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劇団かに座コミュの脚本レビュー

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このトピックはかに座の公演作品にもつながるかも・・・ウインク
劇団員以外の方もお薦めの作品などありましたら、是非、教えて下さい蟹座

コメント(53)

「乱暴と待機」本谷有希子
せりふの時代 2006 冬 VOL.38
登場人物4人

現代の若者のだらしなさを、同時代の感性で鋭く描く事に定評のある作家さん。
自分でやるのと観るのとでは、選ぶ本としては絶対に違うなと思わせてくれた。
これは雰囲気オシャレな役者が揃った時に観たい作品。

成功者だったはずの男は毎夜、女を観察するために屋根裏に潜んでいる。ある事故でその男の人生を変えてしまった女は、それを黙認していた。穴から部屋を覗きながら、男はこの世で最もむごい復習方法を考え続けている。男の視線を感じながら、女はこの世で最も非道い罰が自分にくだされるのを待っている。しかし、いつまでたっても復習が実行される気配はない。
「ワニを素手でつかまえる方法」岩松了
せりふの時代 2004 春 VOL.31
10人

ホテルの中にワニが逃げ出すという奇妙な設定の中に、情のもつれ、人間のおかしみが表現されている。
読み終わった感想としては「え〜と、それで?」といった感じなのだけど。消化しきれない魅力、言葉にできない感情が湧いてくるので、劇場に来る期待の一つ、非日常に飛び込みたい願望を満たしてくれそうな気がする。

小さな港町にある古びたホテル。今、ホテルではワニの密売が行われようとしている。買い手は暴力団組長。売り手は日系二世のインドネシア人。組長はワニ好きの娘のために特別なワニを手に入れようとしているのだ。ところがワニが逃げ出し、宿泊客の小説家、流しの歌手、娼婦らを巻き込んで大騒動となる。
次回公演に向けて今まで読んだ本のレビューは以上です。

自分が気になったタイトルと、かに座でやるって事のバランスがとっっっても難しい。
そういう意味で再演以外では「フクロウの賭け」が一番バランスとれていたなと思いました。これ、渋くてカッコいい話なんですよ。

バランス関係なしだったら「焼肉ドラゴン」と「ワニを素手・・・」がやってみたい。

「死が一番の贈り物」は前回公演時の候補で読みました。これも面白いですね。
Konnokun、すごいね〜たくさん、ありがとうわーい(嬉しい顔)
こういうの読むと、どれも読みたくなるね目
映画の予告編をみると、映画がみたくなる感覚を思い出したカチンコ
ネズミ捕り(アガサクリスティ)

本格ミステリーの脚本ということで、読んで見ました。
ちょっと前にやった「そして誰もいなくなった」を思い出させてくれる展開にちょっとわくわく。「そして…」はからすだったが、こっちはねずみかあ。途中で、犯人の目星は簡単についていて、確かにそんな展開になってしまった。でも、その時点で残りページはたくさんあったので、これからがどんでん返しと思いきや、そこで終わり。え?うそだろと思ってページをめくると、残りは解説。なんじゃこりゃ?ということで、私としては〓。残念。
法王庁の避妊法(飯島早苗、鈴木裕美)

今はあまり使われないのかもしれないが、オギノ式避妊法で有名な荻野久作の話し。元々は避妊法じゃなくて、月経周期に関する学説を発見して、子供に恵まれない人に、いつやれば妊娠できるようになるかという方が正しいのでしょうが。
その荻野久作と、周りの人々の楽しくも心暖まるお話。

私は、ずっとこれをかに座でやりたいと思っています。できれば1年位前から、これをやると決めて、心構えをしっかりさせてからやりたいです。
近いうちにできるような期待感もありますが、どうなるかな?
見果てぬ夢(堤泰之)

一度かに座でやった作品。
もう忘れたので、もう一度読んで見た。

おもいだした。

とある病院で繰り広げられる個性的な患者、家族、医者、看護師、見舞客のドラマ。病院ものといえば、前々回のあした天気になぁれ(ふたくちつよし)と同じであるが、あれとは趣は異なる。どちらが良い、悪いではない。見果てぬ夢は、心暖まる感じで、あした天気になぁれは、自己と置き換えて考えさせられる。

