怪談クラブコミュの三文字

λ．．．ﾄﾎﾞﾄﾎﾞさんが紹介してくれたお話です〜



『ある古いアパートで一人暮らしをしている男がいた。そのアパートは２階建てで、各階４号室まで計８室のごく普通のアパートだった。男は１０４号室に住んでいた。

ある日、男が近所の店に買い物に出かけようとして外に出てみると、アパートの前に数台のパトカーが停まっていた･･･

『何だろう？』と思いながらも男はそのまま歩を進めたのだが、目的の店に着くと、そこでたまたま隣に住んでいるＹという女性に会った。

男の顔を見るなり、Ｙは何とも奇妙な事を聞いてきた･･･

Ｙ：「お宅の部屋、何ともない？」

男：「いや、別に今のところは･･･Ｙさんの部屋では何かあったんですか？」

するとＹは重々しい口を開いて、話し始めた･･･

Ｙ：「実は昨日の夜中、２０１号室の人と１０１号室の人が、ほぼ同じ時刻に目玉と首を取られて死んでるのが見つかったんだって。それで、１０２号室の人が言ってたんだけど、夜の１１時頃に、電話の鳴る音が聞こえたらしいのよ。しばらく経ってその音が消えたと思ったら、何て言ったかは聞こえなかったんだけど、最初は２０１号室から･･･数分後には１０１号室から、決まった三文字の言葉が聞こえたんですって。それと同時に意味不明な叫び声がきこえたらしくて･･･それで、１０２の人が凄く怯えてて、次は自分なんじゃないかって言い出したのよ･･･だから今日はうちに泊めてやることにしたの。若い女性だから、一人じゃやっぱり不謹慎だろうしねぇ･･･まあ空手五段のバリバリ主婦のアタシがついてればまず大丈夫だと思うけどね。けどもし何かあったら助けに来てよね！一応お隣さんなんだから！」

男：「は、はい･･･どうも･･･」

男がそう言うと、１０３号室の主婦（Ｙ）は買い物を済ませて部屋に戻っていった･･･

男は買い物を済ませて部屋に戻ると、先程のＹの話を思い返して、

『しかしいつの間にそんな事件が起こってたんだろう･･･昨日は早く寝たからな･･･よし、今日は念のため遅くまで起きてるか･･･まあ、恐らく何かの偶然だと思うが･･･しかし、ほぼ同時に電話が来たことといい、三文字の言葉といい･･･何か不気味だな･･･これでＹさん達に何かあったら洒落にならないぞ･･･』

と考えながら夕食を済ませ、それから黙々と雑誌を読んで時間を潰していた･･････

･･････それから、気が付けば時間はもう１１時を過ぎていた･･･

『まあ３０分ぐらい布団被って待ってみて、何も無かったらそのまま寝るか･･･』

そんなことを考えてながら眠りに落ちかけてウトウトしていると、男はある音によって一瞬で目を覚まされた･･･

プルルルル･････････

１０３号室からだ･･･よく耳を澄ますと、斜め隣の２０３、その隣の２０２号室からも聞こえてくる･･･恐らくは１０２号室も鳴ってるのであろう･･･

『こんな事があろうか？同時に４つの部屋の電話が鳴るなんて･･･』

男が不思議に思っていると、上の方の電話の音が消えた･･･何も知らずに取ったのであろうか？そして上の方から微かに声が聞こえた･･･それは確かに三文字だった･･･しかし、上の方だったため、男にはよく聞き取れなかった･･･何かボソッと呟くよう、確かにその声は三文字に聞こえたのだ･･･

それまで半信半疑だった男も、いよいよ恐ろしくなってきていた･･･

『Ｙさんの言ってたことが、今現実に起きている･･･ところでＹさん達は･･････？』

まだ電話は鳴っている･･･

『警戒して取っていないのか･･･その方が恐らく正解だ･･･上は･･････死んだな･･･』

男はそれをほぼ確信していた。しかし、まだ１０２号室と１０３号室はまだ電話が鳴っていた･･･

男は、二人がいる１０３号室に行くことにした。急いで靴を履き、外に出る･･･まだ電話は鳴っている･･･

『お願いだ！取らないでくれ！取らないでくれ･･･』

そう思いながら１０３号室のドアを開け、叫ぼうとした

「その電話を取っちゃだ･･････」

ところがもう遅かった･･･恐怖に耐えかねたＹは電話を取ってしまったのだ･･･すると、彼女はしばらく受話器に耳を当て、しばらくしてから三文字の言葉を口にした･･････

「はたよ」

･････････何と意味不明な言葉だろう･･････男は何かかなり意味深いものを感じ、どうじになぜか物凄い寒気を感じていた･･････そして、そこで男は気付いた･･･

『１０２号室の女がいつの間にかいなくなってる･･････１０２号室に戻ったのか？危ない！１０２号室はまだ電話が鳴ってる！取ったら･･･恐らく･････････』

『！？』

そう思っていた矢先、電話の音が消え、また声が聞こえた･･･

「はたよ」

『･･･もう終わりだ･･････』

男はガックリとその場に膝を落とす･･･

『！？』

と、今度は男の部屋からも電話の音が聞こえてきた･･･

『まさか、このアパート全体に･･･！？まあいい、そんなの取らないに決まってる！まず１０２号室の女性の所へ行かなくては！！』

そう思って男は１０２号室へ走り、ドアを蹴飛ばした！

･･････女性は無事だった･･･電話を取った後、部屋の隅でうずくまっていたのだ･･･

男はひとまずホッと胸を撫で下ろし、次に１０３号室のＹのことを思い出して駆け出した･･･

急いで１０３号室のドアを開ける･･･

『！？』

･･･････驚いた。主婦も無事なのである･･･小刻みに震えながら、やはり部屋の隅でうずくまっていた･･･

男は逆に不思議に思った･･･

『何故電話を取った二人は助かったのか？ただの悪戯だったのか？いや、それはない･･･実際にそれで１０１号室と２０１号室の人間は目玉を取られた上に首を刈られて殺されている筈･････････待てよ？』

男の顔色はある考え方に行き着いて見る見る青褪めていった･･･

『１０１号室と２０１号室の人は電話を取ったのか？･･･もしかして、取ったから死んだんじゃなくて、取らなかったから死んだんじゃ･･････だとしたら、俺は･･･まだ電話をとってない俺は･･････』

全身が総毛立つような物凄い寒気に襲われながら、男はまだ電話は鳴り続けている自室の電話を目指した駆け出した･･･

『急げ！急げ！！』

自室のドアを蹴飛ばすと

プルルルル･･･プルルルル･･･プルルルル･･････

『良かった、まだ電話は鳴ってる！あれを取れば･･････助かる･･････助かるんだぁ！！！』

男は急いで電話を取った！！





だが、それは男が予想していた三文字とは全く違う言葉だった･･･





「おそい」





――――――そして男の背後でノックの音がした･････････』