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THE 半ば面白い話(仮)コミュの【SD男↑】男湯で勃起に挑む伝説の小学生 (ダンゾウ)

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 当時、ぼくたちの間ではやっていたのは、おんなのこごっこだった。

 ちんちんを股の間に挟み、腿でそれが前へ飛び出ないように膝を締めながら歩く。そうするとまるで女の子と同じように股間がつるっとした状態になる。これを風呂の間中ずっと出来ていると「オカマ王」になれるのである。
 
 オカマ。
 それはよく分からないものだったけれど、男のことも女のこともなんでも知り尽くした、なんとなく大人の匂いがする言葉だった。ぼくらが小学生の頃、TVではまだそれほどオカマを見かけることはなく、あくまでもオカマは想像の中だけの存在だった。だからこそ、妄想は肥大したのだろうが。
 
 ぼくらの住んでいた地域は、今思えば貧乏な連中ばかり住んでいた。
 でもそれは恵まれていたと思う。だってぼくらの遊びの道具は、街と、仲間と、創造力。それらを駆使できれば、今のゲームや情報過多のネットにまみれる子ども達の受動的な遊びよりもずっとずっとスリリングでエキサイティングでオリジナリティ溢れるフィールドに冒険できたから。
 ちょっと離れた街まで行くと、マンションがいくつもあったりした。ぼくらはそこを「王国」と呼んでいて、そこで「王様」になれるのが、前の日に銭湯で一番の「オカマ王」になれた奴=伝説の勇者という暗黙のルールがあった。
 ぼくらは銭湯で、いつでも女の子で居たがった。それがその時は伝説の勇者への道だったのだ。
 
 あるとき、クラスでいつもエロ知識を仕入れてくるムカサが、またとんでもない情報を仕入れてきた。
 ムカサの兄ちゃんは中学二年生。小五のぼくらにしてみればエロ魔神的存在。今思えばムカサ兄も童貞だったのだろうが、当時は絶対的な影響力を持っていたのだ。
 そんなムカサ筋の衝撃情報。それが「勃起」だった。
 
 「オカマ王」を目指していたぼくらは、その習ったこともない漢字で書かれたその単語に奮い立った。
「漢字の漢って書いてオトコって読むんだぜ」
 ムカサのその一言で、ぼくらの王様は「オカマ王」から「勃起王」へと世代交代した。伝説の勇者の証たる聖なる剣が「勃起」ということになる。
 ぼくらは必死に「勃起」の書き取りをして、学校が終わる頃には全員その新しい合言葉を漢字で書けるようになっていた。
 
 その夜から銭湯で、ぼくらはみんな勃起しようとやっきになった。
 もちろん、男湯だ。漢だからな。
 
 王国の覇権を握るために、みな必死に自分のちんちんを凝視した。
 立て、立つんだ、と。
 でも、どうやったらいいのかはよく分からなかったし、その夜は王が現れぬまま更けた。
 
 翌日、ぼくらは考え方を改めた。
 王が居ないのはマズイってことになったのだ。
 とりあえず、一番王に近いやつを選ぼうってことになった。それがいっきゃあだった。
 いっきゃあは、ちょっと濃い顔をしていて、アゴも割れていた。そういえばタランティーノに似ていたが、当時のぼくらにそんなお洒落な語彙はない。
 とにかくぼくらは、一番「ヒゲが生えそうな顔」のいっきゃあを、漢に一番近そうということで暫定的に王へと選んだのだ。
 
 その日の夜。いつものように男湯にぼくらは集まった。
 ムカサ情報をもとに皆でいっきゃあのちんちんをこする。
 完璧な計画だった。
 ……そして、みんなで順番にこすりはじめ……その時は来た!
「わ! これ、これじゃねぇか?」
 ぼくの手の中で、いつもふにゃふにゃのちんちんらしからぬ感触を確認したぼくは、ムカサの意見をもとめた。
 まずムカサが、そして次々と他の仲間が、いっきゃあのちんちんを触ってゆく。
「こるぁっ! おまえら何しとるっ!」
 
 ヒデちゃんのお祖父ちゃんに怒られたぼくらは、それから数週間、それぞれ違う時間帯を狙って銭湯に行くよう大人たちに決められてしまった。
 そんな中で王国のルールも変わり、サッカーの試合で一番点を取った奴とか、かけっこで優勝した奴とか、テストの点が一番良かった奴とか、ぼくらの王国はもはやアングラではない世界へと移っていった。
 
 そしてそんな王国も、小学校卒業と同時に追憶の彼方へ消えていった。
 
 
 
 
 
 そんなことを思い出したのは、出張先のビジネスホテルの大浴場横のサウナでたまたま隣に座った男のせい。
 あごの割れ加減、ちりちりパーマ気味の前髪、タランティーノ似で……まるでいっきゃあをそのまま大人にしたような。唯一違うのはヒゲの濃さ。目の前のこの男はもみあげからアゴまで見事な青いラインで塗っているかのようだった。
 
