古寺巡礼コミュの欣求の道　　17番　日吉大社

大津の坂本、比叡山の足元に広がる街並は風情があるのでは
滋賀県、欣求の道
（149）旧官幣大社
日吉大社（ひよしたいしゃ）
住所　〠　520―0113　滋賀県大津市坂本5―1―1
電話番号　

　077―578―0009
御祭神　下記参照
開祀　崇神天皇7年
アクセス　湖西線比叡山坂本駅より徒歩20分・バス5分
　　　　　京阪電車石坂線坂本駅より徒歩10分
＜神歴・縁起＞　H/P　http://www6.ocn.ne.jp/~hiyoshi3/
式内社　近江國滋賀郡日吉神社名神大
旧官幣大社

社名　　　　　　　　御祭神　　　　　旧称　　　　　　　場所
上七社（山王七社）
本宮　西本宮　　　　大己貴神　　　　大宮　大比叡　　　西本宮
本宮　東本宮　　　　大山咋神　　　　二宮　小比叡　　　東本宮
摂社　宇佐宮　　　　田心姫神　　　　聖真子　　　　　　宇佐宮
摂社　牛尾神社　　　大山咋神荒魂　　八王子　　　　　　牛尾宮（八王子山）
摂社　白山姫神社　　菊理姫神　　　　客人　　　　　　　白山宮
摂社　樹下宮　　　　鴨玉依姫神　　　十禅師　　　　　　東本宮境内
摂社　三宮宮　　　　鴨玉依姫神荒魂　三宮　　　　　　　三宮宮（八王子山）
中七社
摂社　大物忌神社　　大年神　　　　　大行事　　　　　　東本宮境内
末社　牛御子社　　　山末之大主神荒魂牛御子　　　　　　牛尾宮拝殿内
摂社　新物忌神社　　天知迦流水姫神　新行事　　　　　　東本宮境内
末社　八柱社　　　　五男三女神　　　下八王子東本宮参道
摂社　早尾神社素盞嗚神早尾境内入口そば階段上
摂社　産屋神社鴨別雷神王子境外・止観院そば
末社　宇佐若宮下照姫神聖女宇佐宮境内
下七社
末社　樹下若宮　　　玉依彦神　　　　小禅師　　東本宮境内
末社　竈殿社　　奥津彦神・奥津姫神大宮竈殿　　　　　西本宮境内
下七社
末社　竈殿社　　奥津彦神・奥津姫神二宮竈殿東本宮境内
摂社　氏神神社鴨建角身命・琴御館宇志麿山末東本宮参道
末社　巌滝社市杵島姫命・湍津島姫命岩滝東本宮参道
末社　剣宮社瓊々杵命剣宮白山宮境内
末社　気比社仲哀天皇気比宇佐宮境内
境内は、比叡山系の最高峰・大比叡峰の東方に位置する八王子山（牛尾山）を含む山麓の13万坪であります。その大きさは、実に甲子園球場11個分と大変広いのですが、境内の入口が僅か11mということもあり、初めて訪れる参拝者からは｢こんなに広いとは思いもしなかった｣という感想を承ります。
円錐形をした遠望の美しい八王子山は、神代の昔より比叡山の神（大山咋神）が降り立つ神体山として崇められ、以後歴史の変遷の中で社殿が築かれ、神輿が奉納され、更には神仏習合といった様々な信仰形態が取り込まれ、｢古代信仰の博物館｣とも評されております。
桓武天皇の御代、都が京都・平安京に遷り、当大社が表鬼門（東北）に当ることから、都の鬼門除け、魔除け、災難除け、更には天下泰平、五穀豊穣祈願の社とされ、天皇の行幸がなされるほどとなりました。
　延暦寺の僧兵による強訴(当大社の神輿が担ぎ出される)、織田信長の比叡山焼討(延暦寺とともに全焼)、明治初年の廃仏毀釈など、歴史の表舞台にもしばしば登場します。
　西本宮：大己貴神　天智天皇7年（668年）大津京遷都にあたって、大和国三輪山（大神（おおみわ）神社）より御神霊を御迎えし、大津京を始め国家鎮護の神として祀られました。この神は、国土を開拓・統治なされた神であります。
　東本宮：大山咋神　古事記上巻に「此の神は近淡海国（ちかつおうみのくに）の日枝山（ひえのやま）に坐（ましま）す。」と記載されているように、神代の昔より比叡山に鎮座する地主神であります。
