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シャーク◎市屋の面白い話コミュのプリズムリズム

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行きつけの風俗店の店長から
「いい新人が入った」とお誘いを受けたため
隣町まで車を走らせた。

20歳だと言うれみちゃんの
たるんだ体はアラサーにしか思えなかったけれど
風俗業界未経験と言うのは本当の様で
所作に初々しさが見られて好感が持てた。

「男は陰茎よりも陰嚢よりも穴留(あなる)を責められるのが
大好きだから、ウエットティッシュでまずは肛門の周囲を
丁寧に拭いてあげるのが出来る風俗嬢のすることだ」
と、個人的な願望を一般論に擦り替えてレクチャーしていると
突如薄い壁の向こうから

「ちがぁああああああうっううううううううう!!!!」

と言う声が聞こえた。

反射的にごめんなさいと口にしそうになったが
怒声は私の風俗論にではなく、
隣の部屋の嬢に向けられたものであった。

声の感じから私よりずいぶん年配だと思われる男性は
更に強烈な持論を嬢に向けて展開していた。

「お前は全然わかってない。
単調なリズムを繰り返されても何にも感じないんだよ。
タンタンタンって来てまたタンタンタンって来る。
次の小節のリズムが想像出来るから身構えてしまうんだよ。
そこにタンタンタタって来てみろ。意表突かれてあはっうふってなるんだよ。
尺八を代表とする雅楽ってのは先の読めない不埒なリズムが大切なんだよ。
わかるか?じゃあやってみろ」

そう言うと男は手拍子をしながらカウントを始めた。

「はい。ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー」

軽快な手拍子と共に拍を刻む声を聞いていると
何故か夕暮れの音楽室が脳裏に浮かんだ。

最初はカウントしていただけのおっさんは
次第に高揚していったのか
マエストロ気分で嬢に指示を出し始めた。

はい!そこタンタンタッターン!タンタンタターン!

刻んで刻んで!!!!

そこは優しくメゾピアノ!エーンド!ピアニッシモ!

そう繊細なタッチで。

はい!そこはシンコペーション!おシンコペーション!!

一旦止めてからのテヌート!テヌート!ねっとりテヌート!

いいよいいよいいよ!!!そう!!!クレッシェンド!!!!!

金玉はフォルテ!!!いやフォルテシモ!!!!

愛が全てさ!
今こそ誓うよ!
愛を込めて
強く!強く!

もっと強くぅううううううううううううううう!!!!!

今だ!!トレモロ!!!

はい!ダ・カーポ!!!


おっさんがタクトを振るう狂想曲に
気付けばれみちゃんもセッションをはじめており
金玉はピアニッシモくらいで昇天していた。


吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出しながら
久しぶりにいい時間を過ごせたことの余韻に店先で浸っていると
中学校時代の吹奏楽部の顧問
山田先生が店内から出てくるのが見えた。

「プリズムリズム」

20年経った今、ふと胸に蘇った恩師の言葉。
当時は全く理解出来なかったけど
今は少しだけわかる気がする。

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