銀の鍵コミュの村上春樹の新作

『１Ｑ８４』について、感想、意見、批評、議論、注釈、メモ、思いつきなどを書き込むためのトピック◎

コメント(6)

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原型批評

文学理論において「原型」は、神話や夢や社会的儀礼にあらわれる物語形式、登場人物のタイプ、テーマ、イメージであって、これらはいろいろなタイプの文学作品に見出すことができる。

「原型」は、人間の心の中の原初的で普遍的な形式・パターンから出てくるのであって、作家がうまく作品の中に導入すると、読者に深い反応を引き起こす。

文学理論における「原型」の先駆けは、多様で広範囲な宗教・文化に繰り返しあらわれる神話や儀礼の基本パターンを発見したフレイザーの『金枝篇』(1890-1915)である。

ユングは、私たちの古代の祖先が繰り返し経験した原初的イメージを「原型」と呼び、それらは人類の集合的無意識に残存していて、神話や宗教、夢、空想、そして文学作品にあらわれていると考えた。

※Abrams, A Glossary of Literary Terms(8th Ed.)より当該項目の冒頭部分を拙訳(意訳)しました。

[2] mixiユーザー 05月30日 06:56

スケープゴート

旧約聖書でユダヤ人の罪を象徴的に背負うとされる山羊。アザゼルという荒野の悪魔に生け贄にされるため山羊が選ばれ、エルサレムの外の崖から放り投げられた。転じて、他者の咎を担うもの或いはグループを指す。

古代ギリシアでは飢餓などの災難を緩和するため、あるいは防止するために人間のスケープゴート(ファルマコス)がつかわれた。

初期のローマ法では、無実の人間が罪を告白した別の人間の罰を受けることができた。キリスト教は、イエスが人類の罪をあがなうために死んだとする教義にこの考えを受け継いでいる。

※ブリタニカの当該項目より拙訳(意訳・抄訳)しました

[3] mixiユーザー 05月30日 06:58

エディプス・コンプレックス

精神分析の理論で、自分とは反対の性の親に性的関心をもち、同時に同性の親に競争意識を持つことで、幼児の通常の発達において重要な段階とされる。

エディプス・コンプレックスの概念はフロイトが『夢判断』(1899)で導入した。知らずに父を殺し、母と結婚したギリシア神話のエディプスに由来する。女性の場合には、母を殺す手助けをした別の神話の人物の名前からエレクトラ・コンプレックスという。

フロイトによれば３～５歳の幼児にあらわれるもので、幼児が同性の親に自己同一化し性的衝動を抑圧したときに通常は終わると考えた。

しかし幼児期にトラウマがあると幼児性神経症が起こり大人になっても繰り返し苦しむことになってしまう。

大人の意識を支配する道徳的要素である超自我はエディプス・コンプレックスの克服過程に起源をもつので、エディプス・コンプレックスにどう対応するかが人間精神のもっとも重要な社会的達成であるとフロイトは考えた。

※ブリタニカの当該項目より拙訳(意訳・抄訳)しました

[5] mixiユーザー 05月30日 08:46

続編があるかもしれず、性急で断定的な議論は避けたいですが、面白かったので、たくさんのことの中から絞って、すこし分析的な感想を書かせていただきます。

青豆がリーダーを殺害した(眠らせたとも言われます)すぐ後に、天吾の父が昏睡状態になるのは、どのような関係があるのでしょうか。

二つの物語には、お互いに分身というか、カウンターパートが含まれています。

ふかえりと、青豆さん
リーダーと、天吾の父(あるいは天吾自身：筋肉の周期的な硬直)

(カルトの観点からは、リーダーはスケープゴートであり、彼の死は王殺しです。天吾と父の関係も、その繋がりで考えられる余地があるかもしれません。)

リーダーの殺害と天吾の父の昏睡が結び付いているとすれば、すくなくとも上に挙げたうちの一組において、青豆は天吾のエディプス・コンプレックスを解消させる助けをしたといえます。

二人の主人公は、無意識の部分(１０歳の出来事と親の拘束)で繋がれていて、牽かれ合っていることは間違いないと思いました。二人はお互いの無意識の中にいるのか、あるいは二人の無意識が重なりあう場所が１Ｑ８４年かもしれません。

[6] mixiユーザー 05月30日 09:19

学生運動とカルトのつながりについて、大澤真幸『虚構の時代の果て』(１９９６)が参考になりそうなので、機会があれば読んでみます!

大きな物語の提供ということでつながりがあると聞いたことがあるのですが…どなたか気が向いたらご教授くださいませ。

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