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喫茶英雄伝コミュニティコミュの喫茶英雄伝第7話「玄武美術大学」

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左絵 「友人T君の想像する井川」


課題のレポートを何とか無事に2限に提出して、昼休みになった。僕らの通う玄武美術大学は、他の大学と違って昼休みが1時間30分と異常に長い。これはこの大学の創設者の玄武 秀衛門の意向らしく、「日本人は忙しすぎる。もうちょっとのんびりいこう。」をモットーに休み時間を30分ほど長くしたのだ。
 まあ、職員からも学生からも評判はそんなに悪くはないから
この奇策(?)は学校創設以来50年ほど続いてきたのだろう。
 
 
 昼食を取るため、僕は友達の井川と内藤を連れてキャンパス内の学食に向かう。学食の名前は「玄武ランチ塔」。名前についてはかなり学生から「ダサい」とか「センスがなさすぎる」などの意見があがっているが、学食のメニューは都内の総合私立大学にひけをとらないぐらい充実しており、値段は200〜600円の間とリーズナブルである。しかもランチ塔内はコーヒー飲み放題なので貧乏な学生にはありがたいサービスである。今日の日替わりランチセットは「鮭のムニエルに、サラダ、野菜のスープ、ご飯」だった。480円だったので、僕と井川はそれにすることにした。内藤はいつもと同じカレーとサラダのセット(380円)だった。食券を買って列に並ぶ。食券を食堂のおばちゃんに渡しトレーにのオバちゃんから受け取った料理をもらって並べ、空いてる席を見つけてそこに運ぶ。
 
 僕らはよほどお腹が空いていたのか、15分もしないうちに完食していた。こうなるといつものアレが始まる。
 「さーいしょはグー、じゃんけん、ほい!!よし、勝った!!   じゃーんけんほい!!よし俺の勝ち!!」
まず、僕が勝利した。その次は内藤が勝利した。井川はやたら悔しがっている。そう、コーヒーを持ってくる当番を決めたのだ。僕は「俺ミルク1つね」内藤が「あ、なら俺ガムシロップ3つにシュガースティック1つ!!」井川はハイハイと分かったように首を縦にふり自動コーヒーメーカーのある場所まで向かっていった。
 内藤が突然昨日のアノ話題を口にした。「おい、津坂君!!そういえば昨日のテレビのメイド特集君観たよな?どうだ、今度一緒にアキバに行こうぜ!!」内藤はやっぱり(笑)アキバ君のようだ。内藤の「アキバ」という声に反応したのか、周りの席の女子が白い目で僕らを見ている。僕は反射的に顔を斜め下に向けたが、少し間をあけて「ヤダ!!」とだけ言った。
 内藤はかなり不愉快そうな(いや、たぶん予想とは反対の答えにさもや驚いたような顔をして)「どうしてよ?いいじゃん、メイド!!君も男なら、コスプレとか女の子とか好きだろう?はは〜ん、さてはタンパクな顔して己のムッツリを隠しておるな、津坂ちゃん。」
 僕は思った。(何者だ!?コイツ。これが俗にいうアキバ系という奴なのか。この開き直りっぷりは半端ないぞ。)
 
 僕がそう思って黙っていると、内藤は言葉を続ける「好きなものを周りの目を気にして隠すのはつらくないかい?僕はそんなことは無意味だと思うんだ。学生生活は長いようで短いんだよ? 周りの目なんか気にしてたら駄目だよ、津坂君。だから僕は周囲の目など気にせずに大好きなオタク趣味に没頭させてもらうよ。」内藤は得意げだ。(確かにこういう開き直った奴は誰にも負けない強い意志を持っている場合が多い。)僕はゆっくりと口を開く「内藤の趣味は内藤の趣味、俺にだって趣味がないわけじゃないよ?だから内藤の価値観で自分の趣味を俺にあてがうなよ」
 内藤はまたまた驚く「津坂くんは、メイドが嫌いなんだね?うーん信じられない。同じ日本人かい?」内藤は本気で驚いているようだ。そういう可笑しな会話をしていると井川が戻ってきた。井川は笑って言う「おい、内藤ガムシロップなかったぞ!!」さきほどの周りにいた女子の視線がやや変わったように感じられた。おそらく井川のおかげだろう。
 井川は内藤とは全く逆のタイプだ。一言でいうなら、内藤がインドア派なのに対して井川はアウトドア派というべきか。
 井川は学内の野球サークルに入っていて、4番でピッチャーを任されているほどのスポーツマン。身長183センチの筋肉質、日焼けした黒い肌はとてもじゃないけど「美大生」に見えない。運動神経抜群で女の友人が多い。どちらかというとウチの大学には井川よりも内藤タイプの学生が多いように思える。
 全く僕ら3人はお互いに違った趣味を持ち、傍から見るとつるむのが不思議に思えるが、この凸凹トリオ、意外に気が合うのだ。普通、共通点が多いほど友達になりやすいのだが、僕らは3人ともB型なので、お互いが自分の生活のリズムを生きる(マイペース)な部分があって、妙に干渉し合うことなく上手く付き合っていけるのかもしれない。
 これは1年の後期に聞いた話なのだが、井川が玄美大に入った理由は、「インドアの世界を体験してみたい」という理由からだった。井川は「研究や部屋にこもって一つの作品を作り上げる天才」に魅力を感じるらしい。
 一方の内藤の志望動機はいたって簡単だった。「総合大学にすべてすべって唯一受かったのが、得意な美術とコンピュータの才能を生かせるこの大学だ」とのこと。
 3人とも志望動機がはっきりとしないところがやや似てるといえば似ているかもしれない。
 
 内藤が井川にメイドの話をした。井川には感触がよかったみたいだ。内藤の話が井川の好奇心をくすぐったようだ。
 井川のリアクションは、「おお、津坂っち、おもしろそうじゃん!!俺田舎の出身だから一度メイドさんに会ってみたいとは思ってたんだよ。2ショット写真撮って、田舎の弟たちに自慢しちゃおっかな。内藤君、連れてって連れてって!!」
 内藤はにやりと笑って「ほら、津坂君、井川君はどうやら好きみたいだよ、メイド!!」
 「分かった、分かった!!行きますよ行けばいいんでしょ」僕は半ば諦めモードでそういった。
 こうして凸凹3人組の土曜日の予定が決まってしまった。
 

コメント(2)

あくまでコーヒーの話が主体だからね。(笑)第8話はまちがいなくそっち系でしょ。笑

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