再演作品では○だと思います。
「喜劇ファッションショー;木庭久美子作」

劇団民藝上演作品。

男4人、女6人

とあるマンションで大金を貯め込んだおばあさんと、間借り人のおばあさんと、大金をだましとる詐欺師と、その詐欺師を狙った詐欺師の人間模様を描いたコメディー。

振り込め詐欺が横行する現代の世情、老人問題などが面白おかしく描かれていて、ラストも面白い。
喜劇といってもドタバタ喜劇ではなく、かに座でやっても面白い作品の一つにはあげられるが、主人公のおばあさん2人のキャスティングが厳しいかな。
「ロボ・ロボ」西田シャトナー
惑星ピスタチオ いい話シリーズ
8人

漂流記をロボットに置き換えた話。このくらいファンタジックな表装であった方が娯楽っぽくて僕は好きです。人間の機敏は、人間以外に置き換えると受け取りやすい。


バートンロボッツカンパニーの春の新作展示発表会に向かう途中に不時着したロボット達。そこは無人島だった。残された時間は僅か、果たしてロボット達は無人島から脱出する事ができるか?
「小林少年とピストル」西田シャトナー
惑星ピスタチオ いい話シリーズ

全体的にコント調の軽いスラップスティックコメディー。深さがない潔さが、紙芝居世代にも受けが良さそうなパロディになっている。ギャグと吉本新喜劇のようなコケ芸、不条理なユーモアで楽しめた。

あやしげな男から盗まれた絵画を追う事件を依頼された小林少年とスピード丸。不在の明智探偵の代わりに事件を解決できるか!?
「マチクイの詩」福田修志
優秀新人戯曲集2010

公害被害を架空の奇病に置き換え、生々しさを抑えて好奇心を引き出しながら、土地に対する外と中の人間の対立、和解、共感、成長を描いている。社会的メッセージよりも人間ドラマ色が強く、いくつかのサプライズもあり、前半のだるさに我慢して良かったと思える読後感がある。装置が面白(大変!?)そう。

日本の南部にある島。ここには治療不可能な謎の奇病「マチクイ」に冒された人々が住んでいる。その島にある「憩いの場」に中年男性と若い女性が訪れる。彼らの目的はマチクイの調査だ。そんな彼らに反発する青年。彼の父親は重度のマチクイ患者である。マチクイが島の住民や外部の人間にもたらしたものとは。
「猿」秋之桜子
優秀新人戯曲集2011
9人

戦中の作家と編集者の苦悩に、男と女の倫理では割り切れない思いが絡み、ドロドロとしたメロドラマになっている。一人、朝鮮人である設定の朴君の役どころが難しい。素直に面白いと声を大にして言えるものではなく、刺激的な表現ばかりが気になる。

昭和12年8月19日の日本。カフェ、エピグラフ。店内には朝鮮人の少年朴が一人、床掃除をしている。二階からは女の喘ぎ声、女中のツネ子だ。そこに雨から逃れるようにして入ってきた作家と編集者。女の喘ぎ声を聞いて、またお猿さんごっこか、といったそぶりー。
作家と編集者が集うカフェで起こった愛憎劇。
「トラックメロウ」平塚直隆
優秀新人戯曲集 2011
8人

長編コントというようなライトな話。添乗員がツッコミでその他がボケである。次第にツッコミもボケになり舞台全体がボケだらけになっていく様子が、生命の危機からの発狂を描いている。ように見える。

飛騨の匠に出会うツアーの途中のトラブル。添乗員と運転手が揉めている間に客の空気が変わり、次第に添乗員さえも狂っていく。果たしてこのツアーから生きて帰れるのか!?
「ここまでがユートピア」鹿目由紀
優秀新人戯曲集 2011 
15人 

設定が星新一の短編小説のようで面白く、その先を期待して読み進めたが、回想なのか内的心情なのかよくわかりづらい表現(女・男が大勢出てきて登場人物に問いかけるなど)が出てきて、本だけでは理解しづらい。
もっとわかりやすい方向でまとまっていたら、良かったと思うが、そうなるとパンチが足りない作品になってしまうんだろうな、こういうの。

一人が一つの国を持ち、自分のユートピアを作りあげる政策がたちあがり、そのプロトタイプ版に新しく選ばれた二人の男。彼らがたどり着いた島にはすでに自分の国を作った人々がいた。果たしてユートピアは作る事ができるのかー。
「ドラキュラ伯爵の秋」別役実
8人 ドラキュラ伯爵、魔女、大男、猫男、執事、看護婦、訪問販売の男、女

日本版アダムスファミリーといった雰囲気のゴシックホラー喜劇(?)淡々と進む悪趣味な会話が、秋の物悲しさのなか、いい雰囲気で面白い。感情の山谷はない分、役者の技量が問われるが、はまるとこれは癖になる。演出で脚色できないのだろうか。

