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自作小説を発表〜!コミュの『秋には、やっぱり』

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運動が苦手だけどバドミントン部に入った聡子。
友人の朋美に強引に誘われ、ダラダラと続けてる。

そんな2年生の秋。
秋季大会前のある日の土曜日。

午後からの練習。
大会前の緊張をほぐそうと、顧問の先生が
男子部、女子部合同のミックスダブルスでの
練習を企画した。

男女それぞれの部員を代表した20名。

20組で10試合。


その中に代表に選ばれた聡子の姿があった。

3年生が引退した今となっては、聡子も立派なレギュラー。


そんなこんなで、始まったミックスダブルス。
ルールは1セットマッチ。15ポイント先取。


聡子は、5組目。
ペアを組むのは、A組の雅史。

今まで一度も口を利いたことが無い。
いつも黙々と練習してる姿しか知らないし。
噂によると、新キャプテンの健太よりも上手いとか。


さて、いよいよ5組目の試合。
聡子は、ネット向こうのコートを見据える。


 「あっ!」


向こう側のコートには、男子部キャプテンの健太と
聡子をバドミントン部に引きずり込んだ、朋美がいた。


試合は、雅史の活躍もあり一進一退。
雅史ひとりが、二人を相手にしているみたいに。
まさに孤軍奮闘。
熱のこもったラリーが展開されていた。


そして、いよいよスコアは、13−14。
聡子たちペアの1点ビハインド。

健太のショットが、フラフラっとネット際へあがる。


聡子が狙いすましてスマッシュを打ちにいった瞬間・・・・・。



軸足が滑った・・・・・。


無情にも、体育館の床に落ちるシャトル。


13−15。

「エンドオブマッチ」


試合が、終わった。


ネットの向こう側では、健太と朋美がガッツ・ポーズしながら
喜んでいる。


聡子は振り向き、雅史の方を見る。


雅史は、悔しそうに口を真一文字にして、じっと落ちたシャトルを
見詰めていた。


「こめんね。雅史くん」
聡子は立ち上がりながら言った。

「いや。ドンマイ!」

顔をあげた雅史が答える。
ちょっとだけはにかんだ笑顔で。


「それより、足、大丈夫か?」

「え?大丈夫よ」

聡子は、そう言いながらも顔を歪めた。

「やっぱり、捻ったか・・・」
「そうみたい」

そんなやり取りをしていると
ネット越しに、健太と朋美が話しかけてきた。


「惜しかったな。雅史」
「もう。聡子らしぃ〜。あそこでコケるなんて」


「・・・・」

「よせよ。コケたなんて」


「あ。ゴメン・・・」

「いいの!いいの!私っていつもそうだから・・・あはは」

神妙になりかけた雰囲気をなんとか直そうと
聡子は、笑顔を見せる。


次の試合のペアが、コートに入ってきた。


コート脇に座った聡子たち。

「ごめんね。私のせいで負けちゃって・・・」
「いいって」

「でもなんかね。今日、思ったよ」
「ん?」

「バドミントン、もっとうまくなろうって!」
「今頃かよ」

「えへへ」

「って、足、大丈夫?」
「うん」


はじめて話したとは思えないほど、いつの間にか
雅史になんでも言えるようになった聡子。

まだまだ、いろいろとお話しているようです。



スポーツの秋。
体育館の外の陽も、校舎のに隠れようとしている。
虫たちの鳴き声も響き始めながら・・・。

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