　御神名の「クイ」というのは、山の樹木やその麓の田畑の五穀をグイグイと伸ばし育てて下さる御神徳を指したものです。その兄弟神には竃神・庭の神・玄関の神・土の神があり、その御両親の神が大年の神（稲の神）と水の神であることから五穀豊穣から家庭日常生活の守り神として広く信仰されております。
　宇佐宮：田心姫神　『古事記』『日本書紀』では、アマテラスとスサノオの誓約において、アマテラスがスサノオの十拳剣を譲り受けて生んだとされており、スサノオの物実（ものざね）から生まれたのでスサノオの子とされています。　
宗像大社や宇佐神宮では市杵嶋姫神や湍津姫神の姉妹神と共に祀られ海の神とされていますが、当大社でも航海安全の神としてお祀りされています。
また､この神は西本宮大己貴神の妃神でもあります。
牛尾宮：大山咋神荒魂　荒魂とは神の積極的な性格のことで､対する和魂と同一の神であっても、別に分けられる事が多いものです。また、神は元来荒魂であり、荒魂が鎮められて和魂になるともいわれ、大山咋神荒魂は当大社の原初である八王子山の金大巌の隣に鎮座する牛尾宮に祀られています。
　白山宮：菊理姫神　石川県の白山比咩神社の主祭神であり､当大社へは平安時代に勧請されました。創祀に縁の深い雪丈岩が社殿西方に置かれています。
菊理姫神は『日本書紀』にて伊弉諾神・伊弉冉神の仲を取り持ったとされ、神名の「ククリ」が「括る」にも通じる事から、仲裁の神・縁結びの神としてお祀りされています。
　名前の由来としては､他に「言い含める」という意味の「くくむ」と道理の「理」が連結したものや、白山を開いたとされる泰澄大師が高句麗の出身とされることから「高句麗姫」が転じたものなど、諸説があります。
　樹下宮：鴨玉依姫神　東本宮大山咋神の妃神。京都下鴨神社では玉依姫として祀られています。「玉依姫」の名は「神との聖婚の相手」「神霊を宿して子を産む女性」という意味合いがあり､大山咋神との結婚、そして若宮である賀茂別雷神の出産に通じる神名であります。他にも「神霊の依り代」という意味で、玉依姫が巫女と同一視されることもあり、中世、樹下宮では神のご託宣を受ける巫女が活躍していたことにも関連性がうかがえます。また、山王曼荼羅図では男神として描かれていますが、樹下宮のご祭神が天孫瓊々杵命とする１説によるものです。
　三宮宮：鴨玉依姫神荒魂　大山咋神荒魂と同じく、鴨玉依姫神の積極的な性格を有する神。「荒魂は「新魂」ともされ、新たなモノを生み出すエネルギーを秘めるとも言われます。４月に行われる山王祭では12日の夜に八王子山頂付近の社から神輿に遷り、駕輿丁によって里まで下ろされた後に夫である大山咋神荒魂との婚儀、翌13日には若宮出産という、生命の流れを感じさせる神であります。
最澄：最澄上人は延暦25年（806）に比叡山にて天台宗を開宗。その際に天台山国清寺にてお祀りされていた山王元弼真君（さんのうげんひつしんくん）になぞらえて、比叡山の神である日吉大神を天台宗の守護神として崇めました。
　以後、日吉大神は山王権現とも称され、天台一門をお守りする神として、今日まで深い関係を築いています。
　後三条天皇：多くの歴代天皇が行幸されましたが、初めて行幸された天皇は後三条天皇で、延久3年（1071）であります。この際に「あきらけき　日吉の御神　君がため山の峡有る　萬代やへむ」という歌が詠まれ、現在も4月15日の山王祭酉（とり）の神事にて神職が神様に奏上しています。
　後白河天皇：最も回数多く行幸されたのは後白河天皇で、永暦元年（1160）には京都に新日吉神宮（いまひえじんぐう）を創建し、日吉大神のご分霊をお祀りした程崇敬の念は篤く、天皇・法皇の御代に日吉大社と新日吉神宮を併せて50回余の行幸をされました。
