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日記コワイアルコミュのおにゃんこTOWN

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「あれ? 子供泣いてる? 大丈夫?」


思えば受話器越しに聞いてきた友人のこの言葉から、恐怖の体験は始まっていたのです。

結婚して子供を授かった私たち夫婦は、子育てには広い環境の方が良いだろうと、中古ではありましたが庭付きの一戸建てを購入しました。
広さの割にはかなりの格安物件でした。しかし、それは町から少し離れているということと、作りが古いことが理由だと思っていました。

狭いアパートで育った息子は、引っ越し当日から家の中ではしゃいで走り回っていました。
妻は日当たりの良い間取りやカウンター式のキッチンに感激し、「まあ、このスイッチは何かしら?」と壁のボタンをポチポチ押して回っていました。


チュドーン


私たち家族の誰もが、この新しい家で順風満帆な生活が待っているものだと思っていました。

しかし、先ほどの友人の電話での問いをきっかけに、引っ越したばかりの家に何やら不可解な現象が起きるようになったのです。


「いや、泣いてないよ。家族は出かけてるから今俺一人だし」


電話の友人に私は答えました。そんな私に友人は


「そっか、なんか泣き声みたいなのが聞こえたからさ」


と言いました。その後は他愛のない話をすると電話を切りました。
その時は、電話の内容に特に違和感を感じませんでした。

しかし、その晩のことです。
息子も寝静まった夜半過ぎに、妻が突然こんなことを言い出したのです。


「ねえ、なんかこの家臭わない?」


私は正直何も気が付きませんでした。「え、どんな臭い?」と聞くと、「生臭いというか、何かケモノみたいな臭い」と言ってきたのです。

その日は妻に「気のせいだよ」と言って就寝しました。

しかし、その次の日も、また次の日も、妻は「ケモノ臭い」と言ってくるのです。

そうなると私も気になります。一度ちゃんと調べてみる必要があると思った私は、会社にリセッシュ休暇を申請すると一日かけて家を掃除しました。

徹底的に掃除をしてスッキリした私は、その晩はニオイに気を付けて布団に入りました。
気を遣っていたからでしょうか、その日私は緊張してなかなか寝付けませんでした。


「明日仕事なのに…」


何とか無理にでも寝ようとして寝返りをうった時です。私の耳がある音を捉えました。


「ウャゴ ウャゴ ウャゴ」


赤子の泣き声ような声が聞こえてきたのです。
自分のすぐそばから聞こえてきているようで、私はどきりとしました。


発情した猫の鳴き声と、赤子の泣き声は似ています。


私は、「ははーん、猫が発情しているんだな。猫が床下にいて、だから臭いがするんだ」と思いました。
そして、疑問が解けた安堵感から、いつの間にか眠りについていました。

次の日のことです。仕事から帰ると、妻と息子がガレージの車の中にいました。

時間は夜の8時、辺りは真っ暗です。
そんな中、家の中に入らず、電気もつけずにただ車の中にいたのです。

妻の顔は真っ青で震えていました。

私が「どうした?」と聞くと、間髪入れずに「ここじゃダメ。何処か移動して」と言い出し、近くのファミレスに行くことにしました。

明るい場所に着いて落ち着いたのでしょう。

妻はドリンクバーの紅茶にレモンを入れると、車にいた訳を話し始めたのです。


「あの家、何かがいる」――と。


その日の昼間、妻は掃除機をかけていました。一階の奥の和室に掃除機をかけていた時です。


チリン…


ふと鈴のような音がなると、動いていた掃除機が突然止まったのです。

あれ?と思い見てみると、掃除機のコンセントが抜けています。
最初は何かに引っかかったと思ったようですが、その現象は何度も何度も起こりました。そして不審に思ったそのときです。

不意に「トンッ」と衝撃音がして、掃除機が左右に動き出しました。それはまるで何かがじゃれているように、車輪を軸にユラユラと動き出したのです。
掃除機が動くと同時に、部屋にはまたあの臭いが充満し、いつしか空気も淀んだような重いものとなっていました。妻はその恐怖にその場に固まってしまいました。


ウャゴ ウャゴ ウャゴ ウャゴ


変な鳴き声も聞こえてきます。それは赤子の泣き声のような――私が聞いた声と同じものでした。それが何処からか小さく聞こえてきたのです。


ヴーーーーーーーーーーーーー


ちょうどその時、妻の携帯がなりました。

部屋に着信を知らせるバイブ音が響くと、いつしか部屋の重い空気が薄れていきました。
「助かった」そう思った妻が電話に出ると、かけてきた友人が開口一番で聞いてきました。


「あれ? ペット飼ったの? これ猫の鳴き声だよね?」


たった今起こっていた現象に続けて友人の問い。訳が分からなくなった妻が何も言えずにいると、友人は更に


「え、何匹いるの? ……物凄い数じゃない?」


と聞いてきたのです。「やめてよ、そんな訳ないじゃない」怖くなった妻が電話を切ったその時です。


電話を持った手を下ろすと、いつの間にか目の前に息子が立っていました。


無表情で青白い顔をした息子は妻の目を真っ直ぐに見たまま


「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ーーーー」


と哭いたのです。

その後のことはよく覚えていないようですが、妻は叫びながら無我夢中で息子を引っ張り家を出たようです。
そしていつでも逃げられるように車に乗ると、私の帰りを待っていたというのです。


妻の話を聞いて、数日前の友人との電話を思い出しました。思い出すと背中がつめたくなるのを感じました。

時間はいつの間にか10時をまわっていました。ファミレスの閉店は11時、このままファミレスにいる訳にもいきません。
少しためらったのですが、あの家に帰るのは危険と判断した私たちは、近くのファミマで夜が明けるのを待ちました。

このままではいられない。そう思った私たちが知人に相談すると、すぐにでもお祓いをした方が良いと言われました。
聞くと力のある霊能者を知っていると言うのです。

次の日、友人が紹介してくれた霊能者がやって来ました。

霊能者は私たちの家の前に来るなり言いました。


「よくこの家に住んでいられましたね。何も言わなくても全部解ります。だから今まであった事を全部話しなさい」


優しくそう話す霊能者に、私たちは今まで起こった不可解な出来事を全て話しました。

すると、霊能者は何も言わずに家の中に入っていき、更には奥の和室に入って行くと、


「ここにいます。かなり強い念を持った霊が宿っています。今から私に憑依させますので、無念を聞いてやりなさい」


と言い、何やらお経のようなものを唱え出したのです。

息をのみ見守る私たちの前で、霊能者はお経とうめき声を繰り返し、暫くもだえ苦しんでいました。
そしていよいよ霊能者に霊が憑依したのでしょう。

その苦痛を語りだしたのです。


「ニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャーン」


言葉を失う私たちに更に霊能者は続けます。


「ニャンニャンニャン ニャンニャンニャン ニャンニャンニャンニャンニャンニャンニャーン」


後に確認した不動産屋の話では、この家の前の住人は「動物虐待」の常習者だったそうです。
毎日猫の悲痛な鳴き声が聞こえるという隣人の通報から事件が発覚し、その後の調査で和室の床下からはたくさんの猫の白骨死体が見つかったのです。

私たちはすぐに引っ越しをしました。後日、不動産屋に会った折にその家のことを聞いてみると、今では猫の鳴き声と人間の泣き声がするために空き家になっているそうです。

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