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ステ書き小説コミュのステ書き?-2

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「…あの頃ワシにもよー薦めとったがなぁ…ま、ワシはそんなもん一切興味なかったからな…こうして今でもピンピンしとる訳やけども…」

「…」

…なんということだ…

俺は…

…『クスリ』に手を出していた?…

咄嗟に自分の腕を確かめてみる…

…注射痕は…

…ない…

…カマをかけられたのか?…

「…轟さん…」

「よーやく喋ったのぉ…はい、なんです?」

…『轟』のオッサンは、悪戯っぽく耳を傾けた…

「…あんた…当時の俺のことに詳しいみたいだな…」

「ん〜…全部ではないけどなぁ…店以外でもよーつるんどったからなぁ〜…っていうか、兄ちゃんは何も覚えとらんのかいな?」

「…ああ…」

「ホンマかいな?…まあ…歳食ってないとこ見ると…な〜んや、特別な事情がありそうやなぁ…不思議な力でも手に入れたんか?」

「…その話は、追々してやる…今話したところで、信用なんてしないだろ?…だが…あんたに一つだけ頼みがある…」

「…なんやねん…」

「…俺があんたと過ごした10年…覚えてる限りでいいから…教えてくれ…」





―――――――――――

1970年代…

日本は、活気に溢れとったなぁ…

ちょうどこの頃、ワシは大学を卒業して、定職に就くのが嫌だったさかい…東京へ出て、一山当てたろうと思っとった…

…東京は当時…宝の山やった…

何をしても儲かりよる…

魅惑の都市…

大阪なんて比べ物にならん…

大阪は、『商売』は上手だったかもしれんが、東京は、『流行』を操るのが上手な街や…

…『流行』こそ当時の最先端…

ワシは、これに乗っかることに決めた…

…東京にツテなんぞないワシは、とりあえず、今何が流行っとるのかを探した…

…答えは、意外と簡単に転がっとった…

…酒を飲みたけりゃ『居酒屋』に行くのが主流…

…当時の『居酒屋』っつーたら、こじんまりとしたカウンターしかない…しかも店主は、頑固オヤジか艶モノのオバハン一人できりもりしとるっちゅうのが定番やった…

…フォークソングの普及が後押しし、町には、そんな『居酒屋』が流行っとってて、ウジャウジャしとった…

…ワシは、そこに目をつけた…

…ウジャウジャしとるもんに人は群がる…しかし、目の肥えとる者(もん)はウジャウジャに邪魔されとる小さな光を求める…

…『流行』だけに価値を見出だせへん…

…『本物』は、水面下に眠っとると考える…

…日本の『流行』の水面下に眠るもの…

それは…

…異国文化や…

日本にないオリジナリティ…

…発想…思想…構想…

…異国文化をこの日本に注入したらどーなるか?

…ワシには、必策があった…

当時、アメリカで流行っとった『バー』をこの日本に取り込んだろうと考えたった…

…場所は…

…若者の最先端の街…

…『下北沢』…

当時『下北沢』には、外国人留学生もチラホラおって、アメリカ人が主流やった…

この頃になると街には、フォークソングよりも『ロックンロール』に火が着き始めとった…

…『ビートルズ』『ローリングストーンズ』『レッドツェッペリン』『クイーン』…

…チャンスや…

…ワシは、確信した…

…予想は、的中や…

『洋楽』の普及と物珍しさ…ごく少数の外国人にとっちゃあ懐かしさもおうて、出店すぐで大反響や…

次の年には、真似する輩がぎょうさんおって、『下北沢』だけでも20店舗はあったんちゃうか?…

…どの店も大繁盛…

ワシんとこの店も軌道に乗り掛かった頃…兄ちゃんの登場や…

「…カネは無いんだが…一杯…飲ませてくれないか…?」

…今、こないなことゆーたら、有無を言わさず追い返されとるやろ…

…せやけど、この頃は景気もうなぎ登りやったし、こないな奴ぎょうさんおったし…ワシの心は、仏さんよりも寛大で清かったさかい、快く飲ませたった…

…ま、ツケやったけどな…

…ほしたらほぼ、毎日のように通い詰めては、ツケで飲んどったなぁ〜…

…いい加減、ワシもガツーン言おう思っとった矢先…「いい食いぶちが見つかった」言うて、今まで飲んだツケ、一気に払いよったがな…

…一万二万の話しちゃうでぇ〜…

…ウン十万ちゅうカネを一気にポーンと払いよった…

そん時、真っ先に思たがな…こいつ、危ないモンに手ぇ出したんちゃうかぁ〜ってな…

…案の定や…

…ある時期から、妙〜な外国人連れて店来るようになってたなぁ〜…

…人種も様々やった…

…南米系…中東系…アジア系…アフリカ系…

不思議と欧米系はおらんかったな…

…女も取っ替え引っ替えしとったなぁ…

一時期は、外国人とも付きおうとったんちゃうか?

…まあ、全員クスリ漬けにしとったみたいやけどな…

『ドラッグパーティ』なんちゅうとんでもない催しもんをワシの店でやろうとした時は、さすがに断ったさかいな…

…勘弁してほしかったわ…

…ま、急に兄ちゃんを見いひんなった時は…あ、ようやくパクられたんかなぁ〜…思っとったわ…

最後に付きおうてた『真美』ちゃんも見いひんようになったから…一緒にパクられたか、また、クスリ漬けにされてゴミクズみたいに棄てられたんか思っとったけど…





―――――――――――

「なんか…つまんない…」

「…」

「…楽しそうーじゃん…」

「…」

「…僕の目が届かないからって…好き勝手しやがって…」

「…」

「あーあ…なーんか…無性に腹が立ってきた…」

「…」

「いっそ…殺しちゃおうかなぁ〜…」

「…!!」

―――――――――――

「…っとまあ、ワシが知っとるんわ…こんなもんやなぁ…」

…一体俺は、今までどんな悪事に手を染めてきたんだ…?

考えただけで…

…ゾッとする…

「ほな、今度はワシが質問する番やなぁ…」

「…」

…『轟』のオッサンは、ニンマリ笑って、銀歯を見せた…

「兄ちゃん…どないして…歳とらんねん…なーんか、特殊能力使うとんのか?」

「…」

俺は、一瞬躊躇ったが…この男なら大丈夫な気がした…

「…俺がこんな話をして…あんたが信じるか信じないかなんてのは、俺にとっては大事なことじゃない…要は…現実を受け入れられるかどうかってこと…」

「…勿体ぶらんと、早よ喋ってぇなぁ〜…」

…『轟』のオッサンは、首もとをぼりぼり掻いた…

「…誰の仕業か分からないが…俺は…『タイムトラベル』してる…自分の意思とは、関係なく…」

…『轟』のオッサンの表情が曇った…

…ごく自然な反応…

「…『タイム』…『トラベル』…?」

「そう…過去や未来を行ったり来たりしてる…目的は…俺にも分からん…しかも、『タイムトラベル』すると、その時の記憶が半分以上削ぎ落とされるみたいだ…」

「なるほど…せやからあの頃の記憶が曖昧なんやなぁ?」

…俺は、黙って頷いた…

「しっかし…けったいな話やの〜…しかもうさんくさい…なんやの?…その…『タイムトラベル』ゆーんわ…夢でも見とんのとちゃうかぁ?」

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