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シャーク◎市屋の面白い話コミュのはつこい

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ボクは中田さんが好きだ。

話したことは一度もないし

クラスも部活も違う。

彼女はボクの存在すら知らないと思うけど

ボクは中田さんが好きだ。


何の接点もない彼女を好きになった理由。

それは一目ボレ。

と言っても最初に好きになったのは彼女の顔じゃない。

もちろん顔だってそこら辺のアイドルよりかわいい。

だけどボクが最初に好きになったのは彼女の...胸。

体操服で廊下を走る彼女とすれ違った時

激しく上下に揺れる胸にボクの目は釘付けになった。


2年生の巨乳四天王に上げられる中田さんはやっぱりモテる様で

ボク以外にも2年生で既に野球部のエースの稲垣や

彼女と同じバスケ部で身長180cmのイケメン佐藤

その他にも社長の息子の金持ち竹田なんかも

彼女を狙っていると言うウワサだ。

部活は吹奏楽で身長は163cm。

父親は零細企業の万年係長の僕がヤツらに勝るモノと言ったら

中1からずっとトップ10をキープしている成績ぐらいだろうか。

だけど、そんなモノは中2のボクらにとってたいした

ステータスじゃないことは普段クラスの女子から一切

しゃべりかけられないボク自身が一番よくわかっている。

だから、ボクが彼女と付き合うなんてことは月と太陽がぶつかるくらいの

奇跡が起きない限り無理。そう思っていた。


しかし、奇跡ってものは案外起きるものだ。


6月のある日。

小5から通っている塾にその日も向かった。

ボクの通っている塾は1学年20名程しかいない小さな塾。

塾長は教え方は上手いが、話がつまらない。そして息が臭い。

塾長以外の先生はアルバイトの大学生でイマイチ頼りない。そして息が臭い。

だからいずれは大手進学塾に変わろうかと思ってはいるが

生徒の殆どが小学校からのメンバーであるため

どこか居心地が良くてそのまま通い続けている。

授業開始ギリギリに教室に滑り込むと

塾長は既に教壇に立っていた。

塾長「田中!今晩ワイン!」

ボク「今晩ワイン!」

言う訳がない。

思春期真っ只中の少年にオヤジギャクはキツイ。

やっぱり夏期講習からは違う塾に行こう。

そんなことを考えながら席に向かったボクは呼吸が止まった。

なっ、中田さん!?

塾長「おー。そうだ田中。みんなにはさっき紹介したけどその子は今日から入塾した中田さんだ。同じ中学だから知ってるかも知れないけどな。中田さんだから田中の隣にしておいた。あははは」

中田だから田中の隣。

うん。全然面白くない。全然笑えないけど

オヤジギャグは最高だ!

そして塾長最高!

例え塾長の息がどれだけ臭くなろうとも

卒業まで通い続けることを決意した。

極力平静を装って席に座ろうとするボクに中田さんは

「田中君よろしく!」と言った。

!!!!

彼女に自分の名前を知って貰えた。

そんな単純な事が何よりも嬉しかったけど

舞い上がってしまったボクは声が出ず

何だか恥ずかしくて目も合わせられず

彼女のはち切れんばかりの胸に視線を落として

ただ頷くことしかできなかった。


初日はそんな感じで終わってしまったけど

それからボクと中田さんは自然と話す様になった。

バスケ部だけど、ピアノを習っていると言う中田さんとは

音楽の話で盛り上がった。

吹奏楽部でチューバを吹いていると言うとすごい!と言ってくれた。

塾の宿題で彼女がわからないところを教えてあげると

天才!と褒めてくれた。

野球部のエースじゃなくても、身長が180cmなくても、

お金持ちじゃなくてもボクを認めてくれる彼女にボクは心底ホレた。

授業中に手を上げる度に

袖の隙間からチラリと覗く彼女の横乳にもチン底ホレた。


そして本当の奇跡はここから始まった。


その夜もいつもと同じ様に塾に行った。

中田さんは既に席にいたが、何だかお疲れの様で机に顔を伏せていた。

今日はバスケ部の練習はハードだったんだろうか。

ボクは中田さんに借りたベートーヴェンのCDを返そうとカバンを開けると

中田さんは顔だけをこちらに向けて低いテンションで言った。

中田さん「たなっちー。水泳得意?」

水泳・・・?

