THE　半ば面白い話（仮）コミュのヘルメットおじさん

ヘルメットおじさん

あれは、俺が先祖の埋蔵金を堀にいった時の話さ

俺の先祖はアウストラロピテクスという教科書に乗ってる大物でさ

そんな大物だから子孫に埋蔵金の一つや二つ残すだろうと
自分の第六感を頼りにピッケルとシャベルで穴を掘り始めて10年
俺の近所にはクレーターのような穴が無数にできてしまい
近辺に住む住人が、よくその穴に落ちる
モグラのようにいろんな方向に掘ったら
見知らぬ人の家が穴に沈んだり
田中さん家の先祖の墓を地底10メートル下まで落下させたりしたりもした
田中さんはもう墓を参ることはできない
そんな理由から私は近隣の住人から追い出されてしまい
今は見知らぬ山で過ごしている

野生のイノシシをピッケルで仕留めて
第六感を頼りに食べれるキノコを選んで食べて死に際の幻を5回ほど見たこともあった
全長2メートルくらいの熊とピッケルで戦い右手の指を食い千切られたりもした
指のかわりにキノコをさしてみたが、そんなものは気休めにしかならない
もう限界か
そう思いはじめた時だった

カツーン！カツーン！
と何やらピッケルで岩を叩くような音が聞こえた

どうせさっき食べたキノコの幻聴だろうと思っていたが
なんやかんや気になったので見に行くことにした
ピッケルとシャベルの二刀流で戦闘の準備だけして
俺は一歩一歩音のする方に進んでいく
カツーン！カツーン！
っと音が大きくなっていく

一体この先に何がいるのか
もしかして、知能が発達した熊がピッケルを使って俺をおびき出しているのではないか？
などと深読みするものの
足取りは期待を膨らませ余計に早くなる
気づくともう走ってたね
うん、ピッケルとシャベル持ってウオーーーー！っていいながら走ったよね

すると、人影が見えたんだ
その人影は手にピッケルを持っていた
カツーン！カツーン！

なんと使い慣れたピッケルさばきだ
あれだけ使いこなすには少なくとも10年はかかるぞ

我に返った俺は、その人影のピッケルさばきに見惚れていた

その時だ、向こうの木の影から大きな巨体が姿を現した

そう、俺の指を食いちぎった熊
別名「おいらは金太郎と相撲なんかしていない、略してツキノワグマである」

熊はピッケルを振りかざす人影に容赦なく飛びかかった

危ない！

そう感じた私は近くの石を拾って熊にぶつけてやることを誓い
辺りに石がないか探しはじめた

石を探してる間に熊とピッケルを持った人影は戦闘をはじめた

グチャ！

もの凄い死の臭い漂う音が周りに反響した

石は見つからなかったが
どうやら決着がついたらしい

そこに立っていたのは
ピッケルを持った熊だった

やはり、ピッケル歴10年程度の輩が
放射線で突然変異した二足歩行の熊に勝てる訳などなかった

案の定、自分の武器でとどめを刺される始末
熊の持つピッケルからポタポタと血が滴る

頭のかち割れた死体を、死体以上にいかれた目つきで見下ろす熊
それを見て小便を放尿する俺

人間と野生の獣は武器を持ってはじめて互角
まあピッケルを武器と認めていいのかは俺にもわからないが
獣の体にプラス武器ってのは
どう考えても俺が勝てる見込みはない
いや待てよ？俺はピッケルとシャベルを持っているから
単純に考えてシャベル一個分俺のが得じゃね？
これ勝てるんじゃね？いまならこの山の主的なポジションとれるんじゃね？っと馬鹿丸出しの発想で熊に特攻するも
2秒で玉砕

グチャ！

あっ俺は死んだな
まさにそんな感じの音が脳内を駆け回り出した時だ

あれ？まだ俺は生きてるぞ
肩にピッケルが突き刺さってはいるが、俺はまだ生きてる

上を見上げると、熊の脳天にマイナスドライバーが12本刺さっていて
誕生日のロウソクみたいな
ハッピーバースデイの歌が聞こえるような
熊さん12歳の誕生日おめでとうって
熊さんはありがとうっていいながらドスーん！って倒れて

訳がわからなくなった。
一体誰がこの熊を仕留めた？

周りを見渡すと、死体が2頭いや、一人は人間で一体は熊
そして死にかけの俺
まさか、死にたくないという俺の真の思いが
俺の戦闘の才能を開花させ、この熊を無意識のうちに仕留めたというのか？
などというのは勘違いで

熊の死体の中からワッショーイ！ってヘルメットおじさんが出てきたよね

そこにいたんかい！って突っ込んでからの俺とヘルメットおじさんはあっという間に打ち解けたよね

ヘルメットおじさんの話を聞くと

どうやらヘルメットおじさんの先祖もアウストラロピテクスらしくてさ
えっ？俺たち兄弟？まじで！
つってテンション上がりまくりよ！
やっぱヘルメットおじさんも先祖の埋蔵金を探してるらしくてさ
さすが兄弟だなって

ヘルメットおじさんはマイナスドライバーの使い手で
生まれた時からマイナスドライバーで生きてきた
お箸のかわりにマイナスドライバー
注射器のかわりにマイナスドライバー
食後のデザートにマイナスドライバー
もちろんそんなヘルメットおじさんの愛人もマイナス思考の雌豚
略してマザーテレサ

ヘルメットおじさんはマジですげーよ
5メートルの穴をマイナスドライバーで3日かけて掘るんだから！

そりゃ、シャベルで掘ればもっと早いさ
でも、マイナスドライバーで5メートル掘れんのか？
三日寝ずにぶっとーしで飯も食わずってお前はキリスト様か！
って突っ込んでからの俺とヘルメットおじさんのチームワークは国内456位
二人で埋蔵金を探しはじめてからは作業がはかどった
正直ヘルメットおじさんは役に立たなかったけど
俺たちはついに、埋蔵金を見つけた

ヘルメットおじさんは10メートル下から発掘されたペットボトルのギャップこそが
アウストラロピテクスの残した埋蔵金だといった
ちょっとコイツ頭大丈夫かな？って思ったけど
そんなヘルメットおじさんの笑顔をみて俺は癒された

そうか、この笑顔こそが
祖先が残したかけがえのない宝物なんだな

そう思い、ヘルメットおじさんのムカつく笑顔を見た俺は
ピッケルでヘルメットおじさんの脳天をカチ割ろうとしたが
ヘルメットおじさんは反射的に俺の頭にマイナスドライバーを14本突き刺していた

横に倒れた俺に、ヘルメットおじさんはいった

14歳の誕生日おめでとうと

完結