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小説・侍魂女子プロレスコミュの第二話 道場マッチ

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もう近所の商店街もクリスマス一色になってきたある日の昼、リムルルとチャムチャムはサムライ女子プロレスの事務所に呼ばれていた。
「君たちね、最近評判いいよ。ウン。だからね、正式なタッグチーム名を考えてほしいんだわ。ウン」
ツルリと禿げ上がった白ヒゲの爺さん…花諷院会長が事務所の机に白紙とマジックペンをおきながら言った。
「これからはちょっとプッシュしてくつもりだからさ、ウン」と付け加える。
「キャー!マジすかあ!」「ファイトマネーも上がるといいねえ!」
二人がキャーキャーとその場で小躍りして喜んだ。しかし会長は、いや、ギャラはそのままじゃ。そんな余裕ないわい、と答える。
「まあグッズとかに作るからの。急いで決めとくれ。ウン」

「燃える氷魂(ひょうこん)とかどーかなあ。ほらリムちゃんの新技が氷攻撃だし」
というチャムチャムに
「ダジャレじゃんそれ。もっとイカっちいやつにしようよ」
とリムルルが突っ込む。
「チーム南北戦争とか。ボクが南国出身でリムちゃんがヤイム?出身だから…」
「ヤイムじゃなくてアイヌだよ。ていうかチームなのに戦争って変じゃん」
リムルルがツンッ、とチャムチャムの側頭部を突っつく。
「いでで、いやそこはやめてよ。まだ痛いって」
とチャムチャムは突付かれた所を押さえて、泣きそうな顔になった。ああー!ゴメンゴメン!とリムルル。
そういや大変だったなあと、二人は2週間前の後楽園大会のことをチラリと思い出していた。

シャルロットとガルフォードとの決着をつけた二人は、気絶から目覚め意識が朦朧とする中、シャルロットのマイクアピールを聞いていた。
「ハァ…ハァお前ら…覚えてろよガキども!…ハァ…このシリーズ中になぶり殺しにしてやるからな!」
息を切らしながらシャルロットは、マイクを叩きつけて動けないガルフォードを抱えたパピィと共に控え室に帰っていった。
リムルル&チャムチャムはレフェリーや後輩らの若手選手に肩を借りて立ち上がり、弱々しくも一応ガッツポーズを決めてみせた。とてもマイクでなにか喋る気力などは残っていなかった。

それからの仙台ニューワールド大会、福島市国体記念体育館大会、博多スターレーン大会、広島グリーンアリーナ大会、11月のシリーズは外人チームとの対戦カードが組まれた。しかし大方の予想に反して、二人は外人勢を圧倒し・全勝した。それというのもリムルルの氷の上にDDTをかける必殺技・コンルノンノと、ベテラン選手に勝利してついた自信によるものだろう。
ちなみにアイヌ民族の言葉でコンルが「氷」ノンノが「花」だと、リムルルは北海道の実家に電話して聞いたのだった。リムルルの家系は代々アイヌ民族だったのだが、祖母が北海道の方に嫁入りしたそうでリムルルは北海道出身なのである。コンルノンノの意味は「氷に咲く血の花」みたいな実はバイオレンスなニュアンスである。彼女は血の気が多いのだ。

「まあ明日の試合前までには考えときますんで!」
「失礼しまーす」
二人はペコリと頭を下げ、道場裏にある道場に向かった。
一人残った会長はポケットから煙草「わかば」を取り出して火を付け、
「うーん、ホームページに早く載せたかったんじゃがのう」
煙をプアーッと吐きながらそうつぶやいた。意外にもサム女公式サイトは会長自ら管理しているのだった。

―翌日、二人のタッグ名は「ブレイズ&フリーズ」に決まった。
愛称はブレ☆フリ。燃えて凍るってそのまんまな意味でーすよろしくお願いしまーす!
と二人はリング上からファンに宣言したのだった。

