THE　半ば面白い話（仮）コミュのこっくりさん(絶望)

※実話。

私が中学生の頃の話。

こっくりさんがクラスで流行っていたのですが、ある時クラスの一人(結城/仮名)がイタズラ好きで｢こっくりさんをキレさせてみようぜ｣と言った。

結城はこう提案した。

こっくりさんをやりながらこっくりさんに馴れ馴れしく話したりバカにしたりするといもの。

最初は戸惑ったクラスメート達。

しかし｢俺やってみようかな面白そう｣と言い出すクラスメートの一人。

すると一人、また一人と同調する。

私はそれを黙って静観する。

結城達クラスメートは文字が書かれた半紙の上に十円玉を置いて指を重ね｢こっくりの糞狐はやく来いや待たせんじゃねぇ！糞こっくり！｣と各々暴言繰り返す。

すると指が｢なに？｣と半紙に書かれた文字の上を動く。

すると結城は｢糞こっくり！たかだか十円で呼ばれるなんてどんだけ低級なんだよ！？｣とバカにする。

指が動き｢私は低級じゃない｣と言葉を綴る。

それを見た結城達クラスメートは大爆笑。

｢うわーこっくり、ムキになってるよー｣とか｢こっくり必死過ぎ｣と笑う。

結城は｢じゃあ低級じゃないなら力を見せてみろよ！そうだなぁ……ウチの担任呪ってみろよ！｣と喋る。
｢いいよ一旦おわりね｣と指が動く。

そこでこっくりさんは終了。

チャイムが鳴って担任がガラガラと引き戸を開ける。

担任の町田(仮名)は大きなお腹をした妊婦さんだ。

結構出産が近いのに学校に来て教鞭を取っていた。

町田は気さくでなかなか生徒に人気がある教師だった。

｢はーい、じゃあ授業始めるよー！｣

いつもと変わらない風景。
クラスメート達も特に変化もない町田の様子に不満げでつまらなさそうだった。
皆、国語の教科書を出していた。

｢じゃあ国語の教科書…だ…じ……て…あﾞ、あぁぁっ！｣

不意に町田の声が震えた。
視線が一斉に町田へと注がれる。

町田は下を向いていた。

町田の足元にはボタボタと真っ赤な血が床に落ちている。

町田のスカートを足を真っ赤に染め上げていく。

｢誰か…ひ、ひど…よ、呼んでっ｣

町田はそう言うと仰向けに倒れてしまった。

クラスメートは大パニックになり皆、町田に群がり町田を呼びかけていた。

その時だった。

ちゃりん。

一個の十円玉が血溜まりへと転がり血に染まる。

私はそれを尻目に職員室へと急ぎ教師に事情を説明した。

その後、町田は病院に運ばれ一命は取り留めたがお腹の子はこの世を去った。

以降、クラスメート達はこっくりさんを止めた。

まさか本当にこっくりさんが町田を呪うなんて思わなかっただろう。

皆口を固く閉じてこの事は他言無用だった。

私を除いては……。

私は町田の病室に見舞いに行くと事の次第を話した。
虚ろな瞳の町田は黙って私の話を聞いていた。

そして最後に語り終えると町田は｢ねぇマダオくん(私の名前/仮名)十円持ってる？｣と聞いた。

私は頷いて、町田に十円を手渡す。

十円を受けとる町田は僅かに笑みを浮かべていた。

その後、クラスメート達は事故に遭ったり原因不明の熱病にかかったりと散々だった。

犯人はあの人だろう。

それでも日常は続いていく。

私自身霊視は小学生の頃はできたが、ある事故が原因でできなくなった。

それでもアレははっきりと視えていた。

真っ黒な喪服と帽子を目深に被った女性が赤子を抱きながらクラスメート達を一人一人物色していたのだ。

私以外それに気付くことはなかった。

私はそれでもアレから視線を外して日常を送った。

人を呪わば穴二つ。

おわり