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自己満足な短編部屋コミュの山桜 その2

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 喧嘩をしてても埒が明かないのはいつもの事だった。
 そんな時はいつも亮がどこかへ出かける提案をする。
 いつからか、それは3人にとっての暗黙の了解になっていった。
「でも、この時期に桜ってあったっけ?」
「咲の言うとおりだよな〜」
 そんな2人に亮はしたり顔で自慢げに言った。
「俺のお気に入りの場所に連れて行ってやるから、お前たちは期待してろ」
 明日は3人が休みという事もあって、夜桜を見る事に決まった。

 亮は買ったばかりの愛車『ハマーH3 ラグジュアリー4WD』に乗り、咲の家へ迎えに行った。
 咲の家に着くと2人は車を見て驚き、言いたい放題に亮をバカにした。
「お前結婚諦めたのか?」
「ちょっと、何考えてんの?そんなだから彼女出来ないんだよ?」
 亮が彼女を作らないのは、単に心を動かされる女性に出逢ってなかったからで、その気になればいつでも彼女が出来るだけのルックスをしている。
 現に学生時代には、バレンタインやクリスマスには、女性から誘われることが度々あったほどの容姿だった。
「お前ら言いたい放題だな・・・」
「当たり前でしょ!私たちもうすぐ30歳だよ!」
「そうそう。結婚考える時期だし」
「いや、まだ28だぞ・・・」
 勇気と咲がハモって亮を責めた。
「もう28!!」
 この2人が揃うと、見事なコンビプレー?を披露するため、いつも口論で亮は勝てない。従っていつも途中から黙り込むことが、亮にとって被害が一番小さいから、今日も黙り込むことにした。
「ま、亮だしな・・・」
「そうね、亮だもんね」
(車褒めても良いだろうに・・・)
 そう思っても、口に出せない亮だった・・・

 1時間ほど走ると、亮と咲が小学生の頃に来たことがある山に辿り着いた。
「ココ?懐かしいね」
「咲は来たことあるの?」
「うん、遠足で来たの」
「降りるぞ」
 勇気と咲は互いに顔を見合わせ、亮に当然の疑問を投げかけた。
「もしかして・・・山登りするのか?」
 亮はニコリと微笑むと、助手席に置いてあったリュックを背負った。
「30分ほど登るだけだよ」
 言い出したら聞かない亮の頑固な性格を知っているから、2人は黙って従う事にした。
 なんせそんな頑固な時の亮は、周りを納得させるだけの根拠を持っているからだ。
「その中身はなんだ?」
「ああ、毛布と酒だ」
「酒って何考えてるのよ!」
 飲酒運転を心配し、咲が文句を言った。それはつまり、咲も酒を飲むことを意味している。
「気が付けば朝になる。そんな場所だから気にするな」
 気持ちの良い笑顔で、自信ありげに言う亮を見て、2人は渋々付き合う事にした。

続く・・・

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