来年1月のサム女「ドミネイテッドマインド」シリーズまでにはまだ休暇がたっぷりあるが、12月頭の今日もサム女道場からは選手達のドタバタと、練習に精を出す音が聞こえてくる。
「おまえらランニング終わったのか?そしたらちょっとスパーに付き合え」
覇王丸が威勢のいい、大声で言った。ガニ股、太い眉、ガタイがでかく、長い黒髪を無造作に後ろで束ねた、いい意味で言えば姉御肌。そうでなければ男くさい選手だ。
「え〜… リムちゃん呼ばれてるよ」「へ?いやあんたを呼んだんでしょッ」
指名されたリムルルとチャムチャムはお互いに指差しあう。覇王丸先輩のスパーリングは大層キツいのである。
「うるせえっ!まとめて来い!」
怒鳴り声が轟く。基本的に若手が先輩に対して使える言葉は「はい」「おはようございます」「失礼します」「おつかれさまです」の四つぐらいで、違う言葉を出すだけで怒られることが多い。しかし選手の中にはなにを言っても無視したり、なにも言わずいきなり叩く人もいる。覇王丸はその点決まり事には厳しいが、休みの日に飲みに連れて行ってくれたり、ヘマをしてもビンタ1発程度で許してくれる「いい先輩」の一人だ。

「せ 先輩、もう首が…」
道場中央にあるリング上で、ある程度基礎的なグラウンドの練習を終えた後、二人は覇王丸のフィニッシュ技であるショートレンジラリアット、斬鉄閃を2、3発喰らって悶絶していた。いくらか手加減してるんだろうがものすごい威力である。さすがヒールチーム・アンブロジアの天草先輩を失神させた技だけあるな、とリムルルは思った。
「ああ悪い悪い。今度タイトルマッチだからなあ。ちょいとばかし力入れちまったよ」
と言って頭をボリボリ掻いた。彼女は年末の特別興行にて同期の橘右京と組み、アンブロジアの天草四郎時貞&アースクェイクとタッグベルトの防衛戦が組まれているのだ。
その橘先輩は先ほどから道場の隅で、サンドバックにキレのある蹴りを入れている。彼女の得意技はハイキック、延髄斬り、コーナー三角飛び延髄斬りなど、蹴り技全般だ。タイトルマッチという言葉が聞こえたのだろうか、こちらにチラリと視線を向けたが再びサンドバックをビシバシと蹴り続ける。
「お前らも正式にタッグ組んだんだっけ?なんなら俺らに挑戦してみるか」
スパーリングは終わったようで、タオルに手を伸ばしながら覇王丸は言った。もちろん冗談である。リムルル達にはベルトに挑戦する程の実績もない上に、とても勝てるとは思えない。しかし、
「ハイ!いつか取りたいです」
チャムチャムがフラフラ立ち上がって言った。横にいたリムルルが慌てて「バ、バカ!」と口をふさぐが、遅かった。
「ほ〜う、言うじゃねーか。スパーリングあと10分追加だ」
覇王丸がタオルを投げ捨てて笑った。でも目が笑っていない。と、そこへ橘右京がツカツカと歩み寄ってきた。
「…練習試合にしよう」
と小さいがよく通る声で言った。
リムルルとチャムチャムが心の中で「ギャアアッ」と叫んだ。
「おお〜いいねえ。ナマ言ってるガキどもにお灸をすえるってか」
嬉しそうな覇王丸に右京は、
「いや… こやつらの力の程を知りたくてな」
と至って冷静に言って、若手二人をギラリと細い目で睨んだ。


日が沈みかけている17時前、首都高を「サムライ女子プロレス」というロゴの貼られた白いワゴンが走っていた。運転しているのは茶色い短髪の女性。その引き締まった体に比べ、顔はまだ若い。二十歳前後だろうか。
「ちょっと道場帰るのは遅くなるかもですねえ〜。すんません」
と後部座席の方に向かって言った。
「別にアナタのせいではないわ。私が撮影で時間取ったから…」
後部座席に座っていた黒く長い髪の女性は肩をすくめてみせた。少し疲れた様子だ。
「ナコルルさん、今日は練習バックレたらどーすか?徹夜明けで雑誌のグラビアやった後じゃキツイっしょ」
と助手席にいた坊主頭の若い男が言う。ナコルルと呼ばれた黒髪の女性はキッパリと応えた。
「いえ。練習は日課ですもの」


