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怪談クラブコミュの病室から眺める景色

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λ...トボトボ さんが紹介してくれたお話です〜





とある病院の3人部屋に3人のお婆ちゃんが入院していた。

その病室はベットが一列に並んでいて、一番奥に窓がある・・・入院暦の長い者が奥から順にベットを使用していたのだが、自由に動く事もままならない老人の長い病院生活に変化や楽しみは乏しく、外の景色を見ることは皆無に近かったため、唯一の楽しみは窓から外の景色を眺めることぐらいだった。

ところが、彼女達にしてみれば動く事も困難なため、その窓から外を眺められるのは一番奥のベットのお婆ちゃんのみであり、意地悪なことに、彼女はカーテンに頭を入れて他の2人には見えないように外を眺めながら、

「わぁ、かわいい子犬が通ったよ」、「アイスクリーム屋が売りに来てる、美味しそうだ、食べたいなぁ」

等と、窓の外を眺められない他の2人に自慢気に独り言を言い続けた・・・

残りの2人のお婆ちゃんは窓の外が見たくてたまらない気持ちが増していった・・・何とか2人はカーテンを開けてくれるよう、看護婦にも頼んだが、窓際のお婆ちゃんが看護婦の前では「太陽の光が眩しすぎる!」と言い張り、看護婦は一番入院暦の長いそのお婆ちゃんの言うことを優先して、残りの2人が言うことは全て無視していた・・・

そんなある日、窓際のお婆ちゃんが病状悪化で亡くなってしまった・・・翌日、奥から2番目のベットを使用していたお婆ちゃんが窓側ベットへ移動したのだが、今度は彼女が2番目のベットへ移動したお婆ちゃんに

「わぁ、ほんとだ窓の外には色んな人や花や建物が溢れているなぁ」と聞こえよがしに言い出した・・・もちろんカーテンを全開にはしてくれぬままである・・・

2番目のベットのお婆ちゃんは、もう見たくてたまらない・・・だが、今窓際にいる人は時々心臓発作を起しはするが、年もそう変わらず、なかなか死にそうにもない・・・ともすれば、寿命がきて一生外を眺めれないまま自分が先に死んでしまいそうだ・・・彼女にしてみれば、そんなことは耐えられなかった・・・

そこで彼女は考えた・・・この人(窓際のお婆ちゃん)は心臓発作を時々起こしている・・・先日も発作を起こし、私がナースコールをしてあげ、彼女はいつも枕元に置いている薬を自力で飲むことで助かった・・・今度発作が起こった時に彼女の枕元の薬を自分が払いのけることに成功できれば・・・・・・

そしてその日は来た・・・窓際のお婆ちゃんが発作で苦しみ出したのだ・・・その隙を上手く見計らって、2番目のお婆ちゃんは懸命に腕を伸ばし、彼女の枕元から薬を払い除け、そしてナースコールを押してあげたのである・・・駆け付けた看護婦は落ちている薬を見て、発作を起している彼女がもがいて飲もうとした時に誤って落としたのだろうと解釈した・・・結局、窓際のお婆ちゃんは治療も虚しく死亡・・・

翌日、2番目のお婆ちゃんは、待ちに待った窓際のベットに移動した・・・看護婦が手伝ってくれて背を起し、期待に胸を膨らましながら、いよいよカーテンを開いてもらった・・・・・・


・・・・・・・・・そこには隣のビルの薄汚れた灰色の壁が一面に広がっていた・・・・・・・・・・・・

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