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石楠花プロジェクトコミュの石楠花物語・中1時代、物語のシナリオ、最終回

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小丸1諏訪日赤・病室
   千里が目を覚ます。側には珠子がいる。
珠子「良かったせんちゃん、気がついたのね。」
千里「んー…何処…ここ?僕、死んじゃったのかな…。ここは?あの世?黄泉の国かしら…」
珠子「何言ってるのせんちゃん、あなたは死んでなんていません。ここは、病院よ。分かる?ママよ、分かる?」
千里「ママ…?…(弱々しく微笑む)僕…生きてたんだね…良かった…(ハッとする)麻衣ちゃんは!?健司くんは!?アサちゃんは!?」
珠子「安心して…みんな無事よ。パパがね、麻衣ちゃんの事もちゃんと助けてくれたわ。」
千里「(安心して涙を流す)良かった…落ちありがとう…パパ…ん?…(はっとする)パパは!?パパは大丈夫なの!?」
珠子「せんちゃん…(深刻な顔をする)」
千里「(表情が曇る)…ママ…?」
珠子「パパね、何処にいるか分からないんですって…見つかっていないのよ…」
千里「え…」
   珠子、千里を抱き寄せる。
珠子「火の中でね…麻衣ちゃんと健司君だけを託したけれどね…見つかってその後、パパの姿だけが見つからなくなっちゃったのよ…」
千里「そんな…火の中って…それってまさか…」
珠子「(悲しげに首を降る)分からないのよ…生きているか…亡くなってしまったか…」
千里「そんなぁ…やだっ。やだよ、パパ…パパぁ!!!(珠子に顔を埋めて泣き出す)」
   そこへ磨子、麻衣、健司がパジャマを着て点滴を付けながらやって来る。

麻衣「小口君、」
磨子「小口君、」
健司「千里、」
   千里、涙目で三人を見る。
千里「麻衣ちゃん…アサちゃんに…タケちゃん…。(再び涙が込み上げる)良かった、良かったよぉ!!又あえて良かった!!」
   麻衣の両手をとる
千里「麻衣ちゃん、君に又あえて、僕は本当に嬉しいよ…ありがとう、ありがとう…生きててくれて。」
麻衣「何よ、急に。」
磨子「麻衣ちゃん、あなたには本当に心配したんだから。」
麻衣「はぁ?」
健司「(涙笑い)ったくほーだよ。…でも、お前って女は、ほんな状況になってもしぶとく生きてんだもんな。…大した女だぜ…。」
磨子「エレベーターの下に転げ落ちたときは私達…(泣き出す)へー本当にあなたがダメだと、もう助からなくて、死んじゃうと思ったんだからね!!!」
麻衣「エレベーターの下に?私が?…知らんにぃほんなこん。」
健司「知らん人は罪だよな…」
磨子「そうそう、こっちはこんねに心配してるっつーのに。てか健司、あんたもそうなのよ。」
千里「そうだよぉ、全くもぉ。」
健司「でもこの一件のせいで私達(赤くなる)何でもない…」
磨子「何よ、話しかけたことくらいちゃんといいなさいよね。」
   全員、笑う。麻衣、状況が分からずにキョトンとしている。磨子、健司、千里、泣きながらも其々に笑い会う。麻衣もつられて次第に笑い出す。もらい涙をする。

小丸1諏訪湖
   9月。麻衣、健司、千里、磨子、花火を見ている。湖岸には見渡す限り、周りには人、人、人。

健司「これで夏も…終わりだな…」
麻衣「えぇ…」
千里「(涙を拭っている)パパ…」
磨子「元気だしな、小口君…あんたのパパはとっても勇敢だった。」
   麻衣、磨子、千里を慰める。

   (終わる)
   四人も歩いて湖岸を出る。
健司「なぁ、ちょっと城南まで歩かねぇか?」
千里「城南って…僕んち城南だよ。」
磨子「何で?こんな遅くに小口君ん家に行くの?」
麻衣「迷惑よ。」
健司「違ぇーよ。千里、家入る前にちょっと付き合えよ。」
千里「?」

