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笑えた話コミュの919笑「メリーさん」

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『私、メリーさん。今、一階のロビーにいるの…』

『私、メリーさん。今、二階の踊り場にいるの…』

『私、メリーさん。今、三階の踊り場にいるの…フフフ…』

 ………

『わ、私…メリー、ハァ…さん。今、87階の、踊り場にいるの…ハァハァ』

律儀に階段を上り、それを一々報告しなければいけないというのも、妖怪ゆえの悲しい性(さが)だ。

『わ、あ、あたし、メリー…さんっ。ハァ、今は…88階にィッ…る、の』
私が今座っている場所は、上海に建つ超々高層ビルディングの147階居住フロアである。

あと60階近くも残っているのにへたばっている様では、100を前に倒れこむだろう。

『や、あ、たし、メリーさ…んぅっ! い、いあ…89…ちょっと、うう!
 やあ、おしっ…もうだめぇ、出して、ここ開けてぇ! も、もれ、あ…いあああああ!
 あ、あ、だめぇ! 切って、今すぐ電話切ってぇ! 聞かない…でぇぇっ…』

何だ、やけに息切れしていると思ったらそういうことだったのか。妖怪にも「そんなこと」があるとは初耳だ。

50階から126階まではオフィスフロアがひしめき、非常階段のドアはセキュリティ上の都合で 非常時以外は開かないようになっている。

駆け下りるにも駆け上がるにも行かず、さぞや苦悶したことだろう。

しかし、不本意な形ながら障害を排除し、恥辱に燃えるメリーさんが残りの階段を駆け上がってこないとも限らない。

そうなる前に、私は屋上のヘリポートへ向かうことにした。



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