ベトナム兵からの狙撃に悩まされていた第55高地に配属されたハスコックは実戦においてもその能力を発揮し、北ベトナム軍のあるフランス人指導将校(撃墜した米軍機の生き残った搭乗員を拷問に掛けることで知られていた人物)の狙撃に成功するなどして、精鋭揃いとされる海兵隊の中で狙撃の名手として知られるようになっていった。ハスコックら狙撃チームの活躍は大きな効果を挙げ、第55高地一帯での米軍兵の狙撃による被害は1日20〜30件から週に1、2件まで激減したとされる。また、この時期にランド大尉がハスコックらと共に策定した狙撃兵教育プログラムにおいて用いられた概念が、現在もアメリカ海兵隊の狙撃手の代名詞として残る"One shot, One kill(一撃必殺)"である。 この言葉はどの戦争ゲームや映画にもよく使われています。
北ベトナム軍はハスコックらに対抗すべく第55高地に12名もの狙撃手を送り込んだ。その中の一人、北ベトナム軍の謀略放送で“コブラ”と呼ばれていたスナイパーとの戦闘は通称"cat and mouse"と呼ばれ、フィクションの世界に多くのフォロワーを残し、ドキュメンタリー番組の研究対象となった。ある任務でハスコックとバークは北ベトナム軍の将校(ハスコックをおびき寄せる囮だったとされている)を800ヤードの距離から仕留めた帰途に、敵のスナイパーに捕捉されている事に気付く。500ヤード先の茂みの中で光る敵のスコープのレンズの反射光に向けて発射されたハスコックの銃弾は、そのレンズを貫通しコブラの眼球に命中していたという。コブラの死体を確認して賞賛するバークに、ハスコックは「レンズに目を当てていたということは彼も私を捉えていたということだ。私が先に撃ったのは運が良かったというだけだ」と述べたという。 この話は有名で、このスコープ越しの狙撃は後年、ディスカバリーチャンネルの『怪しい伝説』の題材となり、一度は実現不可能とされたものの(第4シーズン24話)、当時の弾薬・レンズの材質を検証した結果、非常に困難ながらも実現可能であることが実証された。 ※山猫は眠らないでもこのシーンはあります。