[mixi]レコードプレーヤーの使い方（その２） - レコードプレーヤー総合研究所

[44] mixiユーザー 06月15日 18:40

それ以外のフォノカートリッジで、どう聴いても深刻な劣化が感じられるものは、今のところない。

ということは、30年以上前から盛んに云われ、恐れられていたほど、ダンパーゴムの劣化は深刻な問題ではなかったという事だ。少なくとも、おじいさんの手元に有るフォノカートリッジで、上記の三機以外は、問題が起きていない。

カートリッジメーカーやオーディオ輸入商社関係者から20年前くらいに聞いた話では、MC型カートリッジで針交換として持ち込まれるものの90％は、ほぼ何の問題もない、ダンパー劣化もスタイラス摩耗もない、健全な状態だったということだ。

では、みんな何で健全なものを、わざわざ針交換に出す決断をしたのだろうか？

[45] mixiユーザー 09月20日 14:54

と、言っていたらメッセージを頂いた。

やはりダンパーゴムの劣化を気にして、それまで使用しておられたMCカートリッジを放棄して、MMカートリッジに乗り換えたと仰る御仁である。

そこでMCカートリッジを放棄された動機を伺ってみると、「将来の劣化が不安だったから」とのことだった。どのくらいの頻度でMCカートリッジの針交換をされていたか、結局御返事が来ていないので分からないが、一年に一度でも交換に出していたとすれば勿体ない話である。

御本人が「劣化している」と明白に聴き取れる現象があれば別だけれども、何の不都合もない状態のMCカートリッジをして、将来の劣化が不安だから放棄する、というのは、考えてみれば尋常ではないのではないか、と疑念を持たざるを得ない気もする。

[46] mixiユーザー 09月20日 21:54

結局、どこかの雑誌記事や、誰かから「ダンパーや針は、知らないうちに劣化して、レコードを痛める」という風に吹きこまれたのを真に受けて、ちゃんとトレースしているうちに新しいものに交換しないと我慢がならないという、疑心暗鬼が招いた悲劇なのだろうと思う。そういう人達は、一体自分の装置の演奏音の、どこを聴いていたんだろうな。ちょっとでもトレースがおかしいと思ったら、たまらなかったんだろうな、きっと。

落ち着いて考えれば、そういうときは少なくともまず「劣化した証拠」を確かめるべきなのだけど、何故かオーディオマニアを自認する人ほど、本体を製造元や、ちゃんとしたラボに持ち込んで、動作チェックをしてもらおうとは思わなかったらしい。それは御自身の感覚があやしくて、万が一「全く問題ありませんよ。」と言われるのを恐れていたかのようだ。そのくらいなら多少の出費をしてでも、針交換に出しちゃって、恥をかくのを避けたくなるもんなんだろう。

[47] mixiユーザー 09月21日 10:39

そうしてまだまだ寿命のある、ようやくテストランを完了したくらいの、良好な状態のMCカートリッジが、沢山メーカーに戻ってくることになったわけだ。昔は実際に、針交換回収として返却されてきた本体を分解再利用して、新品に組み直して販売もされていたと聞くが、最近はどうなっているのか、今のおじいさんには確かめるすべもない。

まあ何でダイヤモンドの針が、かくも簡単に摩耗していくというんだろうと疑問に思ったのは、おじいさんだけではあるまい。どこかのレコード針メーカーが、顕微鏡写真付きで針先の摩耗の恐ろしさを広告に謳っていたことも思い出すが、あれも自信のないユーザーの不安をあおる卑怯な商法だったんだな。

[48] mixiユーザー 09月22日 15:03

今にして思えば、レコードプレーヤーの正しい置き方も使い方も、調整の仕方も、誰も理屈で教えてくれる人がいなかった時代だから、我流で一生懸命やっていた人ほど自分に自信がなかったのは、仕方のないことではあったと想像がつく。