タバスコの販売員が、ふとしたきっかけからモンスター一家に遭遇する。販売員は次第に彼らに取り囲まれ、逃れられなくなる。年老いたドラキュラ伯爵とその一家の目的が見えぬまま、販売員の男が家に帰ると・・・。
「法王庁の避妊法」飯島早苗、鈴木裕美
8人

涙の恐喝という言葉があって、それは誰でも泣くだろうというようなシーンを混ぜ込んだお話が多い昨今、このお話は自然と涙が出て、心が温まる話で好感が持てた。ピクサー作品のような完全な悪意がない世界が作られていてそこが心に響いた。荻野博士が苦悩する女性が背負う選択肢について、同じ男である高見博士のセリフによって劇内で開放されるところは、作者が女性であるから描けたような気もする。「病院」「妊娠」というキーワードは、104回の見果てぬ夢でも出て来ているので、105回でも扱うのは流れとしてどうかなぁという懸念はある。それと天秤にかけても鑑賞時満足度は高い作品かなと思う。迷う。

あらすじ省略。
「兄帰る」永井愛
8人

感動作ではない。かに座で一回くらいやっててもおかしくないようなそんな雰囲気の作品。小市民のちょっとしたいやらしさを集めたカタログのよう。親族関係、ご近所付き合いなど、日常に起こりうる困った出来事から、日本人的な本音と建前を鋭く切り取っている。身につまされて笑えるかどうかは、それを経験して対処できた人だけではないかと思う。人生経験豊富な人ほどあるあるネタとして楽しめるか。

十数年ぶりに兄中村幸介がホームレスとなって帰ってきた。家族親族一同、幸介を持て余し、押しつけあいながらも彼の再出発に協力するハメに。中村家親族一同が今の日本の本質を映し出す。
中曽根さんもレビューを書いた、僕の東京日記。

詳しい内容は中曽根さんのレビューを参照して下さい。

戦後生活史3部作のひとつらしい。

舞台は70年代。学生運動が盛んに行われつつも、結局は当局によって制圧もされた時期である。
しかし、その中の一部は先鋭化し、テロリストとして、ハイジャックやら立てこもりなどの事件を起こして行った。

私も東大の安田講堂に機動隊が突入して、占拠していた学生を排除したりしたのをテレビでみて、大学ってこわいところだなと感じました。

私が学生の頃は、学生運動も下火になっていましたが、成田空港粉砕とかいう立て看板が立っていたり、ヘルメットをかぶった学生と、民主青年同盟の学生が学食の前で大声で口論していたり、若干の影響はあった。

そんな時代が舞台になっている。台詞の中にも、セクト、アジト、全共闘、東大闘争など、当時を思い出させる言葉が出てくる。

テーマは自立。これは良いのだが、舞台設定が理解できる層がどれだけいるのだろうか。少なくとも若い人はわからないだろう。私も渦中にいたわけではないからよくわからない。

ト書きも細かく、やりにくい。

それに17人も出てくる。その時点で今のかに座ではボツ。

でも、若い人に読んでもらって、どう感じるか聞いてみたい。
「LAST SHOW」長塚圭史
6人 

パルコで上演された作品。悪趣味な趣向なのに、目を背向けず見続けていたい魅力的な話。そしてびっくりするのは、これが喜劇だということ。暴力、カニバリズム、レイプ、流産、水子、動物虐待、刺殺、自殺、高速増殖炉。このキーワードからくる不穏さがかえって、親子のねじれた愛憎劇を補完している。上記キーワードが何を比喩しているかを受け取れるかどうかで賛否分かれるであろう。

幸せな新婚生活を始めた売れないディレクター石川琢哉とかつて名子役だった美弥子。琢哉は次のドキュメンタリーで、カメラマンの中島と捨てられたペットを拾うことで話題の男・渡部を取材していた。渡部の博愛的な行動を支持する琢哉と、不信感を抱く中島は徐々に対立していく。そんな中、音信不通だった琢哉の父・勝哉が訪れ、暴力的に石川夫婦の間に割り込んでくる。公私ともに泥沼になっていく石川家を中心に、登場人物それぞれの愛憎が入り組んだ恐ろしい喜劇が幕を開ける。
兄帰る