水泳の授業中、必ずと言っていい程

唇が青くなって周りからからかわれるボクが得意のはずがない。

しかし、中田さんに少しでも良く思われたかったボクは

「まぁ。それなりに」と強がった。

すると、中田さんは先程までの低いテンションが嘘の様なハイテンションで

「ホントにぃ!」と言いながら飛び起きた。

そして、ボクの方に身を乗り出しながら

来月の水泳大会は何に出るのか聞いた。

水泳大会?あぁ・・・

確か明日のホームルームの時間で選手を決めるとか言ってたな・・・

きっとボクの出る幕はないな・・・

そう思いつつも「まだ決まってない」とだけ答えた。

すると、中田さんはより一層ボクの方に身を乗り出しながらこう言った。

中田さん「じゃあさ、50m自由形出てよ。そして優勝してよ」

え・・・

確かに、確かにボクは吹奏楽部でチューバを吹いている。

それ故、肺活量って言う点では多少一般人より優れているかもしれない。

しかし、腕や足の筋力はカスだ。一般人以下だ。

未だに80近いじぃちゃんと腕相撲をしても余裕で負ける。

50m泳げるかどうかすら怪しいのに

優勝なんて出来るはずがない。

そして何で優勝しなくてはいけないのかその理由がわからなかった。

だからボクは「何で?」と尋ねた。

中田さんはまた頭を机に伏せると嫌そうにしゃべり出した。

中田さん「えーとさぁ・・・野球部の稲垣って知ってる?アイツにしつこく告られててさぁ。もう断るのも面倒臭くって。だからぁ、その時水泳大会のポスターが目に入ってぇ・・・50m自由形で優勝したら付き合ってもいいよって思わず言っちゃったんだ・・・でもやっぱり付き合いたくないぃ!」

なっ、なに?優勝したら稲垣が中田さんの胸をホームランだと!?

そんなの許せるはずがない。

以前のボクだったら

野球部のエース稲垣と中田さんならお似合いだと諦めていたかもしれない。

しかし、今は違う。

高嶺の花だと思っていた中田さんが手が届く距離にいる。

実際にちょっと腕を伸ばせばボクの指は中田さんの胸に突き刺さる。

そして彼女はボクに助けを求めている。

チューバの様な中田さんの乳をチューパーするのはボクしかいない!