そりゃあそうだ、何か音に異常があると思っても、レコードプレーヤーの調整方法や使い方が悪いのか、針やダンパーが劣化しているのか、それとも他に原因があるのかなんて、明確に自信をもって区別出来るほど理詰めで追いこんだ人でなければ、そんなの判るわけがない。

[49] mixiユーザー 11月07日 10:55

閑話休題を脱して、いよいよ、レコードプレーヤーの細かなパーツの説明に差し掛かってきた。

パーツの形状や組み方だけなら、それぞれ5行も必要無いんだが、興味のある方もいるようなので、サブタイトルを振って、ちょっと長めの話をしよう。昔の日記みたいで下らないと思った人は、くれぐれもこの先は、見ないで下さい、宜しく御頼み申します。

[50] mixiユーザー 11月07日 11:05

さて、おじいさんが最初に手に入れたヘッドシェルは、最初に買ったTECHNICSのレコードプレーヤーについてきたものだったんだ。確かカーソル付きのヘッドシェルで、270CっていうMM型のカートリッジが付いていた。

ヘッドシェルのてっぺんにマイナスねじの頭が見えていて、カーソルを移動調節してから、これを締めてオーバーハングの位置を固定する仕掛けが組み込まれていた優れモノだ。最初に掛けたレコードが何だったかは、もう思い出せない。

[51] mixiユーザー 11月07日 11:19

その後、お決まりのコースで、御仕着せのおまけカートリッジに満足できなくなり、手に入る雑誌を読み漁って、どんなカートリッジが市場にあって、どれが一番良い音がするのか、自分の好きな音が出せるのか、さんざんモーソーしてから、ひとまず近くの街のオーディオショップへ行ってみたんだ。今では信じられないだろうけども、昔は地方でも沢山オーディオ専門店があったものだ。

[52] mixiユーザー 11月07日 11:22

当時、家にはおじいさんの父親のクラシック音楽や西部劇音楽サントラのレコードが沢山あったんだが、おじいさんの好きだったのはアメリカンポップスだったので、やっぱりアメリカのカートリッジが良いんじゃないかと思ったんだ。

御店には、もう当時定番になっていたSHURE V15/IIIが飾られていた。でも値段が学生には高すぎて、その場で買う事は、とても出来なかった。そこでひと夏アルバイトして、軍資金をためることにして、秋には買おうと決めたんだが、ひと夏頑張っても努力は足りなかった。

[53] mixiユーザー 11月07日 11:24

ところが「へいこうゆにゅー」って広告がステレオサウンドか何かに載っていて、値段が三割は安い！

そうか、正規代理店輸入って言うのは、値段が高いんだ、そうでないのは安いんだということが、この時はじめて分かったんだが、並行輸入品と正規代理店品と、どう違うかってことを友だちに聞いて教えてもらって、故障したり不良品だったりした時の交換が効くかどうかが大事だってことが分かったから、大して違わないだろうってことで、通信販売でSHURE V15/IIIを注文したんだ。

[54] mixiユーザー 11月07日 11:26

そして初冬の或る日、学校から帰ってくると、ちっちゃな包みが届いていた。パッキングなしに封筒に直接パッケージを突っ込んで郵便で送られてきたんだが、「へいこうゆにゅー」は、けっこう乱暴なことをするなあ、と思ったもんだ。

と、ここでひとつ重要なことを忘れているのに気が付いた。ヘッドシェルをどうするか、決めていなかったんだ。

[55] mixiユーザー 11月07日 18:31

ここから先は、話が細かくなりすぎるから、別トピック「ヘッドシェルのひみつ、若しくは、SMEのシェルには、如何に沢山の変種があるか」で書きます。興味のある方はそっちへ、そうでない方は好きにして下さい。

[56] mixiユーザー 04月18日 10:52

閑話休題から本題に戻ろう。

正しいヘッドシェルに必要な性能というか条件って何だったか忘れてしまいそうなので、ここで確認しておきたい。

ヘッドシェルの材質や形状に、何か規則性や法則があるかというと、SMEトーンアーム用の規格の4ピンまたは放送局用の4ピンコネクターに準じていること以外は、全く無いと言っていいと思う。

