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VTR乗りのまったりコラムの部屋コミュの◎コラム[4] トルクレンチのお話

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バイクや車を整備される方は気になるところのトルクレンチ。
使っている方もいらっしゃるかと思います。

実はこのトルクレンチでのトルク管理には意外な落とし穴があるんです。

また安いトルクレンチと高いトルクレンチ、どんな違いがあるのか?
検証してみましたので、参考になれば幸いですクローバー

コメント(4)

〜[1]トルクレンチとは?〜


このところ仕事が暇だったので
かねがね気になっていた、安物のトルクレンチの実力検証をしてみました^^

という事があり、そのネタを含め「トルクレンチ」について書かせて頂きます。

正直ちょっとマニアックです。。。文系の方は飽きるかもですあせあせ(飛び散る汗)







?トルクレンチとは


トルクレンチ、バイクの整備を少しかじった方なら聞いた事、使った事あると思います。
さてこのトルクレンチとはどういうものなのでしょうか?


トルクレンチはトルクを測定するもの、
または設定したトルクで締結を行うための工具になります。

そこで、トルクとはなんぞやと?



たとえば六角頭のボルトをスパナで締めます。
その時にボルトかかる、ボルトを回す力が「トルク」になります。
簡単に言うと「回転力」。
エンジンの「トルク」も同じです^^

バイクのボルトで使うトルクの単位は主に「N・m」。
支点から1m離れたところに力点を置き、
その力点に1Nかけると「1N・m」になります。

「N」はニュートン。「m」はメートル。
ニュートンは単に「力」と思ってください。
ちなみに「1kgf=9.8N・m」ですから「1N=0.1kgf」って感じで覚えておけばOKかと。



まぁこの辺は適当に読み流してください・・・あせあせ(飛び散る汗)






?大事なのは軸力!!


ここで是非知っておいて頂きたいのは「トルク管理をする意味」です。

トルク管理をしているボルトの締結において、
本当に必要なのは「軸力管理」なんです。ここを間違えないでください。




この辺から?マークが増えてきた方、頭が痛くなってきた方も多いと思いますが。。。
あえて突き進みますむふっ






まず軸力というものについて。

軸力というものは、簡単に言うと「締結力」。
ボルトを締めることによって物を留める力、コレが締結力になります。

そもそもボルトを締めるという行為、コレはボルトを伸ばす行為なんです。

ここでボルトをバネと考えて読んでみてください。
ボルトを締結する、すなわち伸ばすわけですが、
伸ばされたボルトにはバネのごとく戻ろうとする力が働きます。

この力こそが「軸力」。

このボルトとメネジの間に物を挟んでやれば「軸力による締結」が行われるわけです。




なかなかイメージ付きませんよね。。。

でもハッキリ言います。
「ボルト」は「バネ」なんです。
この「バネ」の持つ「張力」すなわち【軸力】の管理が大事なんです。






ここで話が戻ってきて・・・ではなぜ軸力管理ではなくトルク管理をしているのか?

答えは簡単、「軸力は簡単に測れないから」です。



軸力を測る方法は

 ・ひずみゲージ式 有線型の軸力ボルト
 ・超音波軸力計

が一般的です。



ちなみに私が普段仕事で使っている軸力ボルトは1本約2万円。
別途何十万、何百万円の計測器も必要。
有線ですので、場所によっては使えません。
しかもその他制約もある。
こんなもの、とても一般的ではありません。



超音波式は、大きなボルトに向く物。コレも計測器で何百万円。
構造物、建造物等用が一般的で、バイク用の小さなボルトに向きません。
測定にあたって、いくつか制約があります。



こんな背景もあり、工場や整備の現場では手軽で安価なトルクレンチを用い、
設計要件上必要な軸力相当の「トルク」でねじの管理をしているんです。







言いたかったのは

実はトルク管理っていうものは、
軸力管理をする上でしょうがなく行っているものなんです。




次回は、「トルク測定の落とし穴」について書かせて頂きます。

・・・興味持って頂けている方、いらっしゃるのか、ちょっと心配あせあせ(飛び散る汗)
〜[2]トルク測定の落とし穴〜


前回のコラムに「ボルトはバネ」と書きましたが、なかなかピンと来ないですよね?

でもM6ボルトにかかる軸力は約6〜10kN(600〜1000kg)と聞けばどうでしょうか?

※M6ボルトは六角頭10mmの、バイクに多く使われているボルト
 ・締結材:アルミ ・被締結材:アルミ ・よくある標準ボルト
 ・締結トルク12N・m時の軸力(条件で変わります) ・締め代10mm


小さなボルトでも、そこには1t弱もの力がかかっているんです。
伸びるのも想像出来るんじゃないでしょうか?