永井愛作の、人間の本音や建前を皮肉に描いた作品。

読んでると面白いのだが、淡々と物語が進行していくので、ラストになっても、これで終わり?って感じ。
皮肉がもう少し強いと、ニヤリと笑うこともあるが、今一歩かな。

永井さんの作品は、ト書きが細かく、動きが限定されるので、読んだだけでは、その意図がわかりにくい。
主宰がわざわざコピーして置いてあった『父親(ちち)の肖像(喜劇)』(木庭久美子作)を持ち帰ってたのを思い出し読んだ。あるきっかけで共同生活をしている2人の女。1人は、人工授精で子供をもうけようとする、数学しか取り柄のない高校教師と、音楽評論家でキャリアウーマンであるが、妻子のあるサラリーマンの男の子供を宿してしまった女。この2人の様々な葛藤を描いた作品。読んでいて面白い。女の視点で書かれているのかなって思う。でもかに座では取り上げないな。何でこれを主宰がコピーしたのか謎。興味のある人は読んでみて。特に女子。
「はたらくおとこ」長塚圭史
9人 

LAST SHOWと同じく悪趣味的な趣。この作者は綺麗事に血と暴力を混ぜ込まないと現代を描けないとしているのかもしれない。人によっては非常に不愉快なシーンが多く、リンゴ園を再開したいという牧歌的な夢を持った男の筆頭に、暴走が暴走を呼び、その果てに最後は許されていく流れが演劇の力強さなのかもと思った。

北の小さな村に建つ小さな工場。とっくに潰れているにもかかわらず未だに出入りする工員たちがいた。理想を求め脱サラしてリンゴ作りに挑む茅ヶ崎と、彼の志に共鳴して行動を共にする夏目と地元の青年たち。理想のりんご作りを諦め切れず、何をしていいかもわからず、彼らはずうっとそこにいた…。

全国九都市にて上演、第4回朝日舞台芸術賞と第55回芸術選奨文部科学大臣賞新人賞受賞作。
「sister s」長塚圭史
7人 男3 女4

最近はこの著者の本ばかり読んでいる。今作も刺激的だ。古びたホテル、いわくつきの部屋、狂った従業員と宿泊客。そしてその関係の底にたまる人間の業。その刺激性ばかりが目につくかと思いきやシーン転換表現にも感心する。一つの舞台で二つのシーンを同時に見せる演劇的ダイナミズムは、テレビドラマのカット割では出せない奇妙な雰囲気で素晴らしい。お話でしか演劇を楽しめないとしたら勧めないが、演劇の面白さを味わえる作品だと思う。

有名シェフの尾崎信介と、その妻・馨が信介の従兄弟の経営する古びたホテルに宿泊することになる。薄気味悪い部屋に通された新婚の二人のベッドは離されていた。信介がベッドをくっつけようとすると、馨が拒否反応を示す。新婚旅行での出来事が尾を引いているのだ。一方その頃、同じ間取りの部屋には神経質そうな男・礼二と若い娘美鳥が話合っていたー。
別々部屋の愛憎が交差し忌まわしい記憶を呼び起こす。
「幸せ最高ありがとうマジで! 」本谷有希子
六人 女四人 男二人

読んでいて別役実の友達を思い出したが、それよりも数倍高いテンションの作品。平穏なふりをしていた家族の日常に不条理を武器にして襲いかかり、なあなあでやり過ごしてきた家族のモヤモヤをあぶり出していく。謎の女が精神病について語り出すところで、物語として消費されすぎているこの病をパロディ化しているのがよくわかる。本当は病んでないと思ってても病んでるだよね。

とある町の新聞販売所にやって来た、謎の女。女は嬉々として、その一家の“不幸”を抉り出していく。目的は復讐か?否。女は、縁もゆかりもない見ず知らずの人間だったのだ。悪魔的なエネルギーで一家を追いつめる女。真の目的は一体何か?“不幸の理不尽”をブラック&シニカルに描いた、気鋭のパルコ劇場デビュー作!第53回岸田國士戯曲賞受賞。

「鈍獣」宮藤官九郎
6人(13人) 男3 女3 +(キオスクのオバサン3 明と呼ばれる男1 男達の中学生時代3 ※明以外は1人2役でこなしていたが、分割することが可能。)

ミステリーです。面白いです。田舎でくすぶるオッサン達が少年時代からの呪縛に攻められ、周りの女達を巻き込んで引き起こす騒動。人間の業を基本としてすべてのシーンを笑いに昇華させながら描いています。装置転換をせずにシームレスに回想シーンを演じ、さらにその回想に現在からツッコミをいれていくスピード感のある描写に胸元を掴まれて引き込まれます。ふざけているだけのようにみえて、すべてがつながっていく、パズルを完成させた時の快感が味わえます。

