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自己満足な短編部屋コミュのありがとうの心を込めて その1

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 ある朝、誰もいないはずの部屋なのに、名前を呼ばれた。
「・・・さん」
(ん?夢???)
 心地よいコーヒーの香りが鼻をくすぐった。
 いつもと違う状況に目が覚める。
「広翔(ひろと)起きた?もう朝だよ」
 そう、新婚生活が始まっていたのを忘れていたんだ。
「ああ、瑠依・・・おはよう」
「なんか不思議そうな顔してる?」
「ん?ああ、これって現実なんだな・・・」
「ご飯出来てるよ」
「ん、今いく」
 ベッドから出て、コーヒーを受け取りキッチンへ向かった。
「これは豪勢だ!」
 目に入った料理は、朝ごはんと思えない献立。

 卵焼き・ほうれん草ときのこの炒め物・豚肉の生姜焼きに豆腐とわかめの味噌汁!どれも俺の好物が、所狭しと並べられている。
「朝は和食が良いって言ったでしょ?」
「うん。あまりにもたくさんで驚いた!」
「そう?お弁当の分もあるから、品数は少ないと思うんだけど・・・」
「全然!いつもは味噌汁と一品しか作らないもん」
「良かった〜」

 満面の笑みを浮かべて喜ぶ瑠依を見ると、エプロンをしていて何か不思議な気持ちがした。
「エプロン姿を初めて見た」
「だって新婚さんだもん」
 (こいつでも照れることってあるんだな)
 そんな事を見抜いたのか、瑠依が言う。
「バカにしたでしょ?」
「いえ、滅相も無いです」
「やっぱり!」
「な、なんで?」
「広翔がそんな口調の時は、私に本心を見抜かれてる時だもん!」
 流石に3年も付き合っていると、よく俺の事を理解してらっしゃる。
「さ、冷めないうちに食べよっか」
「ま、初日だからいいけどね」
 どうも俺は、結婚初日から彼女の尻に敷かれてしまったようだ。
 でも、こんな朝を毎日迎えれるなら、それも悪くは無い。
「ふ〜ん」
「え?ナニ?」
「別に〜」
 そう言った瑠依の顔には、笑みがこぼれていた。
「い、いただきます!」
「いただきます」
 
 付き合っている間、瑠依の手料理を食べたことが無かったから、味に関しては期待していなかったのだが、あまりにも美味しいので驚いてしまった。
「美味い!!なんでこんなに美味いのに、今まで作ってくれなかったの?」
「ひみつ」
 クスクスと笑う瑠依の横顔に、朝日が当たっていた。
 付き合って3年経つのに、俺にはまだまだ知らない顔を見せてくれる・・・
 おかげでなんだか新鮮な気持ちが湧き上がっていた。

続く・・・

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