材質は、金属、セラミック、木材、プラスチック系樹脂、カーボンファイバー系樹脂、あるいはこれらの複合構成になっている。構造に至っては、加工方法も相まって枚挙に暇がなかった。

板金プレス加工、鋳造削り出し加工、金型一発モールドや10個近い部品を一つずつ旋盤加工して組み立てしたものもあった。

重量は、これがまた千差万別で、5ｇくらいから100ｇ近くあるものまで様々だけど、これには理屈がある。使用するフォノカートリッジの、重量や振動系のコンプライアンスを想定して設計する必要があったからだ。

[57] mixiユーザー 04月18日 14:49

そこでヘッドシェルの性能として必須なのは、次のような要件だろうと思うんだ。

１．フォノカートリッジの取り付けが強固に出来る事
２．外部からの振動に対して、共振しにくい事
３．帯磁しない材質である事

これら以外は、使用されるトーンアームやフォノカートリッジの特性に合致した設計のものである必要があるから、一概に言えないもんだ。

SPUのようなローコンプライアンスな振動系で本体重量も相当なフォノカートリッジであれば、実効質量の大きいトーンアームに装着するのが正しい仕法だから、重くて分厚い構造のヘッドシェルを適合させるべきだし、ハイコンプライアンスな振動系のフォノカートリッジならば、出来るだけ実効質量の小さなトーンアームを用意すべきだから、当然ヘッドシェルも軽くてしかも出来るだけ丈夫なものを選ぶべきだ。

[58] mixiユーザー 04月18日 15:50

実際、どう考えても間違った組み合わせをすると、出てくる音は特徴的な感じになる、別の言い方をすれば「ヘンな音」だ。逆にフツーに考えて、まあこんなもんか、という選択をすれば大体悪い結果にはならない。

「ヘッドシェルのひみつ」のトピックにも書いたけれども、出力信号が30倍から100倍くらい増幅されるイコライザーを通しても、ヘッドシェルを替えたことによる違いは、大したことが無い。

だから大枚払って何万円もするヘッドシェルを買うのは、止めた方が良いってことになるんだけど、何でもやってみなけりゃわからないっていうオーディオマニアは止められないから、何十年も前に商品として世に出たものが未だに高値で取引されている。

フォノカートリッジとの接続に使うリードチップも、値段も含めて千差万別、選択肢多過ぎなんだが、これも同様だ。もともとヘッドシェルとかリードチップで劇的な性能向上の余地が無いだけの話で、金線でつくりましたとか、銀線で作りましたとか、プラチナで作りましたとか、果ては50年前のビンテージＷＥのワイヤーで作りましたなんてのが真に受けられるんだから、世の中には仕合わせな人達がいるものだと感心する。

[59] mixiユーザー 04月18日 17:12

ヘッドシェルに求めたいのは、フォノカートリッジの取り付けと調整が楽な事に尽きると思う。

フォノカートリッジは、レコード溝に対して振動系の軸が正面回転方向から見て鉛直であることが性能発揮の必須条件になる。

と、いうことは、ヘッドシェルへの取り付けは垂直方向も水平方向も、フォノカートリッジの軸とヘッドシェルの軸が完全に揃っている必要がある。意外にこれが難しくて、おじいさんは専用のジグを造ったほどだった。

またレコードの盤面に対して垂直トラッキングアングルが適正になっているかどうかも、ヘッドシェルの種類以上に影響があるんだ。

これらの調整がやりにくいヘッドシェルというのも、現実に存在した。SMEのシェルなんかも、やりにくい方だ。だから、いろんな種類のヘッドシェルを使っていると、調整だけでけっこうな苦労をする羽目になる。

[60] mixiユーザー 04月18日 21:29

飽くまでもヘッドシェルは、トーンアームの一部だ。だからトーンアームの設計と一体になっていないといけない。

どんなフォノカートリッジを使うか決めれば、自ずとトーンアームは決まる。そのトーンアームに合わせて設計されたヘッドシェルも、それほど選択の余地が広いわけではないはずだ。