小丸1元木グループマンション
   焼け廃墟のみが残っている。四人。千里はブルッと身震い。

千里「…こんなとこ…何しに来たのさ…」
健司「勿論、決まってんだろう!!肝試しだよ。」
麻衣「ばっかじゃないの!?」
健司「はぁ!?」
麻衣「あんた、この間ここで辛い目に合ってるくせに!!」
磨子「喉元過ぎれば何とかね。」
健司「いいだろぉ。…千里、パパにも会えるかもな…」
   千里、再び泣き出す。麻衣、千里を慰める。
麻衣「ちょっとぉ!!」
   
   健司、中へ入っていく。麻衣、磨子も入る。千里、入り口で半泣きで立っている。

健司「おいっ千里、お前もこいっ。」
千里「嫌だ!!」
健司「来いよつ!!」
千里「嫌だってばぁ!!」

   外で風の音。千里、血相を変えて中へ入る。

磨子「バカねぇ…ただの風よ。」

   入り口が閉まる。千里、鳴き声をあげて戻り、急いで入り口のドアを開けようとするが開かない。

健司「諦めろ…。一回りすりゃ開くだろう…。」
声「その通り。」

   四人、キョロキョロ。

健司「誰だっ!!」

   元木優一(52)がやってくる。

健司「あんた…誰?」
元木「申し遅れました。私、このマンションのオーナー、元木優一と申します。」
磨子「元木?あぁ!!そーいやここ、元木マンションとか言ったっけ?」
元木「そうです。ところで皆様、何故お揃いで?」
健司「あぁ、俺たちこの前、ここのマンションの50周年記念のイベントで遊びに来たんだ。でもほん時に事故があったろ。だもんで、今ここがどんなになっているかと、」
元木「肝試しがてら興味本意で…?」
健司「ほ、ほいこん。」
元木「…いいでしょう。では、私が特別にご案内致します。」
麻衣「元木さん、でもあなたは?どいで?」
元木「あぁ、私ですか?…いやぁね、ここも焼けてこんな姿になってしまったからね、近々壊して建て替えるんだよ。一応私が責任者だからね…今のマンションの原状をこうして見に来たのだよ。どうぞ…」

   四人を案内して奥に進んでいく。

健司「なぁ元木さん、このマンションには元々何世帯くらいが住んでたんだ?」
元木「そうだねぇ、ざっと500世帯くらいかなぁ。」
四人「5…500!?満員!?」
元木「あぁ…しかし、イベントに来たもの以外、住人はみな亡くなってしまった…。」
麻衣「ほ…ほんなぁ…この、火事でですか?」
元木「こんな大きな火事は初めてだ…全く酷かった…。それ以来、ここには変な噂がこの短期間で立ってしまってね…城南団地を離れる人が後を立たないんだ…」
千里「ま…まさか…あの噂…ですか?」
元木「君、知っているのかね?」
千里「はい…僕の家、すぐ近くなんです…だから…。」
元木「そう。このマンションの903号室の話さ…903号室にはね、当時、若い男女が住んでいたんだ。女の名前は北条メイ、男の名前は望月孝助…。実は火事の日、二人は出掛けてていなかった。」
磨子「良かったわね。」
元木「しかし、部屋の中にはメイが大切に、大切にしていた日本人形が置き去りにされていたんだ。メイはそれを知って火事の後、ここに探しにこっそりと忍んで入ったらしいのだけど、人形が見つからないどころか、メイまでが帰ってこなくなった…。日本人形の呪いだと言う噂さ。」
麻衣「ほ、ほんなまさか。メイさんはきっと見つからなくて帰ったのよ。誰も見た人がいないだけ…」
元木「孝助の元にも、両親の元にも戻っていない…行方不明なんだよ。」
千里「いやだぁ!!折角そんなこと忘れてたのに酷いよ!酷いよ!!僕もう帰るぅ!!」
健司「落ち着けよ千里、ほんなのただの噂に決まってんだろう。大体、」
麻衣「でも、神隠しってものがあるに。」
千里「神隠し?」
麻衣「ほ。こう考えればいいんじゃない?メイさんはきっと何処かにタイムスリップしてしまったとか。」
健司「タイムスリップってお前…小説の読みすぎだろう。」
磨子「夢がないのね、健司ちゃんって。」
健司「は?」
麻衣「少しでも明るく考えた方が楽しいじゃないの!!あんたって人は全くぅ。」
健司「ちぇっ、これじゃあ全然ムードでないね。」