「ハアアアァァ…しゃあないかあ」「だねー」
その頃サム女道場では、先輩に練習試合を強要されたリムルルとチャムチャムがため息をついていた。断る術もなく、覚悟を決めた様子だ。
「じゃちょっと耳貸して」
と、チャムチャムがリムルルの耳元に何事か小声でゴニョゴニョ囁く。
反対側のコーナーでは覇王丸が、嬉しそうに屈伸運動をしている。やる気マンマンというやつだ。
一方、リングの周りにはウェイトトレーニング中だった他の選手達が集まっていた。
「面白いもんが見れそうじゃのう」
と野次馬丸出しなことを言っているのは、足元にまで長く伸ばした髪を見事に真っ赤に染め上げている女性、千両狂死郎だ。彼女は試合の時は顔を白塗りにし、赤いクマドリメイクを施した「歌舞伎キャラ」になる。
その隣では体重100キロは越すであろうガタイ、後頭部以外はツルリと剃りあげた弁髪、いかつい上に眉を剃った顔は竹内力を連想させる中年女性、王虎(ワンフー)が腕組みをしてニヤついている。これでも仕事上のポジションはベビーフェイス側だ。

彼女らとはリングを隔てた反対側では、赤く逆立った髪の風間火月と、黒く美しい長髪の風間蒼月がパイプ椅子に座って開始の合図を待っている。
彼女らは姉妹で、今最も勢いのあるタッグチーム・ダブルムーンシスターズとして様々な女子マット界で暴れまわっている。ただ、3年先輩である覇王丸&右京組にはいまだ白星をあげたことが無い。
そして、火月はリムルルとチャムチャムが最近名乗っているブレイズ&フリーズという、火と氷をイメージしたタッグ名に少なからず腹が立っていた。自分達のイメージである「水と火」に思いっきりイメージがかぶっているからだ。妹とは反対にクールな蒼月の方は、そんなこと屁とも思ってないのだが。
「田中と東野はいねーのか? じゃあ葉月、オメえレフリーやれや」
道場の隅っこでスクワットをしていた、まだデビューしたばかりの新人、風間葉月は突然呼ばれて「へ?」という素っ頓狂な声をあげた。
「とっととこい!」
と覇王丸に怒鳴られ慌ててリング上に上がってくる。「すいません」と言ってペコリと頭を下げる。ちなみに彼女は蒼月と火月の妹なのだ。ショートカットの黒髪で、姉二人と比べて童顔で、女の子らしい風体である。突然の仕事にオロオロしているが、練習試合なので特に誰も気にはしていない。 ところで田中と東野というのは普段レフリーをしている、二人いる黒子の名前である。
「では始めるか」自軍の赤コーナーに無言で立っていた右京が言った。「いよぉ〜し!バッサリいくぜ」と右腕を振り回しながら覇王丸が言った。早くもラリアートの構えだろうか。
「ちょっとその前に提案があります!」
突然チャムチャムが手を挙げて言った。「なんだよ」と覇王丸。
「さっきスパーで先輩の技を受けまくったから不公平です!だから…」
チャムチャムが言い終わらない内に、横にいたリムルルが相手二人目掛けてブーッ!と大量の水を吹きつけた!いつの間にか口に練習中のうがい用の水を含ませていたようだ。
「うがぁー!? て、てめえらあ!」「ムウッ…!」
たじろぐ覇王丸と右京。即座にそれぞれドロップキックを顔面に喰らい、マットに転がった。
「え、えーと…カァーン!試合開始!」思い出したようにレフリー・葉月が叫んだ。