一番確実なのは、トーンアームを設計した会社で用意しているヘッドシェルを、素直に信じて買う事だ。

[61] mixiユーザー 04月20日 13:18

そういう考え方を突き詰めると、ターンテーブルも含めて同じメーカーで全てのパーツを統一するのが最も正しいことになる。

確かに正しい、だけど実際には、オーディオマニアにはあまり歓迎されない、何故か？

[62] mixiユーザー 04月21日 16:07

おじいさん自身も含めて、殆どLPレコードしか音源が無かった時代に育った音楽愛好家は、フォノカートリッジによって大きく音質が変わると言う事を、繰り返し見聞きしていたし、実際に買ったフォノカートリッジの音の違いというか良し悪しを実感を持って知っている。

ヒョーロンカも、あれはクラシックに向いている、とかジャズにはこれが一番という紋切り型解説で、フォノカートリッジの論評を山ほど書いていた時代だったんだ。

だから、なけなしの予算で次の買い物を何にするか考えたときに、自分の好きな音楽を、一番好ましく聴きたいと思ったら、先ずフォノカートリッジを、今あるのよりももっといい奴に替えるのが現実的な案だったのは当然だった。

[63] mixiユーザー 04月21日 19:16

フォノカートリッジメーカーで、トーンアームも設計製造していたメーカーは、少なからずあった。

しかし米国のSHURE BROTHERSは早々にトーンアーム製造を止めて、SMEを推奨するようになった。そのせいか、SMEのトーンアームは大ヒットになった。1960年代後半の事だ。世界的にオーディオブームとなった1960年代でも、こういう判断をするメーカーがあったんだ。

日本のメーカーも、自社製のフォノカートリッジのためにトーンアームを設計するところは、どんどん減っていった。1980年頃には、全盛期の半分の数もなかった。要するに、商売にならなくなったわけだ。

自分の思うところのフォノカートリッジが決まっても、そのメーカーでトーンアームを用意していないのであれば、別のメーカーのものを選ぶしかない。

でも、その時の選択基準は、ヒョーロンカの評価しかなかったりするわけだし、真面目なヒョーロンカがいたかもしれないけれど、もともと純然たる技術的選択をする人達ではないから、フォノカートリッジとトーンアームの組み合わせがいい加減になっても仕方がない。

ユーザーが好きだと言う組み合わせを、否定するわけがないからだ。

[64] mixiユーザー 04月21日 19:42

ただ、理屈をわきまえた人達ばかりだったら、当時のようなオーディオ黄金期はあり得なかっただろう。

「良い音で好きな音楽を聴きたい」と多くの人が望んだから、オーディオ製品だけでも産業として充分成り立つほど品物が売れたわけで、幅広く性能や値段やデザインが提供され、選択できる結果となったんだから、ユーザーにとっても悪い話ではなかったはずだ。

しかし選択の幅が増えたという事は、気分的に豊かにはなっても、本当に理にかなった組み合わせが何なのか、分かりにくくなったことを意味するのを、そのときは誰も気に留めなかったんだ。

[65] mixiユーザー 04月22日 16:54

ヘッドシェルに関しても状況は同じで、量産効果で単価が安く出来ていた頃には、全然理屈も経験もないメーカーが参加して百花繚乱の有り様だったけれど、余程機械工学的に誤った組み合わせでない限り性能に支障は出なかったから、自分の気に入った、手の届く範囲の製品を適当に買っても大間違いはなかったんだ。

斯くいうおじいさんも、マエストロGRADOのトーンアームにSMEの古いヘッドシェルを使用しているんだけども、オリジナルのGRADOヘッドシェルに比較して、音質的には歴然とした差はないと言っていいと感じる。そもそもSMEの古いヘッドシェルを選んだのは、オリジナルのGRADOヘッドシェルを十何個も集めることの方が難しかったからだ。