これだけ大きな力を支えているボルト、これをトルクで管理するには不具合があるんです。
その不具合とは

 ?トルクの軸力への寄与度は約15%ほどしかなく、約85%は摩擦力である。
 ?トルクは摩擦係数の影響を大きく受けるため、トルクが同じでも
  条件が変わると軸力は大きく変わってしまう。
 ?同等条件、同トルクで締結しても軸力のバラつきが発生する。
  (トルク管理では軸力が大きくバラついてしまう)

特に?が問題なんです。
?で言う条件というのは、錆・ボルト/メネジの精度・ボルト/メネジの使用回数・潤滑具合等々。


簡単に言うと、錆びたボルトでは摩擦係数が増してしまい、規定トルクでボルトを締めても
摩擦にトルクが食われ、大事な軸力は低くなってしまうんです。

使い込んだボルトも座面が荒れ(面粗度が下がる)、摩擦係数が高くなります。






ただでさえ軸力への寄与度が少ないトルク管理において、摩擦係数の増加は致命的なんです。
酷く錆た状態では、規定トルクで締めても軸力は半分以下・・・なんてこともあります。

その時の軸力差は1tが500kgに・・・って考えると、ちょっと怖いですあせあせ(飛び散る汗)










なのでトルク管理をする際はボルトやメネジの状態にも気を配って欲しいんです電球

錆びていたり、朽ちているようなボルトは交換するか、
ワイヤーブラシで掃除したり、潤滑剤を塗布してあげてください。

それだけで締結力=軸力は大きく変わるんです。


特に熱がかかり易い部分は錆びやすく、また緩み易いので要注意です電球
ブレーキやエンジン周り、排気関係の部品ですね。










色々書きましたが、街乗りするバイクではあまり神経質にならなくても大丈夫だと思います^^
設計上、かなりの安全率を見てますからぴかぴか(新しい)

ただ、走り込みされる方は気にして見てくださいクローバー



次回は「安いトルクレンチの実力」について書かせて頂きます。
〜[3]安いトルクレンチの実力〜


トルクを否定するような事をいっぱい書きましたが、トルク管理は大事です!
だってそれしか締結力を測る方法が無いんですもんあせあせ(飛び散る汗)


なので、整備の際にはトルクレンチを使用したほうがベターなのですが、
トルクレンチってすごく高い。

東日等の一流メーカーだと最低2万円弱〜あせあせ(飛び散る汗)
買うにはなかなか勇気の要る値段。。。
かたや、ホームセンター等に売ってる安いものは3〜4000円から。

この値段の違いはなんなの???
という疑問と、俺の持ってる安物のトルクレンチの実力を知りたかった事もあり、


【安物トルクレンチ vs 東日トルクレンチ】(写真1の上が安物、下が東日)

をやってみました。







【比較&条件】


 ◎安物トルクレンチ(3〜4000円)
  ・測定レンジ:14-109N・m

 ◎東日トルクレンチ(約15000円)
  ・測定レンジ:5−25N・m

それぞれ各測定ポイントで3回測定。
東日のトルクチェッカーにてトルクを計測。



 





まず安物のトルクレンチの実力から。(写真2)

最初の結果は青い線。
赤い線が理想なのですが、かなりズレていました。(係数が1に、項が0に近いほど正確)
フルスケール(最大測定トルク)で約20%も。大きな誤差です。





ただ、問題が一つ。
このトルクレンチ、相当の間、校正は未実施。(※校正=調整)

ということで、トルクチェッカーを使って校正し、測定し直したのが緑の線。
かなり赤の線に近づきましたぴかぴか(新しい)

ただグラフでは見えないところで不具合が1つ。
小レンジの14〜30N・mの範囲はいくら校正しても調整しきれずでした。。。









対して東日のトルクレンチは・・・(写真3)

赤の線とピッタリ一致ぴかぴか(新しい)
直線性&繰り返し安定性を示すR^2もほぼ1。
さすがですぴかぴか(新しい)

※こちらは年1回校正実施












上記を踏まえてまとめます。


◎安いトルクレンチの特性

 ・直線性、繰り返し安定性は高い
 ・そこそこの精度を有している
 ・高いトルク測定向き
 ・低いトルクは精度がかなり落ちる

最後の特性は個体差の可能性もあります。というか、そう思いたいですあせあせ(飛び散る汗)
このトルクレンチはもらい物なので、どう使われてきたかわかりませんし。。





◎東日のトルクレンチ

 ・直線性、繰り返し性共に非常に高い
 ・測定レンジ間では確実な精度を誇る

高いだけあって、さすがですぴかぴか(新しい)







今回の検証で東日のトルクレンチの実力にはちょっとした感動がありましたぴかぴか(新しい)
さすが高いだけあるって感じです。

でも安いトルクレンチもそれなりの性能を有しているのがわかりました。
少なくとも「手感」よりはずーっと良いかと思います^^



ただしどちらも【校正】されていての話です。

今回初めて自分で校正前後を体験し、校正の大事さを確認出来ました。
東日のトルクレンチも毎年校正されてこの精度を保っています。

もしお持ちのトルクレンチが校正されていないようでしたら、
一度校正する事をお勧めしますクローバー


校正は近くの工具屋さんで受け付けてもらえますので^^

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