決意したボクはこう言った。

ボク「小学校まではオリンピック目指してたくらい水泳、特に自由形は得意です。優勝します。してみせます。」

中田さん「ホントにぃ!!!!!」

中田さんの瞳はボクに8割恋をしていた(ように見えた)。

後の2割を優勝で埋めれば・・・

しかし、稲垣と中田さんの交際を阻止することだけが目標では今ひとつ

モチベーションが上がらない。

だから

「もし、ボクが優勝したら中田さん家遊び行っていい?ピアノ一度聴きたいし(乳揉みたいし)・・・」

そうお願いしてみた。

すると意外にも下心満タンのボクのお願いに嫌な顔反応一つ

中田さん「いいよぉ。私ケーキ焼くからそれでお祝いしよっ!」

と快諾してくれた。

勝った・・・

50mでも100mでも負ける気がしなかった。

50mなんて泳いだことないが・・・


翌日。

50m自由形優勝までの最初の関門。

選手決めの時間がやって来た。

平泳ぎ、背泳ぎの選手は出来レースの様にあっさり決まった。

もしかしたら自由形も運動神経がいいと言われている

陸上部の川上あたりに決まっているのかもしれない。

でもそんなの関係ねぇ。

学級委員の佐藤が「50m自由形に出たい人」と言い終わるより先に

ボクは「はい!」と腹の底から声を絞り出した。

教室は一瞬静まり返った後、ざわついた。

普段は存在すら感じさせないボクが突然大声で手を上げるのだから

クラス中が驚くのは無理もない。

ボクの気合に圧倒されたのか、誰もやりやくないのか

他に手を上げるヤツはいなかった。

それでも佐藤はボクが代表では不満の様で

「他に立候補する人はいませんか」と繰り返し呼びかけた。

すると、クラスのリーダー格でちょっとヤンキーの野村が

「田中がやりたいって言うんだからやらせろよ」と言った。

影でボクをよく小突いておもちゃ扱いしている

野村が人の気持ちを汲んで発言する殊勝な人間じゃないことは

よく知っている。

きっとボクが無様に負けるところを見て笑いたいだけだろう。

それでも結局、

野村の一声が後押しとなって代表になることが出来たのでありがたかった。

野村が近所の駄菓子屋でよく万引きしていることを先生に

密告するのはしばらく延期することにした。


それから水泳大会までの3週間

ボクはひたすら市民プールに通って練習を重ねた。

ただ泳ぐだけじゃなくて、速い人の泳ぎを目で追い

バタ足や水の掻きかたをとことん真似た。

その甲斐あって、タイムはぐんと縮まったが

それでも1分以上かかっていたのが40秒になっただけ。

稲垣が一体何秒で泳ぐかは知らないが

優勝するには後、最低5秒は縮めないと無理だ。

しかし、いくらキレイなフォームを身につけても

筋力のないボクには40秒の壁は越えられなかった。


水泳大会まで後3日。

その日もボクは部活をサボって市民プールへ自転車を走らせた。

だけど、正門を出たところで待ち構えていた

ボクと同じチューバー担当の山本先輩に捕まった。

めちゃくちゃキレてた。山本先輩はボクの自転車を蹴り倒すと

胸倉を掴みどう言うつもりだと迫った。

恐ろしかった。

ボコボコにされると思った。

3年のヤンキーたちでも山本先輩には一目おいてるってのが噂じゃなくて

本当だと言うのがよくわかった。

でも当然だと思った。

ここ3週間まともに部活に出たのは数える程しかない。

同じことを1年がやったらボクでも怒る。

数発殴られることは覚悟した。

しかし、山本先輩は殴らなかった。

サボっている理由を聞いてくれた。

ウソはつけないと思ったボクはちょっと恥ずかしかったけど

水泳大会で優勝しなくちゃいけないこと、それが大好きな女の子から

頼まれたことであることを全部話した。

話し終えると山本先輩の顔から怒りは消え、いつもの穏やかな表情に

戻っていた。そして「じゃあ部活なんてやってる場合じゃないな。

俺が教えてやるから一緒にプール行こうぜ」と言ってくれた。

山本先輩がヤンキーから一目置かれているのはその恐ろしさ故、

ではなくこの懐の深さ故であると思った。


教えてやると山本先輩は言ってくれたが

先輩のフォームはダイナミック・・・と言うより汚かった。

中学生とは思えない太い腕をぶん回しながら泳ぐ姿は

人間ではない何か恐ろしい兵器の様に見えた。

だけど速かった。一緒に泳いでも軽く10mくらい差をつけられた。

これが優勝ラインのスピードかと思いつつも

パワーありきの泳法からは何も得るところがなかった。

その後も何度も挑んでみたが結果は同じだった。

やっぱり優勝は無理かも・・・半ば諦めかけてプールに浮いていると

山本先輩に呼ばれた。

山本先輩「お前に足りないものがわかった」

ボク「なんですか?」

山本先輩「気合だ」

いくら練習に付き合ってくれている先輩のアドバイスとは言え

さすがにちょっとイラっとした。

何としてでも稲垣と中田さんが付き合うのを阻止して

中田さんの家に遊びに行きたいと思っているボクに気合が入っていない

訳がない。

ボク「そんなことは・・・」

反論しようとしたボクを遮って山本先輩は言った。

山本先輩「じゃあ何で息つぎする?」

ボク「だって、普通するじゃないですか」

山本先輩「たしかに普通はする。俺でもする。でもお前はしなくていい。

しなくても泳げるはずだ。取りあえず泳いでみろ」

息つぎなして泳ぐなんて無理に決まっている。

ボクは魚じゃないんだし。

ボクは大きく息を吸い込むと渋々プールに飛び込んだ。

息つぎしなければ直ぐに苦しくなって・・・

!?

ラスト5mは少し苦しかったが25m息つぎなしで泳げた。

息つぎするのは当たり前だと思い込んでいた。

だけど、よく考えてみれば苦しくなければする必要がない。

今まで息つぎをしていた分、水をかけばそれだけタイムを縮められる!

これは大きな収穫だった。

テンションが上がったボクは

再び大きく息を吸うとノーブレスで戻った。

だいぶ速く泳げた気がした。

戻ったボクに先輩は言った。

山本先輩「やっぱりな。お前ならやれると思ったんだよな。練習でお前がチューバ吹いてるの聞いてて、並みの肺活量じゃないと思ってたんだよねー」

先輩がボクの隠れた才能を見抜いてくれていたことが凄く嬉しかった。

調子に乗ったボクはもう一度先輩に勝負を挑んだがやっぱり負けた。

でも差は随分縮まった。

タイムも35秒。優勝が見えた。


大会前夜。

塾で中田さんに聞かれた。優勝できそう?と。

ボクは自信たっぷりに言った。

「もちろん」と。

すごいぃ!と言いながら飛び跳ねる中田さんの胸は揺れ

それは太陽より眩しかった。

そして、その胸にボクは絶対の勝利を誓った。

明日は奇跡が起こる。


そして迎えた大会当日。

梅雨が明けた夏の空は

雲一つない綺麗なブルーに染まっていた。

絶好の水泳日和だ。

だけどボクは風邪で休んだ。

やっぱり奇跡なんてモノは簡単に起きない。

コメント(7)

初めまして、
『明日からDiet』に惹かれてこのコミュニティーに参加しようと思いましたよろしくお願いします。
個人的中田さんイメージ。

中田さんはショートカットである。なにがなんでもそうである。

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