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オダサク倶楽部コミュの織田作文学トリビア15回・又吉直樹と「夫婦善哉」

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 織田作文学トリビア・第15回

 ★又吉直樹『第2図書係補佐』における織田作『夫婦善哉』

 又吉著『第2図書係補佐』(幻冬社よしもと文庫、2011年刊)に織田作の『夫婦善哉』が取り上げられている。彼が、吉本興業のフリーペーパー「YOOH!」のコラムに連載していた文学作品に関するエッセイをまとめたの標記の書である。
 
・又吉直樹とは
 吉本の人気漫才コンビピース」の一人。
 1980年、大阪・寝屋川市生まれ。北陽高校出身、サッカー部所属。TV番組「ピカルの定理」出演。舞台の脚本も手がける。

 又吉は子どもの頃から小説に浸かり、芥川龍之介『トロッコ』や『羅生門』に感動しているほどである。中学時代には『人間失格』ほか太宰治にはまり、高校時代にかけて漱石、谷崎、三島の作品にも衝撃を受けたことを、巻末の芥川賞作家、中村文則との対談において語っている。

 また、上京してからは、暇さえあれば古本屋を回っており、気になる本は手に取り裏の紹介文を読み、帯文を読み、ページを開くと、そこに宇宙が現れ、異世界が広がることに魅せられる生活ぶりだ。

 空腹と退屈を凌ぐための活動が、いつの間にか生きるための重要な糧になっていたそうだ。

 常にかたわらに本があり、多読家の又吉が、本書で47作品を取り上げて、その内容に触発されたかのように自分の思い、体験、価値観や人生観を綴ったのが本書であり、彼自身が巻頭に述べているように、決して本の解説や批評ではない。

 『尾崎方哉全句集』に始まるが、私が読んだことのある作品は『エロ事師たち』『蛍川・泥の河』『山月記』『人間失格』『変身』『夜は短し歩けよ乙女』『異邦人』くらいしかなく、又吉の多彩な読書ぶりには驚く。

 『夫婦善哉』については、現代においても柳吉のように女性の優しさに付け込んで寄生する甲斐性のない男の存在があり、これに対する腹立ちを吐き出した文面である。

 「いずれ大成する人やから、この人の意見は聞いいとかなあかん、そのような雰囲気を一丁前に持っとんね。…世間を憂いまっせ、正論言いまっせ、我々の世代が世界変えまっせ、みたいな顔してますが、何のことは無い。ただの穀潰し甲斐性無しヘタレの阿呆ボン。」

 「『夫婦善哉』はどんな話だったか。一見逞しい女と頼りない男が出て来るのだが、男女が共にいる理由を理屈で説明するのでなく情景で匂わせてくれるような妙な読後感が好きだった」と締めくくっている。

 本文でも分かるように、又吉のすごく冴えた感覚、文才が、本書の隅々に迸っているのである。将来、作家としても大成するのではなかろうか。 

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