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中野の音楽BAR ZAZIEコミュの面白いことって(2)

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2 とにかく少し深いレベルまで突き詰める

 何度も言いますが、あくまでも僕流の面白いと思えること、の極意(えらそうですが)は、どんなことでもちょい深レベルまで無理しても降りていく、ということにあります。面白いってとびつくとですね、よく簡単に解るレベルっていうのが最初にあります。おっ、面白そうじゃん、というのは先ずここから始まるのであります。ただ、このレベルは割と飽きが早く来る、そしてもう少し面白くなるのか、と次の深いレベルに入っていく、ここまでは誰でもやる、はずなんです。

 ところが、この最初の面白そう、というレベルからちょい突っ込むとそこには簡単に理解できない壁が大体出てくる。これはスポーツなんかでもそうですよね。たとえば卓球なんて、温泉にいくとピンポンという感じで誰でも手に取って遊ぶじゃないですか。でも、これがラリーとかになると、経験者じゃないとなかなか難しい。スリッパからラケットに持ち換えるといきなりハードルが高くなるのです。で、ここで止めるか、ここから頑張って最初の壁を乗り越えていくか、で面白さの幅が広がるかどうかという展開になるのです。

 これスポーツだと解りやすいですが、もっと身近なことでもそこから突っ込んでいくと世界が広がっていくのでして、たとえば料理なんかも誰でも簡単にできる何チャラ、とかいうレシピ本からスタートして、そこから一歩踏み出して「基礎のフレンチ」とか「最初のイタリアン」なんてレシピ本にいくとほんと深ーい世界が待っております。もちろん、技術レベルが上がるので最初は無理無理、って思うものですが、そう怖がらずにとにかくやってみる。そうこうするうちにああ、こういうことなのか、ということが少なからず見えてくるというもの。そうなると、シメタものなんですね。

 そして、そして、僕が本当に言いたいのはここから。このミッドレベル(いいのか、こんな英語で)からさらにもう一歩踏み込む、プロレベルというところにちょい足を踏み入れるぐらいまでは行ってみよう、というある意味無謀な提案なんです。というかね、プロレベルになる、ということではなくて、プロレベルとはなんだ、ということが解るまでいこう、そうすると、明らかにそのレベルからしか見えないものが見えるから、ということ、それが面白いのであります。

 料理で言えば、「なになにシェフの本格イタリアンレシピ」だとか「フレンチフルコースのレシピ大全」とか先ず読んで解るようになると、これが実に楽しいのです。こんなハーブを使うのか、とか、オリーブオイルはこんな産地のものがあるのか、とか、低温の油で長時間調理する方法があるのか、とか目から鱗がいろいろでてくる。ここまでくると本当に深い面白さが身にしみて理解できるのです。

 もう一つ例えをだすと、僕は昔からジャズが好きでピアノもクラシックは弾いていたのでいつかはジャズでアドリブが自由にとれれば、ということが夢でありました。そして、学生時代からジャズの理論書を買っては最初の数ページで挫折し、いろいろな理論書だけがどんどんたまる、という悪循環。どうしても、理解するために乗り越えなければいけない壁を、ずっと乗り越えられないままでありました。

 でも、十数年も悪戦苦闘して結局なにもアドリブについてわからない。楽譜どおりに弾くことはできてもぜんぜん自由にできない。そして、37歳ぐらいかな、お店はじめてちょっと余裕ができたころに、プロのジャズピアニストの方に師事しまして、本格的にジャズを勉強しだしたのであります。

 これも、最初三か月はなにがなんだかさっぱりわからない。ただ、今までと違ったのは習っているということもあって、あきらめないで石にかじりつくように毎日毎日午前中から店に出てピアノの前に座り、ひたすら先生に言われたとおりにジャズのコードを繰り返し繰り返し弾いておりました。するとすると、あるところから、パァーと光がさすように、氷が解けるように今まで解らないことが体感的にわかったのですよ。もう、感動しました、ほんと。なんだ、こういうことなのか、アドリブって、と。

 ここでちょい説明しますと、これ解ったからといってプロのようにすごいアドリブが弾けるということではありません。この解ったところから、大変な練習によりスラスラと弾けるアドリブというものが身に付くのであって、要はここに立つのがジャズアドリブのスタートなんですね。でも、大概の人が僕と同じようにこのスタートに立てずに挫折していくのだと、思います。そう、なんです。この壁を乗り越えると、弾ける弾けないはともかくアドリブがどういうことか、ということは理解できる。そうなると、今まで聴いてきたジャズも全然違うように聴こえてくるのです。

 みんな神様だと思ったジャズピアニストが、ああ、あの人はこの程度のことしかやってないのか、とか、あの人は天才というが本当に凄まじい大天才なんだ、とか、すごーく深いレベルのことが解るようになる。そして、自分もすごい端っこですが、やっとアドリブっぽいことができるようになってくる。もうね、めちゃくちゃ楽しいのですよ、ここに到達すると。

 つまり、ちょい深レベルに到達すると、そのこと自体の面白さもありますが、それを取り巻く環境や、その世界がどう成り立っているか、というようなことまで解ってきたりするので、さらにいろいろな興味が湧いてくる、という相乗効果もあるのです。

 実際、今はジャズピアノを弾く余裕がなくて、ぜんぜん練習しておりません。だから、今はアドリブも上手くできないと思います。ただ、ここまでのレベルで理解だけはしているので、どうやってまた練習再開すればいいのか、ということは解っているつもりです。ですので、一度そこに到達すると、まったく解らなかった頃に逆戻り、ということはない。それは、ジャズピアノでも料理でも同じ、だと僕は思います。だからこそ、その壁を我慢して乗り越える、ということが大事なんであります。

 面白いこと、それが一生の付き合いになるかもしれない、そしてそれは一つの壁を乗り越えることから始まるような気がします。だからこそ僕は、何でもあるところまでは突き詰めてみよう、と思ってしまうのかもしれません。

続く

マスターの連載より。
 

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