　後醍醐天皇：南北朝の争乱の際に後醍醐天皇が新田義貞公と共に延暦寺に籠られた折、祈願文を日吉大神に納められました。
　新田義貞：　新田義貞公も秘密裏に参拝し、戦勝祈願文を奏上しています。その内容としては「願わくば、出征遠路の安全を守り、再び大軍を起こし朝敵を滅ぼす力を戴きたい。自分がその望みを達成できない時は、子孫に託したい。この願いが叶えられるなら、末永く当社の施主となり、神の威光を輝かそう」といったもので、併せて名刀「鬼切」を奉納されました。この奏上文は現在石碑に刻み境内に建てられています。
　織田信長：元亀2年（1571）、織田信長公は浅井・朝倉連合軍に加担した延暦寺の勢力が天下布武の障害になると考え、比叡山焼討ちを行ない、その戦火に巻き込まれ、境内の社殿等はことごとく焼失しました。
　豊臣秀吉：織田信長公の死後、灰燼に帰した社を復興すべく力を注がれたのが豊臣秀吉公で彼は幼名を日吉丸とし、あだ名が猿であることから、日吉大社と縁の深いお方であり、一伝には母親が日吉大社の社家の出身であるともいわれています。
　徳川家康：日吉大社と縁が深く、関ヶ原の戦い後に天台宗の僧侶である天海僧正と知遇し、帰依されました。死後、天海僧正により山王一実神道の教学のもと、東照大権現の神号を贈られ、初めは久能山、後に日光へお祀りされました。
　神猿と日吉大社
　神の使いとされる動物は様々で、例えばお稲荷さんでは狐、春日さんでは鹿、天神さんでは牛、熊野さんでは烏であります。当大社では猿が神の使いであり、「神猿（まさる）」といいます。「神猿」は「魔去る・勝る」に通じ、魔除け・必勝のご利益をいただけるものとして、信仰されてきました。現在でも京都御所の「猿が辻」と呼ばれる東北の隅には神猿さんがいて、御所の鬼門を守護しています。このように、「魔除」と「神猿」には深い関わりがあり、「方除・厄除の大社」と呼ばれているのです。
神猿さんを身近に置けば、厄魔は退散し益々繁栄すると信仰されています。
日吉大社は｢山王7社｣｢山王21社｣といったように多くの神社の集合体が日吉大社なのでありますが、その中心となる本宮は2つございます。崇神天皇7年、八王子山の山頂の神様を麓にお祀りした東本宮と天智天皇7年（667）の大津京遷都にあたって、
大和国三輪山（奈良県・大神神社）より大己貴神を勧請した西本宮です。
平安時代以降、延暦寺の守護神と仰がれ、その隆盛とともに社殿は大規模となり、室町時代には東・西両本宮を中心とした境内108社、境外108社の摂末社の他、多宝塔・鐘楼・彼岸所などのおびただしい仏教施設が林立するようになりました。奈良国立博物館所蔵『山王宮曼荼羅』はまさにその最盛期の社頭を描いたものとされ、往古を偲ぶことができます。神仏習合思想も変化し、当初は仏法を守護して下さる神であったものが、本地垂迹という「神は仏の仮の姿として現れたもの」とする説が唱えられ各社殿ごとに本地仏を配し、軒下には掛仏や鰐口が吊られました。
　戦国時代になりますと世情不安で経済基盤がゆらぎ、廃絶する社殿が相次ぎ主要な社殿のみとなってしまいました。そこに追い討ちをかけるかの如く、織田信長の比叡山焼き討ちにあい灰燼に帰してしまうという憂き目もみます。
当時延暦寺の一部とみなされていたために焼かれてしまいましたが、信長の攻撃対象はあくまで寺でありましたので神主はこっそりと逃がしてもらえました。
　桃山時代に復興を遂げ、ほぼ焼き討ち直前の状態（本宮摂末社40社）まで戻りましたが、明治の神仏分離に伴う廃仏毀釈により本地堂といった仏教に関わるもの全てが取り除かれ、現在の景観となりました。