ある日、週刊誌編集者の静がとある田舎町に降り立った。失踪した作家・凸やんを捜しに来たのだ。そこで彼女を待ち受けていたのは、凸やんの同級生・江田っち、同じく常連の客・岡本、江田の愛人・順子ママに、ホステスのノラという怪しい面々であった。第49回岸田國士戯曲賞受賞。2009年映画化。
「来来来来来 」本谷有希子
7〜9人 女6人 男1〜3人(声もしくはシルエット)

らいらいらいらいらい。声にだして言ってみてください。らいらいらいらいらい。イライラに聞こえてきませんか?かようにこの戯曲はイライラを描いています。 女が、義理の父に、夫に、嫁に、姑に、小姑に、職場の人に、優しいお姉さんに、年下のかわいい女の子に、イライラしている。
都会から離れた山間の小さな集落、嫁ぎ先に縛られて生きる主人公・蓉子のまわりには偏執的な行動で満たされない心を埋めようとあがくイライラした女達がいて、そのイライラが全部蓉子に向けられてくる。辛い生活の中でもいつかは逃げた旦那が迎えに来ると信じる純粋さが哀れでおかしい。最後には、あぁ、人間ってほんとうに酷いなぁっ!と笑って(人によっては引いて)劇場を去れる佳作。

新婚1ヶ月で旦那が失踪!嫁ぎ先には野鳥狂いの姑に、いじわる小姑。新妻・蓉子は、鬱憤ぶつけられ放題の日々に、ひたすら耐えているー とびきりの「ご褒美」を待ちながら。
「ぺてんばなし 」中津留章仁
6人 女3人 男3人

面白いです。公演時役者さんの個性を上手に使った戯曲。家族の人情話にミステリー、人間のおかしみをかした笑い、あ、そうきますか!というオチ。軽く楽しめる娯楽演劇。お家に帰る頃には内容をすっかり忘れていても、楽しめた気持ちだけあればいいなと思う参考。

親の代から続くそば屋。兄と弟が将来の話で大げんか。兄の説得をはねのけて弟は出て行く。月日が経ち、弟はちょっと成功して、彼女を連れて帰って来た。そば屋は変わっていないが、人間は変わっていた。兄の嫁ではない怪しい手伝いの女。そば屋の跡を継ぐと言われている男。そして弟は帰って来た目的を隠している。男と女の騙しだまされぺてんの話。
切り子たちの秋 ふたくちつよし
10人 女6人 男5人

家族の絆、職人の粋をお腹いっぱい楽しめる戯曲。青年座用の書き下ろし“昭和の家族劇”シリーズ第3弾との宣伝。レトロ好きなら浸っていたい世界観。すたれた町工場でも、そこに愛着があり、家族の思いがある、といった希望にちょっと涙腺を刺激される。かに座向き。

1974年秋、東京都大田区。小さな工場が集まる町の一角にある佐久間製作所。石油ショックによる大不況の中、父親のあとを継いだ幸子の獅子奮迅の働きと職人たちの熟練で何とか乗り切ろうとしていた。しかし、そんな幸子たちの頑張りにも母・照代はなぜか浮かない顔をしている。「もう町工場の時代じゃないんだよ」「コンピュータがあれば職人なんていらない」押し寄せる技術革新の波は人を切り捨てる。家族も職人も結束して立ち向かう佐久間製作所が選んだ道は・・・
野分立つ 川�脳搬紂☆任蓮嶌蝓廚痢崑隋廚良�分が立 
7人 4人 3人

嫁と舅の冒頭のささいな会話が、のちに関係が崩れはじめていく際の変化をわかりやすく印象的にしている。ここにはじまり、題材の選び方や、生き生きとした登場人物等、随所に作家の技量の高さに感心。一本筋が通った家族劇。それだけより現実問題として捉えてしまう分、終盤以降、登場人物達の考え方が都合が良すぎ、甘すぎだと感じた。厳しい問題を掲示して現実的なオチで帰らせるのはサービス不足だと思ったのだろうか…!?と、まぁそういった、語りがいがある良い作品。