[66] mixiユーザー 04月22日 17:11

最近のハイエンド系のヘッドシェルはこんなもんだ、邦貨十万円くらいのものだな。

[67] mixiユーザー 04月22日 21:07

とにかくフォノカートリッジの三次元的方位が正確に調整出来ていないと、いくらレコードプレーヤーを正確に調整しても無駄になってしまうから、それがし辛いようなヘッドシェルは、いくら立派そうに見えても敬遠した方が良いという事だ。

ただし、おじいさんもヘッドシェルにフォノカートリッジを正確に取り付けるためのジグは、見たことも聞いたこともない。トーンアームの調整のためのテンプレートやジグは、結構沢山製品化されていたし、現在でも手に入るものもある。

でも、これらはフォノカートリッジがヘッドシェルなりトーンアームに正確に取り付けられている事を前提にしているものばかりだったから、それが確認できなければ意味が無い。

[68] mixiユーザー 04月22日 22:43

フォノカートリッジを実際に何種類か買って使ったことのある人なら分かっているだろうと思うんだけども、取り付けのための孔なりスロットなりは、それこそ千差万別で、中心軸の間隔は1/2インチだけども、穴の直径やスロットの幅はユルユルだったり、はたまたネジ山まで切ってあったりと、フォノカートリッジの種類だけ寸法形状が違うといっていい。正確な取り付けは、結構難しい。

それなら何でどこのメーカーも取り付けジグを開発しなかったかというと、あまりにもヘッドシェルの形状に違いが沢山あるんで、どんなヘッドシェルにも適合するジグなんか造れなかったためだ。

逆に言えば、フォノカートリッジが決まって、ヘッドシェルも決まらないと、正確なジグは造れない、当たり前の話だ。

それにユーザーが、どんなヘッドシェルにフォノカートリッジを取り付けるのか、カートリッジメーカーには想定が出来ない、というかそんなところまで責任を持たない。カートリッジメーカーに造れないものは、それ以外のメーカーにも造れないし、造っても自分達の商売の範囲外だ。

[69] mixiユーザー 04月23日 15:24

結論としては、ヘッドシェルはトーンアームと同じメーカーのものを使うのが最も確実で、正確にフォノカートリッジの取り付けが出来るのであれば、好きなのを選んでも大過ないということだ。

正確な取り付けが出来るように、各個人でジグを造るのは自由だし、おじいさんも自分で造ったもんだ。どうしても自分で出来なければ、誰かに頼めばいい、タダでは出来ないと思うけれども。

[70] mixiユーザー 04月23日 15:37

それから、リードチップも余り悩む必要はない、好きなのを買えばいい。

但しフォノカートリッジの出力ピンの直径は、全く規格が存在しないらしく、下手にリードチップを嵌めこもうとすると、ピンを押し込んでフォノカートリッジ内部を破壊して断線使用不能になることがあるから、要注意だ。

逆にスカスカで固定できない場合もあって、チップ側をかしめて狭くするしか対処方法が無いんだけど、かしめ過ぎてやっぱりピンを押し込む羽目になることもあるので、更に要注意だ。

どういうわけかリードチップの金具は、1960年頃から殆ど進歩していない、U断面のチップの弾力と摩擦で固定するミニチュア板金のものしかない。

知る限りGOLDMUNDのT3リニアアームのヘッドシェル、というよりもカートリッジ取付板に附属していたものが、ネジ止め式のミニミニメスプラグのようなものだったけど、フォノカートリッジの出力ピン配置によっては使用不能だったこともあった。

[71] mixiユーザー 04月23日 16:14

1950年代の半ばまでは、ヘッドシェルという独立した製品の区分はなかった。本来はトーンアームの一部分であり、非常に限られた分野でしかヘッドシェル分離型のトーンアームは用いられていなかった。

その一つが放送局用のレコードプレーヤーで、有名な西ドイツのEMT社は、フォノカートリッジの交換が確実かつ容易に出来るように、ヘッドシェルにフォノカートリッジを正確に取り付けたユニットとして、製品を提供していた。これはモノラール放送用のレコードプレーヤーの頃からあり、寸法形状はDIN（ドイツ工業規格）に定められていて、その後ステレオ放送用の規格も用意された。