   エレベーターのあと。

健司「お、これってエレベーターじゃね?」
麻衣「ふんとぉーだ。エレベーターの中ってこんなになっとるのね。なんか怖いわ。」
千里「ねぇ、帰ろうよぉ…」
健司「俺たち…ここにいたんだよな。」
磨子「えぇ…。」
健司「麻衣、覚えてねぇーだろう。お前あん時うんと大変だったんだぜ。お前は、この地下に、かなり上からターンと落とされた。でも、奇跡的に生きてた…。あの高さじゃ確実に即死してたはずだぜ。」
麻衣「えー?」
健司「良かったな、麻衣。生きててくれてありがとう。」
麻衣「やめてや、急に。気持ち悪いわ。」

   元木はいない。千里、キョロキョロ。

千里「あれ、元木さんがいないよ。」
健司「んとだ。ったくあいつ、何処勝手に行っちまったんだよぉ…。」
磨子「お仕事でここへ来てるって言ってたでしょ。だからきっと、自分の仕事に行ったのよ。」
麻衣「ふーん。ほーか。まぁいいや…私達もボチボチ帰ろ。元木さん、きっと出入口開けといてくれたに。」
健司「ん、ほーだな。俺、何か…おしっこしたくなってきちゃったし。」
千里「僕も…」
磨子「ここ、寒いしね。」
麻衣「戻ろ。」

   四人、元来た道を小走り。一回のフロアのみ。

   出入口、元木の来ていた服を着た焼死体がもたれ掛かっている。四人、一瞬固まってから一目散に逃げる。

四人「出たぁーーーーーっ!!!!」

小丸1諏訪湖端
   四人、青ざめた顔をして放心状態になり口も聞けずに震えている。


あれから数ヵ月、みんなはあの日の事を徐々に忘れ、新しく歩き始めていた。

小丸1柳平家
   麻衣、紅葉、柳平。

麻衣「え、又転校?」
紅葉「ごめんね麻衣、でもね諏訪のおばさんがどうしても泊まり込みであなたに来てほしいって!」
麻衣「なら、転校なんてしなくてもおばさんのところに通えば…」
柳平「通いは大変だよ。知っての通り、父さんも母さんも仕事があるから送り迎えは出来ないんだ。」
麻衣「なら、おばさんちから今の学校へ!」
紅葉「城南から原村へ、どうやって毎日通うの?」
麻衣「ほれはぁ…」
柳平「そう言うことなんだ、ごめんな麻衣。」
麻衣「(つんっとする)分かったわよ…つむとしおは?」
柳平「つむは、辰野へ交換授業で数ヵ月、ホームステイ。」
紅葉「しおはこのままここに残るわ。」
麻衣「ちぇっ、私一人か。で?どこへ転校させんの?」
紅葉「諏訪中よ。」
麻衣「ふーん、諏訪中ね。…ん、諏訪中?」

   少し考える。

麻衣「諏訪中っ!!」

小丸1(回想)

