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キミの事は俺が絶対に守るから!……だから…結婚しようっ!!


一世一代の告白。彼女は目に涙を浮かべて頷いた。



浮かれていたのだろう。
その日、俺はこんな夢を見た。


――――――――――――



やった。

何でか分からないけど、秋元康さんに気に入られて男性としては初のAKB48研究生になれた。

しかも早速、山間の宿泊施設で合宿があるらしい。

テレビの企画らしく、ナインティナインの岡村隆史さん、矢部浩之さん、雨上がり決死隊の蛍原徹さんも参加している。

昼間のハードなレッスンに疲れてベッドに入るなり泥のように眠ってしまった。




ギャぁぁ ぁぁ ぁぁああ




目が醒めた。

何だ?今の声は。


暗い。部屋は真っ暗だ。
時計を見るとAM3:06。


バタバタと何人かの人が走る音が聞こえる。
深夜だというのにエラい騒ぎだ。

撮影でもやっている「いやぁあぁぁあああぁあぁ」のか?





……違うみたいだ。今の叫び声はおそらくAKBの誰かだろう。

アレほど不吉で恐ろしく、不安をあおる気持ちの悪い声をテレビ収録で出すとは考えられない。

これは非常事態だ。


騒ぎに気付く人も増えてきたのだろう。次第にドアを叩く音、ドアを開ける音が頻繁に聞こえはじめ、走る音、泣き声、叫び声で宿泊施設の中は埋め尽くされだした。

因みにAKBおよび研究生が宿泊しているのは施設の三階だ。

男という理由で個室を与えられていたのだが、AKB48の為の施設らしく全ての部屋はベランダで繋がっている。暗闇にも目が慣れてきたのでカーテン越しにも月明かりでベランダの様子が良く見えた。


何人かの少女がベランダを走って行く。

全力疾走だ。彼女達が振り向いて叫んでいる。



き た き た き た

きた よ こわ い よ





怖い。なんだ?何が来たんだ?


彼女達が走り抜けた後、少しの間を置いて【それ】は現れた。



黒い。…猿?

にしてはやけに手足が長い。それに動きも変だ。

意味も無くピョンピョンと跳ねるように移動しているかと思ったら、急に地面に這いつくばって這うように進みだしたりしている。



気持ち悪い。



そのままその猿のような生き物は彼女達が走って行った方向へ行ってしまった。


――――と。




バシャアァァァァン!!



隣の部屋からガラスが盛大に割れる音がした。

直後に悲鳴。




―――ド…ン!ド…ン!ド…ン!ド…ン!ド…ン!


何かを振り回し、床に叩き付けるような音がしている。

いや。ナニカではない。俺は気付いていた。人間だ。【あれ】が人間を床に何度も何度も何度も何度も叩き付けているのだ。


恐怖心が押し寄せて来る…。すでに部屋は安全性を失った。逃げなければ。

どこに?

こうしている間にも【あれ】が隣からやって来るかもしれない。急がなければ。


廊下が静か過ぎて出て行く勇気が出ない。ならばベランダか?

…静寂。

恐らくこの施設の中にも未だ息を殺して潜んでいるAKBが要るに違いない。

騒ぎに乗じて逃げるのがベストだ。本当ならばAKBの誰かと手に手を取り合って逃げるのが後の事を考えれば良い選択なのかもしれない。

しかし。【あれ】から発せられる禍々しい空気がそんな気持ちを打ち砕く。へし折る。誰を犠牲にしても逃げてやる。あぁ。俺は最低だよ。



あ、あぁぁぁ――がぁあ……


遠くで悲鳴とも断末魔の声とも分からない声が聞こえた。

なんて移動速度だ。ベランダを通った気配は無い。廊下を通った気配も。しかし、【あれ】がいるのは随分遠いのは分かった。逃げるなら今だ。


俺は廊下に飛び出した。




…直感で分かった。



選択を失敗した。と。




【あれ】がいた



廊下のずっと向こう。しかし、見つかった。見つかってしまった。


もう、恐怖で動けない。


【それ】がピョンピョンと跳ねながら近付いてくる。

月明かりに照らされた【それ】は

ナインティナインの岡村隆史さんだった。


いや。

「岡村隆史さんだった生き物」



その顔はとうてい人間のものとは思えない程に紫色で、顔中にうっすらと血管のようなものが浮き出ている。目の焦点もあっておらず、首をかしげたような角度であらぬ所を見ている。

身体には黒い毛のようなものがビッシリと生えておりパッと見は某CMで岡村さんが扮している

「トマール猿人」

のようにも見える。

しかし、手が異様に長くピョンピョンと跳んでいるにも関わらず床に触れたまま。足は膝からが人間のそれとは逆に折れ曲がっており皮は無く、殆どが筋繊維のみ。



化け物。


そうとしか呼べない異形の生物。


少しでも動こうものなら一瞬で距離を詰めて来られる。そんなビジョンしか浮かばない。



失神しそうになる。意識を保つので精一杯だ。




―――と。


【それ】が通り過ぎた直後の部屋から誰かが飛び出してきた。

蛍原徹さんだった。

蛍原さんは化け物に近距離で鉢合わせしてしまった。


言葉も無く動こうとしない蛍原さん。




突然笑いだした。


ヘラヘラと笑っている。

へらへらとわらっている。

へらへらへらへら
へらへらへらへら
へらへらへらへら
へらへらへらへら
へらへらへらへら



その笑い声を背負いながら【それ】がこちらに振り向いた。



その顔は――――――――




黒柳徹子さんだった。












―――とび起きたら汗びっしょりだった。



しかし、夢とはいえ。夢とはいえ俺は人を見殺しにし、自分だけ助かろうとした。

はは。何が絶対に守る…だ。口先だけじゃないか。

自己の薄っぺらさを嫌悪した俺は彼女に手紙を残し、姿を消した。

二年だ。二年だけ待ってくれ!俺は山に籠もった。拳で岩を打ち、滝で身体を打ち、大木を背負い、雨水を啜り、腕試しにタヌキ、イノシシまで倒した。

そして今日。とうとう熊をも倒したのだ。俺は歓喜にうち震えた。

これで…っ!これでようやくアイツを守れる!あの時とはちがう。胸を張って堂々と“守ってやる!”と言えるのだ。

山に籠もり丁度二年が経とうとしていた。










でも、彼女は一年前に合コンで知り合った会社経営の男性と結婚しており、ショックの余り冷静さを失った俺は旦那に大外刈りをかまして逃走。
その足ですぐさま再度入山し、今年で20年目を迎えます。

山の冬は厳しいですが、俺は元気です。

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