これは、おじいさんの想像だけども、SMEのトーンアームは、EMTが採用したDINのステレオ規格コネクターを流用して、それを45度回転させたものを自社のトーンアームに採用したんではないかと思うんだ。

しかしSMEは、初期の自社製品のヘッドシェルとして、デンマークのORTOFON社が製造していたプラスチック製のG型ヘッドシェルの銘板をSMEに張り替えて附属させていた。ということは、GシェルのコネクターはSMEのトーンアームが出来る前から存在していたのかもしれない。

そうであれば、現在流布しているSMEタイプコネクターというのは、実はORTOFONタイプコネクターと呼ぶのが正解なのかもしれない。

一方でORTOFON社は、いわゆるA型ヘッドシェルというものを提供しており、こちらのコネクターは初期の頃はDINのダイヤモンド型配置で、それ以降はSME型の正方形配置になっていたから、経緯がよくわからない。

この辺りは、気にはなるけれども、追っかけても大して役に立たない歴史的トリヴィアなので、また機会があったら考え直してみたいと思う。

[72] mixiユーザー 04月24日 15:03

というわけで、次はフォノカートリッジの使い方に進みたいと思います。

フォノカートリッジの取扱いでは、次の二点が重要になります。

１．機械的調整

２．電気的調整

[73] mixiユーザー 04月26日 12:19

機械的調整は、ここまでで何度も書いているけれども、ターンテーブルとトーンアームを含めて、水平と垂直方向の整合性が取れていれば、90％は問題はない。

あとは、異常にカンチレバーのコンプライアンスの低いフォノカートリッジや、逆にコンプライアンスの高いフォノカートリッジでなければ、それ以上気を使う必要はない。

機械的調整によって本来の性能が、ちゃんと発揮出来るようにすることは重要だけど、手を抜くと何処が悪いのか分からなくなってしまうから、しっかり押さえておく必要はあるんだけどね。

[74] mixiユーザー 04月26日 19:00

要するに、フォノカートリッジの取り付け後に、レコードの直径方向に垂直に、回転方向に平行になるようになっていれば良いわけだ。

ところが電気的調整は、一筋縄ではいかない。

[75] mixiユーザー 04月26日 20:13

フォノカートリッジには、大きく分けて次の種類がある。

１．電磁型
２．圧電型
３．検知型

１．の電磁型も、さらに分類する必要がある、それは、

①固定コイル型

②可動コイル型

の二つだ。

馴染みの言葉でいうと、①はムービングマグネット・タイプで、②はムービングコイル・タイプだ。

２．と３．は、おじいさんの手元には両方生きているのがあるが、どちらも信じられないくらい高性能なものだ。だけども現時点では、製品として供給されているものは皆無だから、あと回しにしよう。

[76] mixiユーザー 04月26日 21:48

電磁型は、それなりに歴史の古いフォノカートリッジの型式で、モノーラル音響時代から存在していたんだが、固定コイル型のムービングマグネット・タイプ等の生産性が高くなって単価を安く供給出来るようになったために、全世界的に普及した。だから、ＭＭカートリッジというと普及品・安物のイメージがついて回ることにもなったんだ。

固定コイル型のフォノカートリッジの特長は、コイルの巻き線数を増やすことで出力電圧を稼ぐことが出来るところだった。ところが巻き線数を増やすと、電気的に負荷抵抗や負荷容量の変化により、周波数特性が大きく変化することが忘れられがちだった。また巻き線数を増やすことで、どのくらい音質に影響があるのか、あまり真剣に考えられた事がなかったんだ。

[77] mixiユーザー 04月30日 11:12

適当な図が見つからないんで、具体的な説明は後に回そうと思うんだけども、要するに電磁型は負荷抵抗や負荷容量によって周波数特性が変化することを念頭に置いて調整しないと、問題があるのかないのかすら判断出来ないから、気を付ける必要があると言う事だ。

