第十八回ふみまろ歌会プレ会場コミュの詠草一覧

①春の日にあらく揺られし腰骨も搭乗ゲートの先へ通しき
　　　　　　　　　
②法則を味方に付けて転がった車輪は多い方が良いです
　　　　　　　　　　
③歌うたう風のがしたる羊歯類のみっしりとあり雨の降るらん
　　　　　　　
④春の瀬を行き交う船の長き尾の　もう一度だけゆるすと決めた
　　　　　　
⑤花束をかかえた人と乗り合わす誰そ彼れ時の車輌のあかり
　　　　　　　　
⑥どうしようもない事だからワイパーにひとつひとつを弾かせている
　　　　
⑦トンネルのむこうを走るバスを追い父とともに走る　いまでも
　　　　　　
⑧海の上に白き翼を曳く舟のやうに冷や麦すすりをりたり
　　　　　　　　　
⑨“drive”は衝動の意だ　水溜まり割って流線型に近づく
　　　　　　　　　　
⑩子を乗せて東へ走る夜行バス光を集めて放ちつつ行く
　　　　　　　　　　
⑪千円を払い人力車は走る　きみはわたしのそこをまさぐる　
　　　　　　　　　　
⑫うす物の季節がきました水をかくあめんぼの脚の節が寂しい　
　　　　　　
⑬思わなくなっても雨にふくれゆく泰山木の白の質量
　　　　　　　　　　　
⑭かたすみの客人なればわかちあう白き鳩なりベンチに瞑る
　　　　　　　　
⑮みぎひだり停車のたびにドア開き乗り込んでくる海の香、山の香
　　
⑯すれ違いが何度かあってその度に車で帰るさがわきゅうびん
　　　　　　　
⑰終電のホームに戦ぐツメクサを育てていたり羽虫やわたし
　　　　　　　
⑱叱られる子の背にそっと手のひらで触れる子がいて君たちの勝ち
　　　　　
⑲スケボーの音だけ聞こえる夕まぐれ　やっちゃんやなことあったんだなぁ　