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孫呉VS武田上杉連合コミュの天軍師舞い降りる3

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「ちょ!」
 両脇をがっちりと掴まれ連行されてしまった。
(この人たちいつまで役になりきってるんだ?)
 俺はこの人たちの役者魂ぶりに最初は感心したが、今はどうにかしてほしい。
 小さく見えていた陣営が大きく見え、俺はすごいなと圧巻の声を漏らした。
 あの中に監督さんがいるのだろう。
 監督さんに話をして謝り帰ろう。あと、ここはどこだかも訊いて。
 ―俺の期待は大いに外れ、縄に両手を縛られ木に括り付けられた。
「な、何をするんですか?」
 これはやり過ぎだと思い抗議するが、うるさい、黙っていろとの二言だけしか返し言葉がなかった。
「もう一度訊く、貴様は何奴? どこから来た?」
 険しい表情で槍の穂先を向け脅し尋ねてくる。
 もう一人の足軽役者は無言のまま仁王立ちしている。
「俺は自分の部屋にいたんですが、パソコンで小説を書こうとしたら飛ばされてしまったのです」
「羽素金とは意味の分からない言葉を申すな!」
「そうだ。それに、その身なりおかしな身なりだ。お主は異国の者か?」
 無言だった足軽役者も獲物を睨むような眼光で訊いてくる。
「パソコンですよ。パソコン。分らないのですか? それにこれは制服です。学生だったときに着ませんでしたか?」
 俺も話が通じない苛立ちで強い口調で反論する。
 ここまで話の通じない人は初めて見た。
 もう、役者魂を見せなくていいから、俺を帰らせてほしい。きちんと監督ささんに謝るから。
「ええーい。話の通じない奴目!」
 足軽役の一人が痺れを切らし、槍の穂先を突き出した。
 どうせ、斬れない模造槍だと思っていたが……。
(う、う、嘘だろ?)
 首を横にして見ると恐怖が走った。
 白銀の刃が木に突き刺さっていたのだ。
 本当に斬れるのか? 時代劇撮影にしても度が過ぎている。
(ま、まさか……)
 このような時代劇は許されないだろう、その前に問題があり過ぎている。
 俺はこれが時代劇撮影ではないと確信したが、同時に一つの結論が脳裏に過る。
(いや、あり得ないだろう。だが、これしか浮かばない)
あり得ないと自分に言い聞かせも、答えがこれしかないとも思ってもいた。
もし、そうだとしたら俺は命がないかもしれない。
 俺が出した一つの結論とは。
(タイムスリップ)
 戦国時代に飛ばされてしまったのだ。
 ノートパソコンのカラクリか? 何らかの原因で飛ばされたか? 神の悪戯か?
 どれも未知の力でしかなく、そのような力が本当にあるのかも疑うが。
 だが、俺はその力によって、今、戦国時代にタイムスリップしているのは事実。
「自分はこの時代の者ではないのです。話せば長くなりますが訊いて下さい」
 俺は誠意と意気を込め懇願する。
 足軽役者ではなく、本当の足軽二人は互いの顔を見て頷いただけ。
「先ほどからの言葉からお前の言うことは信用ならん。そのおかしな身なりも怪しすぎる。ここで、手討ちにしてやる」
手討ちとは殺すということ。俺は今この場で殺すと言われた。
「お願いします。話だけでも訊いて下さい!」
「やかましい! その首を刎ねてやる!」
 懸命に訴えても怒気を剥き出しにした罵声を浴びせられただけだった。
 槍を突き刺した足軽が槍を地に置き、腰の刀を抜いた。
 このような状況で煌めく刃は美しいと思わない。それよりも不敵な微笑みに思える。
「さらばだ、異国の者よ」
 刀が振り落され俺はもうダメだと思い眼を閉じた。
「貴様ら何をしている!」

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