千里「僕は小口千里っていうの…諏訪中でキャンプに来たんだけど…」

   (終わる)
麻衣【小口くんと一緒になれるって訳か…ビックリするだろうな…彼…。】

千里「(自宅で勉強をしながら)クシュンッ…風邪かな…?」

麻衣「いいわ、私転校する。」
紅葉「そう、ありがとう。本当にごめんね。」
麻衣「いえいえ、でも今度は何の用事なのかしら…?」

小丸1白樺高原
麻衣、健司、磨子

健司、磨子「え、転校っ!?」
麻衣「ほーなんよ。急にしろって。」
健司「折角一緒になれたのになぁ…寂しくなるよ。」
麻衣「何よぉ、転校ったって諏訪の内だだもん。いつだって遊べるらに。な。」
磨子「そうよ…てか、今度は何処なの?」
麻衣「諏訪中よ。」
磨子「ふーん、諏訪か。」
健司「諏訪中…諏訪中だとぉ!?」
麻衣「ほ、ほーよ…。」
健司「まさか、お前…あの、千里と一緒の学校か!?」
麻衣「ま、ほいこんなるわね。」
健司「ほいこんなるわねって…(やきもき)」

   健司、立ち上がって石を湖に投げ入れる。

磨子「どうしたんよ、健司!!」
健司「ベーつーに…」
 
   麻衣、伸びをする。
麻衣「ほれにしても…早いんね…へー2月…。2月?あ!」

   麻衣、健司にプレゼント包みを渡す。

健司「な、なんだよ。」
麻衣「まいぴうからのバレンタインだに。」
健司「は、バレンタイン?」
麻衣「ほーだに。ギりで。」
健司「ほ、ほんなの分かってらぁ…。開けていいか?」
麻衣「いいに。」

   健司、開け出す。麻衣、クスクス。

麻衣「ごたっち。やっぱりB型さんね。」
健司「おぉっ!!!」

   健司、包みを開けてうれしそうに目を見開く

健司「お、チョコレートケーキじゃん!!ひょっとしてこれ手作り?」
麻衣「勿論!!」
健司「わぁー、サンキュウ。俺、これ大好き!!いただきまぁーす。」

   健司、一切れを手で持って豪快に食べ出す。

磨子「あんたさぁ…みっともないからやめなさいよ。」
麻衣「ほーほー、ほれが御曹司の食べ方ぁ!?」
健司「(食べながら)うっせぇーなぁ、こういう風に食べた方が旨いんだよ!!」

   健司、次々とケーキを食べていく。磨子、麻衣、呆然として見つめている。

  
   健司、ワンホールを完食して満足気。

健司「んー、食った食った…」
麻衣「呆れた人!!ワンホールを一人で一度に食べちゃうだなんて。」
磨子「人間じゃないな…」 
健司「人間じゃなくて結構。磨子、お前からは何もないのか?」
磨子「あーりーまーせんっ!!誰があんたなんかにあげるのよ。ギりでもお断りよ。」
健司「ちぇっ、さーてと。なんか腹へったな…カツカレーでも食いに行こっと。」

   麻衣、磨子、健司をこずく。

麻衣、磨子「健司つ!!!」
健司「いたっ!!」


小丸1上諏訪駅・キオスク
   千里、後藤、小平、眞澄がジュースを飲みながら話をしている。

後藤「で?千里、先日のテスト何点だった?」
千里「最悪…赤点さ。」
小平「教えろよ、」
千里「嫌だよぉ、恥ずかしい…まだママにも見せていないんだ…。何て言われるか…。」
眞澄「チーちゃんのママ、怒らすと恐いからね…。ま、勉強しないチーちゃんもチーちゃんで悪いんだけどさ…」
千里「うっさいなぁ…」
後藤「いいからさ、な、教えろよ。秘密、な。誰にもチクらねぇからさぁ。」
小平「悪いなら悪いで、俺たちお前に勉強教えてやるよ。」
千里「本当に?」
二人「うん、うん。」
千里「なら…」

   鞄の中から答案を取り出す。

小平「なんだお前、答案用紙持ってんじゃんか。」
千里「ママに見つからないようにいつも隠し持ってんだよ。パパがいなくなってから勉強に関してはママが鬼になったからね。」