 やばい。目が合った。
 慌てて視線を反らしたものの、今度は向こうの視線を感じる。
「あで? もしかして……」
 ちょっと舌足らずなしゃべり方も、いっきゃあに似ているよ……え?
「いっきゃあ? 本物のいっきゃあ?」
「そーだよぅ。ぼくだよう! うわー覚えててくれたんだ懐かしいなぁ!」
 いっきゃあはすんげー笑顔でぼくのすぐ隣に移ってきた。
 なんかクネっと肩を震わす仕草が気になったが、懐かしさもありそこで5分くらい昔の話で盛り上がる。だがまあ場所が場所だ。さすがに我慢できなくなり、ぼくらはサウナを出た。
 ぼくもいっきゃあも汗だくだった。
「とりあえずシャワー浴びてくる」
 そう告げると、いっきゃあはどもりながら「うん、いいよ」と小さく答えた。心なしか頬が赤い。
 
 …………ぼくももう28だ。
 さすがにガキじゃないから不穏な空気は感じ始めている。
 ぼくら二人だけの大浴場。そして、いっきゃあの挙動。
 
 逃げられるのか?
 
 そんなことを考えながらシャワーを浴びていたぼくの背中に、何かが触れた。
「うわぁぁぁぁああああああっ!」
 慌てて振り返ると、そこにはギンギンにそそり立ったいっきゃあが居た。彼は顔を真っ赤にしながらこう言った。
「ぼ、ぼくを目覚めさせたのは君なんだからっ! 責任とってよね!」
「できるかっ!」
 ぼくはシャワーを瞬間的に超熱いのに切り替えつつ、それをいっきゃあに浴びせかけた。
「あ、あつぅぅぅぅ!」
 いっきゃあの悲鳴をすり抜けるようにして、脱衣場へと走り、びっしょびしょのままバスタオルを股間に巻き、浴衣を羽織ってダッシュした。
 エレベーターがちょうど来たところ。中から出てきたカップルと入れ替わりに飛び込み「閉」ボタンを連打する。カップルの驚いた顔がぷしゅーと閉じた扉の向こう側に消えた後、ぼくはダミーで全ての階のボタンを押す。
 
 5分後。なんとか自分の部屋へと逃げ込み、ドアを閉めることが出来た。安ホテルだがオートロックだ。これでとりあえず今夜は大丈夫だろう……ぼくはようやくため息をついた。
 
 
 
 ヘンタイに遭遇するなんてついてない。
 やめてくれよ。シャレにならん。
 ニヤニヤとしたいっきゃあの笑顔が浮かぶ。
 いやだ。思い出したくない。
 たくさんだ。ぼくはベッドで横になった。
 
 
 
(終わり)

コメント(14)

ジャンル 怖い話っすか(゜Д゜;)
所々ニヤニヤ出来る感じ

嫌いぢゃない!
ぎゃああああああああ
ゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
! 



うほっ(´艸`*)
これはまた私が好きな話だわハート
> しゃちん
怖い話にするつもりはなかったんだけど、気がついたらそんなオチになっていたw
(終わり)の後、どう転んだかで、ほほえましい話になるんじゃないかなw
 
 
> デル先生
おかしいな。
ちんちんとか勃起とか言いながらも
ハートフルな話にしようとしてたのに。
あれー?
のうみそちょっと腐りかけてるかも。
とにかく、こんな方向になっちゃって
ピュアな物語にしたかった俺は
のけぞるように大きく振りかぶって
せいっ!って激しく土下座。
いたいくらいに額を打ち付けたデス。
 
 
> わいせつゆあちゃん
あ、間違えた、猥褻じゃなく卑猥だった。
このコミュで書いていると、思っていない方向に筆がすべってしまって怖いですよ。ぼ、ぼくはこんな物語書く人じゃないんだっ!
 
先人達のモヤっとした怨念が渦巻いているのでしょうなぁ。


> だんぞうさん
やはりそうかッッッwww
>デル先生
染まりやすいの。あたし。
> ゆうちん先生
はんたいに
目線を相手にすると
ラッキーですよ。
レッツゴーですよ。
たまらないでしょうなぁ。
私も代々木のユースホステルの大浴場で、しごかれたことがあります。
まだ二十歳くらいの頃で、都会は恐ろしいところだと思ったものです。
シャワーが20個くらいあるのに、たった一人で体を洗っていた私のすぐ隣に座ってきて、
明らかに不自然でした。
歳は私と同じくらい、坊主頭でした、
しばらくは普通に体を洗っていたのですが、
気づいたら、股間の所だけ、石鹸の泡いっぱいで、
その青年はすごいでかいのを物凄い早さでしごいていたのです。
「なんだこいつは、、」
あまりにも衝撃的で、
それ以外の思考は湧いて来ませんでした。

もうそろそろ危ないのでは、、というところへ
集団客がゾロゾロ入って来ました。
ホッとしたのもつかの間、
その青年は、スーッといなくなっていたのです。
むしろそこにぞっとしました。

ユースホステルだったので、私の場合はオートロックも何もありません。

久々にそのことを思い出しました。
> グッキーさん 
ご無事で何より。
密かにハッテン場と言われている風呂場はけっこうあるようです。
ただ、その事件については一人旅行客狙いのハンターみたいですね。きっと常習犯ですよ。
流石だんぞうさん!!!

怖面白いwwww

書き方が上手すぎる!!!
>>[13]
こんな記憶の彼方のを拾ってくるなんて!
おかけで思い出してしまいましたよ。なんか書きかけの連載小説があったことを!(本気で忘れてたw)

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