現代。舅と嫁。そして短大へ通う娘、時折北海道から帰ってくる大学生の息子。東京の何処にでもあるたたずまいの家庭。嫁の佐和子は大手建設会杜に勤務する夫を過労死で亡くし、それに続いて姑も病死する。佐和子はこの家にとどまって舅の宗一と幕すしかないと決意し、十数年をこの家で暮し続けてきた。宗一と佐和子は、今ではもう本当の父娘のように、言いたいことを言い合う仲である。あたリまえと思えるこの生活の中で、佐和子は宗一の老後や子供たちのことを考え、家の建て替えを決意する。そこへ、宗一の実の娘鈴子が長い海外生活を終え、夫と共に帰国してきた。二人は佐和子の住むこの父の土地に新たに家を建て、一緒に住むという。佐和子は、何一つ保証のないこの家での立場に思い至り、愕然とする。微妙に違和感が生じていく家族。佐和子は、そして宗一は……。
金魚たちとコワレタ夜の蝶番 登り山美穂子
6人 女3 男3 複数の少女

タイトルが面白そうだったんです。読んでみたら、かに座では年齢層的にできそうにないんですが。ミステリーになってます。中学生が思春期特有の狭い世界に浸る姿はまぶしくて、甘酸っぱい気持ちになります。僕がおっさんになったからか人間ドラマ的な深さは感じられず。瑞々しさのなかに子供にまつわる問題が描かれています。また、25年後の二人が30目前にして大人になったのに自分はまだ大人じゃないって自意識をふしぶしで出していますが、中学時代に出会った教師との関係とその当時に起きた事件をいまだにひきづっているから、という作劇意図なのか、それとも現代的大人像なのか、その辺りが気になりました。で、ん〜、どうだろう、面白いかどうかよくわからないといった感想です。

中学時代と25年後の2つの時代にまたがる話。
死んだ少女の墓の前に当時の同級生の二人がいる。
少女は何故死んだのか。あの時、何があったのか。
トリガー 山田裕幸

引き金。クロノトリガーって名作ゲームがあって、時間をまたにかけて大冒険するRPGで、それめっちゃ面白いんですけど、そういう話ではなかったです。素直に、自分らで時間をかけてつくる舞台で積極的に見せたい話ではないです。少なくとも自分のとこの劇団ではやらないほうがいい部類の戯曲だったなという感想。面白がる話じゃないんです。淡々としてて、最後は考えさせられる。特に親が高齢になっていて、結婚適齢期だったりすでに結婚しているような人にはリアルな話。途中まで読んでて、しばらく中断し、さきほど最後まで読んでズーンとしていました。タイトルの意味は最後に分かるんですが、もし仮に自分が主人公と同じ境遇だったらと思うと一概に肯定も否定もできないというか…。世の中案外、こんなことがトリガーになっていろいろ起こってるのかもしれませんなぁ。公営住宅の舞台設定にしたことで、古き良き時代の「近所付き合い」の関係性が現代であることを明確に感じられました。結局、戯曲中でおこるような関係性はめったにないとは思うんですけど。構成や会話も優れていますし、2004年の作品ですが、あともう10年くらいはテーマ的に通用する強度を持った作品であると思います。

千葉県の公営住宅に住む夫婦。教師である夫・浩二には痴呆の母がいる。化粧品メーカーに勤める妻・光江は忙しいらしく、しばらく東京で暮らすと言い出て行った。同じ公営住宅には出戻って来た幼なじみの明子がいる。明子とは家族ぐるみの付き合いがあり、時折、母の様子を見に来てくれる。そんな浩二の住まいに、母を訪ねて男・藤村がやって来た。
レンタルファミリー 砂本量
男3女3 声2

「相棒」の脚本家、別名義で映像のプロデューサーも行っていた、砂本量(すなもとはかる)の作品。

テンポよく進む一幕劇。他の戯曲は読むのに時間がかかるが、この本はすぐに読め終えた。面白く、画が浮かびやすい。地の文の指定が多い印象もあるが。

泣ける。親が子を、子が親を思う気持ちが伝わってくる。

くすぐりとしての小ネタに微妙な古さを感じるが、本筋は今も通じるテーマを持っている。

家族物はかに座でよく出る設定であり、相性は良さそうだが、オチは受け入れられないような気がする。

実際にレンタル家族という商売があるそう。そういう意味では奇想天外過ぎずに、大人のドラマとして鑑賞できるだろう。

あらすじ
蕎麦屋じゃあるまいし、家族まで出前する時代になるとはな…。 ある日突然、夫婦2人きりの家に飛び込んできた「家族」とは。 青年座創立40周年記念公演の戯曲。

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