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☆ヒロのココロ☆コミュの【舞】

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平成13年の10月頃の事、僕が当時流行っていたホームページ(以下ホムペ)を作ったばかりで他のホムペを転々としていたらたまたまあるホムペにたどり着いた。

そこで出会ったホムペの管理人は【舞】

東京に住んでいて、当時流行っていたパラパラやダンスが好きでよくクラブなどのイベントが好だという今時のギャル風なコだった。


ただ、そんな【舞】のホムペには普通と違うところがひとつだけあった。それは、、、



そこのホムペの管理人の【舞】もういなかった、ということ。
そのホムペのTOPにはこう書かれていた。


『管理人の舞は9月8日、午前3時過ぎに亡くなりました。信じられないかもしれませんが事実です。あたしも信じられないけど事実は受け入れなければなりません』


これは舞の副管理人の友達が書いた文章だった。

そのホムペを見てみると舞はほぼ毎日のように日記をつけていた。ただ、その日記は亡くなる前日の9月7日で止まっていた。
掲示板などもそれ以降に舞本人からの書き込みや返事もなかった。


「これを書いていたコがもういない?」


僕はこのホムペを見ているうちにどうしようもなく胸が締め付けられるかのような感情になり、本当にここに書かれてる事が《事実》なのか気になってしかたなかった。
その時はなぜかわからないけどすごく心拍数が上がってケータイを持つ手が震えていたのを覚えている。


舞のホムペの一番下のところに

『もし、舞の事で急用がある方や知り合いの方はこちら(私書箱)に連絡してください』

と書いてあったので送ってみると数時間に返事が返ってきた。

返事をしてきたコの名前は【香織】という舞の1コ上の先輩で舞とは一番仲が良かったのだという。


とりあえず率直に聞いてみた。


「舞ってコは本当に亡くなったんですか?」

しばらくして香織からの返事がきた。


『あなたは舞の知り合いですか?知らない人だったら答えられません』


…もっともな返事だった。興味本意だと思われても仕方のない、僕は香織にこう返事をした。


「ごめんなさい、軽率に聞いてしまって。ただ、舞のホムペをたまたま見てすごくどうしようもない気持ちになって気がついたら連絡してました。気を悪くしたなら返事はしなくていいんで…」


しばらくして香織からの返事はこうだった。


『そ-なんですか?まぁ冷やかしとかいい加減に聞いてきたんじゃないみたいなんでもう少し様子をみてから話します』


それから2、3日くらいやり取りをした記憶があって舞の事は触れずに自己紹介的な事や自分の性格的な事を話してたと思う。

すると香織のほうから話しだした。


『あなたは舞と知り合いじゃないけど、冷やかしや適当に聞いてる人じゃないみたいでよかった。何人かそんな感じで聞いてきた人もいたから』


そう言った後に舞のことをゆっくり話しだした。

『舞はね、何年か前に度の強い薬や毎日殴りあいのケンカばかりしてたんだ。気づいた時には身体中ボロボロになってて、詳しくはわかんないんだけど体の免疫が弱くなってく病気になってたんだ。医者に言われたのは体の抵抗力が普通より早く弱くなっていって20歳頃にはほとんど無くなって死んでまう病気なんだって…』


それが舞が17歳の時に言われた《命の期限》だった。



その時、舞は実家を出て東京で独り暮らしをしていた。

両親は舞が小学生の時に離婚して、父親に引き取られたものの父親の暴力と再婚相手ができて舞の居場所がなく、小学校を卒業して中学に入ったばかりの時に家を出たらしい。父親は舞を引き留めるどころか母親の元へ行くように言ったらしいが母親はどこにいるか連絡さえつかない状況だった。

身寄りもなく、頼る相手も誰もいなかった未成年の舞が生きていく為に取った行動は、万引き、傷害、援助交際など…とても良いとは言えないことばかりだった。
香織はそんな時に舞と知り合ったのだという。


その時は香織自身もかなり荒れてたらしく、舞とは何度も殴りあいをするほど敵対関係だったらしい。ただ、殴りあいをしている時の舞の目がとても哀しくて寂しそうに見えた香織は徐々に舞の事を気にかけていって、最初は全然心を開かなかった舞が少しずつ香織に話をするようになっていき、時間が経つにつれ舞は香織のことを姉のように慕うようになっていった。


香織自身は舞は自分を慕っていたというよりも見た目や性格など舞の方が大人で感情などもほとんど出さないらしく、パッと見は舞の方が姉みたいだったと言っていた。

香織はこう続けた。


『舞とはたくさん悪い事や馬鹿だなぁ…って思うこともやったり後悔もあるんだけど、あん時は自分らはそれしかなかったんだよね…必死だった。』


いろいろあって舞が16歳になった頃から二人とも落ち着き出して舞はアルバイトをしながら生活をして、香織は実家に戻り親に薦められて定時制の高校に通いだしたらしい。


それから一年近くが過ぎ、舞は香織の学校の友達やバイト仲間たちと普通の女子高生のように楽しく過ごす毎日になっていった頃に舞の体に異変がおきていた…。


咳が頻繁に続いたり、目眩や立ち眩みが続いたり、それがどんどん悪化して病院で調べたら、まさかの【余命宣告】だった…。

だが医者が言う20歳までの余命と言うのはすぐに入院して安静にしながら治療をしてと言う条件付きだった。医者は舞に今すぐにでも入院をするように勧めた。

しかし舞は入院を拒否した。


舞は入院して長く生き延びるより最後まで普通に生活して生きることを選んだ。

当然、入院しなければ舞の時間は数年ではなく数ヵ月しかなくなる恐れがあると医者は告げた。


でも舞の気持ちは変わらなかった。


舞は自分に《残された時間》を精一杯、生きようとした。当たり前のように過ぎていく毎日、みんなでカラオケしたり、マック行ったり、プリクラを撮ったり…


そんな当たり前の毎日が舞にとっては残り少ない思い出になっていた。


そんな頃、舞には【広海サン】という彼氏がいたらしい。舞より一回り年上で舞の気まぐれなわがままも嫌な顔をせず受け入れてくれる、名前のとおり心の広い彼氏だったらしい。


