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ステ書き小説コミュのステ書き?-1

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―――――――――――

…ふと、目が覚めた…

…背中に砂利を感じる…

…空は、どんよりとしていて…

…遠くで雷の音がしている…

…今にも降り出しそうだ…

「…痛ッ!」

…上半身をお越し、背中や首、後頭部に激痛を感じながら辺りを見回す…

「…ここは…」

…2、3台の車が目に入った…

「…駐車場…か…?」

見た感じ、所要台数30台程度のだだっ広い路上駐車場…

…しかし…

いつもだ…

目が覚めれば、必ず『駐車場』にいる…

「…とりあえず…これで…5回目か…」

…痛む身体に鞭を入れ、立ち上がり、自分の身なりを見て確信する…

「…2000年以降だな…」

…砂埃を払いながら歩きだすと、ぽつりぽつりと雨が降ってきた…



―――――――――――

「いつまでこんな事…続けるつもりなんですか?」

「…飽きるまでだよ…」

「…くだらない…くだらなすぎる!」

「お前には関係ないだろ?僕が好きでやってることなんだから…」

「くっ…!」

「いいからお前は早く『プリンアラモード』持ってきてくれよ〜…食べたいんだからさ〜…」

―――――――――――

…しばらく歩いていると、コンビニエンスストアが目に入った…

徐にポケットというポケットを探った…

…所持金は…

「…1000円か…」

今回は、ある方だ…

…前回は、饅頭一個が懐にあるだけで、まるで、わらしべ長者ばりに金にしていき、最終的には、五両まで増やしたのだから…自分で言うのもなんだが、たいしたものだ…

だから、今回の1000円は、かなり恵まれている…

…とりあえず…腹拵えか…

コンビニエンスストアに入ると…

「いらっしゃいませ!こんにちは!」

…軽快な黄色い声が響いた…

…レジに立っている女の子をちらりと見る…

…なかなか可愛い娘だ…

…そんなことは後回しだ…

僕は、すぐにスポーツ新聞の刺さっているラックに行き、ランダムで一部、新聞を抜き取る…

「…平成…24年…7月…20日…」

年月日の確認は出来た…

…刹那…

脳裏を過る…

…この年に最初の『アレ』が起きたんだ…







その日俺は、休日を家で過ごしていた…

…午前7時…

休日でも早起きしてしまうのは、日頃の習慣が身に付いているからに違いない…

…昔の様に何十時間と眠る事が出来なくなっていた…

…歳かな…?

テレビをつけると、朝の情報バラエティと銘打った番組が映し出された…

…綺麗に着飾った女性アナウンサー達がやたらとケラケラ笑っている…

…朝から元気だな…

…しばらくテレビをボーッと眺めていた…

…勿論、休日に何処か出掛けるなどといった予定などない…

ここ数年は、家から一歩も出ない事の方が多い…

仕事場に仲間は数人いるが、プライベートで遊ぶような付き合いはしていない…

…勿論、彼女もいない…

…というか…

女性と付き合ったことも経験したこともない…

…所謂…

…ドーテーというやつ…

…風俗に行くほど落ちぶれちゃいないし、そんな金もない…

…30にして右手が恋人ってやつだ…

…確かこーゆーのを…

…『魔法使い』っていうんだっけか…?

「…」

…一時間ばかしテレビを視て、やることがなくなったのでまた眠りにつく…



…二度目の起床…

…午後2時…

…とりあえず、腹が減ったので、冷蔵庫を漁る…

漁ると言っても漁るほど物がない…

飲みかけの牛乳と食べかけのキムチのビン…

…何とも食い合わせの悪そうな物しかないが…今のところそれしか食べる物がなく、外に買いに出るのも面倒なので、とりあえず胃に入れておく…

…テレビをつける…

…ワイドショーのコメンテーターが芸能人夫婦の離婚問題を熱く語っている…

…とりあえず、日本は、平和だ…

その時突然…

携帯電話が鳴った…

「…」

…なんだ?…会社からか…?…それとも…親…?

