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日記コワイアルコミュの痩せこけた友人

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今俺は仕事を通じて親しくなった友人とファミレスで待ち合わせをしている


俺は不動産屋に勤めていて、彼は訳あり物件に短期で住むバイトだった

彼は霊とか全く信じないタイプで、心霊テストでも全く引っ掛からないという鈍感さだ

そんな彼にはうってつけのバイトだったのだろう

歳が近いこともあって意気投合し、たまに飲みに行くような間柄になった

今回そんな彼に頼んだ仕事があった

依頼は孤独死したアパートで、3ヶ月そこに住んでもらう事だった

そして、1ヶ月を過ぎた頃、彼から連絡があった

『リフォーム済って言ったけど手抜きだなぁ
忘れ物があったから渡したい』

との事だった

確かにリフォームといっても、それほど損傷がなければ、たいしたリフォームなどしない

経費はなるべく押さえたいのが大屋の事情だ

壁紙代えて畳があれば交換するくらい

しかし荷物のチェックはしっかりしたはずだった

それでとりあえず、彼のアパートの近くのファミレスで待ち合わせすることになった



30分程待っていると彼がやってきた

「よぉ!お待たせ!ひさしぶりやねぇ〜!」

週刊誌を読んでいた俺は彼の声に顔を上げて唖然とした

恐ろしく痩せこけていたのだ

「……お、おぅ‥ひさし…ぶり」
「ん?どうした?」

向かいの席に着きながら話す彼は、病人のような痩せこけた姿とは裏腹に、やけに元気が良いようだった

「いや、なんか痩せたというかなんか…」

「あぁ〜…、最近よく言われるんだよね〜
実際さぁ、最近なんか食欲なくてさぁ、水しか飲んでないんだよ」
「いつから?」

「今の部屋に住んでから1週間位してからだから、もうすぐ1ヶ月くらいか?
なんかさぁ、ここまでくるとどこまで続くか試したくなってきてさぁ」

と、少し笑いながらあまりに軽く言う彼にたいして、少しの苛立ちと体の心配もあって

「ちょ!お前このままだと死ぬぞ!おごってやるからなんか食え!無理にでも食え!」

と声を荒げた

しかし彼は

「ん〜…でもなんか食欲無いんだよねぇ…
それより、これこれ忘れ物」

と、彼は封筒を手渡してきた

中には一通の手紙と百円札が入っていた

手紙の内容はこうだ



【私の死は世間に少しは騒がれたのだろうか

――餓死自殺の存在も考えないで

食欲という欲求に堪えた抜き、死後も衆生救済に尽くすことを願うこの世でもっとも高尚な死



だが私は違う

私はこの世を怨む者

祈りは呪い

残り百日をかけ

百の怨みの言葉を吐き

この札に呪いをかけよう

百の為政者と

百の偽りの者達と

百の無関心な者を道連れに



このひゃくえんさつの儀を以って・・・】



……なんだか気持ち悪い手紙だ

手紙を見入る俺に彼は

「あそこ押し入れ二段になってるじゃんか〜、そこの上下の境の裏に貼付けてあったぜ…」

と言ってきた

不覚にもさすがにそこまでは確認していなかった

「なぁ、もしかして前の人って孤独死って聞いたけど餓死か?…あーっとそこまでは聞かない約束だったなスマンスマン」

彼は自己完結させたが

「いや、俺もそこまでは聞いてないんだ」

と嘘を付いた

「…そうか」

「いや、でもありがとうな!
お前が見つけないで、後の人だと問題になるところだった」

「そういや百円札ってなんだろうねぇ〜、前もニュースでそんな餓死者の話なかったか?
まぁ、いいや終わり終わり!」

そういって彼は世間話やら近況報告やら始めた

しかし俺は生返事をしながらこの手紙の事を考えていた

確かに彼の言う通り前の人は餓死でミイラ化していた

…百円札…ひゃくえんさつ…百怨殺

「……まさかねぇ」

「ん?なんか言った?」

「あ、いや別に」

「あー、なんか話ていたら腹減って来ちゃった
なぁ、まだおごってくれる話有効?」

「おぅ!なんか食え食え!」

そういうと彼は今までの分を取り戻すかのような注文をした




都内では毎日三件は変死体があるといわれている

病死か事故死かあるいは自殺か…


久しぶりの飯を貪るように食べてる友人を横目に

すっかり食欲がなくなった俺は、水だけを飲んでいた



…おわり。

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