日吉東照宮
　元和9年（1623）に創建され､東照大権現すなわち徳川家康をお祀りする社です。天海僧正により造営され、僅か数年後には再建着工されています。「権現造」の発祥ともいわれ現在の日光東照宮の雛形です。

早尾神社
祭神：素盞嗚神　病気平癒　厄除け　恋愛成就　中7社の一つ
参道の馬場から結界の玄関口となる要所に鎮座しています。古来より山王上七社に次ぐ高い社格と大きな社殿からその神威の尊さが伺えます。

大宮橋
　巨石を組み合わせた重厚な構えの石橋で、大宮（西本宮旧称）に通じる橋であることから､その名がついています。寛文9年（1669）に木造から石造になりました。

走井橋
　大宮橋の下流側に架かり、走井社と対岸とを繋いでいます。大宮橋・二宮橋とは対照的に素朴かつ軽やかな印象を与え、川上から来る水の飛沫とともに清々しさを感じることができます。橋には臥龍の如き杉の枝が伸び、一帯を神巌な聖域たらしめています。

走井社
　石橋の架かる大宮川の周辺、巨大な杉が屹立する木立ちに朱塗りの社殿が鎮座しています。６月30日と年末の大晦日、または山王祭直前に行われる大祓式の斎場となり､参拝者の忌明けなどの臨時の清祓もここで行われています。

産屋神社
祭神：鴨別雷神　除開運、国土安泰　中7社の一つ
東本宮大山咋神と樹下宮鴨玉依姫の御子神であります。山王祭では大政所とともに若宮誕生の斎場となり、そのことから「産屋」と名づけられています。

鼠社
祭神：大国主命　、ネズミがそのお使いとされています。安土・桃山時代の書物に「十二支の初め子（ね）の神」と書かれていますが、これは大国主命
とネズミの関係が強いことから『大国主命=子の神」とされたと考えられます。山王曼荼羅図においては、ネズミの顔に烏帽子をかぶり、狩衣を着たお姿で描かれており、平成20年の干支絵馬はこのお姿で謹製致しました。

大政所
　　山王祭例祭前夜に駕輿丁奉仕の神事が行われることから､一帯を宵宮場ともいいます。若宮の親神となる大山咋神・鴨玉依姫神の和魂・荒魂を乗せた計4基の神輿が並び、豪快で勇壮な神事が執り行われます。

須賀社
祭神：素盞嗚尊奇魂　病気平癒　厄除け　恋愛成就　神体健全　無病息災
『山王霊験記』には､山王礼拝講の最中に瀕死して地獄に堕ちた智賢という阿闇梨を悪王子が蘇生させたという伝説があります。ちなみに「悪」は「わるい」という意味ではなく、「ものすごい」といった意味合いで使われています。

厳瀧社
　市岐島姫神　滝津島姫神　芸能上達　航海の神
市岐島姫神は琵琶湖の北にある竹生島の弁天様と同じとされています。この巌瀧社の前にはかつて「穴」があり、その穴は竹生島に繋がっていたという伝説が残っています

氏神神社
　祭神：鴨建角身神　琴御館宇志麿　殖産産業　馬事安全　縁結びの神

氏永社
祝部希遠　かつて樹下家と生源寺家が日吉大社の神主を世襲していました。その生源寺家の社家の先祖神をお祀りしています。

八柱社
祭神：五男三女神　誓約の神　アマテラスとスサノオの誓約によって生れた神です。八柱社より東の奥に「船岩」「天の磐船」と呼ばれた大きな岩があり、その岩に乗ってこの地に降り立ったといわれています。

惣社　山王21神
　　かつて日吉大社には境内108社、境外108社もの社殿が鎮座していました。その中でも尊く社格の高い山王21社それぞれの分霊が1社に合祀され、惣社となりました。現在でも月次祭などの祭典では東西両本宮と併せて奉祀されています。