「…」

…表示は…『非通知』…

…そのままシカトしてもよかったが…なんとなく気になり、出てみた…

…まあ、内容によっては、一方的にこちらから電話を切ればいいし…

「…もしもし?…」

『…』

「…誰?…」

『…人生…楽しいですか?』

「…は?」

『…人生…enjoy!…してますか?』

「…」

…なんだ?…

…宗教がらみの勧誘の電話か…?

「…あの〜…どちらさん?」

『人生!enjoyしてみませんか!』

「…あの〜…言ってる意味が分からないんですけど…」

『人生をenjoyする義務が貴方にはある!…さあ、心を開くのです!」

「…」

…やはり、何かの新興宗教の勧誘みたいだ…

…声を聞いた感じだと、意外と若い奴か…?

「あ、…そーゆーの間に合ってますんで…失礼しま〜す…」

…電話を切ろうとした…

次の瞬間…

『…お前に選択権はな――――――――――い!いざ行け!無限トラベラー!!』

…視界が歪む…

…脳内のアドレナリンが大量分泌され、気持ち良さの中で…意識が途絶えた…







…ふと、目が覚めた…

…背中に地べたを感じる…

…空は、ピーカン…

雲一つない…

「…痛っ!」

…軽い頭痛を感じて上半身をお越し…辺りを見回す…

「…なんだ?…ここ…」

…人力車、馬車、旅籠が数台目に入る…

見慣れた高層ビルや住宅がない…

ここで一番高いのは…

…城…

「…江戸…村?…」

…これが…

…始まり…





―――――――――――

…5回目にして、元いた平成24年に戻ってきた…

…新聞をラックに戻すと、おにぎり二つと水を取り、レジに並ぶ…

「いらっしゃいませー」

…先程の可愛い店員が営業スマイルで迎えた…

俺は、目を合わせる事なく、無造作に千円札をカウンターに置く…

「…三点で340円になります!千円からでよろしいですか?」

「は…はい…」

…少し、緊張してしまった…

…可愛い店員は、笑顔を崩す事なく淡々とレジを打つ…

「…660円のお返しです!有難うございましたー!」

お釣りを受け取り、商品が入ったレジ袋を掴むと、一目散に店の外へ出る…

…やはり今でも…女性が苦手だ…

「…」

…外に出て、辺りを見る…

小降りだった雨が、少し強くなり出していた…

…そういえば…

…ここ…

…何処だ…?

…閑静な住宅街…あまり高い建物はない…

田舎というよりは…

下町…

辺りを見回すが、ここの地名を示すものが見当たらない…



今、真後ろにあるコンビニエンスストアの店員に聞くしか方法はなさそうだ…

…しかし…

ちゃんと聞けるだろうか…?

相手は、女の子…

しかも…

…『可愛い』女の子だ…

「…」

ここでウダウダしてる訳にはいかない…

…意を決して、再びコンビニエンスストアに入った…

「いらっしゃいませ〜…」

…野太い声…

…愕然とした…

良いのか悪いのか…

店員がむさ苦しい男に変わっていた…

「…」

…自分でもよく分からないモヤモヤした気持ちのまま、店員に声を掛ける…

心の奥底で、さっきの可愛い店員であってほしかったと思う自分がいた…

「あの〜…」

「…はい?」

あからさまに警戒心100%の表情だ…

「…ここの住所…教えてくれます…?」

「…?」

警戒心が100%から150%に跳ね上がった…

「…台東区…〇×町…4-…」

「あ…有難う…ございます…」

男性店員の言葉を途中で遮り、店を後にした…

…外は…

…いよいよ本降りになってきた…





―――――――――――

「やっぱ、プリンアラモードだよ…これ以外にはかんがえられないね…ショートケーキ?チーズケーキ?ティラミス?ミルフィーユ?…ないね…ぜんっぜんっない!プリンアラモードが世界一!いや!宇宙一!!」

