
今日、会えるとは思わなかった分嬉しさがにじみ出ている。

政宗：「あぁ、明日休みになって…迷惑だったか？」

台所に行き、氷を取りに行く政宗。

政宗を後ろから抱き締め、首を振る翔。少し酔っているせいか、甘えている。

翔：「シャワー浴びてきます。」

くっついたまま話す翔。

政宗：「あぁ。」

翔：「…俺、独りですか？」

政宗：「ん？」

振り向く政宗。

翔：「シャワー浴びるのは俺独りですか？」

上目遣いで政宗の胸をツンツンしながら話す翔。

政宗：「ふー、また長くなるぞ？」

あまりの可愛さに笑い、グラスを置く政宗。

翔：「長いの、大好きです。」

政宗：「なら、しょうがないな。」

仕方ない振りをして承諾する政宗。

翔に手を引かれ、脱衣場に向かう政宗。服を脱ぎ、裸になる二人。

翔：「ちょっとお腹、筋肉付きました？」

政宗に近づき、わざとらしく、下から政宗の腹をなぞる翔。

政宗：「ん？そうか？」

普通に返事する政宗。

翔：「カラダ、動かしてますからね～。」

指の甲で政宗の腹や胸を触る翔。

政宗：「…いや…特に何も…」

翔の目が変わったことに気がつく政宗。

翔：「ふふ、おかしいですね…最近、ハァハァするような運動をしてませんか？」

[986] mixiユーザー 10月31日 21:10

政宗の恋　微熱の狐④　本編

クスクスと笑う翔。
政宗の背中に電気が走るほどゾクッとする目で見つめ、笑っている。

政宗の頬や顎、首をゆっくりと触る翔。
下を見るとお互いの股間が反応していた。

政宗：「…誘ってるのか？」

翔：「はい、さっきからずーっと。」　

翔にとって政宗を誘うことは難しいことではなかったが、自分の性欲を抑えることが難しかった。

場面展開

グラス一杯の水を飲み干す翔。

翔：「…シャワーでのぼせるって、初めてです…」

同じグラスに水を入れ、飲み干す政宗。

政宗：「…だから、最後ヤメろって言ったろ…」

氷が入った水を持ちながら、全裸で歩く翔。のぼせた熱を放出したい。

翔：「すいません…嬉しくって、つい…」

笑いながら水を飲む翔。

政宗：「嬉しい？毎週会ってるだろ？」

股間にだけタオルを巻き、扇ぐ政宗。

翔：「んー、そうですけど。」

ソファーにバスタオルを敷き、ポンポンと叩く翔。

翔：「んー、なんでしょうね？声聞いたり、一緒にいると、言葉にできない嬉しさ？安心感？があります。」

政宗：「そうか…」

翔の隣に座る政宗。
氷を口に含む翔。飴のように嘗め始める。

翔は３ヶ月付き合って政宗のことでわかったことがあった。

①ストレートに気持ちを伝えるとそっけない態度をとるが一番効くこと。

政宗の太ももをスリスリ触る翔。
ため息をつき、膝をポンポンと叩く政宗。

②甘く、わかりやすい行動をすると反応すること。

膝に乗り、唇を軽く重ねた後、微笑む翔。
追いかけるように唇に喰らいつく政宗。
熱を持った唇が冷たい唇が暖める。

③キスが激しいこと。

翔：「氷がぁっ…」

息を荒げ、目がとろける翔。
微笑む政宗。
溶けて口に流れた水を飲む。

④意外とケッペキではないこと。

翔：「第三ラウンド、イキます？」

口の周りについた政宗の唾液をペロッと舐め、笑いながら誘う翔。
右手を下で動かす。

⑤ホントは甘くて、一途で、不器用で、指がエロいこと。

暗転

場面展開

翔のベッドの上

薄暗い間接証明の中、くっついて横になる二人。

政宗：「…起きてるか？」

翔：「んぅん？…はい…」

寝かけていた翔。

政宗：「この前の話で、聞いてもいいか？」

翔にくっついたまま話す政宗。
顔を見て話せない理由があった。

翔：「この前の話？…どれですか？」

寝かけていたせいか、酔っていたせいか、脱力感のせいか、頭が働かない翔。

政宗：「…同棲の話。」

一呼吸おいて話す政宗。
一気に目が覚めた翔。

翔：「あ。はい…」

いきなりの話にドキドキが止まらない翔。

政宗：「…どうして、一緒に暮らしたいんだ？今の方が気楽だろ？」