子安、子立社
　祭神：伊弉諾尊　伊弉冉尊　安産子育て延命長寿の神
もともと子安・子立社は別の社殿があり、神座も独立していたと思われますが、現在は1社２座として合祀されています。

山王鳥居
　総合神門、合掌鳥居とも呼ばれ、この形の鳥居は日吉大社と山王神道の象徴として名高く、その形態に関して仏教的見地から多くの教説が込められています。七本柳と称される琵琶湖畔にも同じ形の鳥居があり、山王祭船渡御の神輿乗船場です。

西本宮本殿
　天智天皇7年（668）に大和より大己貴神がお招きされ、その時に創祀されました。当時境内には社殿が無く、社殿建立の最初であります。その社殿は小規模なものであり、東本宮が日吉造になってから現在の様式になりました。元亀２年（1571）に織田信長の比叡山焼討ちに遭い焼失しましたが、天正14年（1586）に平安時代の姿そのままに再築されています。床下に明治時代以前に本地仏をお祀りしていた「下殿」と呼ばれる部屋が設けられているのも特徴です。神仏習合の時代では延暦寺東塔の守護神として崇敬されました。

拝殿
　　文録4年（1595）に再建されたもので、方三間という正方形で壁のない開放的な様式で、天井が「折上小組格天井」となっている点や､高欄がいわゆる「脱着式」になっており、7基の神輿を奉安する点などが特徴です。

楼門
　　文録4年（1595）に再建されたもので、檜皮葺き、屋根の4隅に「神猿」の彫刻があり､蟇股にも特徴が見られます。

　　　　　　　石塔　　　　　　　竹台　　　　　　桂の神木
　石塔：　桓武天皇の願によると伝えられています。明治時代の神仏分離令による破却から例外的に免れました。鎌倉時代に造られたものと推定されます。
　竹台：伝教大師最澄が唐より帰朝の折持ち帰ったとされ､右が住吉神、左が八幡神とされています。尚、同じものが延暦寺根本中堂にも植えられたと伝えられています。
　桂の神木：　西本宮のご祭神、大己貴神の御杖が大木となったもの。そのご縁を尊んで「山王祭」では桂の神枝が授けられる事から別名「桂の祭」と称されます。

宇佐宮本殿
　　元々は西本宮にて大己貴神と一緒にお祀りされていましたが､別々にお祀りするため､天武天皇3年（675）に創建されています。現在の「宇佐宮」と呼ばれるようになったのは明治以降で､造りは、西本宮・東本宮と同様「日吉造」となっています。神仏習合の時代には延暦寺横川中堂の守護神として崇敬されました。

拝殿
現在の建物は慶長3年（1598）に建てられたものです。入母屋造で檜皮葺きの屋根です。現在は社外の方の神楽や舞の奉納を頂く際の奉納場所としても使われています。

大宮竈殿
　祭神：奥津彦神・奥津姫神　火伏、料理上達の神
　　当大社には3社の竈殿社があり、こちらは西本宮の料理を司る神です。また､後方には「庖丁塚」と呼ばれる塚があり､6月の「庖丁まつり」の際には参拝者の古庖丁が納められます。

宇佐竈殿社
　当大社の3社の竈殿社の1つです。古くは西本宮・東本宮・宇佐宮を「日吉三聖」と称しており、そのことからこの3社に竈殿社が設けられています。

宇佐若宮
　祭神：下照姫神　安産　子育て
　延長4年（926）に創建され､明治以降「宇佐若宮」と呼ばれています。

気比社
　伝教大師最澄存命中の延暦元年（782）に福井県の敦賀にある気比神宮からお招きしました。

白山宮本殿　　　　　　　　　拝殿
　社殿は天正17年（1589）に再建されたもので三間社流造という神様のお部屋（内陣）の正面に庇がついた様式。全て丸い柱で造られているのが特徴です。

剣宮社
　祭神：瓊々杵命　道中安全　開運招福
　瓊々杵命は父である天忍穂耳命に代わり天孫降臨の主役となった神で、木之花咲耶姫を妻に迎え、皇室の基礎を築かれた神であります。