「…これから…どうするおつもりで…?」

「ん〜…またしばらく泳がせとこ…んで、前回同様…良いところで転送してやるんだ…」

「…」


―――――――――――

公園の公衆便所…

雨宿りの為に入ったが、鼻をつんざくアンモニア臭がイライラを掻き立てる…

しかし…

空腹には勝てず、先程のコンビニエンスストアで買ったおにぎり二つを貪った…

…鮭と昆布…

水で一気に流し込む…

「…」

美味かったかどうかなんてのは二の次…

とりあえず、腹は満たされた…

…どしゃ降りの雨を見て、ふと思った…

確か…前回…4回目の1974年に飛ばされた時…こんな風などしゃ降りの中、駐車場で目が覚めたっけ…

あれには…参った…

過去、4回飛ばされた中で、一番滞在期間が長かった…

…1回目の江戸中期頃は…3ヶ月…

…2回目の1945年、終戦直後の時は…1ヶ月…

…3回目の戦国時代は…1年…

「確か…4回目の時は…」

…10年…

…70年代から80年代の激動の時代を生きた…

数人ではあったが『親友』と呼べる友達も出来た…

…恋もした…

…歳を取らない俺を皆は不思議がってはいたが…

それでも…

俺を『親友』として迎え入れてくれた…

一番充実した人生を送ってたんじゃないかな…?

…でも…

…今は…

記憶が断片的だ…

楽しかったのは覚えている…

しかし…

具体的に何が楽しかったのかが…分からない…

『親友』の顔と名前と人数が…はっきりと思い出せない…



飛ばされると…記憶の大半を削られるみたいだ…

…なんだか…

…すごく、淋しい…

「…兄ちゃん…久しぶりやのぉ〜…」

背後からハスキーなオッサンの声がした…

振り返ると…

そこには…

…ボロボロのTシャツ、ボロボロのスウェット、ボロボロでドロドロのスニーカー、白髪混じりの長髪は、腰の位置…白髪混じりの髭は、お腹辺りまでの見るからに仕事をしていないオッサンが、曲がった腰で突っ立っていた…

「…はい?…」

「ワシやワシ…ほれ、30年前位やったかなぁ〜…下北に『ムーディーズ』っちゅうショットバーあったやろ?…」

…『ムーディーズ』?…

「…そこでマスターしてた『轟』や…兄ちゃん、よー来とったがな…つか、あん時とまったく変わらへんな…どーゆーこっちゃ?」

…『轟』と名乗るオッサンは、シワで隠れた目をパチクリしていた…

「…」

…下北の『ムーディーズ』…

俺は、何か重要なことを思い出そうとしている…
「まあええわ…しっかし…えらいとこで会(お)おたなぁ…兄ちゃん、こんなとこで何しとんねんな?しかも…一人か?」

…『轟』のオッサンは、ボロボロのスウェットのポケットをグチャグチャと探り、真新しいタバコの箱を取り出すと、丁寧にラッピングを剥がし、一本口に加えた…

…『セブンスター』…

…そしてまた、ボロボロのスウェットのポケットをグチャグチャと探り、オレンジ色のライターを取り出すと、静かに火をつける…

…長〜く煙を吸い、肺にたっぷり煙を充満させ、一気に吐き出す…

…美味そうにタバコを吸う…

「そういやぁ…あの娘はどないしてん…?確か…『真美』(まみ)ちゃん…やったかな?」

…『真美』?…

「…兄ちゃんら二人、お似合いやったでぇ…ってまさか!…既に結婚してるとか!?」

…好きになった女性は確かにいたが…それが『真美』という名前だったかどうかまでは思い出せない…

…そうか…

俺は、女性と付き合ってたのか…

…と、いうことは…

もしかしたら…

…もう、ドーテーじゃないのか?…

「な…なんや…兄ちゃん…ほくそ笑んだりして…気味悪いのぉ…」

…しかし…

まったく記憶にないんじゃ意味がないことに気づいた…

…一気に虚無感が襲う…

「…笑ったと思うたら、今度は落ち込みよった…ホンマ、薄気味悪いのぉ〜…」

…関西人てのは、やたらうるさい…

…でも…

何だか心が落ち着くのは、どうしてだろう?…

「そういやぁ兄ちゃん…まだ『アレ』…やっとんのか?」

…『アレ』?…

なんの事だ?…

「…『コレ』や『コレ』…」

…オッサンのジェスチャーに俺は、驚愕した…

…腕に…注射をする…ジェスチャー…

「!!…」



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