書庫【つまらない話】コミュの明日毛皮にされる子狐の願い

【明日毛皮にされる子狐の願い】

君のお母さんは毛皮を着ているの？

それはね、ぼくのお母さんかもしれない。

森の中で楽しく暮らしていたのに

ある日捕まってしまった

ぼくたちは狭い檻に閉じ込められて

次の日お母さんは引きずりだされ

地面に叩きつけられ

何度も殴られてから

ナイフでいくつも切れ目を入れられて

生きたまま毛皮を剥かれたんだ

ぼくの目の前で

お母さんは大きな悲鳴をあげたよ

いつも強いお母さんだったのに

お母さんの強い力で

力いっぱい抵抗したけど

でもダメだった

お母さんの血しぶきがとんで

檻の中の僕にも降りかかったよ

皮を剥がれる時間は

なかなか終わらなかった…

とても長く感じられたよ…

でもやっと終わった

皮を剥かれた真っ赤な血だらけのお母さんは地面に倒れて…

起き上がってぼくの方に来ようとしたけどまた倒れて…

悲しい目で僕を見た

できることなら逃げなさいと

その目は言っていた

時間をかけて息絶えるまで

最後の息が止むまで……

ねえ君

毛皮を着ないでくれないかな

仲間にも着ないでって言って

お願いだよ

ぼくはもう逃げられない

いろいろやってみたけど

この檻は破れない

でも

ぼくの仲間が

助かるかもしれない

森にいる

捕まってない兄弟や友だち

お父さんや仲間が

助かるかもしれない

毛皮を着ないで

みんなに着ないように言って

次は僕の番なんだよ

檻が破れないからもう逃げられない

もう逃げられないけど……

お願い

みんなに伝えて

毛皮を着ないで

もうぼくの仲間たちの毛皮をとらないで