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シャーク◎市屋の面白い話コミュのHERO

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深夜1時。

誰もいない駅のタクシー乗り場で

煙草を吹かし俺は一人佇んでいた。

見上げた夜空は星が綺麗で明日の快晴を予感させた。

少しは暖かくなるといいな。

そんな事を考えていると

突然、背後から大きな女性の声が聞こえた。

何事かと思い振ると

そこには男1人と女2人がもみ合う姿があった。

初めは痴話喧嘩かと思い面白半分で見ていた。

しかし、どうも様子がおかしい。

男は急に暴れだすと、1人の女性に手を上げた。

もちろん「ヘイ!タクシー」的なものではなく暴力である。

英語で言うとvioletである。それは青紫である。

もう1人の女性が止めに入ろうとしたものの

それを払いのけ、更に襲いかかろうとしていた。

これはまずい。そう思った俺は

「ちょっと待てよ。」

と叫びながら割って入った。

この時のモノマネは相当似ていたはずだが

緊迫した状況下では誰も認めてくれなかった。

男は30代前半ぐらいで、劇団ひとりにそっくりだった。

この顔真似には先程の俺の木村太郎のモノマネも完敗だった。

相当酔っているようで、何を言っているか判らなかった。

暴れる男性を押さえつけながら女性に話を聞くと

帰宅途中の女性たちにその男が声を掛けたのが

トラブルの発端だったみたいだ。

警察を呼んだようだったので

「おすわり。」

そう男に言い、冷たいアスファルトの上に座らせると

俺は男が逃げないように肩を抑えつけた。

すると男は

「俺の女はヤクザや。そういう知り合いも何人もいるんや。呼んだるぞ。」と凄んだ。

ちびった俺は

「ちょっと待ってよ。」

と消え入りそうな声で言ったが、声が震えてモノマネにならなかった。

しかし、男は誰かを呼ぶ素振りはなく

暫くすると数名の警察官が来た。

「おまわり。」

そう言うと、俺は警察官に鋭い眼光で睨まれた。

状況を説明すると、調書を取りたいので、署まで来てくれと言った。

面倒だと思いつつも、乗りかかった船。

被害に遭った女性の為にも途中で降りる訳にはいかない。

警察に行くと、事のあらましを証言した。

証言が終わると酔っ払いに殴られてた女性が俺の所に来てこう言った。

「ありがとうございました。助けて頂いた上に証言までして頂いて本当にすいません。

後日お礼をしたいので、お名前と携帯番号を・・・」

明るい室内で見たその女性はとても綺麗な人だった。

全身から発せられるフェロモンとあの時間に帰宅と言うことから推測するととキャバ嬢の確率98%。

そして「お礼」と言う言葉に俺は卑猥な妄想を掻き立てた。

ゴクッ。

俺は溢れ出る精子を飲み込んだ。

しかし、俺は決して損得勘定で動いた訳ではない。だから、

「名乗るほどの者ではありません。当然の事をしたまでです。じゃあ。」

と一度は言ってみたかった台詞だけを残し

女性にくるりと背を向けると警察署を後にした。

決まった。

俺は自分に酔った。

でも直ぐに気持ち悪くなって吐いた。

何だかドロっとしたモノが出た。


俺はこの町のヒーロー。

治安を乱すヤツは絶対許さない。


時計を見ると2時半少し過ぎ。

俺は全速力で先程のタクシー乗り場に戻った。

しかし、

アフターの約束をしていたキャバ嬢の姿はどこにもなかった。

携帯を見てもなんの連絡もなかった。

慌てて電話を掛けたが

圏外を知らせるアナウンスが虚しく流れるだけだった。

どうやらまた騙されたようだった。

ヒーローは孤独だ。

コメント(1)

ドロっとしたものw
精子です、はい

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