小白山社
祭神：大己貴神　方除け　鬼門除け　厄除け　商売繁盛
西本宮と同じご祭神を祀っています。天安2年（858）の加賀国（石川県）より泰澄大師が勧請しました。

八坂社
祭神：素盞嗚神　病気平癒　恋愛成就　身体健全
　素戔嗚尊は蘇民将来伝説と結びついて牛頭天王と同体とされています。また、当大社境内には素戔嗚尊は早尾神社と須賀社にも祀られています。

北野社
　京都の北野天満宮と同じく菅原道真公をお祀りしています。道真公は当代1の学者であり詩人であったので､学者・文人の神として、また学業の神として崇められています。

恵比寿社
祭神：事代主神　商売繁盛　開運福の神
　大己貴神の子神で、国譲りの際天津神に恭順を宣言した神です。父の大己貴神は大黒として､子の事代主神は恵比寿として七福神に祀られています。

牛尾宮遥拝所　　　　　　　三宮宮遥拝所
　境内の八王子登山口の石段の左右に分かれて鎮座しています。遥拝所というのは読んで時の如く「遥か遠くのものを拝む場所」のことで､頂上付近にある牛尾宮・三宮宮をここからお参りします。

東本宮　　　　　　　拝殿
　『神道秘密記』によれば、西本宮よりも早くからご鎮座していましたが、社殿はなかったとあり､古い形態を残していたことが伺えます。西本宮の次に建てられた当初の社殿は小規模で平安時代の相応和尚の頃に現在の日吉造の様式になりました。
　神仏習合の時代では延暦寺西塔の守護神として崇敬されました。

大物忌神社
　祭神：大年神　豊作の神　
　山王曼荼羅等の図像では束帯を着た猿顔のお姿で描かれます。
社殿は元和5年（1619）年に再建されたもので、社殿後方からの湧き水は「大行事水」といいます。

新物忌神社
　祭神：天知迦流水姫神　水の神　
山王曼荼羅等の図像では狩衣を着た猿顔のお姿で描かれます。

二宮竈殿
　祭神：奥津彦神・奥津姫神　火伏、料理上達の神
　東本宮への料理を司る神で、西本宮・宇佐宮にも同様に祀られています。

樹下若宮
　祭神：玉依彦神　学芸成就の神

稲荷社
　祭神：宇賀乃御魂神　
かつて境内に108社が鎮座していた頃は大物忌神社後方の石垣の上には15のお社が建ち並んでいた内の1社。

樹下神社　本殿
　祭神：鴨玉依姫神
　三間社流造、檜皮葺き。文禄4年（1595）に建てられました。華やかな錺金具が豪壮な桃山時代の気風を良く表しています。御神座の真下に霊泉があります。

拝殿
　樹下宮本殿と同じく文禄4年（1595）に建てられました。山王祭で使われている神輿が置かれ、年中見ることができます。

内御子社
　祭神：猿田彦の神　道開きの神
当社の中心は本来、東本宮。古事記には、大山咋神は「近海淡海国の日枝山に坐す」と書かれている。
神代の昔から、比叡山の地主神として祀られた神。その神体山が、378mの八王子山（牛尾山）。山頂には磐座と奥宮（牛尾神社）が鎮座している。
東本宮（男神・大山咋神）と樹下宮（女神・鴨玉依姫神）が里宮であり、牛尾神社（大山咋神荒魂）と三宮宮（鴨玉依姫神荒魂）が奥宮となる。
一方、西本宮の大己貴神は、天智天皇7年（668）大津京遷都の際に、
大津京鎮護のため、大和三輪山（大神神社）から勧請したもの。
これを大宮と称し、さらに、大宮摂社の宇佐宮と白山宮を祀るようになった。
以上の7社を、山王上7社と呼び、それぞれに神紋がある。さらに、中7社、下7社の21社が存在する。
往時には、境内108社・境外108社が、その管轄にあったほどの広大さだった。
全国の日吉神社・山王社の総本山。比叡山との関係から、天台宗が全国に広がる過程で、日吉社も全国へ拡大した。神使は、猿で、御朱印にも猿が押されている。庚申の普及にも関連があるようだ。

亀井霊水

東本宮参道と楼門