負荷抵抗や負荷容量は、現実の例として、レコードプレーヤーからアンプまでの接続ケーブルの構造や長さと、その接点数で変わってくる。

そして、フォノカートリッジの性能諸元は、大体ちゃんと使用説明書に書かれているから、メーカーの指定通りにしないと、説明書に書いてある特性は出ない場合がある。

でも、真面目に説明書を読むオーディオマニアが、実に少ないことも現実なんだな、これが。

[78] mixiユーザー 04月30日 11:48

文字通り、短絡的に「ケーブルは短かければ短いほど音が良い」っていう迷信を生んだのも、この辺りの話から出ているような気がする。無理やりケーブルをブッタ切って、値段だけは高いRCAピンプラグを買って来て、拙いハンダ付けをしたために、余計な問題を起こした人は何人もいた。

一方で、「超高音質、低負荷抵抗、低負荷容量」なんてフォノケーブルを買ってみたらシールド処理不足で、外部雑音拾いまくりなものもあったんだから、始末に負えない。

[79] mixiユーザー 05月12日 23:25

固定コイル型の大多数は、推奨される負荷インピーダンス抵抗が47kΩだった。何で、こんな半端な値になったのか、おじいさんも知らない。ただ、SHUREはV15よりも昔のモデルから47kΩを推奨値としていた。これを守れば周波数特性が、より平坦になるということだ。これをもっと高い負荷で受けたりすると、5kＨｚ辺りから影響が出て高音域の電圧が高くなったりするんだ。

ところが4チャンネルステレオ用に、超高域（50kHz）辺りまで周波数特性を伸ばすのが使命になった時期に、負荷抵抗値を100kΩに設計することが多くなった。そして、そういうフォノカートリッジの音質が評判をとった時に、アンプ側でも負荷抵抗値を100kHzにも切り替えできるような機能を付けるようになったもんだ。

[80] mixiユーザー 05月12日 23:29

負荷インピーダンスと並んで、フォノカートリッジの音質に直接影響を与えるのは、負荷容量だ。ところで、レコードプレーヤーからアンプへ、通常はフォノイコライザーアンプまで信号を送るためには、シールドされた同軸ケーブルを使用することが多い。

ところが、このシールドされた同軸ケーブルっていうのは、事実上コンデンサーに似て特定の値の容量を持っている。これは1KHz辺りから音質に影響を与える可能性がある。ケーブルは長くなればそれだけ容量が増えるから、「ケーブルは短い方が良い」っていう短絡的なことを言い出すヒョーロンカも出てきたし、それをみんな真に受けてしまったりしたもんだ。

しかし問題は、どうやって適切な負荷容量に近づけるかってことで、やたらに何でも短くしたり減らしたりすればいいってわけじゃあない。

[81] mixiユーザー 09月23日 05:46

此処から先は、正確に測定をするしかない。カートリッジの出力ピンからフォノ入力端子までの実測容量値が、メーカーの使用説明書にある推奨値に合致しているかどうか、調べるんだ。

もし大幅に差があると分かったら、ケーブルの長さを調節するか、別のケーブルを買って来て入れ替えるのが手っ取り早い方法だが、もっとスマートで理詰めなやり方も、あった、というか今もある。

[82] mixiユーザー 09月23日 05:51

それが、これだ。

[83] mixiユーザー 09月23日 05:57

こんなシンプルにして、理屈通りの調整キットを考え出して、しかもそれを売ることを躊躇しなかったハダウェイさんという人は、素晴らしい人だと思う。そして、この全く理に叶った方法に見向きもしなかった日本のスーパーマニア連を、本当に情けないとも思う。

今からでも遅くないから、もし真面目にLPレコードを聴きたいと願う人は、ヘンなケーブルやインシュレーターに手を出す前に、下記のWEBで注文してみて下さい。英語が苦手だと言う人には特別に、おじいさんが和訳してあげよう、もちろんタダだぞ、ちゃんと買ってからだけど。。

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