ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

読み人倶楽部の読書会コミュの第65回読書会☆報告☆『闇の自己啓発』

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 今回は割とこじんまりと4人で行われた読書会、扱ったのは江永泉ほか早川書房『闇の自己啓発』。もともとnoteでの連載が基となっている本で、その体裁は読書会を文字起こししたもの。しかし一読して分かるとおりその情報量は異常で、仮に実際に行われた読書会に後々情報を追加していったのだとしても、その手間暇・情熱は並々ならぬものがあるわけで、しかもその内容がサブカル‐アングラ‐人文諸学と広範囲にわたるわけで。そんなおそろしくパンプアップした読書会(の記録)に我々の読書会が挑んで惨敗した(?)かたちになりましたが、まぁ世の中は広いということで。

 読書会では本書の章立ての順に進んでいきました。ダークウェブ、Youtube、管理社会、科学とマスコミ、AIのことなどが話し合われました。詳細は振り返りませんが、まずもって言えるのは、本書で語られている事柄のほとんどを私たちはあまり知らない、ということです。正確に言うと、まったく聞いたことがないというわけではなのだけど、身をもって体験として知っていることではない、ということ。本書の面白味が「近代的で自己啓発的な主体」とは違った方向での主体化を、あるいは端的に反‐主体を目指すことにあるのだとすれば、その本書が拠り所にする事例の多くを知らないということは、本書が目指す地平が本当のところどのようなものか身をもって理解することはできない、ということです。さらに言えば、「近代的で自己啓発的な主体」の外に出ることの必要性など、部外者にとっては、オルタナティブを提示し現状をブラッシュアップすること以外に、本当はないのかもしれない。しかしそれでも本書の内容に少しでも感じるところがあるのであれば、私たちのなかにも「近代的で自己啓発的な主体」からはみ出すものがあるのかもしれない。読書会の冒頭で「本書が抜歯した親知らずの写真から始まっているのは象徴的だ」と言ったのはそういう意味であります。

 読書会で扱えなかったトピックをいくつか。
 
 反出生主義について。見た目にはどぎついペシミスティックな響きがありますが、現在の流行の源流となったデヴィッド・ベネターの思想には本来、「好ましいことと好ましくないことの非対称性」というモチーフがあります。ざっくばらんに言うと、「好ましいことが起こることは善く、好ましくないことが起こることは悪い」一方で、「好ましくないことが起きないことは善く、好ましいことが起きないことはそこまで悪くない」という非対称性で、ゲーム理論的に得失点を拾っていくと「そもそも生まれてこないほうがよかった」という命題が合理的に得られる、という感じです。単純なプラスかマイナスでしかないものが人の心意に関わると手触りが変わってくるという点、面白くないですか。もっとも本書では社会制度、ジェンダー、加速主義などへと接続していってましたが。

 クィア理論について、というか第6章について。読書会中でも「アイデンティティにすがることのうさん臭さ」みたいな話をしたと思いますが、この第6章の「アンチソーシャル」というのも概ねそういう意味かもしれませんね。しかしそこまで人間は洗練されているのか、というのが疑問です。アイデンティティというのものを、人と人が接触する際の摩擦面と捉えると、ここで話題になっているアンチソーシャルな主体とは、摩擦面としての皮膚をすべて引き剥がしたため全身が擦過傷で成るような主体だと思います。そのような成員から成る集団はまさに法外な集団と言えますが、法外な集団が成立するためには法の領域が確保されていなければならない。ということは、全人類がアンチソーシャルになるわけにはいかない、ということです。まぁ、あたりまえですが。前段で書いたことと似てきましたが、ソーシャルの側にいる我々にできるのは、芸術作品や祝祭や災禍を通して適宜のタイミングでアンチソーシャルなものをソーシャルへと還流させることぐらいしかできないのか。そもそも、こういうことに関して「我々にできるのは」という語法で語ることは何を意味するのか。そんなことをぼんやり思いました。

コメント(2)

本全体を通してよくわかんないけど、「生まれてこない方が良かった」なんてことはないだろう。だって稲葉さんがこんな風に歌ってるから。
「誰もが無限の可能性を抱きしめて生まれてきたんでしょう?ねぇ」(衝動/B'z)
稲葉さんが歌ってるんだから間違いないw
ほんとに、わかんないことだらけの本でしたねー!わかんないことだらけでしたが、楽しい時間でしたよ。みんながわかんなくて、よくわかんないながらに思うことを出し合う着地点の見えない感じ、とってもスリリングです!!

自分自身は書かれている内容について理解することは諦めて、読書会メンバー4人の出会いと交流の準フィクション?として読んでました笑

社会に対して居場所を見つけられない、違和感を感じているそれぞれのメンバーが、読書を通して世界の可能性を捕まえようともがく様。各々の感じ方を交換しながらも、無理に意見を擦り合わせたりせずに、それぞれの違いを確認し合う姿。素敵です。読むうちにメンバー4人が好きになり、応援したくなりました。
読書会という居場所作りがなされていく過程を外から眺めることができた一冊です。読書会で読書会の本を扱うって面白いですね!

親知らずの補足、ありがとうございまーす!ふんわりですが、分かったような気がします。というか、内容的にはヤトリさんの報告を読んで、こういう話だったのか!と知りました顔(嬉し涙)

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

読み人倶楽部の読書会 更新情報

読み人倶楽部の読書会のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。