「フン、チビたちもなかなかやるのう〜」
狂死郎が面白くてしょうがない、という顔で言う。先輩との練習試合というと遠慮がちな、受身がちなファイトをしてしまうのではないかと、その場にいたほとんどの者がおもっていた。しかし、当のリムルルとチャムチャムはそんなことを微塵も感じさせない、いやむしろ「どんな手を使ってでも勝ってやる!」という心持ちで立ち向かう様子だ。
覇王丸をリング下に落としたリムルル達は、右京を起き上がらせてから二人がかりでロープに振った。戻ってきたところへダブルのトーキックが腹に刺さる。
「グウッ」と思わず前のめりに倒れようとする右京。その頭部をリムルルが、両足をチャムチャムが抱え、高々と持ち上げた。直後にマット目掛けて顎から叩きつける。バーン!という衝撃音が道場に響いた。右京は顎を押さえて苦しそうにしている。
「クソッタレがーっ!」
リング下から這い上がってきた覇王丸が、憤怒の表情で二人目掛けて突進してくる。その足をリムルルがカニばさみで刈り、うつぶせ状態にダウンさせる。
「うっせええボゲェ!」
右側のロープから走ってきたチャムチャムのスライディングキックがスパーン!と覇王丸の頬を捕らえる。すかさず二人は「シャキーン!」と言ってから右腕をクロスさせ、覇王丸の背中に同時にエルボーを落とす。
「ぐああっ!」
悶絶する覇王丸。しかしまだ終らない。二人して背中にドッカリと座りリムルルが右足を抱えて締め上げ、チャムチャムは首を掴んで思い切り反らせた。逆片エビ固めとキャメルクラッチの共演である。いくら相手が軽量の選手とはいえ、これは辛い覇王丸。背骨がきしむ。だがそんな中覇王丸は(いつの間にかコンビネーションが上達しまくってやがる…!)と先輩として嬉しい気持ちもあった。
「ギブアップ? …あっ、じゃなくって、反則!一人下がれ!」
二人がかりはもちろん反則なので、レフリー役の葉月が、全く迫力のない可愛らしい声で叫ぶ。
しかし、やはりというかなんというか、チーム・ブレ☆フリは絞め技を解こうとはしない。そこに先程の顎砕きから復活した右京がツカツカと歩みより、リムルルの顔面にミドルキックを叩き込んだ。チャムチャムには後頭部にストンピングだ。覇王丸はようやく絞め技から解放される。
「とりあえず一人ずつコーナーに下がって!」
葉月の一声で右京とリムルルがそれぞれコーナーに下がった。
「いけるいける!チャムチャムいけえっ!」
青コーナーのリムルルが蹴られた後頭部を押さえながら、腕を振り回してエールを送る。
「まかせて!」と言ってチャムチャムは覇王丸に掴みかかる。だが甘かった。
「調子に乗ってんじゃねーっ!」
覇王丸はチャムチャムの首根っこを片手で掴み、前方に投げ倒した。
続いて起き上がってくるチャムチャムに渾身の張り手をブチかまし、フラついたところをパイルドライバーの体勢に抱え上げる。そのままの体勢でリムルルの方に体を向けペッと唾を吐いた。
「オラッ!」
膝を折り曲げて20センチ程ジャンプし、落とす。ゴッという鈍い音がして、チャムチャムは「グ…ウッ…!!」と頭を押さえ、歯を食いしばってのたうち回る。
「チャムチャム!おい!戻って!交代だ!」
リムルルは手を差し伸べるが、いかんせん距離が離れている。相手側は覇王丸と入れ替わって右京がリング内に入ってくる。ダウンしているチャムチャムの髪を掴んで無理矢理起こし、立たせる。
「………」
無言のまま、無表情のままチャムチャムを睨みつけ、いきなり右京は横に高速で回転、右の裏拳がチャムチャムの横っ面に刺さった。
「ぐえっ」チャムチャムはやばい、奥歯折れちったよと感じたまま再度ダウンする。
右京が覇王丸に合図すると、赤コーナーから走ってきた覇王丸がリムルル目掛けてエルボーを叩き込み、場外に落とす。リムルルの助けが入らない内に決着をつける腹だろう。
「よし、トドメだ。ま〜明日は練習休んでもいいからよ」
と覇王丸が言って二人がかりでチャムチャムを起こす。 
この時覇王丸達は気付かなかったが、その言葉を聞いたチャムチャムの顔はニンマリと笑っていた。

