ジャクソンリースの研究を紹介します。
ジャクソンリースは、手を用いているため,手の感覚で患者に送る圧、量をきめており、その用いられる圧,容量は、不確実であると指摘されています。
ある研究では、手指の感覚に基づいたバッグの感覚は主観的であり、ジャクソンリース回路などの呼吸器回路内に、圧計を使用することを勧めています。
他の研究では、圧計を内蔵したモデル肺を用いて、練習装置を作成してその効果を検討し、吸気ポーズの維持、auto-PEEPの減少の点で有効だとしています。
文献をいくつか紹介します。
Julie Redfern, Elizabeth Ellis, Wendy Holmes, The use of pressure manometer enhances student physiotherapists’ performance during manual hyperinflation, Australian Journal of physioyherapy,44,p121~131,2001
大塚将秀, 山口修, 他, 用手加圧練習装置の試作とその効果-練習間隔の検討,
人工呼吸,18(2),p193,2001
Lorraine Clapham, Jane Harrison, Tina Raybould, A multidisciplinary audit of manual hyperinflation technique in a neurosurgical intensive care unit, Intensive and Critical Care Nursing 11,p265~271,1995
Bredge McCarren, Chin Moi Chow, Manual hyperinflation:a description of the technique, Australian Physiotherapy,42(3),p203~208,1996
Bernard Rusterholz, Elizabeth Ellis, The effect of lung compliance and experience on manual hyperinflation, Australian Physiotherapy, 44(1),p23~28,1998
海外文献が殆どですが、ここ2〜3年は集中治療医学会などで毎年1個程度はこれに関連する研究が発表されています。
私たちが行った研究では、モデル肺での練習により圧コントロールは可能であったが、時間がたつにつれ、手の感覚はうすれました。初回測定では、経験豊かな方でもかなり高い加圧を行っている方もいましたし、低コンプライアンスの肺では高圧になりやすかったです。
人工呼吸器の深呼吸モードは手で加圧するよりも性能が良いのかもしれません。高PEEP高FIO2などでは、下手にジャクソンを使うより、直ぐに呼吸器に戻す方が良いです。閉鎖式吸引では不要ですから、実践で使用する機会はグーンと減っています。いろんな病態の患者様がおられることを考えると、やはり圧計を使用するのが無難かもしれません。・・ご参考まで・・