〜空と海があるように〜コミュの〜空と海があるように〜【新章・第２話】

【第二話】




コン…♪



獅子おとしの音が庭園に響く…


トントン拍子で進んだ急なお見合いに、
少々戸惑いぎみな湖南…


いつもの元気な無邪気な湖南が、まるで借りてきた猫のようだ｡



つべ春
「……｡ちょっと…」


湖南
「……｡え」



つべ春
「普通でいいんだってば

なにそんなおしとやかになってんのよ」


湖南
「だってお見合いだなんて始めてだし…

いつもの私じゃ相手もビックリしちゃうわよ」



つべ春
「あんたらしくしときゃいいのよ


湖南ちゃんは湖南ちゃんらしく…


ね」



湖南
「ねって言われても…」




そうこうしてると相手側が部屋に通されたようだ…



「こちらでございます…」


「ありがとうございます…

失礼します…」




スッと襖が開き、
相手側の紹介者らしき人とともに、写真の男性が頭をさげる…


写真通り、誠実という言葉が一番ピッタリな感じの男性…




恥ずかしくて顔をあげれない湖南…｡




「彼も緊張する方でして、


こんな場ですが、今日はリラックスしていきましょう」


紹介者の人が雰囲気をほぐそうとする｡




二人同時に…
「あ、あの…はじめまして…」



あまりのドンピシャリな挨拶に、四人が大笑いして、緊張感がほぐれる…｡


紹介者
「彼は、よっしーさん…｡
すごく誠実な人なんですよ｡」



よっしー
「そ、そんな…」




つべ春
「こちらは湖南さん…｡


おしとやかでとても内気な性格で…」




「…………｡」



紹介者とつべ春の話しも遠く感じる湖南…｡



おしとやかで内気な性格で…なんて言っちゃって、つべ春姉さん、この先どんなキャラ演じたらいいのよ…


まいっちんぐ湖南だよ




などと思ってるところへ、




「…………なんですか」

とよっしーさん…｡




「へ…」




つべ春
「あはっ、もう湖南さんたら〜」


といいつつ、

"ちゃんと話聞いてなさいよ"
とばかりに、隠れてギューッと正座してる太ももをつねるつべ春…｡





「あいたたた…」



あまりの痛さにひっくり返る湖南…


「あららら… 大丈夫ですか」



驚いて立ち上がり心配する紹介者とよっしー



「あしが…

あしがシビれてて…」




取り繕う湖南と、しかめっ面のつべ春




「よかった〜
すごく楽しい方で…

普段通りなお話をしませんか」



「え

あ、はい…」




湖南にも、やっと笑顔が戻る。



アハ、アハハ…




その後の時間はざっくばらんに笑い声にあふれたお見合いとなった…｡



よっしー
「今日はとても楽しかったです｡

ホントにありがとうございました。」



つべ春
「こちらこそ、ありがとうございました。」



紹介者とよっしーが去るのを見届け、



いつものwhitemusicに戻ってきた二人…｡


「どうだった」
って心配する夏TUマスターとのぶのぶの前で、




ドラマでよく見る、お見合い後の、疲れきって崩れ落ちる様をまったく同じようにしてしまう二人…｡



湖南
「つべ春姉さんがいきなり、

おしとやかで内気な性格で…なんて言うから〜


あー言おう、こう言おうって考えてた事全部ぶっ飛んじゃったし…(笑)」




つべ春
「私だって湖南ちゃんのお見合い成功させんのに必死だったわよ(笑)」


夏TU
「あとはそのお相手が、湖南ちゃんをどう思ったかだよね」


のぶのぶ
「で、肝心の湖南ちゃんはどうなの…」



湖南
「どうも何も…」



つべ春
「楽しそうに二人、話してたからね


とりあえずまずはおつきあい、始めてみたらいいんじゃないのって私は思うんだけどね…」




コーヒーカップを両手で包むようにしながら、
やさしく語ったつべ春の台詞にうなずく夏TUとのぶのぶ…｡



連絡はその日のうちにつべ春の元へ入り、


まずはお友達から…という雰囲気の中で、おつきあいが始まった。



湖南にとっても、久しぶりのこんな気持ちに、胸のトキメキを感じたのだった｡



〜空と海があるように〜【新章・第３話】
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