覇王丸がパワーボムの体勢にチャムチャムを抱え上げ、右京が近場のコーナーに駆け上がった。この背中を向けた体勢から体を捻って後方に跳躍し、三角飛び蹴り「ツバメ返し」を叩き込み、そのままの勢いでジャンピングパワーボム「烈震斬」を喰らわせるのが覇王丸&右京チームの十八番「ツバメ烈震」である。

「フンッ!」右京が飛ぶ。その時、チャムチャムは股のあたりの覇王丸の顔をバリバリッとかきむしった!
「むがーっ!?」
と慌てた覇王丸の力が緩んだところを、チャムチャムは後方に体を反らし、腰に力を込めて一気に回転した。同時に右京の蹴りを見事にすかす。覇王丸は「チャムチャムに足で投げられ」脳天がマットに刺さり、仰向けにダウンする。チャムチャムは覇王丸の首元にちょこんと座っている状態だ。これで両足を抱えてフォールすれば、ルチャ・リブレ(メキシコのプロレス)における技のウラカン・ラナになるのだが、試合の権利は右京にある。

―ちなみにウラカンはフランケンシュタイナーに似ているが、フランケンの方は足首のあたりで斜めに投げるのに対して、ウラカンは膝下あたりの部分で真っ直ぐ後方に回転して投げる(というよりは一緒に回転して丸める、と表現するべきか)技である―

「リムちゃん!」
チャムチャムがリムルルにようやくタッチする。「よく返せたねえ」と味方であるリムルルも驚いた様子で言うと、「明日休んでいいって言うからさ」と返した。ニマーッ!と満面の笑みをこぼす。
「うし、反撃開始だ!」
ツバメ返しをかわされて若干怒りの表情が見える右京めがけ、リムルルはすっ飛んでいった。

「なかなか… あの子達も甘く見ないほうがいいかもしれませんねえ」
リング下で高見の見物を決めこんでいる蒼月が言う。横に座っている火月は
「ケッ!大したこたぁね〜よ」
と吐き捨てる。しかしこの試合にちょいとばかり夢中になっちまってるのも事実だな、と火月は内心気付いていた。

リング上では右京のミドルキックと、リムルルのエルボー合戦が繰り広げられている。交互にビシバシと打ち込むが、お互いなかなか倒れない。
「ならば…」と右京が頭部へのハイキックを狙ったが、それをすんでのところで避けるリムルル。その隙に目潰し攻撃をお見舞いする。
「グッ、目が!?」
すかさず首を抱えこみ、後方にジャンプするリムルル。得意のDDTだ。
「よっしゃ!」
リムルルはそのまま腕を離さず、もう一方の腕で右京の足を抱え、両肩をマットにつかせる。スモールパッケージホールドというオーソドックスな丸め込み技(ダメージ狙いではなく、フォールのみを目的とした技)である。葉月がカウントを取る。
「1!」
覇王丸がまさか!?という焦った表情でカットに入らんとするが、チャムチャムがそこへ猛突進してきた。カットを阻止すべく、ガッチリとがぶり寄る。
「おい離せコラ!」
「2!」
葉月が3度目のカウントを入れたか入れないかのところで、右京が肩を上げた。ほぼ同時のタイミングかもしれない。
「3!」

試合をしていた4人も含めた全員が「え!?」という声を上げる。
「か、勝ったの?」と目を丸くしてリムルルが葉月に聞くと
「え〜…3入った、と、思います…」
と言って指を3本立てて見せた。

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