   千里、二人に答案を見せる。眞澄も覗き込む。

千里「…。」
小平「音楽…満点。理科、60点…英語、89点。なんだ、いいじゃねぇーか…」

   千里、赤くなって下を向く。

後藤「で?…何?国語、10点…数学、5点、社会科…0点っ!?…嘘だろ!?」

   小平、後藤、顔を見合わせて大笑い。眞澄もクスクス。

後藤「こりゃ俺たちよりも悪いや。」
小平「千里らしい。」
眞澄「ダメね、千里は。」

   千里、答案用紙を持って泣きながらキオスクを出ていく。三人、まだ笑っている。
小丸1小口家
   千里、家に駆け込む。玄関には珠子。

千里「(ギクリ)マ…ママ…ただいま。」
珠子「お帰り千里。なんかママに隠していることがあるわね?」
千里「…え?」
珠子「とぼけても無駄よ。この間のテスト、見せなさいっ。」
千里「…はい。(シュンとなる)」

   珠子、千里からテストの答案を取り上げてみる。千里、強く目を閉じる。

珠子「100点、60点、89点…いいじゃないの。10点、5点…0点ですって!?」
千里「ひぃーっ!!!」
珠子「千里ーーーっ!!!」


   (千里の部屋)
   千里、しくしくと泣いている。そこへ小口頼子(5)

頼子「お兄たん、どうしたの?又、ママに叱られたんか?」
千里「頼子か…何でもないよ…。」
頼子「お兄たん、元気出してね。これ…(焼きそばパンを手渡す)私んのだけどあげる。」

   頼子、戻っていく。千里、焼きそばパンを手にとって泣きながら食べ出す。電話。

頼子「はい、小口です。はい、はい、はい。お兄たんですね。お待ちください…。お兄たん、後藤さんって人から電話だよぉ!!」
千里「後藤君?…はーい。」

   受話器を変わる

千里「はい、千里です。何?」
後藤「いや千里、さっきはごめんな。どうだ?」
千里「どうだ、じゃないよ。あれからママにこっぴどくお説教喰らった。で、何?」
後藤「や、千里あのな。さっきお前帰っちまったからさ、話せなかったんだけど…今度うちの学年に転校生が来るらしいんだ。」
千里「転校生が?」
後藤「あぁ、でな?偶々小平がスーパー・コットン1/2の前を歩いてたらさ、ほの近くの家に見た事ない子がいたんだって。もしかしたら彼女がそうかもしれないぜ。」
千里「へぇ。女の子?男の子?」
後藤「女の子だってよ、すっげー美人らしいんだよ、な!!見に行こうぜ千里、な!!」
千里「美人の女の子かぁ…どんな子かなぁ。(デレデレ)」
後藤「お前って…気分の切り替え早っ。単純なやつ。」
千里「乗った!!見に行こう。」
後藤「よしっ、決まり!!」

   千里、家を飛び出す。

千里「行ってきまーすっ!!」

小丸1高橋家
   コットン1/2の近くの家。麻衣が中年の婦人と共に庭にいる。

麻衣「よしっと、終わった。」
婦人「麻衣ちゃん、御苦労様。いつから来るんだい?」
麻衣「新学期直前。ほいじゃあねおばさん、宜しくなして。」
婦人「えぇ。楽しみにしてるわ。こちらこそ宜しくね。帰るの?」
麻衣「はい。」
婦人「そう、気を付けて。」

   麻衣、元気よく手を降って帰っていく。婦人も家に入る。

   そこへ、千里、後藤、小平。

後藤「小平、何処だよ?」
小平「あの家だよ、あれ…もういないや。」
千里「残念、」
後藤「なぁ小平、どんな子だったんだ?詳しく教えろよ。」
小平「や、僕もよくは見ていないけど…確か小柄で、痩せてて…三つ編みで、眼鏡をかけてたな。如何にも大和撫子って感じの子だったよ、」
後藤「あの、永田眞澄とは大違い!!」
小平「その通り。」