でも舞は周りの友達にはもちろん、彼氏の広海サンにも病気のことは言わなかった。
この話をしてくれた香織にさえ亡くなる1ヶ月前にやっと聞かされたらしい。

香織は舞の性格をこう言っていた。

『舞って弱いとことか辛いとことか絶対見せないコだった。感情もあまり出さないし涙とかも見たことなかったし…ちょっと冷めてるような感じだったけど…まぁいろいろあったコだからそうなのかなって…』


香織が舞に出会った時には舞はすでにたくさんの嫌な世界を見てきたんだろう。涙も出なくなるほどの経験を幼い頃からしてきた舞はなんて数奇な人生なんだろう…



数ヵ月が経ち、舞の異変に気付いたのは広海サンでした。
一緒にいてよく咳き込んだり、席を外す回数があまりに多かったので何度も舞に問いただしたら舞は打ち明けたそうです。
広海サンは舞をすぐに病院に連れて行こうとしましたが舞は拒んで言いました。


『病院は行かない。入院してベッドの上で長生きなんかしたくない。たとえ早く死んでも最後まで普通に生きていたい』

それを聞いた広海サンは舞の意思を尊重しました。

ただ舞の言葉通りに舞が普通に生きる時間が残り少なくなっていました。

舞は少しずつ周りの皆の集まりに行けなくなっていました。具合が思わしくなく、発作の回数も増えて外に出られない日が多くなっていました。


香織も周りの友達も舞の病気の事は知らないので
『最近、舞って付き合い悪くね?』『ダチより彼氏優先とかぢゃね?』みたいな事を言われるようになっていました。


そんな中、香織は舞を心配して舞の家に行ったらそこには顔色が悪く咳き込む舞の姿がありました。見た目も少し痩せていたように見えたそうです。


最初は香織にも《ただの風邪》と言ってたそうですが、病院に連れてこうとしたらようやく病気の事、長く生きられない事を話してくれたそうです。
ただ、周りの友達には言わないでほしいと言われて結局、最後まで病気の事を知っていたのは香織と広海サンだけでした。


香織は舞の気持ちがわかったので舞の体調を気遣いながらみんなとの時間を過ごせるようにフォローしていたそうです。舞自身もみんなといる時は辛そうな表情も出さずに《今までどおり》接していたそうです。


そんなみんなといる時に舞はたまに香織の方を見て、少し照れくそうに香織に目で「ありがとう」と言っているように見えたと言っていました。
舞自身は言葉で礼とか言うタイプじゃないらしいので、舞の仕草で言いたいことがわかったのが嬉かったらしいです。


舞と過ごした最後の1ヶ月の時の舞は何年も付き合いある香織の中で一番、楽しそうで穏やかな表情が多かった気がするとも言っていました。



そして舞の最後の日がやってきました。



舞の最後の日は病院のベッドではなく彼氏の広海サンのアパートでした。


夜、いつもならしばらく経ったら治まる発作がその日は全然止まらなくて、ヤバイ!と思った広海サンは救急車を呼ぼうと電話を取ろうとしました。


すると舞は広海サンの腕を掴んで首を振りました。

舞は自分の最期をわかっていました。


咳き込んで喋れず、広海サンを見つめる舞の表情から広海サンには舞が

『もう、いいよ、ありがとう…』

って言ってるように見えたそうです。


広海サンは泣きながら舞を強く抱きしめて精一杯の笑顔を作りました。


その腕の中で舞は安心した表情で今まで広海サンにも見せたことのなかった『涙』を浮かべながらゆっくり深呼吸をひとつついた後、静かに息を引き取りました…。


その時の広海サンの部屋は都会の中とは思えないほど静かに感じたそうです。


深夜の都会に舞の『抜け殻』を乗せて走る救急車のサイレンが虚しく響きました。


わずか18年という短い人生。幸せだった時間は短かったかもしれない。短かったのも自業自得かもしれない。でも舞は自分で人生を選び生き抜いて、最後は笑って涙して終われたのだから後悔はしてないのだと思う。


最後の最後に報われたのかなって思います。


舞の事を聞いて教えられたこと、人生は長い短いに関わらず、どう自分らしく生きるかが大切なんだな、ってことを会ったこともない一人の少女から教わりました。



あれから十数年が経ち、今では舞のホムペも消えてしまい見れなくなってしまいました。舞の残した文章ももう見ることも出来ません。
この話をしてくれた香織や広海サンとももう連絡も取ってないので、残っているのは自分の記憶だけだったので当時とはちょっと内容が曖昧なところがあるかもしれません。

この話が本当にあった話かどうかは自分自身も香織から聞いた話なので事実かどうかはわかりません。ただ、あの時自分に一生懸命伝えてくれた香織や広海サンの言葉が作り話とは思えないです。


これで【舞の話】は終わりです。


最後に、これもかなり記憶が曖昧なんですが…

舞が亡くなる前日に書いた日記をなるべくそのままに近い形で書いてみます。



《舞の日記、9月7日》


『今日ハ昼カラ後輩のコと飯食いにイッテキマシタ手(パー)一人の後輩のコがこの前やらかして家裁行きが決まったらしく、なぜかそれを自慢気に話シテルし…バッド(下向き矢印)何がそんなに楽しいんダカ…ハァexclamation & questionってカンジでマジついてけませんデシタ手(パー)

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