Amis　コミュの初顔合わせと初練習６

耳が癒される〜。
　絢音は甘い声を強調しつつも力強い歌声で歌っている。
　サビだぞ！
　笑顔で絢音は力を込めてサビをしっかりと歌っていた。
　ここは、ただ、力強さを示せばいい訳ではない。
　颯爽感を出さないといけない。
　それは、恐れず一緒に前に進もうとファンに伝えるため。
　サビの最後にも『きっと（きっと）きみの夢の力　今を動かす力　信じてるよ　だから　さあ』
　私は君の夢を実現させる力を信じているから、一緒に進もうと言っていると思う。
　俺なりの解釈だけど。
　絢音の歌声を聴いているとまだまだ不足な所はあるが、人を元気にさせる歌声はある。
　これからだ。これから。
　歌い終わると俺は一人拍手する。
「良かったよ。絢音もあの伝説のスクールアイドルμ'sを知っているのか？」
「μ'sは大ファンでライブも見に行っていたし、アイドルになりたいきっかけでもあるの」
「俺もμ'sの熱狂的なファンだよ。ライブも見に行っていたし。いや〜、ここに同志がいるとは」
「私もμ'sのライブは欠かさず見に行ってました。海未さんがとても素敵な方で憧れです」
「詩乃もか！　たしかに、海未さんは清楚で美人な人だよ」
　どことなく、詩乃も海未さんと同じぽい所があるかも？
「私は凜さんが好きでやがる。あのキレの良いダンスと独特の喋り方『にゃ』が最高でやがるよ」
　十分に心美も独特な喋り方だけどね。
「詩乃と心美もか！　俺が憧れたアイドルを三人とも好だったとは、やっぱり、三人を指名して良かったー」
これはデスティニー。
今日はμ'sの曲を彼女たちの歌声で聴き放題。
至福の時間だよ。
本家本元たちなら天国に飛び立つくらい幸せ。
「私はやっぱり穂乃果さん。可愛いし綺麗で、何といっても元気がでる歌声が最高だよ」
　絢音さんさすがっすね！
　君は穂乃果さんと同質な所があると見込んでいる。
　人の心に元気を与えつつ勇気も与える素質。
「三人はμ'sが大好きで憧れてアイドルになった。俺はプロデューサーになった。憧れを憧れのままに終わらせず、越えて行こう。μ'sに負けないくらいの最高のアイドルに」
「もちろんだよ。穂乃果さんに負けないくらいファンに笑顔と勇気を与える」
「私も誠心誠意、粉骨砕身の覚悟で歌います」
　詩乃。その覚悟はいいが身を砕けさせるのはダメだよ！
「全力で走るでやがるよ。二人とも行くでやがる！」
「「おー」」
　オー！　と掛け声を合わせ三人は拳を上げた。
「今日はμ'sの曲を歌いまくってくれよ」
「次は三人でススメトゥモロウを歌うでやがる」
「おおーー」
　心美ナイスだ！
　すかさず、俺は備え付け電話で係員にテレホン。
「マイク一本追加お願いしまーす」
　マイクは二つしかないから、マイクを追加しないと三人が歌えないじゃないか。
　三人が『ススメトゥモロウ』を探しているうちに、係員がマイクを持って来た。
　俺は盛り上げるためマラカスを両手に装備。
　曲が流れ三人はマイクを持つ。
「イエーイ。思いっ切り歌っちゃいなー！」
　テンション←←でマラカスをシャカシャカと振る。
　三人は互いに分り合ったかのように、パート分けをして歌っている。
　穂乃果さんは絢音。海未さんは詩乃。ことりさんは心美。
　ことりさんの声は甘声すぎて、心美には少し無理がある。
　だが、新鮮さがありそれも良い。
　彼女たちの歌声と俺のマラカス演技。
　邪魔にならないように。
（三人の息は合っている。これは良い感じに人気が出るぞ！）
　サビの『ハイ！　ハイ！　ハイ！』の所だけ、マラカスを大いに活躍させる。
　掛け声を入れたかったが、邪魔していけないと思いとどまる。
歌い終わり三人は笑顔でハイタッチ。
「ブラボーーーー。いやー。良かったよ。三人の息も合っていたと思う」
「次は凱斗の番だよ」
「え？」
　俺は聴く専門としてカラオケに来たんだけど？
「一度くらい、凱斗の歌声を聴いてみたいです」
「歌って欲しいでやがる」
　おっと！　彼女たちからのリクエストが来るとは思わなかった。
　何を歌うか考えてない。