くっついたまま話す政宗。
翔の反応を見たくない。
目や表情を見ると揺らいでしまう。

翔：「二言で終わる答えしか持ってないんですけど…」

政宗の手を握る翔。

政宗：「…」

翔：「好きだから。一緒に居たいと思ったから。それだけです。」

微笑む翔。

窓を見る政宗。
微笑んでいる翔が写っていた。

翔：「単純なんですけど、それだけなんです。」

翔：「武川さんは今までの生活もあるし、簡単に受け入れられないこともわかってます。イエスでもノーでもいいから答えが出たら…教えてください。」

目を閉じ、告白した時、苦しそうだった政宗を思い出す翔。

政宗：「ノーはない…」

翔：「そうなんですか？」

目を開き、驚く翔。
わかっていたが、確信がなかった。

政宗：「たぶん…」

自信無さそうに答える政宗。

翔：「たぶん？」

政宗：「たぶん…」

翔：「はぁーーー。ふふふ。」

大きなため息をついたあと、微笑む翔。

くっついていた政宗から暴れて離れる翔。

政宗：「おいおい！！」

突然の動きに驚く政宗。

翔：「あんまり可愛いこと言うと、襲いますよ？」

Tシャツ一枚の翔が政宗の上に馬乗りになり、マウンティングを獲っている。

政宗：「今日は勘弁してくれ…」

何度も乗られている政宗。
抵抗すらしない。

翔：「じゃあ、明日。《夢の中の俺》が…優しいと思えるほど鳴かせてやりますよ。鳥以上にね。」

政宗を見下ろす翔。
目の置くが笑っていない。本気だった。

政宗：「…はっ…敵わないな…」

翔：「ふふふ。」

笑いあう二人。

被い被るように政宗にキスをする翔。

[987] mixiユーザー 10月31日 21:14

政宗の恋　微熱の狐⑤　本編

場面展開

次の日の朝

朝ごはんを食べ終わり、新聞を読む政宗。
食器を洗う翔。

お湯が沸くと手を止め、湯冷ましをしてからお茶を煎れる。

邪魔にならない場所にそっと湯飲みを置き、また食器を洗い始める翔。

政宗：「翔…悪いが…」

喉が乾いてなにか飲みたかった政宗。
目の横に湯気が立つお茶があり、驚く政宗。

翔：「呼びました？」

政宗：「いや、いつの間にお茶が…」

翔：「さっきですよ？水かコーヒーが良かったですか？ついついお茶にしちゃいました。」

政宗：「…そうか…」

一口飲むと、薄めで少し熱い。
今飲みたい濃さと温度だった。

翔を見つめる政宗。

おわり。

[988] mixiユーザー 10月31日 21:21

>>[986]
一気に読めました。場面転換が上手い！
脚本読んでるような感じで動きがありますね。
武川さん！( * ॑˘ ॑* )⁾⁾

[989] mixiユーザー 10月31日 21:38

>>[988]

ありがとうございます。

シナリオ風なんで、どうしても映像を意識して書いてしまいます。

今日、政宗の誕生日だと忘れていたので、急いで書きました(笑)

今日に間に合ってよかった(笑)

[993] mixiユーザー 10月31日 22:05

>>[991]

ありがとうございます。

急ピッチで書いたんですが、なんとか様になりました。

エロ控えめでしょ？(笑)

[995] mixiユーザー 10月31日 22:21

>>[992]

ありがとうございます。

控え目にしたんですがエロいですか？(笑)

わかったことは、あたしが勝手に付け足した設定を、なんとか正当化しようと無理やりこじつけた感じです。

誕生日、本当に間に合って良かった(笑)

牧は作品がないから、気楽に皆さんのを楽しみたいです(^ー^)

[996] mixiユーザー 10月31日 22:39

>>[990]
春田カッコえ～（笑）
春田のくせに白馬の王子さま（笑）
牧、本編が切なすぎたから、もう、でれでれに甘やかしてあげたくなります。

[998] mixiユーザー 10月31日 22:54

>>[990]

全部読みましたぁー。
安定した世界観がいいですね。
春田がドラマとぶれてないあたりがすごくいいです。

創一が見えました(笑)