   二人、笑う。千里、固まる。

千里「…。」

   三人の後ろに眞澄がいる。

眞澄「私が?何ですって…?」
後藤・小平「ん…(恐る恐る振り向く)」
眞澄「ちょっと、三人ともこっち来なさいっ!!」

   眞澄、三人を引きずっていきぼこぼこにする。
千里「僕、何も言ってないのにぃーーーっ!!冤罪だぁー!!」

   眞澄、三人をぼこぼこにすると手をパンパンと払って鼻を鳴らし、去っていく。三人、目を回してくたばっている。

小丸1原中学校
   卒業式のあと、麻衣のお別れ会をやっている。麻衣、色々な人から花束やプレゼントを貰っている。

麻衣「(泣きながら)ありがとうみんな、ふんとぉーにありがとう。」
清水「寂しくなるな、柳平。」
岩井木「又、原村にも遊びに来いよ。」
西脇「僕らも諏訪に遊びにいくからさ、又遊ぼうよ。」
茶目子「諏訪でいじめられんじゃないわよ。」
野々子「手紙とか電話してよね。」
麻衣「ありがとう、あんたらも元気でな。そして、岩井木、西脇、清水、あんたらはへー決して健司を虐めないこと。みんなで仲良くな。ほして健司、あんたは懲りずに何度も同じ手に引っ掛かっちゃあいけんに。虐められても立ち上がれる、強い男になること。泣いちゃだめ。」
健司「麻衣、色々ふんとぉーにありがとう。転校してからも、磨子と又三人で遊ぼうな。」
麻衣「えぇ、勿論。先生、今までありがとうございました。さようなら。」
小林先生「柳平さん、向こうに行っても頑張って。立派な人になるのよ。さようなら。」

   麻衣、泣きながら送り出される。

小丸1柳平家
麻衣、柳平、紅葉、紡、糸織。

麻衣「つむとしおとは、離れ離れんなるし、母さんも父さんもいない…寂しくなるわ。私一人でおばさんちでやっていけるかしら?」
紅葉「大丈夫、麻衣、あなたなら大丈夫だわ。」
柳平「あぁ。何かあれば近くなんだ、すぐに飛んでいくさ。」
紡「ほーだに。学校が違うったってさ、私達遠く行くわけじゃないだだもん、会いたくなりゃ電車でディンディーンと、な。」
糸織「ほーだに。僕はこのまま原村にいるしさ。」
麻衣「みんな…」
紡「何泣いてるんよ、あんたは。この泣き虫麻衣!!」

   そこへ先程の婦人。

紅葉「あ、おば様ね。」
けいと「おぉ、これはこれは…今日から麻衣がお世話になります。どうしようもない娘ですが、面倒見てやってください。」
婦人「いえいえ、麻衣ちゃんはとてもいい娘さんですわ。それでは数ヵ月、お借りいたしますわね。では、麻衣ちゃん…」
麻衣「はい、おばさん…」
紡「気を付けてなぁ、まーい!!」
糸織「辛くなったらいつでも戻ってこいよぉーーーっ!!」
紅葉「くれぐれも、体には気を付けて。おばさんの言うこと、きちんと聞くのよ。いい?」
麻衣「勿論よ。」
柳平「それでは…」
婦人「はい、では…さぁ麻衣ちゃん。そろそろ参りましょう…。」
麻衣「えぇ、宜しくお願いします。」
   麻衣、婦人、車に乗り込むと車は動き出す。家族と麻衣、互いに見えなくなるまで手を降っている。

小丸1岩波家・健司の部屋
   健司、バイオリンを弾いていたが止めてぼんわりと考え事をするように。

健司(麻衣…俺、今気がついたんだ。ひょっとして俺ってお前の事…好きんなっちまったかもしれないんだ。お前が俺を庇って助けてくれたあの日から…。)

   フット笑って再びバイオリンを引き出す。

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